選択肢に抗えない   作:さいしん

129 / 158

旋焚玖とたけしの成長録、というお話。



第129話 夜のアリーナ(意味深)

 

 

 本日も恙無く授業が終わりました。

 しかしオデノカラダハボドボドダ!

 

 辛いです。

 ボーデヴィッヒが好きだから(アホの【選択肢】が)

 

 休み時間になる度に俺はな、ボーデヴィッヒ相手に何やかんやさせられたのだ。

 

 

脳内旋焚玖A「何やかんや…!? なんだそれは!?」

 

脳内旋焚玖B「いちいち説明するのも面倒だ。てめえで勝手に想像しろ」

 

脳内旋焚玖A「だったら想像してやる! 後悔するなよ!」

 

脳内旋焚玖B「ダニィ!?」

 

脳内旋焚玖C「なーにやってんだお前らぁ。俺も仲間に入れてくれよ~」

 

脳内旋焚玖B「なんだこのイケメン!?」(驚愕)

 

物陰脳内旋焚玖D「何やってんだアイツら…」

 

脳内旋焚玖E「お前さっきからアイツらしゃべってるとこチラチラ見てるだろ」

 

脳内旋焚玖F「そうだよ」

 

物陰脳内旋焚玖D「なんだこのイケメン!?」(驚愕)

 

脳内旋焚玖A「何やってんだアイツら…」

 

...

......

.........

 

 

脳内旋焚玖A~Z「「「わーっしょい! わーっしょい!」」」

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 俺の脳内旋焚玖が、寧静を全力で邪魔しているゥ!!

 

「お、おい主車。どうした急に頭を抱えて」

 

 心配そうに声を掛けてきたのは教壇に立つ千冬さんである。授業も終わって、後はホームルームを残すのみなのだ!(現状確認)

 

「いえ、何でもないです」

 

「そうか。では話を進めるが……プリントは全員に行き渡ったな?」

 

 やーまだ先生が何やら配ってたな。

 えっと……なになに…『学年別トーナメント申込書』とな?

 

「いくつかの変更点も加えて、今から説明していく。少し読むぞ。あー、今月開催されるISでの模擬戦闘学年別トーナメントは、より実戦的な趣向を取り入れ、2人組での参加を必須とする」

 

 ふんふむ。

 従来のルールから2人組、つまりタッグ戦に形式が変更されたって事か。

 

 なんでぇ?

 

「皆さんもクラス対抗戦での乱入事件は覚えてますよね? ISは世間的にはエンターテイメントスポーツ競技として認知されていますが……」

 

「実際のところ、暗い部分があるのは確かだ。仮に戦争が起これば、真っ先に投入されるのがISだろう事は、諸君らも想像できる筈だ」

 

 やーまだ先生の言葉に千冬さんが付け加える。

 つまりアレか。同じスポーツ競技でも、サッカーボールは戦争では使われないけど、ISは戦争になったらガンガン使われちゃう代物なんですよ、ってな話か。こわいなー、とずまりすとこー。

 

「生徒の皆さんを守るべき私達教師の数は有限です。もしも私達が居ない時に襲われたら、皆さんはどうしますか?」

 

「大人しく襲われるのは嫌だろう? ならば、どうする? 力を付けるしかあるまい。言っておくが、ISが世に出てから散々バカにされ続けている男共が、お前ら女共を無償で守ってくれると思うなよ」

 

 顔が可愛ければ守ってやらん事もない(正直)

 

「女尊男卑が蔓延る限り、お前らは自分の身を自分で守るしかないんだからな」

 

 そのためには日頃から、より実戦的な戦闘訓練が必要不可欠って訳だな。そういう狙いも含めて、今回のトーナメントもタッグ戦になったのか。なるほどなー。

 

「それから2人組についてだ。基本的には同学年であれば自由に組んでいいが」

 

 が?

 

「1年生は代表候補生同士や専用機持ち同士で組んではいけませんよ~!」

 

「ISの性能の違いが、戦力の決定的差ではないという事を教えてやれるのは、しっかり訓練機で技量を学べた2年生からだ」

 

 お、シャアか?

 

「あっ、シャアですね!」(二次元には興味ない風を装っておきながら、千冬先輩もやっぱり好きなんですねぇ! これには主車くんもニッコリですよ~!)

