俺の名前はジョルディア、リ・エスティーゼ王国で金級冒険者をやっている。
冒険者になってまだ一年と少しの半端者だが、冒険者組合に共に登録した奴等とは頭ひとつ抜けてランクが高い。
所謂期待のルーキーってやつだ。
この躍進劇には俺が特殊なタレント持ちだって言うことも絡んでくるが、生まれてこの方誰にも言ったことがないから、周りは俺がズルしてるんじゃないかとか言ってきたりする。
だが、そろそろ冒険者も潮時な気がする。
それは俺の成長が限界だとか、治らぬ病にかかったとかそう言うことではないんだ。
俺はリ・エスティーゼ王国の端の田舎村で生まれ、流れできた冒険者の冒険譚に憧れて身一つで村を出て首都まできた。
しかし、冒険者を見てみたらどうだ。
冒険者とは名ばかりで護衛だとかゴブリンの討伐とか挙げ句の果てにはただの雑用だとか。
そうじゃない、そうじゃないだろ冒険者ってのは、冒険ってのは。
冒険ってのはもっとワクワクして心踊るものじゃないとダメなんだ。
決してこんな作業のようなことをするために俺は村を出たわけじゃない。
金級冒険者ってのは冒険者のなかでそう低い位置ではなく、真ん中付近の立ち位置だが、これ以上ランクがあがれば簡単には冒険者組合を抜けることはできなくなってしまうだろう。
だから、俺は今日から『金級冒険者』ジョルディアから『冒険者』ジョルディアとなる。
「受付嬢!冒険者を止めたいんだが!」
「ジョルディアさん?一年で金級まで登り詰めた貴方が突然何をいっているんですか?」
冒険者組合に突進し顔馴染みの受付嬢に勢いよく言いつける。
「おい、ジョディのやつまたいってるぜ」
「ほんとだ、飽きないなあいつも」
冒険者仲間のやつらが小馬鹿にしたような事を言ってきて決意を踏みにじられた気がして思わずかっとなる。
「俺は本気だ!俺は冒険者になるんだ!」
「おいおい、ジョディお前はもう立派な冒険者だろうが」
「ちがう!こんなの冒険者なんかじゃない!冒険してないじゃないか!」
「いきなりなに訳のわからんこといってるんだよほんと」
くそ~、こいつらまともに話すら聞いてくれない。
「ジョルディアさん、いきなりそんなことを言われましてもこちらではどうすることも……」
「じゃあ誰ならいいんだ!」
「組合長ならその権限を持っていますが…」
「組合長だな!わかった行ってくる!」
受付嬢の言葉を最後まで聞くことなく冒険者組合を駆け出して組合長の元へ全速力で走った。
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「…組合長は今エ・ランテルで会議中なんですが…もういない…」
私は組合長の場所も聞かずに嵐のように去っていったジョルディアの事を考えながらため息をついた。
「俺はジョディが夕方に帰ってくるに銀貨一枚だ」
「じゃあ俺はジョディが明日泥だらけで駆け込んでくるに銀貨一枚だ」
昼間から酒を飲んでいる彼の顔見知りの冒険者たちが彼がいつ帰ってくるかで賭けをしている。
彼はこの冒険者組合に最初にきたときから冒険がしたい、こんなの冒険じゃないと口癖のようにいっていた。
そうグチグチいいながらも冒険者の腕前はかなりのもので、このままいけば白金、いやミスリルにも届きそうなものを感じ取っていた。
彼が冒険者を辞めるというのはもう耳に蛸ができるほど聞いた話だが、今回の熱量は今まで以上のものを感じた。
もしかしたら本当に今回は辞めてしまうのかもしれない。
そんなとりとめのないことを考えながらジョルディアを待っていたが、その日の内に彼が帰ってくることはなかった。