哀しいなぁ、哀しいなぁ。
それでも、胸張って精一杯、生きてくしかないんだって。それしかないんだってば。
そうすれば、何時かは幸せを掴めるって……さ。
待ち合わせ場所に来る途中、『あなたの願い叶えます!』という怪しいビラを貰ったので、丁寧に畳んでからポケットの中に突っ込んでおいた。
「ごめーん、待った?」
「いや、俺も今来たところだよ」
彼女に言ってみたいよね、こういうの。
それから、俺達は
昼御飯はファミレスだったけどな。高校生は金がないんだよ。金がないんだよ。
それから、小物を売っているような店で彼女に百合の花をあしらった髪留めをプレゼントした。喜んでくれたよ。
服屋では、どっちが似合う? と聞いてきた。白いワンピースと、黒いゴスロリ服。いや、どんな選択だよと心の中で突っ込みつつも白いワンピースを選んだ。天使みたいで似合うよ、と褒めたら頬を染めて、ありがと、うれしいっ、だってさ。
……でも、何処か哀しそうな眼をしていた。
そして、あれよあれよという間に夕暮れの公園。
「イッセーくん、今日は楽しかったね!」
「ああ!」
俺は元気に振る舞う。まぁ、空元気も良いところだ。夕麻ちゃんは自分の胸に両手を重ねる。
「……ッ。……ねぇ、イッセーくん」
「なにかな?」
「運命って、残酷だと思わない?」
夕麻ちゃんの空気が一瞬だけ変わる。……何だろう。この、嫌な感覚は。
「……あっ、ごめんね、変なこと聞いて」
「いやいや、気にしないって」
「……ありがとう。そ、そうだイッセーくん。初デートの記念に、って訳じゃないけど」
まるで先程の発言をはぐらかすようにそう急かす夕麻ちゃん。……そう、この後は……。
ー死んでくれないかな?ー
……ッ。やっぱり、俺は殺されちまうのか? 夕麻ちゃんは意を決したようにこちらを向くと……俺に抱きついた。不意の出来事に俺は狼狽える。
「ごめんね……そして、さようなら」
そう彼女が呟くと、ザクッ、となにかが刺さる。
腹を見れば、光の槍が刺さっていた。
痛みが迸り、俺は思わず倒れこむ。
夕麻ちゃんは俺の顔を覗き込みながらポツポツと話す。
「ごめんね、イッセーくん。きっと初めての彼女だったんだよね、私。そんな彼女に殺されるなんて、悲しいよね……。……怨むなら、私と、貴方の体に宿それを宿らせた、聖書の神を恨みなさい……」
夕麻ちゃんはそれからずっと、ごめんね、ごめんねと言ってきていた。
……きっと、天使だった頃はとても優しい子だったんだろうな。そう思えた。
……まだ、死にたくない。ふと、赤い髪の少女の顔が浮かぶ。
ーーーーイッセー!
リアス、リアスッ……!
俺はひたすら赤い髪の少女を求めた。
まだ、きちんと話すらしてないってのに、死ねるかよ……!
ぱぁっ、と魔方陣が現れる。それをみた彼女……夕麻ちゃんは立ち上がる。
ばさっ、と黒い羽を生やし、俺を見た。そして、哀しそうな眼をして、そのまま飛び立っていった。
……ああ、死んでしまうのかなぁ。夕麻ちゃんの事も気になるけど……。なにより、リアスを抱くことすらままならないなんて……。
ぼやけた視界に、赤い、ストロベリーブロンドよりも紅い、あの髪を持つ、俺が恋い焦がれた少女が映る。
「あら? へぇ……なるほど、面白いことになってるわね。いいわ、貴方を生かしてあげる。私の下僕として生きなさい」
ーーーーーーーーリアス・グレモリー、俺の恋したあの人が居た。
そして、意識は闇の中に堕ちていった。