――ゲーム開始数時間前――
「……ふむ」
私はデュランダルを磨いてやりながら、皆の顔を見ていた。
祐斗は静かな雰囲気を放っていて、最終チェックをしているようだ。
小猫はイッセーと話している。話している内容はよくわからないが、コンビネーション等の確認をしているらしい。
部長と朱乃先輩はデパート――今回のステージの見取り図を見ながらなにやら話し合っている。
アーシアはギャスパーの髪をすいている。ギャスパーも気持ち良さそうに目を細めていた。
デュランダルから柔らかいオーラが伝えられる。うん、うん、そうかそうか。ありがとう。
デュランダルが《がんばろう》、そう伝えてくれた。
キラリ、とデュランダルの刀身が照明の光を反射した。
……決戦は近い。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
リアスから作戦を伝えられる。
まずは小猫ちゃんとギャスパーコンビが索敵を行う。敵を発見次第俺に通達、俺達がそこで敵を撃破。
次に木場とゼノヴィアが駐車場側からまわりこみ、俺達は店内から敵陣へ進軍する。そして朱乃さんが本陣から制圧しつつ進軍する。ここのミソは「どれも陽動かつ本命」である、ということだ。
敵にどれもこれも陽動に見せかけることにより、混乱させるのが作戦だ。
どれが本命かわからないならどこに重点を置くかは限られてくる。
そう、俺に置いてくるんだ。
眷属で最も危険視されるのが俺だからな。もちろん、俺以外が弱いって訳じゃない。むしろ木場の方が強いかもしれない。相性的にな。
だから、本当の囮は俺。でも、あわよくば俺も王をとりにいく、ってわけだ。
もし祐斗か俺、ゼノヴィアの誰かがリアイアした場合、アーシアをつれたリアスは朱乃さんと合流し、直接本陣に殴り込みにいくそうだ。
もし朱乃さんもリタイアした場合、他メンバーを集めての突撃だそうだ。
俺は思った。
――リアスが紅茶を飲んでいるだけですむようにする、と。
王は自身の眷属を信じて命令を出す。
それに応じて俺達は動けばいい。それだけだ。
―○○○―
『ただいまより、レーティングゲームをスタートいたします。今回は三時間の
特殊ルール――それはやっぱり大幅破壊の禁止。
やはり厳しいよな、俺らには。
ふふ、魔力だけが俺の技じゃないって教えてやる!
ギャスパーと小猫ちゃんが現在索敵中だから、他のメンバーはゆったりと落ち着いている。ゼノヴィアに関してはどこから見つけてきたのかスポーツドリンクを飲んでいた。デュランダルは現在は亜空間に入れてあるからな。
リアスは小猫ちゃんとギャスパーからの連絡を聞きながら見取り図とにらめっこをしていた。
祐斗はというと、のんびり紅茶を飲みながら朱乃さんと談笑している。
……ドライグぅ。禁手はどうだ?
『……確率五割、といったところだな。感情が爆発すればなんとかなるかもな』
なるほど……ガウェイン。聖剣の発動、ならび調整は?
《アスカロン、ガラティーンともに正常。むしろ元気が有り余ってるよ》
了解。全身の筋肉の状態チェック開始。………………………………………完了。全身の筋肉に異常なし、状態良好。
《バイラテラル角3.5、コンバットマニューバ――オープン》
俺は素人などではない。
《いやぁ、暇だったからつい》
つい、じゃねーよ。
『イッセー先輩、一階の食品売場までお願いします』
『了解!』
小猫ちゃんから通信が来た。
「部長!」
「ええ、いってきなさい!」
リアスの言葉を背に、俺は小猫ちゃんの元へ向かった。
『Boost!!』
―○○○―
「小猫ちゃん!」
「イッセー先輩!」
敵の目を掻い潜りながら接近するのにちょっと手間取ったが、大丈夫だ。
状況は? ……ふむ。……匙と由良さん、兵士二か!
ギャスパーも……うん? 鼻栓をして涙目で呪詛を放っているな。近くには大量のニンニク。小猫ちゃんも鼻を押さえながら攻撃をいなしていた。
あー、なるほど。
『Boost!!』
よしよし、いい感じに倍加されたな。あー、それと、食品売り場はたしかシトリー本陣だから……
「プロモーション
よし。
「まず!」
「ここは引かないと……」
逃げようとする二人。だが……
俺は二人のそばへ高速で近づき。
「逃がすかよっ! 分配解放!」
『Explosion!!』『Explosion!!』
二つの音声が同時になり響くと同時に、そのまま両手で抉るように二人を殴り抜く!
今までの倍加した力割る二の力とはいえ、相当強力な一撃だ。仮にリタイアでなくとも、ダメージはでかいはずだ。
……いや、手応えがそれほどない。逃げられたか?
……! 匙のヤロー、やってくれるじゃねーか。
あの数瞬でラインを俺に繋げていきやがったな……だが。
俺は籠手からアスカロンを取りだし、それに因子を込める。まぁ、元々聖剣使いとして生まれる予定だったから因子はある。
よし――!
ブシュ、という音をたててそれはアスカロンにより切り離される。土壇場で放ってたから、それほど強度はないみたいで助かった。
俺は籠手に剣を戻しながら小猫ちゃんとギャスパーに問う。
「大丈夫か?」
「はぃ、大丈夫ですぅ」
「……大丈夫です。三人で索敵を続けましょう」
「了解」
……なんだろ、この違和感。
『相棒、背中にもラインがつながってるぞ』
それか。アスカロンをふたたび取りだし、斬る。
ブシュ、という音をたててそれは切れる。土壇場で放ってたからか、それほど強度はないみたいで助かった。
……あれ、なんかデジャヴ。
もう一度剣を戻して、こんどこそ索敵へ向かった。
さて――会長はどう動く?