まぁ、その程度の価値しかないんだよ
「……話はわかったよ。全く、イッセー君たちも無茶するね」
やれやれ、と呆れたように言う木場。エクスカリバー使いと一緒にいる。エクスカリバーについて話があるから来いって言ったらすぐに来たよ。
「……正直、エクスカリバー使いに破壊を認証されるのは至極遺憾だけどね」
「エクスカリバー使いに、か。そうだな。君はエクスカリバーに並々ならぬ恨み辛みを抱いていると見た。悪魔や魔物が抱くそれとは種類が全く違うことも。つかぬ事を聞くが、君は『聖剣計画』の被害者かい?」
木場の言葉に眉を潜め、悲しそうな表情を浮かべるゼノヴィア。あ、あれ? なんか、急に大人っぽくなってる?
戸惑う俺をよそに二人は話し込む。
「……ああ、その生き残りさ」
「成る程、『先輩』という比喩はその為か。その計画が聖剣使いへの飛躍的な技術革新をもたらしたのは確かだ」
「実験失敗と称して皆殺しにするのが許されるとでも?」
「思っちゃいないさ。ただ、確かにそういう事実もあるというだけだ。……当時の責任者だった『皆殺しの大司教』バルパー・ガリレイは。奴の研究の着眼点は良かったが、やり方が非人道的でな。現在は追放され、堕天使側に身を寄せていると聞く」
「……バルパー・ガリレイ。それが、僕達を……堕天使を追えば、たどり着くのかな」
木場には強い意志の炎が宿っている。イリナも大人っぽくなったゼノヴィアに戸惑いを隠せない様子。
「……ゼノヴィア? 何か変なものでも食べた?」
心配そうな瞳でゼノヴィアを見るイリナ。なんか、何気に酷い。
「ん? 特に変なものは食べてないと思うぞ。餃子というものをはじめて食べたが、これは癖になるな。旨い。ただ、少々口臭が気になるな」
「ああ、それはニンニクとニラのせい……って、そうじゃなくて! 妙に落ち着いているって言うか……」
それを聞いたゼノヴィアは、納得したような顔をして頷く。
「うむ、それか。赤龍帝――いや、これから共同戦線を張るのだ、一誠くんと呼ばせてもらおう。彼の神器のオーラの中に潜む、太陽のようなオーラをふと、感じてな。恐らくは彼自身のオーラなのだろうが……それを感じたら、なんというか、穏やかな気持ちが胸を満たしてな。重要任務だからと焦る気持ちがゆったりと融かされたような……諭されたような気分になってな。きっとそのせいだろう。ふふ、君の古馴染みは随分と不思議な存在だな」
彼女は俺の方を見て柔らかな笑みを浮かべる。
やべぇ、こんなに心にゆとりのあるゼノヴィア始めてみた。
てか、太陽のようなオーラ? 俺ってそんなオーラなの?
「太陽のようなオーラ? うーん、私には分かんないなぁ」
「……赤龍帝のオーラに紛れててよくわかりません」
首をかしげるイリナと、不思議そうな顔をする小猫ちゃん。
「なぁなぁ、俺ってば凄い蚊帳の外何だけど、説明してくれる?」
匙がそう言う。あっ、忘れてた。
コーヒーを一口飲んだ木場は、ほぅ、と溜め息をひとつついたあと、口を開く。
「……少し、話そうか」
木場の過去の話の間、俺は考え事を始めた。あの悲しい話を耳で聞きつつ、頭の中で考える。
ドライグはこの時間帯は寝てるしなぁ。
……太陽のようなオーラを、か。俺のオーラは赤龍帝、即ちドライグに近いとドライグ本人が言っていた。……俺の知らない何かが俺に宿ってたりするのか? ……なぁんてな。
ドライグのオーラは血のように赤いオーラだ。ドライグ曰く、俺のオーラは赤に近い紅なんだそうだ。惚れた女と同じとか本当、御褒美だな。
「木場ぁぁぁ! 俺には分かるぞ!」
どうやら考え込んでいる間に話が終わってしまったらしい。号泣している匙。
「そうだ! 一緒に戦うんだ、俺の事も知っといてくれ。俺は……その、主である会長に惚れちまってよ。出来れば、結婚したいと思うくらいにはさ。でも、こんな高望みしていいんだろうか、って思うようになってさ」
ああ、そういえばこいつはこういうやつだったっけ。ひとつの事に真っ直ぐ筋を通せる男。でも、自信だけがない。俺は匙の肩を叩く。
「匙。いいんじゃないか? 夢なんだ、高望みしてる位が丁度良い。お前の夢がそれなら、叶うように努力してみろよ。――必死の努力が何かを必ず生む」
「――――っ! 兵藤、俺……もっと、夢を見るよ。もっと、高望みしてやるよ。悪魔なんだ、強欲なくらいで丁度良い。そうだろ?」
「無論だ、匙」
「なら俺は――会長とただ結婚するだけじゃない! 会長の夢を叶え、その上でデキ婚するッ! 」
「それもまた、一つの選択肢だ! 俺も言うぜ。俺は――取り敢えず最強の『兵士』を……いや。最強の悪魔を目指すさ。お前は、会長とデキ婚するために頑張れ」
「……俺の夢を笑わないでくれるのか?」
「当たり前だ。どんな目標であれ、どんな夢であれ、お前が信じた道を突き進めるのなら、協力するのも吝かではない」
「……くうっ、兵藤、お前良いやつだな!」
俺と匙の間に妙な信頼関係が成り立った瞬間だった。
そして、『エクスカリバー破壊団』結成の瞬間だった。
そして、俺は飯代を全て支払おうとしたのだが、教会娘達以外の三人に『奢りだと気まずいから』と言って、自分の頼んだ分のお金は支払ってくれた。教会娘たちもいつか返す、と言っていたが、『これは契約金だとおもって奢られてろ』って言って封殺しといた。しかし、諭吉さんのロイヤルストレートフラッシュを発動してしまうとは……つかあれだけ食ってよく五万前後で済んだな……暫くこのファミレスこれないかなぁ。はぁ。
ギリギリセーフ