「青い木蓮、宇宙を翔ける」   作:超天元突破メガネ

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まえがきでもことわっている通り、隊長さん(兼傭兵さん)向けに書いてるので
基本的にキャラ紹介はおざなりです。

......正直上手く盛り込めないのです。


Mission:3「Dirty Worker:1」

翌日。

成子坂製作所は、昨夜の侵入者の話題でもちきりだった。

「そ、そんなことがあったんですか……!?」

「正直、今でも信じられません……私も驚きました」

目を丸くする夜露に、頷いてため息を吐く楓。

学生のアクトレスは、放課次第まとまって出社することが多い。夜露以外では既にジニーとその同級生のグループが来ており、先ほど楓が1人で顔を出したところだ。

 

「メンテナンスエリアに、侵入者……け、結構まずい事態、だよね……?機密情報とかもあるし……」

「それ以上に、メンテ用の設備が壊されてないかが問題よ。出撃中に事故が起きたら、それこそ目も当てられない」

シタラの同級生である舞の不安げな呟きに、マギーがそれ以上の危険性を説く。

最悪のパターン……事故を装った業務妨害の可能性に、話を聞いていたシタラが震えあがった。

 

「じゃあ、今日の出撃どうすんのさ。まさか……出れない!?」

「No problem. 磐田さんたちが夜通しで再検査してくれたよ」

しかしそこでシタラの危惧を否定したのは、マギーと同じく当事者であるジニーだった。

ノーブルヒルズとの係争の真っ最中という状況下で、1日でもアクトレスの出撃を停止させるわけにはいかない。

成子坂整備部はその総力を挙げて、メンテナンスエリアの総点検、果ては格納庫に置かれていた整備済みのギアまで全てチェックしたのだ。

 

「ほえぇ……そこまでやってくれたんだ」

「凄いっす……磐田さんたちに感謝っすね」

整備士たちの尽力に感服しつつも、やはり気になるのは昨夜のいきさつである。

「でも、どうやって忍び込んだんすかね。整備棟の窓って確か……」

「んー、強化ガラスだね。ぶん殴った程度じゃ壊れないはず」

見えてこない事件の全容に、考え込み始めるシタラと夜露。

するとそこで、舞が控えめに口を開いた。

 

「ま、まさかとは、思うけど……アリスギアを使った、とか?」

その場にいたアクトレスが軒並み、呆気にとられた顔をした。

「タマちゃん……流石にそれは無いんじゃないかな」

確かにアリスギアの出力ならば、強化ガラスを破壊することは容易い。

しかしアリスギアはその性能故、使用自体に厳しい規則がある。ましてや犯罪に使ったとなれば、重大な違反行為だ。

 

「アリスギアを使ったなら他事業所ということになりますが……そこまでのリスクを冒してまでするとは思えません」

「おおっ、元大企業出身が言うと説得力が違う!」

「むむーっ、シタラさん、楓さんをからかわないでくださいっ」

あーでもないこーでもないと、好き勝手に話し始める夜露たち。

 

だんだんと議論の方向性がずれていくのを眺めながら、ジニーは一人、昨夜のことを思い出していた。

(——お姉ちゃん、こっち!)

あの時、確かに聞こえた声。

脱出の手引きをした方らしきあの声が、どうしても引っかかる。

(だとしたら犯人は……でも、どうしてそこまで……?)

夜露たちではないが見えてこない真実に、無意識に瞑目したのとほぼ同時。

ジニーの思考にかぶさるように、事務所のアラームが音を立てた。

 

『AEGiS東京より通達。シャード外壁にてワープドライブを検知。アクトレスは出動の準備をお願いします。繰り返します。シャード外壁にてヴァイスのワープドライブを検知……』

事務員の安藤によって伝えられる、ヴァイス出現の予報。

短い連絡の間に、アクトレスたちの表情は一斉に変わった。

 

「来たっすね……!」

がばっと立ち上がる夜露。楓もそれに続く。

「今日の出撃は……私達とマギーさんでしたね」

「あっ……えっと、それなんだけど」

すると準備に向かう二人を、ジニーが気まずそうな声で制止した。

 

「昨日忍び込まれたときに、実はマギーさんのギアだけメンテナンスエリアに置きっぱなしだったんだよね。それで……」

「念のためもう一度再検査するから、今日も出撃できそうにないの……ごめんなさい」

 

夜露の目が点になった。

「えっ!?じ、じゃあ出撃はどうなるんですか!?」

「落ち着いて。だから、マギーさんの代わりに私が入るよ。隊長にも話は通してある」

マギーの代打を引き受けたというジニーに、夜露は一転、胸をなでおろす。

 

「ん、隊長から連絡だよー。新宿の迎撃任務、ウチで取れたってさ」

「やたっ!行きましょう、ジニーさん、楓さん!」

「私もオペレートに入る。また(うえ)で」

控えに入るシタラと舞を含め、夜露たちは出撃準備へ。マギーはオペレートの為に指令室へ。

アクトレスたちはいつものように、それぞれの戦場へと別れていった。

 

 

 

太陽光ライトが作り出す夕日が、シャードの空を緋色に照らし上げる。

まるで空が綺麗に焼き上がったかのような夕暮れ。はるかな昔、人は地球から見えたこの色を、美しいものとして讃えたという。

今では見れない事の方が少なくなった景色の中で、幾つもの光が交錯した。

 

