選択肢に抗えない   作:さいしん

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乱「ムービーを送る相手は謎のメル友だけでいいのかなぁ」

乱「あ、そうだ! 旋ちゃんが世界一信頼してるって言ってたかもしれない織斑先生にも送れば絶対ラウラさんを助けられるよやったー!」

というお話。


第155話 vs.マッドゴーレム 決着の刻

 

 

「……ふむ。私が晩酌を楽しんでいる時に、このような事が起こっていたとはな」

 

 千冬さんのご来場である。

 なんでぇ?……ん?

 

「(ニッコリサムズアップ)」

 

 どうやら乱が呼んだらしい。

 確かに遠く離れた場所にいるクロエに、メールでチマチマ救助アイディアを求めていても埒が明かんわな。

 しかし乱のコレが好プレーになるか、はたまた珍プレーになるのかは、千冬さんの今後の動向次第である。おしりペンペンタイムだけはやめてね?(お祈り旋ちゃん)

 

「ちなみに晩酌といっても飲み物はコーラだから特に支障はないな」

 

「アッハイ」

 

 のっけから濃いと思った(小並感)

 支障って何が…? ああ、アルコール類は飲んでないから、動きがフラつく事はない的な意味合いか。飲んでても強そう(小並感)

 

「しかしVTシステムか」

 

「知ってるんですか?」

 

 まぁ千冬さんだもんな。

 IS関連なら知らん事の方が少ないだろう。

 

「ああ、アレは過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きを搭乗者にトレースさせたがる国際問題必至な違法システムだ」

 

 公式で『させたがる』なのか(困惑)

 あんまり精度は高くないのかな。

 

「トレース内容は過去の千冬さんって事でいいんですか?」

 

「その通りだ。『過去の』というのがミソだな」

 

 言いながら、千冬さんはゴーレムに視線をやった。

 

「(ビクッ)」

 

 ビクッとしたなコイツ!

 心なしか腰も引けてないか?

 

「さて、VTシステムよ。私が誰か理解るな?」

 

「お゛ぉ゛っ、お゛ぉ゛っ…!」

 

 すっげー頷いてる。

 鷹の前の雉ってレベルじゃねぇぞオイ。

 

「なら私が、ウチの生徒に危害を与える者は何人たりとも許さん教師の鑑であるという事も理解っているな?」

 

 危害(しりとり不可、早口言葉イカサマ疑惑)

 うーん、これは危害!(被害者供述)

 

「旋焚玖に、凰乱音。それに貴様が飲み込んでいるラウラ・ボーデヴィッヒも私の大事な生徒の一人だ」

 

 これはまごうことなき教師の鑑。

 

 それにどうよ?

 さっきまで調子ぶっこいて『お゛っ…』とか鼻で笑ってたゴーレムちゃんはガックガクのビックビクじゃねぇか! 

 

 やっぱり千冬さんがナンバー1! 

 基本的に遅延行為から入るアホの【選択肢】とは雲泥の差で頼りになりまくるぜ! このまま圧倒的なブリュンヒルデっぷりを魅せてくださいよ!

 

「即刻、ラウラを解放しろ。さもなくば絶命させるぞ」

 

「お゛ぉ゛!?」

 

 脅し文句が怖いと思った(小並感)

 実際、千冬さんに凄まれてビビらねぇ奴なんざ、この世に果たして何人いるのか。少なくともゴーレムちゃんはビビってますね、間違いない。

 

 本当に強い奴は戦わずとも言葉だけで勝ちを得ると聞くが、千冬さんこそ体現者だよなぁ。こういうところは俺もガッツリ見習わんとイカンでしょ。あ、なんか一歩前進した。

 

「ちなみに抵抗は自由だぞ? まぁその時は戒名を考える間もなく消滅させてやるがな」

 

「お゛ぉ゛ぉ゛!?」

 

 怖すぎィ!!

 戒名とか言い出しましたよこの人! さすがの旋ちゃんもビックリな脅し文句ですよ! 

 

「貴様も重々承知はしているだろう?」

 

 お、一気に畳みかけるつもりですね、千冬さん。すでにゴーレムちゃんは瀕死っぽいが、裏を返せばまだ死んでないからな。言葉だけで勝つつもりなら、完膚なきまでヤらんと意味がない。

 

 俺もこの倍プッシュは賛成だ。

 いい感じに締めちゃってくださいYO!!

 

「VTシステムがトレースしているのは、あくまで第一回モンド・グロッソの私だ」

 

 そうだよ(便乗)

 そんなヤツが、いつの間にか精神と時の部屋で修行してた千冬さんに勝てる訳ないだろ!

