発動で一定時間ブースト無限&攻撃不可、再度SPスキルボタン長押しでチャージ開始、チャージ終了後離して攻撃ってところでしょうか。
「嫌だ……嫌だっ!どうしてこんな事に……!!」
シャード外殻に突き出た岩石の間を逃げ回りながら、エンパイア中野所属のアクトレス、下落合桃歌は嗚咽に近い悲鳴を溢した。
他の小規模事業所と共同で受注した、東京シャードの宇宙港近くに現れたヴァイスの鎮圧任務。
それ自体はありふれた任務であり、何も問題なくヴァイスを殲滅して帰るはずだった。
……『奴ら』が、現れるまでは。
「ひっ……!」
青白いレーザーが、桃歌の桃色のギアを掠めていく。
彼女を追い、群れを成して飛来するのは、目玉に触手が生えたような異形の機械。
そう。かつて
彼らは突然宙域に現れるや否や、残存していたヴァイスを瞬く間に殺し尽くした。
そして……困惑するアクトレスたちに、その瞳を向けた。
今、生き残っているのは桃歌だけ。
主を逃がし、自爆に巻き込まれたアリスギアの残骸が目に入り、泣きそうになるのを必死にこらえる。
(みんなも……やよいも……!どうして!?成子坂の不人気に便乗するような真似したから!?)
「……ああっ!!?」
ブーストダッシュをかけすぎたことで、
「そんな……!」
動きを止めたアクトレスを喰らわんと、怪物が異音を響かせながら加速する。
迫り来る紅い破滅に、桃歌は目の前が真っ白になり——
「はあああああっ!!」
瞬間。
「大丈夫ですか、桃歌さん!」
「あ……吾妻楓!?」
爆風の中から現れるのは、白いギアを纏った少女。
「お待たせ。やよいさんは……落ちてるんだ。キツそうだったら下がって、桃歌さん」
「……よく耐えたわ、江古田のアイドル。ここは私たちに任せて!」
「叢雲の子たちに、四谷さんまで……!?」
次いで現れる成子坂のアクトレスたちに、桃歌は普段の
(……助けに来て、くれたんだ)
「タナボタ許さん!ここで一番輝くのは、桃歌ちゃんなんだぞっ☆」
少女たちの背中を追い、桃歌は戦場へと身を翻した。
「……全く、皆躊躇ってものがないんだから」
「あんなのに怖がってたら、アクトレスなんてできないよ」
ぽつりと呟いたマギーに、傍らの怜がため息を吐く。
「違うわよ。これだけ世間からの目が厳しいのに、よくいつも通り戦えるわねって話」
「みんながみんなそうじゃないよ。マギーさんが知らないだけで、悩んでる人もいる」
だけど、と繋いで、怜はその目を鷹のように細める。
「それでも、わたしたちは守りたいんだよ。成子坂って居場所を」
「……怜ちゃんの言う通りです。成子坂を、簡単に潰させはしませんよ」
割り込んだ声と同時に、巨大なシルエットが2人の視界を埋め尽くした。
現れたのは、巨象を思わせる砂色のアリスギアを纏ったシタラ。マギーの纏う「Frequency」も重装化によってかなり大型化している方だが、シタラのギアはそれを優に超えるボリュームを誇っている。
「……なるほど、それが話してた専用ギア?」
「マギーさんと殆ど入れ替わりで納品されて、ずっと訓練してたんですよ」
マギーの感嘆した声音を聴いて、シタラは愉快そうに笑みを投げる。
兼志谷シタラ専用、拠点攻略級重武装型アリスギア「ガネーシャ」。
前回の係争の最後に、シタラが使っていたギアは未確認ヴァイスの攻撃を受け、大破とはいかずとも決して小さくはないダメージを受けていた。
折よくセンテンス・インダストリーへの専用ギア発注が通っていたこともあり、シタラは今日まで出撃せずにこの「ガネーシャ」の調整、慣熟訓練に専念していたのである。
「さ、後ろは任せてください……兼志谷シタラ、狙い撃つぜ!」
「……なんか、そいつで突っ込んでもらった方が速そうにも思えるけど」
「そんな殺生なぁ」
気の抜けたやり取りをよそに、マギーはハンガーに背負ったレーザーライフルを抜き放つ。
それを見たシタラが、不意に顔を曇らせた。
「……ね、ねえ、マギーさん」
「何?」
「その……大丈夫なの?」
視界の先に映る敵——それは嘗て、
彼らによって付けられた消えない傷を機械で隠し、マグノリア・カーチスは再び戦おうとしている。
そのことを案じるシタラに、マギーは毅然と言葉を返した。
「……心配は無用よ。今日こそ、奴らを止めて見せる」
黒鋼のアリスギアが、蒼炎を迸らせる。
「始めましょう……私は戻ってきたのよ」
