そこまでだ!
残念だったな!というお話。
前回のあらすじ。
ボコボコをポコポコと言い張るボーデヴィッヒを乱がウサミン的に説教することに成功。分かったんなら大人しく正座しとけお前。あの時俺が止めに入らなかったら、きっと正座どころの騒ぎじゃなかったんだしよ。
そうだよ、さっき乱が言ってたじゃないか。鈴もセシリアも危うくダメージレベルをC超えるところだったって。Cを超えたら確かアレだ、重大な欠陥を生じさせる可能性があるから、がっつり期間を設けて修復させなきゃイカンのだろ? そうなりゃお前あの二人はトーナメント戦には出られんかっただろ。
って考えたら、俺って凄い好プレーをしたんじゃないか! 二人のトーナメント不出場な未来を変えたんだからな。しかも生身でですよ生身! それなのに、あんまり……っていうか全然褒めてもらえなかったし、ここは自分で自分を褒めておこう。俺ってやっぱしゅごい(ドヤァ)
「ていっ!」
「む」
乱にデコをチョップされたでござる。
なんでぇ?
「バカ旋ちゃん! なにドヤ顔してんの!」
「む」
怒られたでござる。
なんでぇ?
この殊勲賞な俺に何と無礼な!
「ISに向かってなに生身で突っ込んでんの!? 山田先生から聞いた時ビックリしすぎてヴィックリしちゃったんだから!」
ヴィックリってなんだよ(自問)
まぁ流れからしてビックリ以上にビックリしたって事なんだろうけど。独特な表現の仕方だなぁ。
「そうだぞふつめん! 私が相手だったから良かったものの、何を考えてるんだお前は!」
お前にだけは言われたくねぇぞコラァッ!! そもそもお前が一般的なポコポコで留めてたらこんな事にはならんかったんとちゃうんか!
「ラウラさんさぁ」
「うっ……な、なんだ?」
もう完全に乱の方がボーデヴィッヒよりも上である。まぁ別にええやん? 二人仲良く年下のおなごにヘコヘコしようぜ。
「旋ちゃんを非難してみせてもラウラさんのやった事は取り消せないかんね?」
「う、うむ、そうだな……反省する」
そうだよ(便乗)
「ていっ!」
「む」
またデコチョップされたでござる。
なんでぇ?
「いま旋ちゃん『そうだよ』とか思ったでしょ」
「む」
やりますねぇ!
ママみな感性に磨きがかかってきてますねぇ!
しかし、俺の心を読めるのは千冬さんだけだと思っていたが、やはり乱は別格という事か。……乱の前ではあんまり変なコト考えないでおこ。
「でも旋ちゃんが無傷でいるのは、ラウラさんのおかげでもあるよね! 下手に迎え撃つよりもAICで旋ちゃんの動きを止めたのはナイスだよ!」
「そ、そうか! いや私もあの判断には自信があったのだ!」
乱に褒められて非常に嬉しそうである。さっきまで一夏ばりに(´・ω●`)してた奴が、一瞬で笑顔を咲かせているでござる。これが一人飴と鞭ってヤツか、ナルホドナー。
「これからはあんな無茶しちゃダメだよ、旋ちゃん」
【お前に言われんでも分かっとる!】
【しょうがねぇなぁ】
いや俺は分かってるんだよ!
吉良吉影ばりに平穏な人生を望んでるわ!
分かってねぇのはお前なんだよお前このアホ選択肢! 無茶な場面で無茶な【選択肢】を出してくるお前に! お・ま・え・に! 乱は言ってんだよ! 少しは自重してくださいよホントに!
「しょうがねぇなぁ」
「むっ!?」
「コラふつめん! なんだその返事は!」
「お前に言われんでも分かっとる! ごめんなさい!」
「う、うむ、分かっていればいいのだ」
「ふふっ、旋ちゃんは天邪鬼さんだからねぃ」
お、そうだな。
今日も今日とて微々たる勘違いが起こっているが、まぁ微々たるもんだし俺は気にしないで過ごすんだぜ。そうした方が心身共に優しいんだぜ。
「うい! それじゃあお説教タイム終わりだよっ!」
やったぜ。
これで正座な姿勢から解放されるんだぜ。
「う~……中々に長かったから足がジーンってなってるぞ」
俺もそうなの。
正座は何度やっても慣れんなぁ。
【ボーデヴィッヒの足をツンツン!】
【「なんだよお前~俺の大事な、まだ誰にも触らせた事のない大事な部分をツンツンしたいのかぁ?」って聞く】
【乱の足をツンツン!】
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
「なんだよお前~俺の大事な「キモい予感がするよ旋ちゃん!」……お、そうだな」
早いよねぇ!
仕事がねぇ!
やっぱり乱ママがナンバー1!
選択肢殺しの乱!ここに爆誕よ!