 

「は?」

 

「あれ?」

 

 ネタじゃなくて素で言ったのか。

 まぁ割りとよくある事よ。

 

「本来であれば、専用機持ちのトーナメントと一般のトーナメントと分けてやるのが最善なんだろうが、あいにくスケジュール的に厳しくてな」

 

 ふんふむ。

 という事は、つまりアレですね。訓練機を強いられている一般生がトーナメントを勝ち抜くには、手っ取り早く専用機持ちと組むのが最善って事ですね分かります。

 

「もう1度言うが、2人組での参加が必須だからな。ペアが出来ていない者は抽選になるだけだ。基本的に全員参加だと思っておけばいい」

 

「主車くんもですか?」

 

 クラスメイトの1人が質問した。 

 

 出ません(断言)

 絶対に出ません(断言)

 

 公開処刑場に自ら向かうバカがいるかよ。

 俺ほどの男になるとな、試合当日に体調不良の一つや二つ罹るくらい訳ないんだよ。『男の子の日きちゃった…』とか言えば皆も納得するだろ。

 

「ふむ。それについては、以前行われた主車とオルコットのクラス代表決定戦。観衆無しの非公式扱いではあったが、実は映像を残しておいてな」

 

 セシリアとの試合かぁ。

 何か妙に昔の事に思えるな。

 

 確か俺が華麗にISを乗りこなしてセシリアに完勝してカッコ良すぎたから告白されたんだっけ(記憶改竄)

 

「ソレを日本政府に提出して……ああ、もちろん事前にオルコットの許可は得たぞ。そして、その映像を資料に、政府の上層部が審議を重ねて重ねて重ねた結果」

 

 そんなに重ねたのか…(困惑)

 

「「「 結果? 」」」

 

「『主車くんはあまりに常軌を逸脱しすぎているのでトーナメント戦は参加を控えるように』との指令が下った」

 

「なっ…!?」

 

 やったぜ。

 何かボーデヴィッヒが声を上げて反応してるけど、気にしてはいけない。そして公開処刑日を先延ばししてくれた日本政府様には多大なる感謝を。足向けて寝れねぇなこれは。

 

 ただ欲を言えば、言葉はもう少し選んで欲しかったんだぜ。日頃から強キャラっぽい雰囲気を醸し出している旋焚玖さんが、政府の上層部とかいう明らかにお偉いさん的存在にそんな感じで説明されたらさ。

 

「はぇ~……主車くんはISでも常軌を逸脱しすぎているんだって~」

 

「とっても強いって事ですね分かります!」

 

「しゅごいね、ちょいす~!」

 

 やっぱりね♂

 

 そら真実(ISクソ雑魚)を知らん奴からすれば、そういう解釈になるわ。今の説明だとさ。ボーデヴィッヒもソッチの解釈で驚いてると思うんですけど(凡推理)

 

 でも余裕で真逆なんだよなぁ。常軌を逸脱しすぎている(IS置いてけぼり)なんだよなぁ。ふへへ。へぇぁぁぁん。

 

 だが待ってくれ。

 俺だって別に俺を全否定する気はない。

 

 政府のお偉いさん達が観たヤツは、まだ入学して間もない頃の試合映像である。確かアレだ、10日くらいしか経ってなかったんじゃないかジャマイカ?(激ウマギャグ)

 

 俺があの日のままだと思ったら大間違いである!

 忘れられがちだけど、俺は政府からちゃんと特例貰ってるんだからな。アリーナの使用時間外利用権というナイスな特権を! 

 

 そんなの貰っちまったら、毎晩利用させられるに決まってんだろ!(選択肢的な意味で)

 一日くらいのんびりさせてくれよぉ!

 

 しかし、まぁ何だ。

 皆がのんびり過ごしている夜に、俺はたけしとパーフェクトコミュニケーションを取りまくれているからな。

 

 一緒にアニメ観てマンガ読んでドラマ観て映画観て、俺がゲームしてるとこ観せてアホの【選択肢】による創作キャラによる俺フルボッコ化現象も観せまくりな日々をずっと過ごしてきたのよ?

 

 そんな俺がセシリアと試合した時の俺のままだと思うなよ思う事なかれ! 論より証拠だ、俺の特訓シーンを回想してやるぜ! とりあえず昨夜の特訓を思い出してやるずぇ!(孫策)

 

 

 

 

「私の方はISの準備できたぞ。旋焚玖はどうだ?」

 

「そんなに準備できる事がないからとっくに済んでるぞ」

 

「そ、そうか」

 

 刻はアリーナ使用時間外!

