二天龍が笑った   作:天ノ羽々斬

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修行と帰還

「……………………」

「ほらほらどうしたぁ!」

「……!」

どうもです、イッセーです。修業をしてたらちょっぴり無口になったイッセーです。

おっさんと殺りあってます。はい。

紅蓮の炎弾が俺を襲うが、いなし、避ける。

力加減が絶妙だぜおっさん。生かさず殺さずだよ本当。しゃべる暇もねぇや。15日位はたったか?

おっさんにただただ愚直に攻撃しては、弾かれる。まさか魂鎧禁止令が出るとは……まぁ、あれは切り札だし、乱用していいもんじゃないしな。ここんところ乱用してるような気がするけど。その為にも一刻も早く禁手化する必要がある!

食い溜めしてからやりあう。そういえば飯が手に入らないこともあったか。木が湿気て火すら起こせないような時もあったな。お陰でちょっとしたブレスなら出せるようになった。そして修行しているのは俺だけではない。レイもだ。おっさんにブレスやらなんやらのドラゴン時の戦闘法を習っているそうだ。俺が寝てたり飯食ったり気絶したりしてるときに。

ちなみに俺の一日はこうだ。

起床したあと朝食をとり、おっさんと三時頃までバトル。所々気絶。おやつを食べて、またおっさんとバトル。所々気絶。そのあとは基礎体力づくりをして、日課の剣の素振り。そして寝る。それの繰り返……っっ!?

俺は背後へ反射的に魔力砲を放つ。だって、時々魔獣が気配消して襲ってくるし……お陰で第六感……野生の勘? そんなかんじのが発達した。

「うぉっと!」

んー、この声は……アザゼル先生か。

「なんだ、アザゼル先生か」

「……見ねぇ間にすげぇ逞しくなったなおい。差し入れ持ってきたぞ」

 

―OOO―

 

「……旨い。身に染みるようだ……」

思わず涙がこぼれそうなほど旨い。

「これはヴァーリ主導で夕麻とリアスと朱乃が火花を散らしながらも栄養バランスと疲労回復を考えて作った弁当だからな」

「ありがたい……そういえばアザゼル先生は何故ここに?」

「――今日、小猫がオーバーワークで倒れた」

知りつつもそう聞けば、予想通りの答えだった。

「そうか、小猫ちゃんが……」

「ああ。二、三日は休ませるようにと言っている」

……ああ、なにもできないのがもどかしい。俺は弁当を全て平らげた。

「……そうですか」

「ああ、それと。リアスの母――ヴェラエナがお前を呼んでたぞ。いまから下山だ」

「部長の母上が?」

「ああ」

 

―###―

 

「そこでターン。そうですわ、キレがいいですね」

何故かリアスのお母様であるヴェネラナさんとワルツを踊る俺。うーむ、おっぱいやわらけー。おっぱいの柔らかさを楽しむ程度には余裕がある。

「イッセーさんは中々素養がありますわね」

「ありがとうございます。私が上達するのは素養ではなく先生が優秀ゆえでしょう」

「あら、ありがとう」

 

ワルツのレッスンを終えた後、俺は病室へ向かう。

「あら、イッセーおかえりなさい」

リアスがこちらをみずにそう答える。……片手で本を読みつつ、片手で魔力の塊で出来た蛇を操りながら。本が魔力関連なのかと思ったが……本のタイトルは「美女も野獣」というもので、どうやら小説のようだった。というかどんな物語だよ、美女も野獣って。美女も王子さまも実は夜的な意味で野獣でしたー、とかか?

ゼノヴィアは椅子に腰掛けながらデュランダルを磨いている。そして、小猫ちゃんはというと。

猫耳を生やして寝ていた。

「部長。小猫ちゃんは……」

「ええ。妖怪猫又、しかも猫魈よ」

「猫魈……たしか、仙術も扱える猫妖怪でしたか……」

仙術と妖術に長けており、サポートタイプに傾く妖怪だろう。

「ん……」

苦しそうに呻く小猫ちゃんの頭を撫でる。

「……」

ごめん。俺にはどうすることもできないけども。

慰めるくらいしかできないけども。

「……なぁ小猫ちゃん。君は大事な後輩なんだから、あんまし心配かけるな……」

ピクリと猫耳が動くと、目を覚ました小猫ちゃん。

「イッセー先輩……?」

「ああ、イッセーだ」

小猫ちゃんは俺を確認するとぽろぽろと涙を流し始めた。うおっ!?

「イッセー先輩……私、つよくなりたいんです。眷属の中で役立たずだから……私が、一番弱いから」

気がつけばリアスたちは退室していた。

「でも、力に飲まれたらどうしよう、って……私、姉様みたいになりたくないです……」

……くっ。俺は……

 

《やれやれまたか……情けない。後押しはしてやるよ》

 

『Harmonics……』

 

「なぁ、小猫ちゃん。俺さ、馬鹿だからあんまり強くは言えないんだけどさ……。力も方便、つまり使い方次第で変わると思うんだ……」

「……」

「だから、力に飲まれる前に力を飲んでしまえ。受け入れるのではなく、征服するんだ」

「せい、ふく?」

「ああ、征服だ。飼い慣らしてこその力だ」

「……力を征服。力を制御。力を飼い慣らす……」

これは詭弁だ。受け入れるのではなく、取り込む。

飲まれる前に飲む。

「……少し、少しだけ頑張ってみます」

「心配すんな。もし暴走したら俺が全力で止めてやる」

「……ありがとう、ございます」

小猫ちゃんのありがとうございますが、俺には少し痛かった。

「話は終わったわね?」

リアスが病室に入ってくる。

「はい」

俺がそう答える。

「そう。若手悪魔の会合に行くわ。すぐに仕度なさい」

 

若手悪魔、か。

サイラオーグさん。会長。リアス。シークヴァイラ・アガレスさん。あと一人居たような気がするけど……ああ、グラシャラボラス家のヤンキーか。

そして――ディオドラ。

心の仕度もしないといけないらしい。




あのあんちゃんの名前が……あっ。ゼファードルだ!


2/20 誤字修正
ヴェラエナ→ヴェネラナ
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