「そこッ!」「ロック……FOX!!」

夜露とジニーの握るライフルから放たれた光線が、ヴァイスの群れを纏めて撃ち抜いた。

「夜露ナイス!」「ふふっ、絶好調っす!」

笑顔を浮かべ、夜露は空域を飛び回る。

彼女が纏うアリスギアはヤシマ重工製「一〇式」のチューンナップモデル。

通常の汎用ギアを機動力重視に調整し、操作系を専用のものに置換した半専用機である。

彼女に限らず、成子坂のアクトレスが使っているのはほぼ全て、専用にチューンされたものだ。

 

『それはいいけど、今回はワーカー級の反応が複数出てる。余力を残しておかないと危険よ』

「大丈夫ですよ、マギーさん。夜露ちゃんは何時もあんな調子ですから」

不安げに声を掛けたマギーに、楓が微笑を浮かべる。

ベースは汎用ギアである夜露とジニーに対し、楓のギアはヤシマ謹製の完全専用ギア「稲荷」。

狐をモチーフにした四肢の大型スラスターは近接戦闘に特化し、同じく専用の太刀型クロスギア「膝丸」を操る楓を瞬く間に最前線へと送り込む。

 

ジニーと夜露の高速戦闘で雑魚を切り崩し、装甲の厚い相手は楓が両断する。

速やかな殲滅が望まれる市街地上空戦において、3人は急ごしらえながらも効果的な連携を実現していた。

『……来た!ワーカー級を捕捉!』

3人の目の前に出現する、大型のワープドライブ。

そこから現れたのは、人型に近い大きな躯体に武器を握った中型のヴァイス「ヴァイスワーカー」。

所持している武装に応じて、対処法を変える必要のある難敵だ。

 

『通常種が1、盾と狙撃型が1体ずついるわ』

「おおっと、結構多いっすね……!」

「1体づつ引き離して各個撃破しましょう。夜露ちゃんはシールドタイプを!」

三方向に散開し、1体づつヴァイスワーカーをおびき寄せる。

「一気に仕留めるっす……!!」

誘い込んだ盾型に向けて、全速力で突撃した、その時。

 

夜露の周りの次元隔壁が、霧のように掻き消えた。

「えっ——?」

当惑した声を上げた、次の瞬間。

 

ヴァイスワーカーのシールドが、夜露の腹に叩きつけられた。

「がふっ———!?」

凄まじい痛みと共に、口から鮮血が零れ出る。

吹き付ける強い風に、朱に濡れた薄紅梅の髪がなびいた。

「なん、で————っ」

目に刺さった夕暮れの日差しに、夜露は一瞬目を細め——

そのまま、意識を失った。

 

 

 

「夜露ちゃん!?」

楓はすぐに、動かなくなった夜露に気づいた。

「何が起きて……っ!?」

考えるよりも先に、吹き飛ばされる夜露の下へと滑り込む。

追撃しようとしたヴァイスワーカーを切り払いながら、楓は振り向いた。

 

「そんな——隔壁が消えてる!?」

高高度の強い風に打ち付けられる髪を見て、楓は絶句した。

アクトレスを守る盾——高次元エネルギーによる隔壁が消失している。

——出撃前にマギーが危惧した、ギアの不具合の可能性。

それが今、よりにもよって最悪の形で現れていた。

 

Stay cool(落ち着いて)!!とにかく夜露を逃がすのが先ッ!!」

混乱する状況の中で、唯一動けたのがジニーだった。

猛然と二人の前に飛び込み、ボトムギアのレーザーでヴァイスワーカーを牽制する。

「私がヘイトをこっちに向けるから、楓は夜露を連れて退避!」

「待ってください!囮なら私の方が……!」

「逃がす役が速いほうがいい!夜露の命がかかってる!」

弾かれたように、楓が動き出す。

 

「ジニーさん……分かりました、すぐに戻ります!」

空中に漂っていた夜露を担ぎ、楓は隼のように空域から離脱した。

残ったのは、ジニー1人。

ヴァイスワーカーが、一斉に、銃口を少女へと向けた。

「……Come ON!!」

今ここで反撃したところで、有効打など与えられない。立ち止まったら終わりだ。

 

駆ける。駆ける。迎撃は最低限、集中攻撃の中を突っ走る。

高速戦闘に特化したジニーのギアは、ヴァイスワーカーの攻撃に後れを取ることは無い——しかし。

『——作戦時間、残り2分』

「やばっ———きゃあっ!?」

ギアのシステムボイスに、一瞬でも気を取られた事が徒となった。

躱し切れなかった予測射撃が、ジニーの足を掬い上げる。

 

——わずか一瞬、それでも動きを止めた隙に、ヴァイスワーカーはロックオンを完了していた。

遠方より構えられた狙撃型の砲が、無防備になった少女へ向けて轟音を上げる。

「……流石にもう無理!ごめん、二人とも——!」

迫る弾丸に、ジニーは思わず目を閉じた。

 




「Actress Personal Identification Card」

—成子坂製作所 新人アクトレス—
「比良坂 夜露」

誕生日 4月9日
年齢  15歳
身長  156cm
血液型 AB型
職業  高校生


—断罪大和撫子—
「吾妻 楓」

誕生日 2月19日
年齢  16歳
身長  164cm
血液型 O型
職業  高校生




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