選択肢に抗えない   作:さいしん

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ドイツ人を知る乱、というお話。



第137話 クラリッサ・ハルフォーフ副隊長

 

 

 

『そう、私です』

 

 開口一番何言ってだこの人(旋ちゃん流ン抜き言葉)

 

 ラウラさんの旋ちゃんの呼び方は、旋ちゃんに会った時本人に決めてもらうって方向で決まった。

 それからラウラさんは例のクラリッサさん?って人に電話を掛けたんだけど。空中に投影ディスプレイが浮かび上がった瞬間コレだった。

 

 この人も眼帯しているのは、この際置いとくとして。美人さんなのに、既に残念な気配がするのは気のせいであってほしいにゃぁ(願望)

 

「私がドイツを発ってまだ間もないが、そちらの様子はどうだ?」

 

『ラウラ隊長と会えなくて生理不順になりそうです』

 

 何言ってだこの人(ドン引きなン抜き言葉)

 やっぱり残念なお姉さんじゃないか!

 

「お、そうだな。で、クラリッサに少し相談があるのだが」

 

 しかしラウラさんはコレを見事にスルー。

 きっと普段からこんな感じなんだろうなぁ。

 

「ISを起動させた2人目の男について知っているか?」

 

『我々はIS配備特殊部隊ですからね。当然、調査済みです』

 

「ならば話が早い。クラリッサはこの男についてどう思う?」

 

『論ずるに術がござらん』(徐栄)

 

「な、なんだ急に、その口調は」

 

「論ずるに及び申さん!」(徐栄)

 

 蒼天航路なら任せろー!

 

『!!!!!!』

 

「うわビックリした!? な、何だ乱まで…!?」

 

『君は……もしや君がラウラ隊長と同室の者か?』

 

「そだよー! ラウラさんと友達になって5分目の凰乱音です!」

 

『ほう……ラウラ隊長、良き同居人を得ましたね。これで私の不安も和らぎます』

 

「うむ。乱はいい奴だ」

 

 にひひ、照れますなぁ。

 クラリッサさん的には、アタシがネタを知ってたからな気配がプンプンだけど、ここでツッこむほど野暮な性格してませんよ、アタシ!

 

「で、話を戻すが。第二の男……主車旋焚玖について、クラリッサの意見を聞かせてくれ」

 

『そうですね。まずは調査結果のデータを送りましょう』

 

 画面の向こうでクラリッサさんが何やらポチポチしてる。

 むむっ、新しくディスプレイが浮かんできたよ! とりあえずラウラさんと一緒に目を通してみよう!

 

「え~っと、なになに…?」

 

 

" 世界で2人目のIS男性起動者。最狂、最悪、最強の男。主車旋焚玖。 "

 

 

「……むぅ」

 

「え、なにこれは…」(困惑)

 

 この文章、すっごい見覚えあんだけど。

 

 

" 今が全盛期の主車旋焚玖伝説 "

 

 

「ほう……何やらそそられる文面だな」

 

「ラウラさん、厨二っぽいもんね」

 

「む……厨二とは何だ?」

 

 あ、ヤブヘビった。

 旋ちゃんとのやり取り見てて分かってた筈なのに。ラウラさんが実は好奇心旺盛で知りたがりガールだって事を。

 

 なのに、つい呟いちゃったよぅ。

 とりあえず旋ちゃんの真似しとこ。

 

「山田先生に明日聞けば大丈夫だよ!」

 

 さっきもいっぱい教えてくれたしね!

 嬉々として教えてくれたもん、きっと明日もニッコリスマイルで教えてもらえる事間違いなしだよ!

 

「ふむ……いい案だが、その必要は無い」

 

 なんでぇ?

 

「今はクラリッサがいるからな。IS学園の智嚢が山田教諭なら、我が隊の智嚢はクラリッサよ」

 

『で、でへへ……あざーっす』(恍惚)

 

 え、なにその反応は(ドン引き)

 このお姉さん、美人じゃなかったら結構ヤバくない?(真理到達)

 

『ちなみに厨二を一言で表すなら「邪王炎殺黒龍波」ですね』

 

 だいたいあってる。

 むしろ端的ですごく分かりやすいね!

 

「むぅ……よく分からんぞ」

 

「分かる必要なんてないよ。それより続き読もうよ!」

 

「う、うむ……えっと、なになに……こ、これは…!?」

 

 

・3ペチ5殺は当たり前、3ペチ8殺も

 

・微笑むだけで女は死ぬ

 

・格下相手には手は出さず、自分の奥歯を折るのみ

 

・折れた奥歯は次の日には元通り

 

・下戸なのに酔拳の達人

 

・夫婦の離婚問題も3分で解決

 

・世にある武器全てをマスターしている

 

・武器造りにも興味あり。現在、金剛暗器を開発中か

 

・童貞

 

・百獣の王すぎてライオンにナンパされる

 

・チーターと浮気中、黒豹に見つかってしまうが事なきを得る

 

・絶世の美女が裸エプロンで現れても興味無し

 

・日本のヤンキー100億人を小指だけで倒してのける

 

・雷を素手で切り裂いた経験あり

 

・それ以来、雷の方から挨拶にやって来る

 

・竜巻が発生したと思ったら、真ん中で扇子を持って踊っていた

 

・童貞

 

・学園の外には出待ちのファンでいっぱい

 

・だいたいコーラで治る

 

・侵入者を撃退するだけでは飽き足らずメル友に

 

・ピッチングよりもピッキング

 

・頂に 咲いた一輪 初桜

 

・フランス人と兄弟の盃を交わす

 

・界王拳の取得に成功

 

・童貞

 

・童貞

 

 

「な、なんだこれは…!」

 

「えぇ……」(困惑)

 

 アタシが前に見たヤツより多くない?

