闇夜の森にて小猫ちゃんと黒い着物に身を包んだ猫耳の女性――黒歌がいた。
それを俺とリアスはじっと見ている。万さんとは途中ではぐれてしまった。
「……なんで、ここにいるんですか――黒歌姉様」
震える声でそう彼女は告げた。体も震えている。
「忍び込ませた黒猫一匹でここまで来てくれるなんてお姉ちゃん感動しちゃうにゃー」
「……もう一度聞きますね。どうして、ここにいるんですか?」
今度は怒気を孕んだ声だった。
黒歌は、んー、と少し考える素振りをするとなにかに気づいたかのように言う。
「そうそう、白音を迎えに来たにゃ」
「……迎えに、ですか」
今度は脱力。
中々忙しそうに感情を変化させる小猫ちゃん。
「そうにゃー、グレモリーなんて得体の知れない悪魔なんかより私と一緒にいる方が身のためにゃん?」
――気づいてやがるな。それでいて遊んでいると見える。
ニヤニヤとこちらに視線や殺気を飛ばしている。
「……っ」
小猫ちゃんは数瞬だけ顔を苦しそうに歪めると、いつもの無表情に戻ってこう言う。
「……黒歌姉さま。貴女は冥界でも地上でも悪魔や堕天使、天使たち……果ては他の神話群の存在にすら後ろ指をさされて『はぐれ悪魔だ』とこぞって討伐対象となるような立ち位置ですよ。どうしてそれが身のため……即ち、安全に繋がるのですか? 姉さま……」
小猫ちゃんの問いかけに能面を貼り付けたような顔になる黒歌。
「そう」
黒歌はわかりきっていたとでも言いたげにつまらなさそうに台詞を吐き捨てた。
「なら、ここにいる他の邪魔なふたりは消しちゃうにゃ」
――チッ。
「そうかい。やってみな」
俺が心中で毒づくと、唐突に声が聞こえる。……気配を感じない? どこだ!?
「卑弥呼ノ名二於テ願ウ。厄ヲ用イテ敵ヲ封ズベク冥府之地二一柱ノ神ヲ顕現セヨ。八幡大神、神威権現」
八幡大神、それは――厄神様か。どこだにいる!?
「にゃにゃ!?」
黒歌はそれに呆気なく捕らえられる。
黒歌の回りに突如現れた黒いもやが黒歌を縛るようにまとわりつく。
すーっ、と森からよろずさんがでてきた。
「ふぅ……ま、冥界だしこんなもんね。ちと心許ないけど」
冥界じゃなければもっと強いのか? これが神霊術?
「ぐぬぬーっ……」
「……取り敢えず、魔王様に連絡を――」
「無理だぜぃ。ここいらは一応結界を張ってあるからな」
突如話しかけてきたのは――美猴か!
「俺っちは美猴。よろしくねぃ」
「チッ、仏猿の子孫がなんのよう?」
そう悪態をつくのは万さん。口悪っ!?
仏猿って……まぁ、闘戦勝仏だし、あながち間違いではないけども……
「おぅおぅ怖いねぇ巫女ちゃん。俺っちは帰ってくるのが遅い黒猫を迎えに来たんだぜぃ。斬の姉御にどやされるからねぃ」
「そうはいかないわよテロリスト」
「『禍の団』とは関わりはない――っても、こんなことやってりゃ一緒かねぃ」
ん? こいつもなんかおかしい。御剣斬という少女もテロリストではないと宣言していたらしい。禍の団には所属していない、と。
「つーわけで、それ解いてくんね?」
「嫌よ。態々冥界にまで八幡さまを呼び出して権能まで使ったってのに、逃げられたらたまったもんじゃないわ」
そう万さんが告げると、大幣を美猴へと向ける。
「心配しなくてもあんたも退治してあげるから問題ないよ」
「ひゃあ、妖怪殺し」
「一人だけなら大量殺戮じゃないし、妖怪ならなおさら。人じゃないし。まぁ、八坂の年増にぐちぐち言われるのもあれだけど、あんたは中国妖怪、あいつらは京妖怪。依って問題なし」
「ひどいぜぃ」
中々殺伐としている万さんに色々ゲンナリしてる俺とリアス。ちなみに小猫ちゃんは万さんの近くにいる。
突如、空間が切り裂かれる――これはアーサーか?
「部長、どうせ気づかれてます。出ましょう!」
「ええ……」
俺達が茂みから出てくるのをみて驚いたのは小猫ちゃんだけだった。まぁ、仙術使ってないしな。
「何をしてるんですか? 早く帰らないと私まで飯抜きを食らうのですよ」
やはり空間からアーサーが出てきたか。しかし、タンニーンのおっさんは……?
「……っと、これはこれは陽剣使い。今は手合わせをしている暇はないので今は見逃しますがね」
そういうと、器用に靄だけを聖王剣で引き裂いた。
「……はぁ、聖剣相手じゃ厄は分が悪すぎるわね……」
やる気を削がれたのか? かっくりと項垂れている。
しかしその右手は既に刀に手をかけてあり、準備万端のようだ。
「神器憑依、依代は刀、代償は霊力、顕現せよ神の刀、
万さんが刀を抜き、構える。それを無視するかたちでアーサーは空間を切り裂く。
「また会いましょう、日巫女、赤龍帝――」
「――
ざばんっ!
聖なるオーラの斬撃が三人を襲うが……
一瞬早くアーサー達が次元の狭間に逃げ込んだ為にその斬撃は虚しく木々を切り裂いていった。
こうして、パーティーは終わりを告げた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「……任務了解」
「だれと通信してたんだ?」
「曹操か。遊んでいただけだ。名前なぞ知らん」
「なにで遊んでたんだ?」
「――なに、日本のアニメの真似だ。お前も真似してみたらどうだ?」
「ふむ。――大紅蓮斬ッッ! こうか?」
「おお、似てたぞ。お前には聖槍よりも七星剣のがお似合いだ」
「言うな、悲しくなる――
まさかの蝙蝠君の本名?(笑)公開。
ちなみに降神術とかの神道側の技や術はオリジナルです。