エミッションの翼を広げ、渡り鳥は戦場へと飛び込んだ。
「戦い方はさっき伝えた通り、なるべく一撃が大きい攻撃を叩きこんで!」
『了解!!』
『ぶ、
「分かってる、変な挙動を見せたら直ぐに退避を!」
飛び交う通信の中で、迫ってきた敵影に照準を定める。
「邪魔よ!」
発射された光弾が一度バリアのような力場に受け止められ、それを貫いて未確認ヴァイスに突き刺さる。
炸裂する爆風を引き裂いて現れた新たな個体に、マギーは小さく舌打ちした。
「硬い上に数が多い……!」
前衛では楓を筆頭に元叢雲のアクトレスが大立ち回りを演じ、後ろからはトライステラ☆の支援砲撃が降り注いでいる。
火力では間違いなくアクトレス側が優勢……にも関わらず、敵影が減る様子はない。
『うわっ!』
『リン!?大丈夫ですか!?』
『う、うん!こいつら近づくとすぐどかーんって……!』
そして、自ら諸共にアクトレスを葬ろうとする自爆攻撃。
得体の知れない敵性存在を相手に、アクトレスたちは予断を許さない戦いを強いられ続けた。
「っ……!」
マギーが10体目の小型種の自爆をやり過ごした時、沈黙していた通信機が音を立てた。
AEGiSからの全体通信……一向に姿を見せない、即応部隊からのものである。
『こちらAEGiS、状況はどうなっている』
繋げられた通信に、マギーは間髪入れず怒鳴り込んだ。
「こちら成子坂製作所、ブルー・マグノリア!単独では持ちこたえられない、他部隊はどうなっている!」
『次段の輸送機がヴァイスの襲撃を受けている。すまないが、もう少し耐えてくれ』
「チッ、ロクなもんじゃないわね!」
こちらを捕捉した敵を撃ち抜きながら、盛大に毒づく。
『マギーさん、あれ!』
ジニーが声を上げたのは、その時だった。
ギアを纏った指が示す先——敵の一団の背後から、剛腕を振りかざす巨躯が現れた。
『あれって、この間の——!』
以前の係争で現れたものと同じ異容に、シタラが顔を引きつらせる。
「落ち着いて!雑魚を散らして、またHDMで撃破を……!」
「駄目です、マギーさん!彼らからは結合粒子が発生していません!」
マギーの声を遮って楓が告げたのは、予想だにしない事実だった。
「ホントだ!チャージが全然溜まってないよ!」
「これじゃ、アイツを落とせない……!」
交戦するアクトレスたちの間に、一気に動揺が広がっていく。
「……怯んだら負けよ!やるだけやるしかないッ!!」
その中で、マギーは意を決し、叫んだ。
「リミッター解除!オーバード・ウェポン、強制起動する!!」
マギーのギアから、青いエミッションの光があふれ出す。
『オーバード・ウェポンって……!』
『マギーさん、まさか!?』
隊長の発動承認をすっとばし、転送された巨大な鋼鉄の塊——
それは本来、アリスギアの力を利用し暴走させ、エネルギーを引き出すもの……即ち。
『不明なユニットが接続されました。システ……刻ナ障害……発生——』
「起動成功、エネルギーチャージ開始……っ!」
嘗ての人々の意地と覚悟が、ALICEの意志すらも超克する。
吹き荒れる膨大なエネルギーの中で、「GIGA BLADE」が不気味に駆動を開始した。
『結合粒子も無しにHDMを!?』
『何それ……ふざけてるの……!?』
驚嘆するアクトレスたちの前で、荒れ狂う光がさらに強まる。
エミッションの奔流を翼に、マギーは飛翔した。
「はああああああああっ!!」
甲高い駆動音を嘶かせ、軌道上の小型種を吹き飛ばしながら驀進する。
「これで——!!!」
解き放たれた光剣を、マギーは全力で振り下ろし——
「……っ!!?」
瞬間、光の柱が弾けるように霧散した。
「なっ……!!」
『『マギーさん!!?』』
突進の速度を保存したまま、マギーのギアは宇宙空間を落ちていく。
「どうして……クソっ、出力が上がらない……!!」
無数のエラーメッセージの中に映る、「エミッション出力不全」の文字。オーバード・ウェポンを強制励起させた反動だ。
必死にブースターをふかしても、急低下した出力では慣性を殺しきれない。
そして止まれないマギーの先には、こちらを捉える小型種の姿があった。
「———!!」
マズい——などと考える間も無かった。
宇宙に咲いた強烈な閃光が、マギーの姿を飲み込んだ。
いきなり出てきた桃歌ちゃん(と出番なく消えていたやよいさん)
原作未読勢(とやよいファンの皆様)に不親切ですまない......