対話と口笛から対話、というお話。
「マルグリッドとロゼンタ何故か仲良しに。
私とロゼンタ実はシャルロット見守り隊。
でもデュノア社は刺客がいっぱい。
そうだIS学園に男装させて行かせよう!」
「どうして言い直したんですか?」
「iphone7だと4行にならなかったからな」
何言ってだコイツ(ン抜き言葉)
「ちょちょちょ…っ!」
いい感じ?
「ちょっと待ってよ父さん! 簡潔に説明してるとみせかけて中身が全然簡潔になってないよ!」
「そこに気付くとは……フッ、我が娘ながら末恐ろし「旋焚玖みたいなノリはもういいよ!」……うむ」
旋焚玖はそんな事言わない(憤怒)
しかし、今まで横道に逸れて逸れて逸れまくってゲンナリしていたが、シャルと親父さんの立場が逆転しているっぽい光景を見るかぎり、親父さんの浮気な話もあながち無駄ではなかったらしい。
「もうツッコミどころしかないよ! 何がどうなったら、お母さんとロゼンタさんが仲良くなるのさ!?」
いいぜシャル。
その調子でドゥンドゥン話を進めちゃいな。
展開を作るのは俺じゃない、お前なんだ。というかそもそもお前らの問題なんやからお前らが率先して展開作らなイカンのとちゃうんか!
若くして真理に辿り着いた旋焚玖。
シャルたちの会話を静かに見守る事を選択。
【邪魔にならない程度に幻想的な口笛を奏でる】
【邪魔にならない程度に幻惑的な草笛を奏でる】
【タンバリンでフレンズを奏でる】
静かに見守らせてよぉ!
変な存在感出させないでよぉ!
俺はちゃんと選択していたんだ。
これだけははっきりと真実を伝えたかった。
そして完全に【選択肢】は悪乗りしている。
これだけははっきりと真実を伝えたかった。
お前フレンズってレベ〇カのヤツだろ。あんなモンお前タンバリンでやったら、シャカシャカうるさくて仕方ねぇわ。そうなったらもうタンバリンの音がメインで、シャル達の会話が背景みたいな感じになるじゃん。最悪会話自体聞こえねぇよ、何だそれ。
いや絵を浮かべたらおもしろいけど。
個人的にそういうシュールなの割と好きだったりするけど。でもこの状況でソレはないわ。超えちゃいけないライン考えろよ。
俺が目指してるのは『お調子者だけど、どこか憎めないふりお君』だから。ココでタンバっちゃったら、ただの『怖い上に強くてウザい人』になっちゃうの。それは嫌なの。
【上】2つは、まぁ……うん、いつも通りかな(完全なる飼育)
「ここからは私が答えた方が良さそうね」
ロゼンタさんが口を開く。
あ、僕も開きます。
「夫の浮気を知ったあの夜、私はアナタの家に「ぴゅ~ぴゅ~~ぴゅぅ~」……なるほどね」
奥さんの返しが素晴らしすぎる。
その返しは上級者にしか出来んよ。
やはり妖艶な淑女は格が違ったか。
これで俺も幻想的な口笛に専念できるぜ。
あ、俺の事は気にせず続けてどうぞ。
「……何してるの、旋焚玖?」
そんな冷めた目で見るなよシャル。
タンバリンの100倍マシだろ?
「ぴゅぴゅぴゅぴゅ」
「いや口笛で言われても分かんないって」
まぁ付き合いの浅いお前には分かるまい。
というか此処に居る有象無象には分かるまい。
しかし俺に不安無し。
なんてったって、此処には一夏が居るからな!
ガキの頃からずっと一緒にバカやってきた一夏なら分かんだろ。
オラ、こっち見ろ一夏。
お前が俺の通訳になるんだよ!
よしよし目が合ったな。
いつものように声高に説明してやれい!
「全然分かんないゾ」
うわははははは!
「ぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅ!」
「うわビックリした!? 何その勢いある口笛!? どうやって吹いてるの!?」
笑ったら勝手に『ぴゅ』に変換されました(困惑)
「ちょっと一夏! アンタ気合い入れてアイツのアホを見抜きなさいよ!」
「そうだぞ一夏! アイツのアホはまだお前にしか解読できないんだぞ!」
「そうですわ一夏さん! 旋焚玖さんのアレが訳せなくてズッ友だと胸を張って言えるのですか!」
「う~ん、そんな事言われてもなぁ。俺でも100回に1回くらいはマジで分からん時があるしなぁ。今回がその1回って訳だな、うん」
「いや口笛を注意しようよ」
これはシャルの熱い正論。
1週間俺(アホの選択肢)と結構同じ時を過ごしてたってのに、まだ常識的発想を持てているとは……流石はフランスの貴公子ってところか。
しかしまいったな。
いつもみたいな一夏のフォローがないってなると、ここから流れを戻すのはキツいぞ。ただでさえ今の俺は口笛しか出せないんだし。
「旋焚玖は無意味な事なんてしないってのは今更分かりきってる事だし、何とか俺も理解してやりたいんだけどなぁ。まさか100分の1をココで引いちゃうとはなぁ」
無意味な事でしかなくて本当に申し訳ない。
一夏は悪くねぇよ。……お前が悪いんやないな、アホの選択肢が悪いんや!