乱が居てくれたらキモい【選択肢】を出されても安心して選択できるんだぜ! 残念だったな、自称女神な選択肢さんっ♪ はははは!ざまぁないぜ!(カミーユ)
「で、ふつめんは何を言いかけたのだ?」
あ、おいバカやめろ。
そんな事聞いてはいけない!
【ボーデヴィッヒの足をツンツン!】
【「なんだよお前~俺の大事な、まだ誰にも触らせた事のない大事な部分をツンツンしたいのかぁ?」って聞く】
【乱の足をツンツン!】
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
◇
「お前はホントに気色の悪い事を言いたがるな」
「お、そうだな」
「こればっかりはアタシが言っても直らないんだよねぇ」
「お、そうだな」
もはや何も言うまい。
ボーデヴィッヒこそ選択肢殺しの乱殺しだったのだ。
そして切り替えていく。
俺とボーデヴィッヒは今アリーナの中央にて対峙中よ。ボーデヴィッヒは専用機を、俺も専用機っぽい【たけし】を纏ってるんだぜ。
「生身のしゅごさはもう十分に堪能した。次はISでのしゅごさを堪能させてくれ」
しゅごさ(不動無明王)
「防御全振りなしゅごさで良ければ堪能させてやろう」
ちなみに乱は観客席まで移動している。
乱は別に俺の強さに興味はないんだとさ。
『強いとか弱いとか関係ないっしょ? 旋ちゃんは旋ちゃんだもん』(乱談)
「という訳でアタシは見学するね!」
「ああ」
【なーに見てやがんだコラァ!!(三井)】
【俺のやる気がアップする応援してYO!!】
ミッチーはそんな事言わない(言ってる)
というか見学を承諾した矢先に【上】言うとかキチガイすぎるだろ。一周回ってちょっと面白いわ。怒られるから言わんけど。
「俺のやる気がアップする応援してYO!!」
「分かったYO!!」
やる気云々は置いておいて。
乱の応援って言えばアレだよね。
「2人とも、がんばれ♥ がんばれ♥」
生声で聞いたの久々だなぁ。
やっぱメールな文面とは破壊力が違ぇわ。
「おぉ……なんか…アレだな。なんか……アレだな!」
言葉では表せないナニかがボーデヴィッヒを覆う! 俺もそうなの。
まぁアレだよ、説明しにくいんだよ。マジで何て言ったらいいか分からん感情が渦巻くからな。
「テンションも上がったし、闘るか?」
「うむ!」
相手が誰だろうと関係ない。
パーフェクトなディフェンスをお魅せしよう。
~旋ちゃんパーフェクトなディフェンスを披露中~
「うむ! 聞きしに勝る超難攻不落だな!」
背後に回られると瞬殺されるけどな。
それはボーデヴィッヒにも伝えてあるのだが、この模擬戦では敢えて真っ向から攻める事に拘っているらしい。
「これならどうだ!」
ワイヤーが飛んで来たでござる。
アレか、セシリア達にやったみたいに、ワイヤーで身体をグルグル巻きにして動きを封じるつもりか。ならば右腕を差し出しませう。
「むっ…!」(胴体ごと拘束されるのを嫌ったか。しかしその右腕は悪手だぞ、ふつめん!)
ラウラの両肩から鋭く放たれたワイヤーは、蛇の如く簡単に旋焚玖の右腕に絡みつく。元々両腕しか満足に動かせない上に片腕まで捕られてしまえば、旋焚玖の鉄壁力は文字通り半減されるだろう。しかしラウラの狙いはそこではなかった。
(両脚の自由が利かぬならバランス感覚も死んでいる筈…! ならばこのままワイヤーを引っ張ってふつめんをすってんころりんさせてやる!)
狙いがすってんころりんなラウラは、旋焚玖の右腕に巻き付いているワイヤーを前方に思い切り引っ張った。
「ぬおおおっ!……おっ?…ぉぉぉおおおお!?」
①ラウラ引っ張りの『!』
②ラウラ引っ張り均衡の『?』
③ラウラ引っ張られの『!?』
「見事な三段活用だ」
≪ (ノ*>□<)ノ! ≫
≪ ( ^ω^)? ≫
≪ Σ(゜Д゜lll)!? ≫
「うわはははは!」
「な、なんだ、どうした!?」
「気にするな」
急に笑かすなアホたけし!
いたずら心満載かお前!
しかしアレだぞ、俺に綱引きを仕掛けるのはイカンでしょ。もしや昨日今日と見た俺の疾さに囚われていたか?
