番外編はアレです、ネタキャラさん……じゃなかった、夕麻ちゃん書くんで!
今回の話も、ほんのすこしだけ、きもーち長めに書くんで御容赦を!
ビトレイヤーの意味
背信者
エクスカリバーが統合され、その刀身からは青白いオーラが溢れる。
――ドクンッ!
俺の中の『何か』がそれに過剰反応するかのごとく脈打つ。
――成る程。太陽のオーラの根っこはこいつか!
だが、これでは……。
「エクスカリバーが一本になった光で下の術式も完成した。あと20分でこの町は――駒王町は崩壊する。これを止めるにはコカビエルを倒すしかない」
バルパーがそう言う。
……ドライグっ、準備しとくぞ!
『致し方あるまい』
「フリード!」
コカビエルがフリードの名を呼ぶと、暗闇の向こうからフリードが現れる。
「はいな、ボス」
「陣のエクスカリバーを使え。余興にはなるだろう」
「ヘイヘイ。全く全く、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でーも、素敵に改悪されちゃったエクスカリバーちゃんを使えるなんて、感謝感激感謝の極み? さーて、お仕事しますかねぇーん!」
……さっきから思ってたんだかよ。どうも、コカビエルに従ってるにしてはイライラしているように見える。一見イカれた笑みを浮かべているものの、目が笑ってない。
「リアス・グレモリーの『
「いいのかい?」
「最悪、私はあのエクスカリバーの核になっている『かけら』を回収すればいい。たとえ聖剣だとしても、使い手により大きく変わるただの武器。……あんな、あんな歪んだ
「くくく……」
木場とゼノヴィアとのやり取りを笑う者がいる。――バルパーだ。
「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残り――いや、正確にはあなたに殺された身だ。悪魔に転生したことで生き長らえている」
「ほう、あの計画の生き残りか。これは数奇なものだな。こんな極東の地で会うことになろうとは。ある種の運命を感じる。私は乙女座だからな。ふふふ」
人を小バカにするような笑いかたをするバルパー。
「――私はな、聖剣が好きなのだよ。それこそ、夢にまで見るほどに。幼少の頃、エクスカリバーの伝記に心を踊らせたものだ。だからこそ、自分に聖剣使いの適正がないことを知ったときの絶望といったらなかった。自分が使えないからこそ、使えるものに憧憬した。その想いは高まり、聖剣使いを産み出す研究に没頭していた。そして、それは完成した。君たちのお陰だよ」
「なに? 完成? 僕たちを失敗作として処分したじゃないか」
バルパーは首を横に振る。
「聖剣を使うのに必要な因子があることに気づいた私は、その因子の数値で適正を調べた。被験者の少年少女、ほぼ全員にあるものの、エクスカリバーを操るほどの因子はなかった。そこで、私は『因子だけを抽出して集めることができないか?』という結論へ辿り着いたのだ」
「なるほど、読めたぞ。聖剣使いが祝福を受けるとき、体に入れられるアレは――」
「なかなか聡いな、聖剣使いの少女よ。持っているものたちから因子を抜き取り、結晶を作ったのだ。こんな風にな」
バルパーが懐から光輝く球体を取り出した。……あの光、何故か懐かしさを覚える。前に一度みたからだろうか?
「これにより、聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。貴殿をみるに、私の研究は誰かに引き継がれているだろう。それなのに、教会の者共は私だけを追放した。研究資料は奪ってな。ミカエルめ、あれだけ私を断罪しておいてその結果がこれか。……まぁ、あの天使のことだ。被験者から因子を抜き出すにしても殺しはしていないだろう。その分私より人道的といえよう。くくく」
「――同士達を殺して、聖なる因子を抜いたのか?」
「そのとうり。この球体はその時のものだ。まぁ、三つほどフリードに使ったがね」
「俺様以外のやつらは全員途中でクソジジィの集めた因子に着いていけなくて死んじまったけどな。俺様って、やっぱ、スペッシャル!」
フリードの様子がおかしい。バルパーの事をクソジジィよばわりし、やはり目だけは笑っていない。
「……バルパー・ガリレイ。自分の研究、欲望のためにどれだけの命をもてあそんだんだ……」
「ふんっ。それだけいうなら、これをきさまにくれてやる。環境さえ整えば、いくらでも量産できる域まで研究は進んでいる。まずはこの町を破壊しよう。あとは各地の聖剣をかき集めよう。そして聖剣使いを量産し、統合されたこのエクスカリバーを用いて、ミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛ける。私を断罪した愚かな神の僕共に私の研究を見せつけてやる」
バルパーはそう言うと、興味を無くしたように聖なる因子の結晶を放り投げた。
結晶はころころと転がり、木場の足元に行きつく。
木場は、屈み込んで、悲しそうに、愛しそうに、懐かしそうにその結晶を撫でる。
「……皆……」
木場のほほを涙が伝ったその時。
結晶が淡い光を放ち、校庭を包み込むように広がる。そして地面から、所々からポツポツと光が湧き、人の形をとる。
――これは、バルパーに殺された、被験者たちの魂だ。
「この戦場に漂う様々な力が因子の球体から魂を解き放ったのですね」
と、これは朱乃さん。
木場は彼らを見つめる。哀しそうな、懐かしそうな表情だ。
「皆! 僕は……僕はッ! ……ずっと、ずっと思っていたんだッ、僕が、僕だけが生きていいのか? って。僕よりも夢を、希望を持った子がいて、僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な生活をしていいのかって……」
『自分達のことはいい。君だけでもいきてくれ』
そう、彼らは言った。これでも読唇術の心得くらいはある。
それが伝わったのか、木場の両眼から涙が溢れる。
魂の子供たちが一定のリズムで口をぱくぱくしだした。
「――聖歌」
アーシアがそう呟いた。そう、彼らは歌っている。唱っている。唄っている。
木場も涙を流しながら口ずさむ。
聖歌、かれらの生きるための希望。
『大丈夫』
ふいに、魂たちの声が聞こえる。
『僕らは、独りだけでは駄目だった――』
『私たち、一人一人では聖剣を扱える因子は足りなかった――』
『けれど、皆が集まれば、きっと大丈夫だよー――』
本来ならば悪魔が聖歌を聴けば、悪魔の俺たちは苦しむ。けれど、その苦しみを今は感じない。
『聖剣を受け入れよう――』
『怖くないよ――』
『たとえ、神がいなくとも――』
『神が見ていなくたって――』
『僕たちの心はいつだって――』
「『ひとつだ』」
かれらの魂が天に昇り、ひとつの大きな光となり木場に降り注ぐ。
『相棒』
分かってるさ。木場は至った。
俺が今最も求めている形態、この世界の流れに逆らうほどの力の変革。
『そう、それこそが――』
「『《
夜天を裂く光が木場を祝福しているかのように見えた。