選択肢に抗えない   作:さいしん

147 / 158
旋焚玖補正、というお話。



第147話 一夏v.s.ラウラ

 

「(´・ω・`)」

 

「……ふん。情けない顔をしおって。それで教官の弟とは笑わせる」

 

 お前もそんな顔するんだよなぁ。

 それで千冬さんの愛弟子とは笑わせる。言わんけど。

 

 そして今の俺は、一夏のおかげで囚われの身から実は解放されてるんだぜ。どうやらボーデヴィッヒの何たら×2って技は、広範囲には作用できないっぽいな。

 

「何が怒りの臨界点だ。そんな精神論が私に通用すると思うなよ」

 

「くっ……くそ…!」

 

 これには一夏もくっ殺反応。

 まぁ実際、怒りの臨界点を超えても止められてるからなぁ。というかコレはしゃーないだろ、俺でも動けなかったし。

 

 ともあれアレだ。

 しれっと解放された俺は、とりあえずこの場から離れるに限るぜ! 

 

 当たり前だよなぁ?  

 お前らは余裕でIS纏ってるけど、俺だけ余裕で生身なんだよこのヤロウ。常識的に考えなくても異常だろこの絵面は。

 

 という訳で観客席までスタコラサッサだぜ!

 

 

【ラウラに観客席まで運んでもらう。お姫様抱っこで】

【俺のダチに何やってるパンチ!】

 

 

 一人で行かせてよぉ!

 僕はもう自由だよぉ!

 

「……おい、ボーデヴィッヒ」

 

「なんだ」

 

「とりあえず俺を観客席まで運んでくれないか。……お姫様抱っこで」

 

 【下】はバイオレンス一直線だし【上】選ぶしかないんだけどさ。ぶっちゃけこの後のオチが見えてんだよね。

 

「お姫様じゃないお前がお姫様抱っこされて良い訳なかろうが」

 

「お、そうだな」

 

 知ってた。

 まさか千冬さんお姫様抱っこ事件が、ここに来て足を引っ張るとは……やっぱり考えなしでテキトーを口走っちゃイカンな、うん。

 

 

【じゃあ一夏にお姫様抱っこして運んでもらうもん!】

【諦めてこの場に留まる】

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 果てしなくキモいぞコラァッ!! 

 何が「もん!」だバカかお前! というか一夏は動けねぇツってんだろバカ! このバカ!

 

 いいよもう!

 此処にいればいいんだろいれば! だが俺がいつまでもアホの【選択肢】に弄ばれるだけの男だと思わない事だな!

 

 此処に居るのは俺だけか? 

 違うだろ。

 一夏が居るんだぜ? 

 

 こっからはもうアレだ。

 俺の思考から逃走の二文字を消してやる。そんでもって、無限の可能性を秘めた一夏と口先の魔術師コンビは伊達じゃねぇってトコも魅せてやるぜ!

 

「くそっ、マジで動けねぇ…!」

 

 俺の見立てが正しければ、一夏は怒りが機動力になるタイプじゃないと思うんだよなぁ。……うん、とりあえず試行錯誤だ。まずは入学当初にやったセシリアとの模擬戦みたいに応援してみるか。

 

 

【熱く応援する】

【ベジータ】

 

 

 ベジータって何ですか?

 え、おれ、ベジータ? 

 ベジータになれんの?

 

 ま、マジでぃすか…?

 

 アホの【選択肢】による仮想先生シリーズでも、まだ誰もドラゴンボールキャラは出題されてなかったのに、それすら飛び越していきなり変身させてくれるんですか! 

 

 なんだお前とうとうデレ期か!? 15年間の鞭を経て、ようやく俺にも飴ちゃんをくれるんですねやったー! ひゃっほう! こんなんもう勝ち確やんけ! キュアベジータとか、誰が相手でもワンパンどころか指先一つで勝てるやん! 

 

 うわははは、Vやねん!

