おさらい。
1組に転校生が2人やって来ました。
おさらい終わり。
乱とボーデヴィッヒ。
2人とも同じ転校生なのだが、クラスメイトとの距離感まで同じとはいかないらしい。現に授業が終わるやいなや、あっという間に乱の周りには人だかりが出来ていた。
「ねぇねぇ、乱音ちゃん! 飛び級ってホントなの!?」
「ウソだよ」
「「「「 えぇ!? 」」」」
「と見せかけてホントだよっ!」
「んもう~! 何その可愛いドヤ顔! このこのっ!」
「ちょっ、ほっぺたツンツンやめれ~!」
うむうむ。
和気あいあいと、おしゃべりしてるじゃないか。どうやら俺が保健室に行っている間に、上手く皆とコミュニケーションを取れたっぽいな。
んで、もう1人の転校生なボーデヴィッヒはというと。
「……………………」
見事にポツーンである。
アイツが割と愉快な奴だってのは、保健室珍道中を繰り広げた俺しか知らないだろうし。それを見てないクラスメイト的視点からすれば、ポツン状態は残念でもないし当然だろう。
転校の挨拶を不愛想な一言で済ましたと思ったら、その後いきなり一夏の後頭部をシバくわ、俺をビンタして泣かせるわで。それで敬遠されない訳がないんだよなぁ。忘れがちだけど、此処は超が付くお嬢様学校だからな。
しかも、今も静かに座っていると見せかけて、話し掛けるな近寄るなオーラをビンビンに出してないかアイツ。あれじゃあ、仮にビンタ事件がなくても話し掛けにくいだろう。
【ボーデヴィッヒに話し掛ける】
【話し掛けない】
おぉ……これこそ【THE・選択肢】ってヤツだな。軽い感じでポンッと出されたけど、実はメチャクチャ重要な分岐点になってるんじゃないか? ボーデヴィッヒとラブコメられるかどうか的な意味で。
こんなモンお前【上】一択に決まってんだろ。
一夏をドツいて俺をビンタしたくらいが何だってんだ。
性格に難あり?
知らんな、そんなスワヒリ語。俺は性格より外見を重視するタイプなのだ!
という訳で。
俺は【上】を選ぶぜ!
【転入してきた美少女に初日からガンガン話し掛けるフツメンとか女子校でなくてもキモいだけなので自重する。女神憑きしか取り柄のない不良物件なので自重せよ】
【馬鹿野郎お前俺は話し掛けるぞお前!】
何だお前コラァッ!!
貶したいのか焚きつけたいのかどっちなんですか! 何でたまに僕の心をエグッてくるんですか!
主を傷付ける女神が居てたまるかアホ! そんなんで美少女とのフラグを諦める俺じゃねぇぞ!
「馬鹿野郎お前俺は話し掛けるぞお前!」
「ぴゃっ…!?」
あえて口に出して闘志を燃やす精神だオラァッ!!
セシリアもビックリしたし一石二鳥だオラァッ!!
行くぞボーデヴィッヒ!
俺との会話に花咲かせやがれ! 俺にはそんな拒絶オーラ効かねぇぞ!
「おい」
「……なんだ?」
【なんでもなーいww】
【ベルリンあたりのステップを魅せてやろうか?】
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
クロエと姉妹っぽい関係だからって行動まで寄せなくてもいいよぉ! でも【上】は喧嘩売ってるだけだし【下】なんだよぉ!
「ベルリンあたりのステップを魅せてやろうか?」
「は? 何だ貴様、急に…」(というか、コイツは何故こうも私に構ってくるのか……後でクラリッサにでも聞いてみるか…?)
