前回のあらすじ
幻想郷での初戦闘。
戦闘が終わり、三人は文の家へと戻っていた。文は先程までと何も変わらなかったが、椛は怯えていて話になりそうになかった。悠は、少し悲しかった。向こうの世界でもアマゾン達は人間に追いやられ続け結局、悠一人を残して絶滅してしまった。故に悲しいかった。この感覚はいつまで経っても慣れることはなさそうだった。
「悠さん、先程はありがとうございました。」
文さんの態度は先程と何ら変わりなかった。文さんは僕が怖くないのだろうか?僕が人を食べたことがないのは本当の事だが、それでも人や妖怪を襲って食べている存在と同じには違いなかった。
「文さんは、僕が怖くないんですか?」
僕がそう言うと、文さんは一瞬ぽかーんとした後に、思いっきり笑い始めました。
「あややややや、悠さんは面白い事をおっしゃいますね?」
ちらりと椛さんを見ると椛さんも何言ってんだこいつ?みたいな顔をしている。
「流石に、少しの期間一緒にいれば分かりますよ。悠さん、貴方がとんでもないお人好しだって事が。何故なら、貴方は過去の話をしている時にとてつもなく辛そうな顔をしていました。それでも貴方は話してくれた。それに自分がアマゾンだって私に言う時、貴方の顔は少し怯えていました。それでも私に対して正体を明かしてくれました。そして、さっきの戦いの時、貴方は迷わずに同族と戦う事を選んでくれた。それだけで十分ですよ。」
そう言って彼女は微笑んだ。僕はその笑顔に見惚れてしまった。文さんのその言葉が何よりも嬉しかった。僕は気づけば泣いていた。
———
私は彼の涙を見た時、柄にもなく彼を守ってあげたいという、庇護欲にかられた。やはり彼は不思議だ。大人びているように見えて、こんな些細な言葉で涙を流す。彼の事については全て聞いたわけではないが、一体これまでどれだけの辛い体験をしてきたのだろうか?
「どうして、そんなに平然としていられるんですか!?」
椛が私にそう聞いてくる。
「そいつだって、さっき私達の仲間を食べていた奴と同じ化け物なんですよ!?」
化け物だと、椛はそう言う。確かにさっきのアマゾンは化け物かもしれない。しかし、それを悠さんと同一に見るのは如何なものだろうか?確かに同族かもしれない。だが味方かと言われるとそうではないだろう。
「椛、それは違います。さっきのアマゾンと悠さんを同じに見るのはおかしな話です。それはお門違いという奴ですよ。彼が、白狼天狗を襲ったわけでもなければ、彼が人里を襲ったわけでもないんですから。」
「ですが、さっき戦ったのだって、もしかしたら私達を騙すための罠かもしれませんよ!?」
それを聞いた時、私は「何を言っているんだこいつは」というような気持ちになった。
「はぁ、では椛逆に聞きますが。貴方は、誰かを騙すという理由だけで簡単に同族と、白狼天狗と戦う事が出来るのですか?出来るというのであれば私は貴方という存在をはき違えていたようです」
確かに相手が極悪人であれば出来るかもしれない。しかし、彼は誰でもわかるほどのお人好しだ。今までのが演技なのだとすれば私は悠さんは演技の天才であるに違いない。しかし、先程の涙や、戦いの前に見せた覚悟を決めた時の顔は、そんな偽りのものではなかった。
「うっ、それは…」
流石に椛も自分が言っている事に気がついたようでした。そこに悠さんがゆっくりと近づいていきます。
「ごめんね。犬走さん。」
「はっ?」
椛は本気で言われている事が分かっていないようだった。とんでもない間抜け面をしていた。
「なっ、何故お前が謝る!?謝るとしたら私の方だろう!?」
「いや、自分の仲間たちが襲われていたらそう思っても仕方がないよ。実際これが襲われているのが仲間のアマゾン達だったら僕もそう思ったかもしれないからね。」
やっぱり悠さんは優しすぎますね。まさか、あそこまで言われて許してしまうとは。
「すまなかった。」
そう言って、椛は綺麗な土下座をした。いきなりの事に悠さんは目を瞬かせている。
「どっ、土下座なんてやめてください!!」
「いや、こうしないと私の気が済まない!!いや、これでも気が済まない!私を煮るなり焼くなりして構わない!」
「いや、しませんよそんな事!?」
どうやら、椛もやっと分かったようだ。椛は元来真面目なタイプである。今回はそれが裏目に出た形となったが何とか、悠さんの人柄のおかげで何とか持ち直す事ができた。しかし、これからも同じように行けるとは限らなかった。ここでもやはり守ってあげたいと思った。この気持ちは一体何なのだろうか?今の私には皆目見当がつかなかった。
というわけで第六話です。
これからも順番に投稿していく事になると思います。
そのあたりよろしくお願いします。
今回から申し訳程度の恋愛要素を入れてみましたが、本人が恋愛した事がないゴミ野郎ですがどうかご容赦ください。