 強すぎて申し訳ない!(満を持して旋焚玖選択)

 

「やめろ! 勝てるわけがない! ソイツは伝説のスーパーオリ主なんだぞ!」

 

 ふざけんなお前これベジータじゃねぇか!? いやベジータだけど! ベジータなんだけど! 俺が求めてたヤツと1ミリたりとも合ってねぇんだよこのヤロウ!

 

 というかボーデヴィッヒってやっぱりオリ主だったの!? だからお前そんな偉そうにしてんのかお前! 

 そんなオリ主ダメだよお前もっと俺を見習って低姿勢を心がけてホラ! というかズルいぞお前だけちゃっかり美貌とかIS適正とか特典もらいやがって!  

 

 俺なんか意味不明なモンに!

 自分を女神だと思い込んでいるキチガイに憑りつかれてるのに!! つかれてるのにぃん!!!

 

「おりぬし…?」

 

 とぼけちゃってぇ(マジデビルスマイル)

 

 まぁいい、ボーデヴィッヒの正体は後回しだ。今はこの膠着状態を如何に俺ではなく一夏が打破するかが問題だからな。俺でなく一夏がな!(念押し)

 

「伝説だろうが何だろうが旋焚玖を傷つける奴は許さねぇッ!!」

 

 一夏はオタクじゃないしオリ主なんか知らんわな。

 しかし、俺のためにそこまで怒ってくれるのは嬉しいが、ちと頭に血が上りすぎている感は否めない。

 さっきもちらっと言ったけど、やっぱ一夏は怒りでヒートアップする口じゃない気がする。ここは応援の前にいったん落ち着かせた方がいいか?

 

 

【小粋なジョークで場を和ませる】

【頑張れ頑張れ出来る出来る!絶対出来るってお前!(以下省略)】

 

 

 いやもう完全にギャグじゃねぇか!

 

 え、今の状況って割とシリアスだよね? 一夏も何かカッコいい事言ってるし……というかお前一夏ほんとにカッコいい事言ったな! 危うく流しそうになったが何だそのイケメンセリフは! 俺が言っても全然似合わねぇ事言いやがってこのヤロウ!

 

 そんな主人公っぽいセリフが様になってる奴にはお仕置きしてやる! 別に嫉妬してるわけじゃねぇけどな! とりあえず俺の切れ味鋭いダジャレで、なんかカッコいい雰囲気感が漂っている空間を吹っ飛ばしてやる!(嫉妬)

 

「フトンがふっとんだ!」

 

「「 は? 」」

 

 ふ…ふひひ。

 助けに来てくれた一夏には申し訳ないが、そんなカッコいい事を言って俺の嫉妬心を煽ったオメーが悪いんだぜ! ほれ、微妙な空気感を味わうがいい!

 

「ぶはははは! なんだよ旋焚玖急に!? フトンがふっとんだって……ぷっ……ぶはははは!」

 

 普通にウケてんじゃねぇよ!

 良い子かコラァッ!! 

 お前のその純粋っぷりが俺の良心を呵責させるんだよぉ!…………変なコト言ってごめんね? こっからは俺もマジで挑ませてもらうから許してくれい。

 

「で、肩の力は抜けたかよ?」

 

「……旋焚玖? お前まさか、俺を落ち着かせるために…?」

 

 相変わらず察しが良くて助かるぜ!

 そんでもって一夏が纏っていた怒りも消えたっぽいな。結果オーライすぎるが、過程や方法なぞどうでもよいのだ!(ディオ)

 

「そういう事だな。『心は熱く、頭は冷静に』だろ?」

 

「へっ……そうだったな…!」

 

 そうだよ。

 俺も九鬼先生から教わったっけなぁ(遠い目)

 そのあと焔螺子叩き込まれて血反吐はいたっけなぁ(死んだ目)

 

「冷静になったところで、だ。どうだ、動けそうにないか?」

 

「う~ん……何て言うかさ。見えない糸……いや、ソレどころじゃないな。何かもうぶっとい縄で全身を縛られてるって感じでピクリとも動けねぇ」

 

