「青い木蓮、宇宙を翔ける」   作:超天元突破メガネ

24 / 38
最近ギミックの凝ったSPスキル増えましたけど、OWを実際にSPスキルにするとどんな感じなんですかね。

発動で一定時間ブースト無限&攻撃不可、再度SPスキルボタン長押しでチャージ開始、チャージ終了後離して攻撃ってところでしょうか。


Mission:22「Demolition」

「嫌だ……嫌だっ!どうしてこんな事に……!!」

シャード外殻に突き出た岩石の間を逃げ回りながら、エンパイア中野所属のアクトレス、下落合桃歌は嗚咽に近い悲鳴を溢した。

 

他の小規模事業所と共同で受注した、東京シャードの宇宙港近くに現れたヴァイスの鎮圧任務。

それ自体はありふれた任務であり、何も問題なくヴァイスを殲滅して帰るはずだった。

……『奴ら』が、現れるまでは。

 

「ひっ……!」

青白いレーザーが、桃歌の桃色のギアを掠めていく。

彼女を追い、群れを成して飛来するのは、目玉に触手が生えたような異形の機械。

そう。かつて青い木蓮(ブルー・マグノリア)を撃ち落とした、あの怪物たちである。

彼らは突然宙域に現れるや否や、残存していたヴァイスを瞬く間に殺し尽くした。

そして……困惑するアクトレスたちに、その瞳を向けた。

 

今、生き残っているのは桃歌だけ。

主を逃がし、自爆に巻き込まれたアリスギアの残骸が目に入り、泣きそうになるのを必死にこらえる。

(みんなも……やよいも……!どうして!?成子坂の不人気に便乗するような真似したから!?)

 

「……ああっ!!?」

ブーストダッシュをかけすぎたことで、負荷(テンション)に耐えられなくなったギアが急減速する。

「そんな……!」

動きを止めたアクトレスを喰らわんと、怪物が異音を響かせながら加速する。

迫り来る紅い破滅に、桃歌は目の前が真っ白になり——

 

「はあああああっ!!」

瞬間。

宇宙(そら)に走った一閃が、迫る敵を真っ二つに斬り裂いた。

 

「大丈夫ですか、桃歌さん!」

「あ……吾妻楓!?」

爆風の中から現れるのは、白いギアを纏った少女。

「お待たせ。やよいさんは……落ちてるんだ。キツそうだったら下がって、桃歌さん」

「……よく耐えたわ、江古田のアイドル。ここは私たちに任せて!」

「叢雲の子たちに、四谷さんまで……!?」

次いで現れる成子坂のアクトレスたちに、桃歌は普段の演技(キャラ)も忘れ佇んでしまう。

 

(……助けに来て、くれたんだ)

双銃型(デュアルショット)ギアを握る手に、力が籠る。

「タナボタ許さん!ここで一番輝くのは、桃歌ちゃんなんだぞっ☆」

少女たちの背中を追い、桃歌は戦場へと身を翻した。

 

 

「……全く、皆躊躇ってものがないんだから」

「あんなのに怖がってたら、アクトレスなんてできないよ」

ぽつりと呟いたマギーに、傍らの怜がため息を吐く。

「違うわよ。これだけ世間からの目が厳しいのに、よくいつも通り戦えるわねって話」

「みんながみんなそうじゃないよ。マギーさんが知らないだけで、悩んでる人もいる」

 

だけど、と繋いで、怜はその目を鷹のように細める。

「それでも、わたしたちは守りたいんだよ。成子坂って居場所を」

「……怜ちゃんの言う通りです。成子坂を、簡単に潰させはしませんよ」

割り込んだ声と同時に、巨大なシルエットが2人の視界を埋め尽くした。

 

現れたのは、巨象を思わせる砂色のアリスギアを纏ったシタラ。マギーの纏う「Frequency」も重装化によってかなり大型化している方だが、シタラのギアはそれを優に超えるボリュームを誇っている。

「……なるほど、それが話してた専用ギア?」

「マギーさんと殆ど入れ替わりで納品されて、ずっと訓練してたんですよ」

マギーの感嘆した声音を聴いて、シタラは愉快そうに笑みを投げる。

 

兼志谷シタラ専用、拠点攻略級重武装型アリスギア「ガネーシャ」。

前回の係争の最後に、シタラが使っていたギアは未確認ヴァイスの攻撃を受け、大破とはいかずとも決して小さくはないダメージを受けていた。

折よくセンテンス・インダストリーへの専用ギア発注が通っていたこともあり、シタラは今日まで出撃せずにこの「ガネーシャ」の調整、慣熟訓練に専念していたのである。

 

「さ、後ろは任せてください……兼志谷シタラ、狙い撃つぜ!」

「……なんか、そいつで突っ込んでもらった方が速そうにも思えるけど」

「そんな殺生なぁ」

気の抜けたやり取りをよそに、マギーはハンガーに背負ったレーザーライフルを抜き放つ。

それを見たシタラが、不意に顔を曇らせた。

「……ね、ねえ、マギーさん」

「何?」

「その……大丈夫なの?」

 

視界の先に映る敵——それは嘗て、青い木蓮(ブルー・マグノリア)から翼を奪った怪物。

彼らによって付けられた消えない傷を機械で隠し、マグノリア・カーチスは再び戦おうとしている。

そのことを案じるシタラに、マギーは毅然と言葉を返した。

「……心配は無用よ。今日こそ、奴らを止めて見せる」

 