 多いよね?

 なにこれ、もしかして更新されていってる感じ?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ、クラリッサ。この内容は本当なのか?」

 

『確かな筋からの情報です』(ドヤァ)

 

 確かな筋(wikikipedia)

 

 でも実際、どれがホントでどれがウソなんだろ。全部ホントだって言われても、つい納得しちゃいそうになるんだよねぇ。だって旋ちゃんだもん。

 

「し、しかしだな! 例えば……そう、これだ! 『日本のヤンキー100億人を小指だけで倒してのける』と書かれているが、おかしくないか!? 世界の人口は多く見積もっても80億程度の筈だぞ! おかしいではないか!」

 

『確かに世界人口は約80億人です。そして日本のヤンキーは100億人なのです』(キリッ)

 

「なんという事だ……」(驚愕)

 

「なんという事だ……」(困惑)

 

 何の説明にもなってない言葉を、何故か自信に満ち溢れた顔で言い放ったクラリッサさん。それを何故か普通に納得して、『旋ちゃんやべぇ』って驚愕しているラウラさん。……この2人おかしい(真理到達)

 

「しかし……いや、フッ……コレを見て、ますます惹起されたぞ、主車旋焚玖! これ程の逸材、こんなヌルイ学園に埋もれさせていい筈がない! そうだろう、クラリッサよ!」

 

『もしや、我が隊に引き入れるおつもりですか?』

 

「うむ! 強者こそ正義を理念とする我が隊に相応しい存在だと思わんか?」

 

『そうですね。何を隠そう私も『大乱闘スマッシュブラザーズX』をマイリスに追加している1人です』

 

 マイリスてアンタ。

 

 いやまぁ何の事を言ってるのか、分かっちゃうアタシもアタシなんだろうけど。というかこのお姉さん、ポコポコ動画のプレミアム会員なのか。……アタシもソーナノ(仲間意識)

 

「言ってる事はよく分からんが、お前も主車旋焚玖を認めているという認識でいいのだな?」

 

『ええ、彼の肉体的強度には目を見張るものがあります。……が』

 

「む? なんだ、何か引っかかっているのか?」

 

『我々はISを扱う部隊であります。しかし彼の映像、データ、共にIS操縦の技量については一切触れられておりません。そこだけが少し気がかりですね』

 

 あっ…(察し)

 

「フッ……それは杞憂だぞ、クラリッサ。既に私は、あの男がイギリスの代表候補生と試合をして完勝したという情報をゲットしている!」

 

 あっ…(察し)

 

『おお、流石ですラウラ隊長!』

 

「むふん」(ドヤッ)

 

『カワイイ!』

 

「ん? 今、何か言ったか?」

 

『いえ、何も』

 

「ならば良し!」

 

 え、なにその流れは……(困惑)

 

 というかアタシ、さっきから困惑してばっかじゃない? 旋ちゃんで抗体が出来てる筈なのに、だよ?

 

 この二人やべぇ(真理到達)

 

「それに今は私もIS学園にいるのだ。あの男とISの模擬戦の機会は、それこそ幾らでもあるさ。まぁ織斑一夏をポッコポコにした後で、だがな」

 

 ポッコポコてラウラさん。

 う~むむ、こういうプチ可愛いところを素で見せてくるから、アタシも、きっと旋ちゃん達もラウラさんを憎めないんだろなぁ。

 

 それはきっとクラリッサさんも――。

 

『ラウラ隊長prpr』

 

 うん、キモチワルイ(真理到達)

 

「という訳で、今後も何かあったらクラリッサに相談させてくれ」

 

『ふふっ、いつでもお待ちしてます』

 

 ふわぁ…!

 さっきのキモい発言は、実は幻だったんじゃないか。

 

 そう思えるくらい、綺麗に締めたな!

 笑顔の綺麗さも相まって、その効果は倍率ドンだよ!

 

「あ、そうだ。忘れるところだった。クラリッサよ」

 

『む、どうされました?』

 

「かつて私が底辺に這い蹲っていた時、見捨てずにいてくれたのはお前だけだった。以前から何度か礼の言葉を送っていたが、改めて言わせてくれ。ありがとう」

 

『まんこビショビショですよ神』

 

「はぁぁぁぁ!?」

 

 真顔でなにえっちぃコト言ってんのこの人!?

 バカじゃないのこの人!?

 

「お、そうだな」

 

 アタシとは違ってまるで動じぬラウラさん、ディスプレイをそっ閉じする好プレー。

 

「乱、一つ良い事を教えておこう」

 

「なになに?」

 

「クラリッサの言動一つ一つに付き合っていたら身が持たん。己のキャパシティを超えると少しでも思ったらスルーを選ぶのが吉だ」

 

「でも旋ちゃんの言動はスルーしてないよね?」

 

「アイツの言葉は私の好奇心を絶妙にツンツンしてくるからな。聞かずにはいられんのだ。そこがクラリッサとの違いか……」

 

「慢心、環境の違い」

 

「ん? 何だそれは?」

 

「しまった…!」

 

 ま、またやぶへびっちゃった!?

 一度ならず二度までも…!

 

 んもう!

 これもそれも全部、思いつきトーキング大王旋ちゃんのせいなんだからね! 旋ちゃんと出会ってから、アタシまで脊髄反射でモノを言っちゃう身体にされちゃったよぅ!

 

 

それから乱はラウラに説明しようとしたのだが、なんかめんどくさくなってきたので、ラウラの手を引いて職員室まで行って真耶に説明してもらった。

 

 





転校初日、終わり。

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