 まぁそんな感じだろう。

 ボーデヴィッヒが俺にやった最初の【AIC】の強度を例えるなら、一夏の言う『見えない糸』クラスだ。糸レベルなら何とかブチ破れるし。

 どっこい絶賛一夏も喰らい中の【×2】の強度ときたら、これまた一夏の言う通りぶっとい縄だ。しかもこの縄はアレだ、擦れたらお肌がイタイイタイ荒い縄目だな、イメージ的に。

 

 冷静に解析してみたら、これを破るのは至難の業じゃねぇか。実際、俺には破れるイメージが湧かなかったし……潜在能力オバケな一夏でも厳しそうだぜ…!

 

「あっ! アレだよアレ! 何かデジャブ感があると思ったら、コレって金縛りにあってる時と同じ感覚なんだ!」

 

「金縛り……確かに言い得て妙……ハッ…!?」

 

 

その時旋焚玖に電流走る――ッ!!

 

 

「ふん。何を模索してるかは知らんが無駄な足掻きに過ぎん。私の【停止結界×2】の前では何人たりとも敗北の海に溺れるのだ」(どやぁ)

 

 え、なにその厨二っぽい勝利宣言は(困惑)

 それはそうと、ドヤ顔で宣っているあたり、コイツからは相当の自信が窺える。しかし、そう判断するにはまだ早いんだよなぁ。

 お前は織斑一夏という稀有な存在を見誤っているのだ。お返しに今度は俺が勝利宣言してやろう。もちろん、厨二チックなセリフでな!

 

「汝は知るだろう、幾何なりし封縛が如何なる訃音を告げるものか」(どやぁ)

 

 ほれ、俺の意趣返しに歯ぎしりしな…!

 

「おぉ…! 何か今のカッコいいな! もっかい! もっかい言ってくれよ旋焚玖!」

 

 お前が食いついてどうすんだ!

 そんな暇あったら動ける努力してなさいよ!

 

「む……クラリッサが言いそうな言葉だな」

 

 誰だそれ!?

 美人だったら今度紹介してよ!(ゲス旋ちゃん)

 

 えぇい、気を抜いたらまた展開が脱線してるぞオイ!

 イカンな、俺まで変な気にあてられちまってるじゃないか。俺が主導で脱線させたら誰が展開を進展するんだっての。

 

「一夏」

 

「おう?」

 

「金縛りを解く方法を教えてやろう」

 

「はぁ? ふつめんまで何を…」

 

「ま、マジで!? 教えてくれよ旋焚玖!」

 

 なぁに、簡単な事よ。

 俺は無理だけど。

 

「いいか? 『縛られてる』って考えるからダメなんだ。『縛らしてやってる』って考えたら楽勝よ」(一夏専用理論)

 

「はぁ?」

 

「縛らしてやってる……」

 

「ああ、そうだ。お前は縛られてるんじゃない。縛らしてやってるんだ。お前が縛らしてやってんだから、お前の意志で解けるだろ」

 

 俺は無理だけど。

 思い込みの力が足りんもん。

 

「はぁ……冗談も休み休み言え、ふつめん。そんな意味不明な精神論で動けたら人生楽勝過ぎるだろ」

 

「なるほどなぁ、そう考えたら確かに動けるような気が……」

 

「貴様も何を真に受けている。まったく…コレが教官の弟だというのだから嘆かわしいものだ」

 

「んーと、んーと……あ、動けた」

 

「は?」

 

 ホントに解いたのか(困惑)

 自分で言っててなんだが、どうしてソレで解けてしまうのか。コレガワカラナイ。やっぱ一夏ってしゅごいわ。

 

「いくぜ、ボーデヴィッヒ!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!? いやちょ、おい待て! 待て待て待て待て! なに普通に動いてる!? うわ、ちょ、やめろお前コッチに来るな!!」

 

 おやおや、どうしたボーデヴィッヒさんよぉ? さっきまでの余裕っぷりが消えましたなぁ? むしろここにきて最大級の焦りが見えますなぁ?