黒鋼のアリスギアが、蒼炎を迸らせる。

「始めましょう……私は戻ってきたのよ」

エミッションの翼を広げ、渡り鳥は戦場へと飛び込んだ。

 

「戦い方はさっき伝えた通り、なるべく一撃が大きい攻撃を叩きこんで!」

『了解!!』

『ぶ、青い木蓮(ブルー・マグノリア)でしたっけ!?あいつら、自爆してきます!』

「分かってる、変な挙動を見せたら直ぐに退避を!」

飛び交う通信の中で、迫ってきた敵影に照準を定める。

 

「邪魔よ!」

発射された光弾が一度バリアのような力場に受け止められ、それを貫いて未確認ヴァイスに突き刺さる。

炸裂する爆風を引き裂いて現れた新たな個体に、マギーは小さく舌打ちした。

「硬い上に数が多い……!」

前衛では楓を筆頭に元叢雲のアクトレスが大立ち回りを演じ、後ろからはトライステラ☆の支援砲撃が降り注いでいる。

火力では間違いなくアクトレス側が優勢……にも関わらず、敵影が減る様子はない。

 

『うわっ!』

『リン!?大丈夫ですか!?』

『う、うん!こいつら近づくとすぐどかーんって……!』

そして、自ら諸共にアクトレスを葬ろうとする自爆攻撃。

得体の知れない敵性存在を相手に、アクトレスたちは予断を許さない戦いを強いられ続けた。

 

「っ……!」

マギーが10体目の小型種の自爆をやり過ごした時、沈黙していた通信機が音を立てた。

AEGiSからの全体通信……一向に姿を見せない、即応部隊からのものである。

『こちらAEGiS、状況はどうなっている』

繋げられた通信に、マギーは間髪入れず怒鳴り込んだ。

「こちら成子坂製作所、ブルー・マグノリア!単独では持ちこたえられない、他部隊はどうなっている!」

『次段の輸送機がヴァイスの襲撃を受けている。すまないが、もう少し耐えてくれ』

「チッ、ロクなもんじゃないわね!」

こちらを捕捉した敵を撃ち抜きながら、盛大に毒づく。

 

『マギーさん、あれ!』

ジニーが声を上げたのは、その時だった。

ギアを纏った指が示す先——敵の一団の背後から、剛腕を振りかざす巨躯が現れた。

『あれって、この間の——!』

以前の係争で現れたものと同じ異容に、シタラが顔を引きつらせる。

 

「落ち着いて!雑魚を散らして、またHDMで撃破を……!」

「駄目です、マギーさん!彼らからは結合粒子が発生していません!」

マギーの声を遮って楓が告げたのは、予想だにしない事実だった。

「ホントだ!チャージが全然溜まってないよ!」

「これじゃ、アイツを落とせない……!」

交戦するアクトレスたちの間に、一気に動揺が広がっていく。

 

「……怯んだら負けよ!やるだけやるしかないッ!!」

その中で、マギーは意を決し、叫んだ。

「リミッター解除!オーバード・ウェポン、強制起動する!!」

マギーのギアから、青いエミッションの光があふれ出す。

『オーバード・ウェポンって……!』

『マギーさん、まさか!?』

隊長の発動承認をすっとばし、転送された巨大な鋼鉄の塊——規格外兵器(オーバード・ウェポン)「GIGA BLADE」。

 

それは本来、アリスギアの力を利用し暴走させ、エネルギーを引き出すもの……即ち。

『不明なユニットが接続されました。システ……刻ナ障害……発生——』

「起動成功、エネルギーチャージ開始……っ!」

嘗ての人々の意地と覚悟が、ALICEの意志すらも超克する。

吹き荒れる膨大なエネルギーの中で、「GIGA BLADE」が不気味に駆動を開始した。

『結合粒子も無しにHDMを!?』

『何それ……ふざけてるの……!?』

驚嘆するアクトレスたちの前で、荒れ狂う光がさらに強まる。

 

エミッションの奔流を翼に、マギーは飛翔した。

「はああああああああっ!!」

甲高い駆動音を嘶かせ、軌道上の小型種を吹き飛ばしながら驀進する。

「これで——!!!」

解き放たれた光剣を、マギーは全力で振り下ろし——

 

「……っ!!?」

瞬間、光の柱が弾けるように霧散した。

 

「なっ……!!」

『『マギーさん!!?』』

突進の速度を保存したまま、マギーのギアは宇宙空間を落ちていく。

「どうして……クソっ、出力が上がらない……!!」

無数のエラーメッセージの中に映る、「エミッション出力不全」の文字。オーバード・ウェポンを強制励起させた反動だ。

必死にブースターをふかしても、急低下した出力では慣性を殺しきれない。

そして止まれないマギーの先には、こちらを捉える小型種の姿があった。

 

「———!!」

マズい——などと考える間も無かった。

宇宙に咲いた強烈な閃光が、マギーの姿を飲み込んだ。

 




いきなり出てきた桃歌ちゃん(と出番なく消えていたやよいさん)

原作未読勢(とやよいファンの皆様)に不親切ですまない......
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。