「フッ……ならその1回は私が埋めてやるとしよう」
「「「!?」」」
真打登場。
一夏がダメなら誰がやる。
悟空がやらねば誰がやる。
そんな者決まっている。
「ち、千冬姉! もしかして旋焚玖の口笛が訳せるのか!?」
「まぁな」(見守るとは言ったが、旋焚玖の窮地に手を差し伸べないとは言っていない)
ドヤ顔千冬さんが沈黙を破った!
そうだよ! 一夏とはまた違う方面で俺を理解しまくっている人が此処に居たじゃないか! やったぜ! これで流れも元に戻せるぜ!
「さて、旋焚玖。デュノア達の話が進みかけたところでお前は口笛を奏で出した訳だが。お前ほどの男の事だ。何か意図があっての行動なのだろう?」
ないんだな、それが(栃木)
とか言ったらブッ転がされるから言わんけど。吹かんけど。
しかし一転して好機なのは間違いない。
今こそアドリブ力を発揮させる刻なり! 脳内フル回転させろ俺!
「ぴゅ~ぴゅぴゅ~ぴゅぴゅぴゅ~~、ぴゅぴゅ~(長いので割愛)」(デュノア夫妻との対話如何で、今後のお前の未来が決まる。それはお前が一番理解している筈だ。シャルルではなくシャルロットとしての道を歩んでいく! 昨夜お前が放った言葉だ。その気概、覚悟はどこへやった? この対話に人生懸けてんなら口笛如きで狼狽えてんじゃねェ!!)
久々にすっげぇ良い事言ってる(自画自賛)
口笛だから全く意味ないけどね(がっくり)
「……ちょっと。エラい長文だったわよ?」
「口笛を長文と表現するのも珍しいな」
「まるでファンファーレのように奏でてましたわね」
「ほ、ホントに大丈夫なのか、千冬姉?」
ホントに大丈夫なんですか、千冬さん。
「任せろ。ンンッ……『シャルロット・デュノアの今後がどうなるのか。それは全てこの交渉の場次第で決まると言っても過言ではない。今しがた始まりかけていたデュノア夫婦との対話など、まさにそうだな。今まで通りスパイとして、デュノア社の駒として生きていくのか。はたまた自由を手に入れるのか。自分の道は自分で決めると本気で思っているなら、口笛如きで今更ガタガタぬかすな小娘が』……と、旋焚玖は奏でている」
千冬さんしゅごい。
言葉は違うのに内容は合ってる。
直訳の上の上、まさにミラクル意訳って感じだな! ケツの部分がやたら辛辣だったところに千冬節を感じるぜ。そういや最初は一夏と俺を巻き込んだ事に対して、千冬さんプンプンしてたっけ。
「なるほど、流石は千冬さんね。理に適ってる通訳だわ」
「確かに。筋が通った通訳だな」
「理論派なわたくしも納得のいく通訳でしたわ」
「最後の『口笛如きで~』のくだりは千冬姉のアドリブだろうけどな」(名推理)
千冬さんの通訳っぷりは好評である!
シャルも「あ、そっかぁ」みたいな顔してるし。これで一安心ってとこか。
しかしあれだけ意訳されちまったら、それはそれで千冬さんへのプチ疑惑な芽も出てくるな。アレだよ、実は俺の口笛を解読したんじゃなくて、『俺ならこう言うだろう』と予測しただけだったりして。
【確かめる】
【確かめない】
確かめるぅ。
「ぴゅぴゅぴゅーぴゅ・ぴゅーぴゅぴゅ」(ボボボーボ・ボーボボ)
(ボボボーボ・ボーボボね)
(ボボボーボ・ボーボボだな)
実は旋焚玖の両親はバッチリ理解できていた!
しかし空気を読んで、あえて名乗り出ないのが旋焚玖の両親なのだ!