そういや俺を指して忍者とか言うてたもんな、お前な。確かに忍者ツったら、速さにステ全振りなイメージあるなぁ。
どっこい旋焚玖さんはスピードも世界一位なら腕力も世界一位よ。だって俺、忍者じゃないもん。言ったら(´・ω●`)しそうだから言わんけど。
「くぅっ…!? な、なんてバカげた力だ…!」
「褒められて悪い気はしない、が……そこはもう俺の間合いでもあんぞ?」
俺の間合い(手が届く距離)
基本的にその場で立ちんぼなスタイルだからね。そうじゃないと【たけし】が嫌がるからね。
≪ (´_ゝ`)ソウダヨ ≫
腹立つ顔で便乗すんな。
動くぞお前このヤロウ。
≪ _(:3」∠)_ ドゲネ! ≫
うん、まぁ……土下座の最上級な土下寝をされたら、俺だって鬼じゃないんだし許すんだけどさ。それにしてもまた腹立つ顔してんなお前な。
「間合い? お前は攻撃はしてこないと聞いていたが?」
俺の場合、防御はともかく攻撃に関してはどうしても種類がなぁ、限られてるからなぁ。それを踏まえた上で仮に、だ。
その場から動かず、武器なしの無手で相手にダメージを負わせる…どころか勝利まで掴み取ろうと思ったら? とりあえず今のところ一個だけ思い付いてんだけど。
「一夏や他の連中相手にヤるのはちょいと抵抗があってな」
「む? 私ならいいのか?」
「お前は軍人だし、何より千冬さんの愛弟子だからな。俺も遠慮せずに済むってなモンだ」
しかもボーデヴィッヒは学園の中でも随一の戦闘狂だしな。コイツなら喰らってもミ゛ャーミ゛ャー喚き立ててこないだろ。
「フッ……その言葉、嬉しいぞ。ならば存分にや「隙あり!」うぐっ!?」
ラウラの言葉が末まで紡がれる事を待たずして、旋焚玖の右手はラウラの首を掴み上げていた。
これこそ旋焚玖が思い付いた一番手っ取り早いビクトリーアタックだ。通称片手でのネックハンギングというか、ぶっちゃけただの首絞めである。しかし、その効果が絶大なのはメタルマンでしっかり証明されている。
「本当に申し訳ない」(博士)
「うっ、うぐぐ…! あ、謝るひ、必要など…ない……!」(常在戦場…! そう謳っている私が何て無様な…!)
「お前ならそう言ってくれると思ったよ」
フェアプレー精神はむしろ悪徳。
隙を視たら迷わず討て。育ちは違えど、この不文律は俺とお前の中で共有できていたよな。今は模擬戦中で、しかも俺の間合いに入っちまってるのに、気ぃ抜いたらイカンでしょ。それがたとえほんの一瞬でもな。
「さて、ボーデヴィッヒ。お前なら分かるだろう? このまま頸動脈を「隙なし!」……お、そうだな」(何言ってだコイツ)
首を掴まれてしまったラウラとて、無抵抗のままでいる事を良しとする筈がない。何とか解こうとしてたところに、旋焚玖がペラペラしゃべりだしたのだ。だとすれば、これはラウラにとってチャンス到来である。
そして、自分が先程やられた事をそのままやり返してやろうと隙を伺っていたのだが、まるで隙が見当たらないので、とりあえずラウラは思った事をそのまま言ったのだった。隙なし、と。
ちなみに言われた旋焚玖は、言葉の意図がいまいち掴めないので、いつもの魔法の返答「お、そうだな」でスルーを決め込んだのだが、実はラウラは賞賛の意を込めて言ってたりする。『おしゃべり中も隙を見せないとはな。悔しい気持ちもあるが、それ以上にアッパレだ!』とか思っていた。
「で。どうする、抗うか? その時は悪いが一瞬で絞め落とすぞ」
ううむ。
なぁーんか、以前にも誰かとこんな感じのやり取りをしたような……あ、思い出した、クロエだ。そういやアイツの首も掴んで脅したっけなぁ。やっぱ姉妹っぽい関係なだけあって、2人とも同じような事されるんだなぁ(意味不明)
「……そうだな、私もさすがに締め落とされるのはキツい」
下手すりゃおしっこ漏れちゃうもんな。
【下手すりゃおしっこ漏れちゃうもんな】
【下手すりゃおしっこ漏れちゃうもんなって言おうとしても間違いなく乱に途中で阻まれて「やったぜ」とか喜んでてもラウラに聞き直されてまた可愛い女神な選択肢ちゃんから同じ選択肢を出されるのは目に見えてるから、とりあえず締め落とす】
何だお前コラァッ!!
対応力抜群かこのヤロウ!
「下手すりゃおしっ「キモいよ旋ちゃん!」……知ってた」
「ふつめんは何を言いかけたんだ?」
「知ってた」
【言い直す】
【井伊直弼(なおコレはただの思いつきなので、効力は上と同じものとする)】
なんだコイツ!?
思いつきはいけないんだ(*´ω`*)