 

 かつてこの刻この場所には、俺とたけししか存在を許されない空間だった。しかし今では此処に、もう1人の参加者が居るのである! というか俺が誘った。千冬さんの許可も得て誘った。

 

 その人物はもちろん箒である。

 当たり前だよなぁ?

 

 IS学園の生徒で外部から狙われるとしたら誰か。

 パッと思いつくのは俺と一夏と箒の3人だろう。

 

 俺と一夏は言わずもがな、ISを起動した貴重すぎる唯一の男だからな。ぶっちゃけ俺達をモルモりたい奴らはクソほど居るだろう。箒は箒でIS開発者の妹だし。箒を餌にして、ISのデータを欲しがる奴らもクソほど居るだろう。

 

 そう考えたら俺達3人は、自己防衛的な意味で強くならんとイカンでしょ。千冬さんの存在が抑止力になるとはいえ、何かあってからでは遅いけんの!

 

 そういう意味では一夏は既に【白式】という武器を持ってるし、専用機があるから放課後も鍛錬し放題である。

 

 ちなみに一夏がセシリア達とISの鍛錬してる時、基本的に俺と箒は観客席で仲良く見学している。たまに布仏や相川も一緒である。

 まぁ俺達のグループで、俺と箒だけが専用機持ってないからねしょうがないね。訓練機とか全然貸出の番が回ってこないからねしょうがないね。1ヶ月に1回とか何だそれ(呆れ)

 

 アカンこれじゃ箒が死ぬぅ!(心配性な旋焚玖くん)

 

 といった内容を千冬さんと箒に話してみた結果、箒の参加が認められたのである! 当然だし、むしろ遅いわ。箒が夜のアリーナ(意味深)に出入りするようになったのってアレだぞ、謎のIS乱入事件の後からだからな。

 

 とりあえず当面の俺達の目標は、一夏達専用機持ちに追いつく事である、箒が。ISの性能の違いが、戦力の決定的差ではないという事を教えてやる、箒が。あ、僕は僕のペースでいくんで、はい。

 

「では……そろそろ始めるか?」

 

 【打鉄】を纏う箒の手には、既に近接用ブレード【葵】が顕現されている。というか箒はここんとこ、ずっと【打鉄】ばっか使ってんな。なんでぇ?

 

「箒は【ラファール・リヴァイヴ】は使わないのか?」

 

「ん…? ああ、私はやっぱり重火器よりも剣をブンブン振り回す方が性に合っているらしい」

 

「ブンブン丸」

 

「は?」

 

「気にするな」

 

 まぁ確かに箒は千冬さんと同じく生粋の剣客美人だからな。箒がガトリング構えてヒャッハーする姿よりかは、ブレードで華麗になぎ払う姿の方が俺もしっくりくる。

 

「さぁ来い、箒」

 

 悲しいかな、箒から仕掛けてもらわんと膠着状態だからね。かわりと言っちゃあ何だが、パーフェクトな防壁をお魅せしよう。

 

「……いくぞ!」(まずは真っ向勝負だ…!)

 

 上空から問答無用で振り下ろされるブレード!!の横っ腹を人差し指でピーンとな。

 

「むっ…!? ならば…!」

 

 一刀両断スタイルから一転して手数で勝負にきたか。さしずめ龍槌閃からの龍巣閃ってトコだな。気合い入れろよ、たけし!

 

≪ (・ε・メ) ≫

 

「はぁぁぁッ!!」

 

 斬!

 斬!

 斬!

 と

 斬!

 斬!

 斬!

 

「む…!」

 

 迫り来まくるブレードの乱撃!!の横っ腹を人差し指でピンピンピーンとな。

 狙ったところ寸分違わずピピピンピン。タイミングもまるで誤差無し。お前たけし中々スムーズに動くじゃねぇか!

 

≪ ( ̄ー+ ̄) ≫

 

「ぐぬっ…! 手数を増やしても、やはり逸らされてしまうのか…!」

 

 ふふん。

 軌道逸らしは対セシリア戦で完全にモノにしたし、そもそも俺が毎晩ナニモノ達と闘わされてると思ってんだよ。

 逃げて避けて防いで逸らして反らしてしねぇとソッコー俺のダウンで終わるからな、いやマジで。たまには子犬とか子猫を相手したいです(切実)

 

 しかし、そのおかげで俺の防御力は53万です(ドヤァ)

 俺に攻撃を当てたきゃ、頭ァ使って工夫しな!