 

 ふひひ、改めて言わせてもらうぜ。

 お前は一夏の秘めたる爆発力を見誤った! 

 

「うおおおおっ!」

 

 熱い咆哮と共に一夏はボーデヴィッヒへと突っ込んでいく。驚きモモンガーなボーデヴィッヒはその場で立ち竦む……事はなく、瞬時に後方へと下がり一夏との距離をあけた。やるじゃん(賞賛)

 

 だが勢いは今、完全に一夏にある。

 やっちゃえいちかー!(イリア)

 

「くっ……だ、だが動きは感情的で直線的だぞ! そして先ほどのはマグレに決まっている!」

 

 動揺しつつも再び一夏へ両腕を突き出すボーデヴィッヒ。どうやらまた一夏に【停止結界×2】を迸らせたらしい。

 

 さて、どうなる…?

 

「うおおおおっ!」

 

「いやちょっとは止まらんか!? 何で普通に突っ切ってくるんだ!? 本当に何なんだお前は何故効かん!?」

 

「へへっ、縛らしてやってるだけだからな!」

 

「このバカぁ! そんな謎理論で動かれてたまるかぁ!」

 

 ああ、そうだな。

 まさに、そんなバカな…って感じだよな。

 

 だがな。

 ソレがまかり通るのが一夏…というか織斑姉弟なんだよ。お前も千冬さんの一番弟子を自負してんなら素直に認める事だな。一夏のしゅごさをよ…!

 

「くそっ、だが私が教官に教わったのは停止結界だけではない!」

 

 ブレードを掲げて迫り来る一夏に対して、ボーデヴィッヒもブレードを出して応戦を見せる。二人のブレードが交差するその瞬間、何と一夏たちの間に黒い影が割り入ってきた。

 

「……やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

 

 意外!

 その影の正体は千冬さんだった!

 

「千冬姉!?」

「教官!?」

 

 しかもその姿は普段と同じスーツ姿で、ISどころかISスーツさえ装着していない。というか無手のまま二人の間に割り込んで、二人のブレードを掴んで止めてた。

 

 いやいやおかしいですよ千冬さん! 【零落白夜】は解除されてるとはいえ、ブレードですよブレード! 

 ナニ涼しい顔して止めちゃってんすか! 素手で! 常人離れもホドホドにしてくださいよホントに! 俺ですら唖然としてるのに、一夏達だとドン引きですよドン引き!

 

「す、すげぇぜ千冬姉!」

「流石です、教官!」

 

 ああ、そういやそうだった。

 この二人の共通点を挙げるとすれば、二人とも千冬さんが大好きって事だったな。一夏は自他共に認めるシスコンだし、ボーデヴィッヒは千冬さんを求めてIS学園までやって来たくらいだし。

 

「ブリュンヒルデだからな」(どやぁ)

 

 ブリュンヒルデってしゅごい。

 いやでも実際、千冬さん俺より強くなってね…? なんだよアンタいつの間に精神と時の部屋に入ったんだよ。

 

「やっぱ千冬姉はすげぇよ! 素手で止めちまうんだぜ!? なぁ!?」

 

「ああそうだ! 教官はホントにしゅごいんだ! お前もこの人の弟である事を誇らなくてはいかんぞ!」

 

「そんなの当たり前だよなぁ! ははははは!」

 

「分かってるじゃないか! ははっ、ははは!」

 

 おぉ……おぉ…!

 普通に笑い合えるじゃねぇかお前ら! そうだよギスギスなんていらねぇんだよ! 仲良しこよしの方がいいんだよ!

 

 それに俺は聞き逃してねぇぜ?

 一夏に対するボーデヴィッヒの呼び方が『貴様』から『お前』にランクアップしているのをな…! 

 何だかんだで一夏はボーデヴィッヒの必殺技を破ったんだ。きっと無意識のうちにボーデヴィッヒもアイツを認めたんだろう。

 

 これは大チャンス到来じゃないのか。二人の間にあるわざかまり…というか一方的にボーデヴィッヒが一夏を敵視してるだけなんだが、ソレをこの場で解消できるかもしれねぇ…!

