「青い木蓮、宇宙を翔ける」   作:超天元突破メガネ

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これ載せていいのか迷ったのですが...

マギーさんの外見は、pixivに投稿された下記URLのイラストからイメージしております。
というかこのイラストを見たことで自分の中でイメージが固まって、クロスオーバー作ろうと決めました次第です。

https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=manga&illust_id=40461501


Chapter1「DIRTY WORKER」
Mission:1「Begin in Your Coming」


翌日。

「ノーブルヒルズ・ホールディングスの請願は、先ほど受理されました」

作戦指令室に集まった、夜露をはじめとしたアクトレスの面々に、事務員の安藤が告げた。

「赤坂とその隣接エリアの業者指定が、一定期間のヴァイス撃退ポイントで査定されます」

「聖アマルテアの時と同じ、ってことっすね」

マップに表示された対象区域を眺めながら、夜露は呟く。

 

成子坂製作所は以前、別のアクトレス事業所とも争った。

その時の結果は敗北。成子坂が担当していた幾つかのエリアを奪われていた。

「でも、今度はあの時のようにはいかせない……頑張りましょう、楓さん!」

「はい、日々の鍛錬の成果を見せる、いい機会です……!」

隣に立つ黒髪のアクトレス……楓が頷く。普段物静かな彼女にしては、珍しく語気が強い。

元「叢雲工業」所属——東京シャードの若手ホープだったプライドもあるのだろう。

 

「それと、もう一つお伝えしたいことがあります」

すぐに任務に入るかと思った矢先、安藤がアクトレスたちにそう告げた。

「今回の係争にあたり、一名のフリーランスのアクトレスから、短期雇用の申し出がありました。この期間だけ、手伝わせてほしい……とのことです」

その場にいた10人以上のアクトレスの頭に、一斉に?マークが浮かんだ。

出向や非常勤登録ならともかく、短期雇用など滅多にない申し出だ。

 

「それ……成子坂の出撃が増えてる間に、稼ぎたいってだけなんじゃないの?」

後ろの方から上がる楓の同期の意見も、実にもっともな考え方である。

そもそもアクトレスが一事業として高い地位を得ている今日、そんな傭兵まがいの行為を承諾する企業など殆どないだろう。

「わかりません。ですが隊長は、その雇用を承諾したそうです」

「そ、そうなんですか……」

意外な結果に、夜露は思わず苦笑した。

些かきな臭い話ではあるが、夜露からしてみれば戦力が増えるのはありがたい。しかし……

 

「勝手に人員増えたら、そっちのお金で文嘉さんが何て言うか……」

「自分で言うのもなんだけど、その心配は無用よ」

夜露の心配事をバッサリと切り捨てたのは、たった今指令室に入ってきたアクトレス……文嘉その人だった。

「今回こそは、勝たないとまずい。私も腹をくくったわ」

まるで彼女が経理担当のような会話だが、実際その通りである。

 

「……そして、たった今そのアクトレスが到着したわ。みんな、事務所に来てもらえる?」

文嘉を先頭に、全員が指令室を出る。

「でも誰が……が!?」

事務所にいた「アクトレス」を見て、夜露は言葉を失った。

 

「紹介するわ、マグノリア・カーチスさん。プレトリアシャード出身の、元軍人だそうよ」

そこにいたのは、黒いタンクトップに青いジャケットを着込んだ、金髪碧眼、隻腕の女性。

寸分の狂いもなく、夜露があの夜に出会った女性だった。

「よろしく。こんななりだけど、報酬に見合った対価は約束するわ」

マグノリアはアクトレスたちを一瞥すると、案の定夜露に気づいたらしい。

 

「あら、貴女はこの間の……」

マグノリアがこちらに足を向け、夜露も反射的に踏み出そうとした、その時。

「嘘!?マグノリアって『ブルー・マグノリア』!!?」

後ろの方にいた金髪のアクトレスが、そう叫んで飛び出してきた。

 

「ジニー?」

「ほら、あの人!『メリーバニーの後継』って呼ばれた!!」

一部のアクトレスがざわめいた。夜露もそれで、うっすらとだが思いだした。

7年ほど前のことになる。「メリーバニー」というアクトレスチームが解散した後、そんな名前のアクトレスが名を馳せた記憶がある。彼女はどうやら、その『ブルー・マグノリア』のファンだったようだ。

 

しかし、マグノリアは目をぱちくりさせると、

「え、えっと……時々言われるんだけど、別人よ?」

瞬間、声を上げたアクトレスが石化した。

「えっ……」

「あ、あんな凄い人じゃないわよ。見ての通り、辞めそこねのおばさんだから」

「そんなことないっす!すっごく美人っす!!」

微妙に論点のずれた夜露の反応に、追い打ちのように冷たい風が吹く。

 

「そ、そう?ありがとう、アクトレスさん」

「比良坂夜露っす!この間はありがとうございました!」

横からつんつんと、ジニーが夜露を小突く。

「面識あるの?」

「あ、はい、この間たまたま……」

 

話し始めようとした夜露を、文嘉がこほん、と制した。

「正直気になるけど、マグノリアさんはこれからギアの登録作業があるから。細かいことは後で資料を送るから、夜露たちはもう出撃の準備に入って」

「了解っす!」

文嘉に連れられて、指令室へと向かうマグノリア。アクトレスたちも、それぞれ準備に入る。

夜露はギア整備室に向かおうとして、もう一度だけマグノリアの方を振り返った。

 

「これからよろしくお願いしますね、マグノリアさん!」

マグノリアは何も言わずに、ふっと笑って頷いた。

 

 

 