 

「……ふむ」(悔しいが、今夜も正攻法では崩せないな。ならば一旦、いつものアレで締めよう)

 

「む…?」

 

 後方へちょいと下がる箒さん。

 そこから横にズレて、手を伸ばしても届かない距離を保ちつつ、俺の横を素通りする箒さん。

 

 アカン(予感)

 

≪ (°◇°;) ≫

 

「あ、おい待てい」

 

「待たん!」

 

≪ \(^o^)/ ≫

 

 オワタ。

 

「お゛っ…!?」

 

 背後からケツに豪快な飛び蹴りを喰らった僕は、あえなく前方へと倒れました。それはもうドテーン!と倒れ込んだね。

 たけし纏ってると、下半身は全く動いてくれないからねしょうがないね。

 

「大丈夫か、旋焚玖?」

 

「……ああ」

 

 いや大丈夫だけどさ。

 

「だが、せめて背中とかに攻撃しないか?」

 

「背中…というか腰から上だと避けるだろ」

 

 当たり前だよなぁ?

 セシリアと闘った時は、まだ両腕のみだったが、今では上半身丸々動けるとこまできているのだ。これを成長と言わずして何と言う?

 

「しかし、昨日も一昨日も3日4日前も……というか旋焚玖に誘ってもらえた日から、毎晩私達はこのやり取りしてるよな」

 

 コイツいつも俺のケツ蹴ってんな。

 

≪ (/ω\) ≫

 

 いや何で照れるんだよ。

 

「まだ腰から下は動けないか?」

 

「ああ」

 

「ううむ……だが、お前なら筋力だけで動かせたりするんじゃないか?」

 

「やろうと思えば」(王者の風格)

 

 しかしソレを行えない理由があるのだ。

 何て言えばいいか。

 たけしと意思疎通が出来るようになったから生まれた弊害だな、うん。

 

 まぁ実際やってみるか。

 たけしよ、いいな?

 

 

≪ ( ´_ゝ`) ≫

 

 

 分かりにくい反応だからスルーで。

 ではまず足に力を込めまして~。

 

 

≪ ( ´_ゝ`) ≫

 

 

 そぉら動くぞ動くぞ~……動いた!

 

 

≪ (>'A`)>ウワァァ!! ≫

 

 

ピタッ。(止)

 

 

≪ ( ´_ゝ`) ≫

 

スッ。(動)

 

 

≪ (>'A`)>ウワァァ!! ≫

 

 

「うわはははははは!」

 

「うわビックリした!? な、何だ急に!?」

 

「気にするな」

 

 いやでもこんなん笑うだろ。

 たけしの中で何がどうなったらそうなるんだよ。

 

 まぁでも無理に動かすのはイカンって事なんだろうな、たけし的に。それに俺は今の状態をそこまで悲観していないし。

 

 そもそも男がISを動かせるってのがありえんからな。

 

 んで、俺も初めてISに触れた日は指先しか動かなかったんだ。

 それが4月には両腕が動くようになった。

 6月には上半身が動くようになった。

 

 なら夏には下半身も動いてんだろ(適当)

 

 という訳で、俺はこのままのペースでいいの。

 今は俺より箒のレベルを上げる事に邁進するんだぜ。何か今月はトーナメント戦とかいうモンもあるらしいし。俺は何が何でも出ないつもり満々だが、箒は参加するつもりだって言ってたしな。

 

「話は変わるが、旋焚玖は武器も今のところは……」

 

「出せない」(キリッ)

 

≪ (-`д´- 。) ≫

 

 お前もキリッとするのか…(困惑)

 

 いや武器の出し方は分かるんだけどね。

 こう…ポチッとして…んで、ポチポチッとしたら……ほらほら立体的なヴィジョンで武器覧が出てきた。

 

 ここまではいけるんだよ。

 武器の名前もちゃんと表示はされてる。

 

・葵

・焔備

 

 うん。

 表示はされてるんだけど、文字の色が白くないんだよね。黒いんだよね。

 それでも負けじと押したら『名前は旋焚玖でも適性がEなので選択できません』って表示と共にブブー♪って音が鳴るんだよね。

 

 名前のくだりは要らないと思うんですけど(憤怒)

 

≪ (-ε-)ブブー♪ ≫

 

「………………」

 

スッ。(動)

 

 

≪ (>'A`)>ウワァァ!! ≫

 

 

 

 

 回想終わり。

 で、何でこんな回想したんだっけ?

 

 まぁええか(適当)

 

「お、お待ちください教官!」

 

 え、何が?

 






( ´_ゝ`)?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。