 

「悪い事は言わん、降参しとけ。ピッチピチくらいしか取り柄のない過去の私如きが、今でも余裕でピッチピチなのにその上さらにムッチムチまで備わってしまった現在の私に勝てる訳がなかろう」

 

 何言ってだこの人(ン抜き言葉)

 何で真顔でそういう事が言えるんだこの人は。

 

 これにはゴーレムちゃんも呆れて反抗してきますね。

 

「……お゛お゛」

 

「あっ! ラウラさんが解放されたよやったー!」

 

 解放されるのか(唖然)

 あ、倒れこむボーデヴィッヒを乱が抱き留めたでござる。ナイスぅ!! そんでゴーレムちゃんも消えたでござる。

 

「ラウラさーん、ラウラさーん」

 

 乱が横に寝かせたボーデヴィッヒの頬っぺたをペチペチる。

 

「む……むぅ……?」

 

 お、瞼がうっすらと開いてきた。

 意外と早く起きたなぁ。

 

「戦闘を回避した事で肉体への負担が少なかったからな」

 

「アッハイ」

 

 今宵も読心術がキレッキレですね。

 まぁもういつもの事だし、今はボーデヴィッヒの体調だろ。

 

「私……は……?」

 

 目の焦点はまだ定まってはないが、顔色は……普通だな!

 

「ふむ。気分はどうだ、ボーデヴィッヒ」

 

「きょ、教官!?」

 

 ガバッと立ち上がろうとするボーデヴィッヒを千冬さんが手で制す。

 

「ああ、起きんでいい。そのまま楽にしてろ」

 

 戦闘はしてないとはいえ、あんな摩訶不思議な現象に巻き込まれた当人だしな、ここは千冬さんの言う通り寝てた方がいいに決まってる。

 

「し、しかし!」

 

「二度言わせる気か?」

 

「ヒェッ…」

 

 強い(確信)

 これは従わざるを得ませんわ。

 

「で、身体にどこか不具合はあるか?」

 

「いえ、特に……あ、でも何か喉が少し痛いような…?」

 

 まぁあれだけ『お゛ーお゛ー』叫んでりゃな。というかコイツの喉を媒体にしてたのか。そう考えたら、やっぱり戦闘を回避してて良かったのかもしれん。アホらしいと見せかけて、普通にしりとりと早口言葉は正解だったのか。

 

「ですが問題はありません。それよりも一体何が……?」

 

 ふむふむ。

 取り込まれてからは完全に意識が断たれていたっぽいな。

 

「機密事項ではあるが、話さん訳にもいかんか。……VTシステムは知っているな?」

 

「はい……。正式名称はヴァルキリー・トレース・システム……。過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースさせたがるシステムで、確かあれは……」

 

 やっぱり『させたがる』なのか。

 

「そう、IS条約では禁止されている代物だが、どうやらそれがお前のISに積まれていたらしい」

 

「そう……だったのですか」

 

「当然、この後はブリュンヒルデの名においてドイツ軍諸々に問い合わせるつもりだ。近く、ドイツは委員会からの強制捜査が入るだろう。然るべき措置が取られるのは間違いないな」

 

 そらそうよ。

 違法なシステムを使用してたらイカンでしょ。

 

 そしてここから先は大人の問題で、子供が出しゃばるモンじゃない。というか割と千冬さんが来た時点で俺の出番も終わってたしな。あとはしっかり大人な対応で、ドイツに社会的制裁を喰らわせてやってくださいよ!

 

 

【これから一緒に(ドイツまで)殴りに行こうかああああああああ!!!】

【取り込まれたんだから今度はお前が取り込んでやるんだよ!】

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 このバカぁ!

 何が殴りに行こうだバカ! バカバカ! 全然大人な対応じゃねぇし何より遠いんだよこのヤロウ! そんな気軽に行ける距離とちゃうわドイツやぞアホ!

 

 というかね、千冬さんのご登場でね、もう俺の出番は終わったって言ったじゃん? 実際あれよこれよな感じで、終結に向かいまくってたよね。

 なのに何でコイツは俺にわざわざ跡を濁させようとするのか。お前これで蛇足キャラが定着したら末代まで恨んでやるからなお前な。

 

「取り込まれたんだから今度はお前が取り込んでやるんだよ!」

 

「いや全く意味が分からんのだが。どういう事だ、ふつめん?」

 

 俺が聞きたいわ。

 どういう事だ、マジで。

 

「フッ……なるほどな。相変わらずお前の発想力には度肝を抜かされるな」

 

「アッハイ」

 

 俺は相変わらずアンタの理解力に度肝を抜かされてるわ。何で俺が分からないのに千冬さんは分かるのか。コレガワカラナイ。

 でも狼狽えたら微妙な空気になるし、ここはもうこのまま千冬さんにお任せしませう。

 

「VTシステムが搭乗者を浸蝕する厄介な代物なのは間違いないが、仮にお前がコイツを飼い馴らす事が出来れば……」

 

「で、できれば…!? ど、どうなるのですか、教官!」

 

 声のトーンが明らかにウキウキになったボーデヴィッヒである。どうやら千冬さんのその後の言葉を察したっぽいな。俺も何となく分かってきたぞ。

 

「単純計算でVTシステムの力、つまり過去の私の力が丸ごとお前に加算される事になるな」

 

「ふおおぉぉぉ…」

 

 これにはボーデヴィッヒも『ふおおぉぉぉ…』である。

 

「つまりラウラさんがパワーアップするって事ですね!」

 

