――僕はただ、いきたかった。
忘れもしないあの日、僕に無造作に投げ掛けられた救いは、悪魔への道だった。
――あなたはどうしたい?
――生きたい……ッ
別に後悔をしているわけではない。むしろ部長には感謝している。
でも、同士達の分まで生きて、同士達の分まで幸せになる――それは、僕は今まで罪だとばかり思っていた。
同士がまだ復讐を望んでいたのなら、この復讐の刃を下ろすわけにはいかない。
でも、同士達は復讐を望んでいない。ただ、僕に生きてくれと言った。
今の僕には仲間と同士達の魂がいる。
だからこそ、同じ過ちは繰り返させない!
「バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさなければ、第二、第三の僕らが現れることになる」
「ふん、研究に犠牲はつきものだと、昔から言うだろう?」
やはり、あなたは邪悪すぎるっ!
「木場ッ! お前の禍根を絶ち斬れっ!」
――イッセー君。
「祐斗、やりなさい! 自分で決着をつけ、エクスカリバーを超えるのよ!」
――部長。
「祐斗くん、信じてますわよ!」
「……祐斗先輩!」
「ファイトです!」
――皆。
「ハハハ、何、泣いてんだよ? 同士達の魂とやらと仲良くしちゃってお涙頂戴? ……へっ、腹立つなぁ、オイ! 四身合体しちゃったエクスカリバーちゃんで切り刻んで気を紛らわしますかね!」
フリード・ゼルセン……その瞳の奥に何を写すんだ? その黒い炎は、僕のかつての瞳――。
彼もまた、何かを恨んでいる。彼もまた、理不尽な人生を送ってきたのか。
エクスカリバーを扱うのに、随分と忌々しそうだ。……あの特徴的な白髪、どこかで――。
いや。今はエクスカリバーを相手取ることだけを考えるっ!
「――僕は、剣になる」
同士達が教えてくれる。これは、昇華だと。新たなるステージへの革新だと!
「僕の想いに答えてくれ、
神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、僕の手元に一振りの剣が現れた――
「禁手、『
僕はフリードめがけて疾走する。
何度もフェイントを入れてから彼の視界を脱し、一撃をいれるが、エクスカリバーで受け止める。……敵でなければ、倒すのが惜しいほどの剣の才能だ。
「ッ、エクスカリバーを凌駕するか……!」
驚愕と共に楽しげな声をあげるフリード。まさか……? いや、僕の勘違いだろう。
「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかったろうね」
「だろうなァ! ハッ、愉しくなってきたぜぇぇぇ!」
フリードは愉しげな声をあげ、僕を押し返して後方へ下がる。
「こいつはどうだぁ聖魔剣んんんっ!!」
まるでホーミングレーザーのように刀身が枝分かれして神速で僕に襲いかかる!
『
「ッ、っ、ふっ、はっ」
でも、殺気の飛ばし方が単調だ。むしろ、枝分かれする前は入れづらいほどだったのに。
「うひょっ、そうこなくっちゃぁぁぁ!」
不意に聖剣の先端が消える。でも――殺気の飛ばし方を変えなければ、どうと言うことはない!
「ひゃはははは!! そうだ、そうだ! もっと楽しませろォ!」
「そうだ、そのままにしておけよ」
ゼノヴィアが横殴りに介入してくる!
「ペトロ、バシレイオス、ディニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。この刃に宿りしセイントの御名において我は解放する――デュランダル!」
虚空から取りだした剣はエクスカリバーに並ぶほどの聖剣だった。
ゼノヴィアはデュランダル使いだったのか!
「デュランダルだと!」
「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!?」
バルパーばかりか、コカビエルも驚きを隠しきれていない。
「残念、私は元々デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任しているに過ぎない。最も、『この子』は暴れ馬でな。使い手である私の言うこともろくに聞かない。いや、聞いてくれないというべきだな」
「バカな! 私の研究ではデュランダルを扱える領域まで達してはいないぞ!?」
「それはそうだろう。私はいわゆる『天然物』というやつだ。現存の人工聖剣使いではない」
絶句しているバルパーを尻目に、ゼノヴィアはデュランダルをゆったりと構える。
「さて、ではエクスカリバーと相対したいものだ」
ゼノヴィアの言葉にぶちギレたものがいた。――フリードだ。
「……ふざけんじゃねぇぞクソアマァ!! これはこの聖魔剣とエクスカリバーとの頂上決戦なんだよッッ!! デュランダルなんて現存最強の聖剣の一つなんぞ持ち出されちゃあ、勝てる分けねぇだろうが! あぁ!? 邪魔すんじゃねぇ! テメェも剣士の端くれだろうがぁぁぁ!」
ッ!
それを言われては……僕も下がるわけにはいかないッ!
「ゼノヴィア。任せてくれるかい? ――これは、僕と彼の決闘だ」
それを聞いたゼノヴィアは、やれやれと言った感じでデュランダルを下ろす。
「全く、馬鹿だな。だが、嫌いじゃない」
「……助かる!」
「さぁさぁ始めようぜ木場くんよぉおおお!」
一度後退した彼はエクスカリバーの全能力を閉じた!?
「小手先のは無しだぜ。一撃だ。互いに最高の一撃だけで十分だろ? 木場くんよぉ!」
「……ああッ!」
刹那。
僕と彼の剣が交錯し、そして――
バキンッ!
儚い音と共に、エクスカリバーが砕け散った。
「はっ、俺の、エクスカリバーの負けだクソッタレ……なぁ、木場くんよぉ。お前の同士達は、間違いなくエクスカリバーを越えちまったよ……」
倒れ込んだフリードはそう言う。砕けた聖剣の柄を持ちながら。
「――みんな、見ていてくれたかい? 僕らの力はエクスカリバーを超えたよ」
「あぁ、みてたさ……俺もな」
フリードは何かを呟くと、そのまま気絶してしまった。
――勝った。
きれいなフリードさんはどうやら上司に恵まれないようです。