 

「千冬さん千冬さん」

 

「む?」

 

 そんでもって解消するには、二人の共通点な千冬さんの協力が必要不可欠である! ボーデヴィッヒは『教官は凛々しくないとやだぁ!』とか『そんな風に変えてしまう織斑一夏がきらいだぁ!』とかソレっぽい事を言ってたが、ぶっちゃけ『私も教官に甘えたいぞー!』な心の声が丸聞こえなんだよなぁ。

 俺ほどの洞察力を持つ男なら、ボーデヴィッヒの心の声なんざ、丸どころかもう二重丸すら飛び越えて螺旋丸で聞こえまくりよ。

 

 という訳でよ。

 上手い事千冬さんがボーデヴィッヒを説得すれば、それだけで丸く収まる簡単な仕事ってわけさ。コレに関しては、下手に俺が出しゃばる必要はない。むしろ不要だ。アシストに徹してシュートを決めるのは千冬さんさ。

 

 

【千冬さんに耳打ちする】

【普通に話す】

 

 

 む。

 これは珍しく気の利いた【選択肢】じゃないか。確かに本人の前で、これ見よがしに『ボーデヴィッヒを甘えさせてやってよ!』なんて言ったらボーデヴィッヒのプライドを傷つけるかもしれんな。

 

 いやはや、【選択肢】が出されなかったら普通に気付かんかったわ。お前【選択肢】なかなかやるじゃねぇか!

 

「千冬さん、ちょいとお耳を拝借」

 

「む…」(思えば私が耳打ちされるのはコレが初めてだな。まったく、お前という男は……いとも簡単に私の初めてを奪いおって)

 

「ごにょごーにょごーにょごーにょ」

 

 ボーデヴィッヒが一夏にプリプリしてるのは、千冬さんから家族愛をがっつり受けてて羨ましいからなんですよ! 嫉妬ですよ嫉妬!

 

「ふむふむ」(しかし旋焚玖の囁きヴォイスは、普段よりも低音で渋くて……なにかこう…クるものがあるな)

 

「まるまるくまぐまこれこれうまうま」

 

 ぶっちゃけボーデヴィッヒも千冬さんに甘えたいんですよ! でも恥ずかしくて言えないから、一夏に八つ当たりしてるんですよ! 高校生らしからぬ子供ですよ子供!

 

「ふむふむ」(これが真耶の言ってた最近流行りのASMRというヤツか。フッ……耳が熱くなるな)

 

「かくかくしかじか賈詡郭嘉」

 

 だからボーデヴィッヒには、第三者が説得するよりも、嫉妬の原因な千冬さんから説得してもらった方が効果は抜群ってわけですよ! 説得の仕方は任せますんで、一夏とボーデヴィッヒのためにもお願いします!

 

「ふむふむ」(しかし間違っても商品化はできんな。私ほど強靭な肉体の精神力を持ってなければ、小娘共の耳など容易に孕まされてしまうだろうからな)

 

 しっかり頷いてるし、これにてアシスト完了である! ナイスなシュートをブチこんでやってくださいよ!

 

「……………………ん?」

 

 いや『ん?』じゃなくて。

 何で俺の方を向いてんですか。

 ボーデヴィッヒはアッチですよ。

 

「………………………」

 

「……千冬さん?」

 

「む?」

 

 いや『む?』じゃなくて。 

 え、聞いてましたよね? がっつり聞いてたし、なんか嬉しそうに頷いてたじゃないですか!

 

「千冬さん」

 

「……ああ、そうだな。お前の好きにするといい」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 いやその返事はおかしい。

 





旋焚玖:話……聞いてました?

千冬:聞こうと思ったが聴欲を抑えられなかった

旋焚玖:(゜д゜)ナニイッテダコノヒト


旋焚玖:( ゚д゚ )

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。