「まぁ簡単に言えばそうなるな」

 

 

【俺は今究極のパワーを手に入れたのだ!】

【勝てんぜ、お前は】

 

 

 どっちもボコボコにされてるんだよなぁ。

 

「勝てんぜ、お前は」

 

「むっ!? ふつめんは私がVTシステムを飼い馴らせないと言うのか!」

 

 ボーデヴィッヒがガルルッと嚙みついてきたでござる。うん、まぁそういう反応になるよね。適当に選んじゃったけど、ここは【上】の方が良かったかな。

 

「馬鹿者」

 

「ふみみゅっ」

 

 千冬さんがボーデヴィッヒの頬っぺたを指でプニプニしているでござる。叱り方がほかの生徒よりも優しいんだよなぁ。やっぱボーデヴィッヒは千冬さんの中でも格別なんですねぇ。

 

「取り込めたとしても、あくまで過去の私の力だ。今の私なら2秒で消せる」

 

 早すぎィ!!

 

「旋焚玖なら1秒掛からんぞ、なぁ?」

 

「しゅごいね旋ちゃん!」

 

「いや~、キツいっす」(素)

 

「フッ……謙遜は美徳なり、か。幾つになっても変わらんな、お前は」

 

「アッハイ」

 

 アンタも幾つになっても変わらんな、俺への超過大評価がよ。

 

「そういう事だ、ラウラよ。かつての私の力を取り込んだだけで浮かれていたら、あっさり後塵を拝する事になるぞ」

 

「な、なるほど…! ふつめんは私に慢心するなと、そう言ってたのだな!」

 

「……ああ」

 

 そんな訳ないじゃん。

 そんな訳ないけど上手く収まったし、意図せずボーデヴィッヒの好感度も上がったっぽいし、やっぱり千冬さんに任せて正解だったわ。

 

「しかしアレですね。飼い馴らすツっても、具体的にどうアプローチしていけばいいんですかね?」

 

「ふむ……それもそうだな。ラウラ、お前が取り込まれた時はどういう状況だった? 何かきっかけでもあったか?」

 

 きっかけ(おしりぺんぺーん)

 これがバレたら俺も千冬さんにペンペンされる可能性が浮上するんですけど(焦燥)

 というか、きっかけがぺんぺんなら、今後VTシステムを発動させる度に俺はボーデヴィッヒの眼前で『おしりぺんぺーん』ってしなきゃいけないんですか? 普通に嫌なんですけど。

 

「きっかけ……そう言えば、VTシステムから語り掛けてきました」

 

「ほう……興味深いな、どのようにだ?」

 

「えっと、確か……『汝、自らの変革を望むか……?』とか言っていた気がします」

 

 お前それペルソナやんけ!

 何だそのシリアスな語り掛けは! 

 たけしと全然ちゃうやんけ!

 

≪ 凸(▼皿▼メ) ≫

 

 いやだからそういうとこやぞ。

 悔しかったらお前もしゃべってみ。

 

≪ ダァー(*゚ェ゚*)bメッ!! ≫

 

 無理とかじゃなくてダメなのか。

 話そうと思えば話せんのか?

 

≪ (*゚x゚*)モクヒ ≫

 

 いや何でだよ。

 何故そこを秘密にしたがるのか。

 まぁ別に支障はないからいいけど。

 

「会話が成り立つのは大きいぞ。こちらから交渉も仕掛けられるからな」

 

「織斑先生が脅したらすぐにパワーアップさせてくれそうじゃないですか?」

 

「ふむ、確かに赤子の手をプニプニするより簡単だな」

 

「さ、流石です、教官!」

 

「ブリュンヒルデだからな」

 

 ブリュンヒルデってすごい。

 

「しかし私は手を貸すつもりはないからな。どれだけ時間が掛かってもいい。己の力でVTシステムを糧としてみせろ、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

 まぁそらそうよ。

 過去とはいえ千冬さんの力を得られるかもしれんのだろ? そんなモンお前、簡単にゲットできちまったらイカンでしょ。汗水たらして苦労しろ苦労。

 

「はいっ! 私自身でやらねば、飼い馴らした事にはなりませんから!」

 

「フッ……そういう事だ。しかし万が一があってはイカンからな、VTシステムに接触するのは旋焚玖が居る時にしろ」

 

 なんでぇ?

 

「はいっ! そのつもりです!」

 

 なんでぇ?

 

「旋ちゃんがいたら大丈夫だよ!」

 

 なんでぇ?

 

「さて、夜もだいぶ更けた。私も戻るし、お前たちも今夜はこの辺で終わっておけ」

 

「はいっ!」

 

「はーい!」

 

 

【馬鹿野郎お前俺は残るぞお前!(あと5時間)】

【馬鹿野郎お前俺は残るぞお前!(あと100億時間)】

 

 

 なんでぇぇぇぇぇぇ!?

 

 






これにてラウラ編終わり!(*´ω`*)
トーナメントの描写はフヨウラ!

(*^○^*)横浜が破竹の2連勝したらダイジェストで書くんだ!

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