「また旋焚玖が口笛ったぞ。今のは何て言ったんだ、千冬姉?」
「『同い年より年上の方が好みだ』と言ってるな」
「!?」
「!?」
「!?」
「ヒューッ!!」
真面目な顔して何言ってだこの人(ン抜き言葉)
やっぱり単なる予測だったんじゃないか(結論)
あ、肉体的拘束が解けた。
千冬さんの変な言霊が【選択肢】なる拘束を打ち破ったのか(プラス思考)
「どうだ、シャル。昨夜の決意は思い出せたか?」
「旋焚玖……うん、思い出したよ。僕の事なのに、旋焚玖に何もかも甘えっぱなしじゃいけないもんね。これは僕自身の事。今からは本気で父さんとロゼンタさんとお話するよ!」
「フッ……いい気迫だ。これならもう口笛で覚悟を問う必要はないな」
「……ありがとね、旋焚玖」
「気にするな」
やったぜ。
流れの修復完了だぜ。
「それで、どこまで話したかしら」
膳膳(サントリー)
言わんけど。俺のせいだし。
「ロゼンタさんが父さんの浮気を知って、僕とお母さんの家にやって来たところまでです」
「1ミリも進んでないじゃない。まぁいいわ。それでね、怒りに燃えていた私はとりあえずアナタの母親……マルグリッドね。彼女もブン殴ってやろうと思ってた訳。で、いざ踏み込んだらビックリよ。もうアナタがいたんだもの。私を見てバブバブ言ってたわ」
赤ちゃんだしな。
バブバブ言うだろう。
「それで余計に頭にきちゃって。2往復半くらいビンタしてやろうと彼女に詰め寄ったんだけれど」
そこまで言ってロゼンタさんがシャルへ慈愛の目を向ける。チョービジン!
「マルグリッドに抱えられていたアナタがね。無邪気に私へ手を伸ばしてきたのよ」
「僕が…?」
「ええ。それでねぇ……なーんか怒りも冷めちゃって。少なくとも赤ん坊であるアナタに罪はないもの。それに、マルグリッドも私と同等レベルな美人さんだったし、アルベールが惹かれても仕方ないかもしれないわ。当時は若かったし、きっとアルベールもヤバいと思ったけど性欲を抑えきれなかったのでしょう……と無理やり納得する事にしたの」
良妻すぎて涙がで、出ますよ。
それだけに、またまた女性陣からアルベールさんへの視撃が強まってきてる感アリアリだが、それくらいは自業自得よ、受け入れろ。
「その後、アルベールが改めて私に土下寝して詫びてきたし、マルグリッドも何度も頭を下げてきてねぇ。私もグチグチ言って根に持つ性格じゃないから許す事にしたのよ」
「何もせずに帰ったんですか?」
「ふふっ…帰り際にささやかな仕返しで、アナタのほっぺたをプニプニしてやったわ。覚えてるかしら?」
「お、覚えてないですよぅ」
おぉ……なんかもうロゼンタさんの株が爆上がりである。
「でも、ここからどうやったらお母さんとロゼンタさんが仲良くなれたんですか?」
それは気になるところだな。
『許した=仲良くなる』なんて方程式はないし。普通なら2度と会わないよう余計に距離を取りそうなもんだが。
「次の日の事だったわ。お昼過ぎに買い物に出かけてたんだけどね。ちょうど街角を曲がろうとしたら「ちこく、ちこく~!」ってフランスパンくわえた女性とブツかったらアナタの母親だったのよ」
「えぇ!?」
え、なにそれは(困惑)
「何かもう笑っちゃってねぇ、色んな意味で。マルグリッドは仕事に向かう途中だったらしいんだけど、もう無理やり休ませて私のショッピングに付き合わせたのよ。それがまぁきっかけよ。それ以来、何だかんだアルベールは関係なしで私達は仲良くなっていったの」
「な、なるほどざわーるど……」
困惑っぷりがよく分かるお返事だな。
しかし、パンをくわえて走る文化がフランスにもあったとは……意外と世界共通なのかもしれんね。
「で、まぁ当然だけどアルベールはマルグリッドにちゃんとアナタの養育費も出しつつ、実は学校の運動会とかも私と隠れて見に行ったりもしてたのよ」
「……そうだったんですか」
ふんふむ。
これがシャルロット見守り隊に繋がる訳か。これでアルベールさんが最初に言い直した4行のうち、2行が解決したとみて良いだろう。
残るはあと2行。
でもどちらかと言えば、後半2行の方が意味不明度は高いし、重要度も高そうな気配プンプンだ。
何より、4行目からは俺と一夏も関わってくる話になるだろう。ここからが俺たちにとっての正念場だ。
気合い入れて聞くぞー。
次回、シャルロット編完結(本気)