「青い木蓮、宇宙を翔ける」   作:超天元突破メガネ

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Chapter2、最終話になります。
本編で絶賛暴走中なせいか、我ながら真理さんをかっこよく書きすぎている気がする......


NEXT Mission「Scorcher」

早朝、成子坂製作所。

「……それでは、緊急連絡会議を始めます」

事務所に集まった面々に向けて、楓は口を開いた。

 

「昨日、ノーブルヒルズ・ホールディングスより提出されていた、特命随契の監査請求書が正式に受理されました。真理さんの事前情報通り、アマルテアに移管されたエリアを除く全エリアが対象です」

特命随契監査請求の受理——つまりは成子坂はAEGiSから業務を委託されるに相応しくないという、ノーブルヒルズの訴えが認められたということ。

「真理さんが情報くれてから……一週間くらい?こんなに速く通るもんなの?」

『いいえ、ここまでの速さでの受理は前例がありません……世論の後押しが大きいかと思われます』

 

シタラの問いにビデオチャット越しに答えたのは、AEGiSに帰任した安藤。

『言うまでもないですが、係争相手はノーブルヒルズ・ホールディングス。これまで同様、ヴァイス撃破のポイントでの査定となります』

「ただエリアが広いから、期間が通常の3倍取られてるわ。出撃回数は……ざっと18回ってところかしら」

そう言葉を継いだ文嘉の声は、どこか歯切れの悪いものだった。

 

その場にいた全員が、同じことを想起していた。

赤坂エリアを賭けて争った、前回の係争——ノーブルヒルズはAEGiSとのパイプを利用し、不正な査定で一度は成子坂を追い詰めた。

係争直前に助力を申し出た「想定にないアクトレス」の奮闘で敗北は免れたものの、今回は世論が完全に向かい風の状況である。

「……厳しい言い方だけど、今回は成子坂が悪役(ヒール)になってる」

口を開いたのは、アクトレスの中に混ざって話を聞いていた真理。

「真理さん……」

「どこまでの妨害が飛んでくるか、正直予想もつかない。係争っていう盤面の範囲で行われることならまだしも、その枠を壊されたりしたら……マトモな戦い方じゃ勝てなくなる」

 

真理の言葉の重みを噛み締め、押し黙る一同。

その中で、真理は気丈に告げた。

「……だけど、そうはさせない。わたしたち大人が、どうにか盤面の中に押し込んで見せる。安藤さんも、お願い」

『私のような下っ端では、出来ることは限られてしまいますが……それでも最善を尽くします。皆さんに、思いっきり戦ってもらうために』

「……ありがとう。だから後は、皆に託すよ。思いっきり戦って……絶対に、勝ってみせて」

皆に向けられた緋色の瞳が、奥に立つ磐田と交錯する。

 

真理が最初に成子坂に押しかけたのは、7年前の真実を探るためだった。

その目的は終わってはいない……けれど今は、アクトレスたちを、窮地に立たされた後輩たちを守るために。

磐田の力強い頷きが、その意思を受け取ったことを伝えた。

 

「……それと、もう一ついいかな」

続けて手を上げたジニーに、一同の視線が集まる。

「真理や杏奈みたいな大人と違って、私達に出来ることは限られてる。

だから……盤面(ボード)の上で、出来る限りの手を打つことにした」

入って(Please come in)。ジニーの短い声が、事務所から繋がる廊下に吸い込まれていく。

事務所に向けて、だんだんと大きくなる足音。今ここに居る全員、その主が誰なのかは分かっていた。

 

——現れたのは、金髪隻腕のアクトレス。

「マグノリア・カーチス

……いいや、『青い木蓮(ブルー・マグノリア)』」

そのアクトレスの名を……隠し通していた真実の名を、ジニーは呼んだ。

「もう一度だけ、一緒に戦ってほしい。成子坂を……私たちの自由の在りかを、守るために」

 

マギーの青い瞳が、ゆっくりと目の前の人々を見回す。

かつてこの場所で戦い、青い木蓮に後を託したジャーナリスト。

墜ちた渡り鳥に手を差し伸べ、そして今も成子坂を支え続ける整備士。

彼らの思いを載せて飛ぶ、若いアクトレスたち。

 

やがてマギーは瞑目し、満足そうに頷いた。

「……その依頼、引き受けたわ。調子に乗った新参者なんて、叩き潰してやればいい」

「……!そうっすよ!やりましょう、マギーさん!!」

威勢よく同意した夜露を中心に、広がっていく熱意と戦意。

打倒ノーブルヒルズ。成子坂製作所の心は今、1つになった。

 

「それでは、以上で集会を終わります!」

「「「集会……?」」」

「夜露ちゃん、緊急連絡会議です」

困惑する一同の中で、冷静につっこむ楓。

夜露の色白な顔が、一瞬で真っ赤に染まった。




NEXT CHAPTER

火蓋を切った反攻戦。
世間が反成子坂に染まっていく中、突如東京シャードを謎の敵が襲う。
「こいつら、あの時の……!」
「クソっ、一体どうすれば!」
「怯んだら負けよ!やるだけやるしかないっ!!」

そして返り咲かんとする「青い木蓮」の前に、「現実」は牙を剥いて立ちふさがる。
「勝てるの……?今の私に……!」
「分かっているのでしょう? アナタはもう、終わった伝説なのです」

蔓延る憎悪、渦巻く野望。その中でも、少女たちは戦い続ける。
守り抜くと誓った、自分たちなりの自由(こたえ)のために。

Chapter3「FORGIVE AN ANGEL」
——この世界に、答えはあるのか
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