そらそうよ。
困惑させて申し訳ない。
まぁでも、これで主導権は握れたな。俺もコイツには普通に聞きたい事があったし、この際だ。それを聞いてみよう。
「今朝のHRでよ、何でお前は一夏を殴ったんだ?」
「ふん、そんな事か。言っただろう。私は奴が教官の弟であるなど認めんと」
【認めちゃいなYO!!】
【とりあえず一夏も呼ぶ】
【上】のテンションがいい感じにウザくてキモいので僕は【下】を選びます。というか一夏の居る教室で一夏の話してて、本人を呼ばねぇ方がおかしいだろ。アイツも自分の名前が聞こえたのか、さっきからチラチラ俺たちの方見てるし。
「あっ、そうだ」
「む……なんだ唐突に」
「おい一夏ァ!」
「む……」
「え、なに?」
「お前さっきから俺ら話してるのチラチラ見てるだろ」
「いや、見るだろ。俺の名前聞こえてきたし」
「嘘つけ絶対見てたゾ」
「いやだから見てるって!」
「何で見る必要なんかあるんですか?」
「いやだから俺の名前が聞こえてきたからだって!」
「つべこべ言わずに来いホイ!」
「お、おう!」
という訳で、俺が居るボーデヴィッヒの席までやって来た一夏くん。明らかにボーデヴィッヒの顔がムッとなるが、そんな顔しても可愛いだけなので意味ないぞ。
さぁ、ここからは3人で話そう。
舵取りは任せろー。
「話を戻すぞ。一夏を殴った理由をちゃんと俺らにも分かるように話してくれ。なぁ、一夏」
「おう。俺もやっぱりちゃんと聞いておきたいな」
『弟であるなど、認めるものか~』とか言われても、いまいち伝わってこねぇんだもん。
「……いいだろう。ならば話してやる」
【何で話す必要なんかあるんですか?】
【その前に、俺の名を言ってみろ!】
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
絶好調だなお前な!(憤怒)
問題児っぽい転校生が来たからって舞い上がってんじゃねぇぞコラァッ!!
「その前に、俺の名を言ってみろ!」
「なんだと? いや……ああ、そうだ。貴様はそもそも誰なんだ?」
おいおいマジかよ。
世界でも超有名になってるっぽい俺を知らないだって? コイツとんだハーミットモグリだな!
【ひ・み・ちゅ…♥】
【お前の将来の嫁だ】
まるで意味が分からない。
嫁って何ですか、性別的な意味で。
え、俺もしかしてTSんの?
絶対嫌なんだけど。
いやまぁ、仮に【嫁】が【夫】になってても、絶対に言わんけどさ。余裕でキモすぎだろ。いや普通に【上】もキモいんだけどね。でもキモいレベルで言ったら確実に【下】の方がイカンでしょ。何か生々しいもん。
「ひ・み・ちゅ…♥」(死んだ目+棒読み)
「……貴様はいったい何を言っているんだ」
や、やめて!
そんな冷めた目で真っ当な事を言わないで!
「ひゅ、ヒューッ!!」
無理して言ってんじゃねぇぞ一夏コラァッ!! その優しさは俺の心にクるぞコラァッ!!
【ボーデヴィッヒに感想を聞く】
【乱に感想を聞く】
お前はいちいち感想とか聞きたがるなお前な!(憤怒)
しかし今回に関しては悪くない。この何とも如何し難い空気を根底からブチ壊すには、乱ママのお言葉が必要だろう!
「乱は今の俺の「キモいよ旋ちゃん!」……はやいよねぇ」
仕事がねぇ。
こういう時に遠慮せず、ド直球な言葉をソッコーで返してくれるのが乱の美徳だな! おかげで漂う変な空気感も吹っ飛んだぜ!
「という訳で。俺の名前は主車旋焚玖だ。一夏とは幼い頃からのダチでな」
ほい、流れの修正完了。
「ふん。貴様の名も織斑一夏との関係も私は興味ない」
「興味ないね」(クラウド)
「は?」
FF7R買ったばかりだし多少はね?
俺の華麗なプレイっぷりは、毎度お馴染み横で観てる【たけし】も惚れ惚れしとるわ。
まぁそれは置いといて。
俺の自己紹介も終わったし、今度こそ話を聞くぞー。
【一夏にも自己紹介させる】
【一夏の紹介をする】
うん、まぁ……うん。
流れとしては自然だよね。
「一夏も自己紹介くらいはしとけ」
「ん……? ああ、そうだな。えっと、俺の名前は織斑一夏だ。旋焚玖とは幼い頃からのダチでな」
俺と同じ事言ってんじゃねぇよ!
A=Bみたいな感じになってんじゃねぇか!