数世紀前。

突如地球に襲来した敵性生命体「ヴァイス」によって、人類は母星を捨てることを余儀なくされた。

滅亡の危機に陥った人類を救うため、人工知能「ALICE」の意志の下、各国は協力。

月を砕き、超巨大移民宇宙船「シャード」を造り上げ、地殻ごと積み込んだ地球上の主要都市と共に、宇宙へと脱出した。

 

そして今、「ヴァイス」の脅威はシャードにも迫っていた。

未知の脅威を前に、人は滅びを受け入れることしかできないのか——否。

「ALICE」は人類に、もう一つの反攻の為の力を齎した。

 

ヴァイスの機構を解析し造られた、高次元エネルギーを操る特殊兵装「アリスギア」。

その既存兵器を超越した力によって、ヴァイスは漸く、人類の脅威たり得なくなろうとしていた。

「アリスギア」を扱えるのは、「エミッション適性」という才を持った人間のみ。

そしてその適正を持つ者は年齢、性別の偏重から、殆どが思春期の女性で占められる。

 

これは人類の存亡をかけ、謎の機械生命体「ヴァイス」と戦う少女たちの物語。

人は戦う少女たちを「アクトレス」と呼んだ。

 

 

 

シャードに広がる蒼穹を、3つの光が過ぎていった。

専用チューンの「アリスギア」を纏い、薄紅梅の髪をなびかせ、夜露は先頭を翔ける。

今日成子坂に来た依頼は、防衛網をすり抜けた小型ヴァイスの殲滅だ。

 

『Aチーム。間もなく接敵予想座標(ランデブーポイント)に到達する。警戒を』

「えっ……マグノリアさん!?」

と。

ギアの通信機器から聞こえてきた声に、夜露は危うくバランスを崩しかけた。

「夜露?だいじょうぶー?」

先輩アクトレスのシタラが、後ろから心配そうに声を掛ける。

「は、はい!ちょっとびっくりしちゃいました、普段は隊長が指示を飛ばすので」

 

スピードを緩め、体勢を立て直す。

現在の航行エリアは赤坂エリア上空。市街地防衛の依頼で、失速して墜落などしたら目も当てられない。

『ご、ごめんなさい!驚かせちゃったわね。こっちのチームは私がオペレートするわ』

「マグノリアさんは、オペレーターもなさるんですか?」

 

シタラの隣を飛ぶ楓の問いに、マグノリアはええ、と答えた。

『いろいろと勉強したから。さ、仕事の時間よ』

チーム全員がショットギアを構え、気を引き締める。

空間が虫食い穴のように歪むと同時に、そこから小型のヴァイスが現れた。

 

『クリオス種確認、正面に一斉展開』

「了解。皆さん、いつも通りに」

「ほいほーい。後ろは任せてー」

「はい!『月夜見』出します!」

楓を中心に3方向へ展開。夜露はボトムギアのサブウェポンを出し、長剣型のクロスギアを構えて右方へ突っ込む。

「そりゃあっ!」

纏めて薙ぎ払った直上で、シタラが放った無数のビームがヴァイスを射抜く。

 

『どんどん来る、左右にプリ種!』

「まだまだ行けるっすよ!」

それぞれのギアと共に、アクトレスたちは戦場を飛び回る。

これが「アリスギア」の力。嘗て人類を滅ぼさんとした脅威も、今や女子高生でも撃退できる害虫でしかない。

市街地に現れたヴァイスの反応は、あっという間に消滅した。

 

『……反応なし、片付いたわ』

「ありがとうございます。皆さん、集合してください」

ビーコンを出した楓の下に、後方に展開していたシタラが戻ってくる。

『3人とも損害は軽微。みんな腕利きね』

「マグノリアさんのオペレートのおかげです」

「それは私も思います。やっぱり現役の人がしてくれると違いますよ」

楓の返答に、うんうんと頷くシタラ。

 

『そう言ってもらえると、勉強した甲斐があるわ』

「っとと!比良坂夜露到着しました!」

マグノリアを遮り、突出していた夜露も2人の側で停止した。

『お疲れ様。向こうのチームも終わったらしいわ、帰還しましょう』

「はいっす!」

 

製作所へと戻る道すがら、別方面に出ていたチームとも合流する。

「そっちどうだった?マギーさんのオペレート!!」

「マギー?」

並走する赤毛のアクトレスの問いかけに、夜露は首を傾げた。

「だってバージニアさんだってジニーって呼ばれてるでしょ?だからマグノリアさんはマギーさんかなって!」

「リンさん、マグノリアさんに失礼っすよ」

 

夜露が言ったところで、通信機からマグノリアの『いいのよ』という声が聞こえてきた。

『昔はよくそう呼ばれたわ。皆も、私のことはマギーって呼んで?』

「わかりました!これからよろしくお願いします、マギーさん!」

係争のことは不安だが、マグノリアの……マギーのおかげで、それも少しだけ和らいだ気がする。

そんなことを考えながら、夜露は仲間たちと共にシャードへと戻った。

 




「Actress Personal Identification Card」

—ソラを渡るアクトレス—
「マグノリア・カーチス」

誕生日 9月26日
年齢  25歳
身長  データ未登録
血液型 データ未登録
職業  フリーランスアクトレス

Tips「フリーランスアクトレス」
アリスギア開発の企業競争が激しくなり、主だった大企業がアクトレス事業部を設けるようになった現在でも、
ごく少数であるが特定の企業(ないしAEGiS)に籍を置かないアクトレスが存在する。
自らの「実力」と「装備」のみを担保とし、依頼を求めて事業所を渡り歩く彼女たちは、
俗に「ミグラント」とも呼ばれることがある(ミグラントとは「渡り鳥」の意)。

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