部室にはいると、既に俺たち以外のメンバーが顔を揃えていた。……無論、生徒会長と匙も。
生徒会長、支取蒼那。そして、生徒会役員の一人、書記の匙元士郎。そうか、この呼び出しはシトリー眷属との顔合わせだったか!
「……やはり、生徒会役員も悪魔でしたか」
知ったような口振りで俺は言う。
すると、感心したような顔をする生徒会の二人。
「へぇ……」
「そこそこやるみたいだな」
俺は思案顔になる。部長もそうだけど、偽名はどこか洒落のような感じになっている。
蒼那会長の真実の名前はたしか……
「この学園の生徒会長、支取蒼那さまの真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主さまですわ」
朱乃さんが説明してくれる。
リアスやライザーの家と同じように、72柱の悪魔の一角。そして、セラフォルー・レヴィアタンさまを輩出した御家である。
「シトリー家もグレモリーやフェニックス同様、大昔の大戦で生き残った
朱乃さんがさらに詳しい説明をしてくれる。
匙が口を開く。
「会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回っているからこそ、平和な学園生活を遅れているんだ。これだけは覚えておいてもバチはあたらないぜ? ちなみに俺は匙元士郎。二年生で会長の『兵士』だ」
「俺は兵藤一誠。同じ二年で、リアス・グレモリーさまの『兵士』だ」
「エロバカ二人とつるんでるお前と同じなのかよ……」
ため息をつく匙。……二度目とはいえ腹立つ。ちょっとからかってやろう。
「ほぅ……?」
「おっ? やるのかい? 俺はこう見えて兵士の駒を四つ消費して……」
俺は匙の台詞に被せるように言う。
「……お前は主に恥をかかせたいのか?」
「……っ!」
言葉を詰まらせる匙に追い討ちを掛ける。
「俺は主に恥をかかせたくないからな、もしやるんなら、必ず勝ちにいくが……どうする。やるか?」
「……お前、本当に悪魔になりたてなのかよ……俺の方がひよっこに感じるぜ……」
「……本当に悪魔になりたてさ」
ただ、覚悟ができてるだけだ。
「ま、なにはともあれよろしくな。同じ兵士のよしみって事でさ」
「……ああ」
がっしりと互いに握手する。すると、アーシアが匙に話しかける。
「匙さん、よろしくおねがいします」
「ああ、アーシアさんみたいな子なら大歓迎さ!」
現金なやつめ。俺は匙と握手する力を強める。
「よろしくな、匙……ただ、アーシアとかに手ェだしたらぶっ殺すからな」
「よろしく、兵藤……そっちこそ会長をたぶらかしたらぶっ殺す」
ギチギチと鳴り響く骨の音のせいか、とても
この後、リアスに喧嘩はダメよ? と言われてしまった。とほほ……
―○●◎―
ババババババババババババババババーン!
明らかに量が過剰な十六連花火の音が、球技大会の開始を知らせる。
『連打研究部の高橋くん、阿部先生がおよびです。至急、体育館裏まで―――』
顔も知らぬ高橋くんに敬礼。ちなみに、阿部先生は男である。南無。いでっ。
部員の皆は体操着に着替えている。
まずはクラス対抗の野球。次に男女別の項目で、最後に部活動対抗戦だ。
アーシアは朱乃さんにストレッチを手伝ってもらっている。おお、なんか百合っぽい。スパッツから除くふとももがたまりません。
小猫ちゃんは下に敷いたビニールシートの上で球技のルルブを読んでいる様子。
木場は上の空。俺は木場の頭を小突く。
「ボーッとすんな。お前はあれか? 発情期ですかコノヤロー」
「……」
沈黙の木場。
「はつっ!?」
羞恥故か、赤くなっているアーシア。
おっと、聞こえてしまったようだな。反省反省。
「練習の時も言ったけどな? せめて、球技大会位集中しようぜ? な?」
「……うん、そうだね」
「シャキッと切り替えろ。王子様の名が泣くぜ? 高校生なんだしさ。切り替えできなきゃあ、小中学生と同じだぞ?」
「……そう、だね。うん。いまは聖剣の事は忘れるよ」
あ、リアスが帰ってきた。帰還した部長は不敵な笑みを浮かべている。
「ふふふ、勝ったわよ、この勝負」
「リアス部長、それで種目は?」
リアスはピースサインで言う。
「ドッジボールよ!」
俺はボールがゴールデンボールと激突したときのあの痛みを思い出していた。
―――嫌な予感しかしない。
匙、情けない子。