「ふん。貴様の名も主車旋焚玖との関係も私は興味ない……が」
お…?
『が』が追加されたぞ!
これは新たな展開の予感!
いいよ来いよ! 大いに話しちゃってくれい!
「貴様の失態だけは見過ごせん」
失態とな?
「第二回IS世界大会『モンド・グロッソ』の決勝戦当日だ。ここまで言って、心当たりが無いとは言わさんぞ」
「……ああ。やっぱソレだったか」
むむ。
何やら一夏は納得してるが、俺には何も伝わってこねぇぞ。しかし、その日の事は俺も何となく覚えてる。
「確か千冬さんは、そのモンド何とかの大会で決勝戦を棄権したんだっけか?」
棄権した理由は聞いてない。
いや一回聞いたんだけど、一夏も千冬さんも教えてくれなかったんだ。
その時は珍しく、教えてくれるまで諦めない的な【選択肢】も出なくてな。それで俺も少し印象に残ってんだな。……ああ、何かもう色々と思い出してきたぞ。
そうだ、その大会は俺も一夏の家で一緒に観てたんだ。んで、千冬さんも決勝戦まで勝ち上がったし、明日はテレビじゃなくて生で観戦しようぜって話になった途端にさ。
【明日は巨大アナコンダ達とアマゾン川らへんで合コンするから無理なんだ】
【明日は富士山を逆立ちで2往復半くらいするから無理なんだ】
とかいう意味不明すぎる【選択肢】に邪魔されたんだっけ。
今思い出してもやっぱり意味不明なんだよなぁ。いや、もちろん【下】を選んだけど。選んでマジでやらされたけど。逆立ちのまま登山(死んだ目)
んで、帰ってきたら千冬さんが大会を棄権したってニュースになってるし。一夏に会いに行ったら、ひたすら(´・ω・`)してるし。俺は当然、流石の【選択肢】も自重したのか、その日は大人しかったもんだ。
「で。実際はあの時、何があったのか。もう聞いてもいいのか?」
「……そうだな。旋焚玖にはもう言ってもいいか。実は……」
「待て、織斑一夏。私に説明させろ。実は……ぁ」
実は?
何かコイツ、ちっちゃく『ぁ』って言わんかったか?
「……秘密だ」
「む」
うっそだろお前…!
まさかの焦らしプレイか!?
そんなん求めてねぇよ!
「あの日の事は秘匿事項なのだ。他の奴らが聞いている中で話せる内容ではない」
む……あ、ホントだ。
何かみんな俺たちを見てる。まぁ殴られた男2人が殴った女と話し込んでりゃあ、そら気になって当然だろう。
俺も無理に聞くのは気が引ける。
みんなの前では話せないってんなら、一旦このまま大人しく席に戻るのが吉だろう。
【本当にひみちゅか?】
【本当に秘密か?】
なんだこれ。
ボーデヴィッヒは【ひみちゅ】とは言ってないだろ。
「本当に秘密か?」
「ああ、こればかりは秘密だ」
【本当にひみちゅか?】
【本当に秘密か?】
これは……もう嫌な予感しかしない。
けど俺は抗うぞオイ!
俺の予感なんざ当たらないんだよ!
「本当に秘密か?」
「何度も言わせるなよ貴様」
【本当にひみちゅか?】
【本当に秘密か】
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
「本当にひみちゅか?」
「はぁ?」
「とりあえず、難しく考えずにさ。ひみちゅって言ってみてくれよ。頼むわ、ボーデヴィッヒ」
「な、何だ貴様その必死な様子は……もしや秘密とひみちゅは違うのか?」
はい言った!
ノルマ達成!
俺は席に戻るぞ!
【ひみちゅなおねだりっぷりの感想をボーデヴィッヒに聞く】
【ひみちゅなおねだりっぷりの感想を乱に聞く】
「乱は今の俺の「キモいよ旋ちゃん!」……はやいよねぇ」
仕事がねぇ。
次の授業もがんばるぞー。
ラウラに焦点を当てつつ乱の描写も欠かさない。
それでいてセシリアのカワイイ!描写を忘れない作者の鑑(・∀・)