1話から読んでいただいた皆様本当にありがとうございます!まだまだ未熟ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです!
俺が色々なことを考えてるとあっという間に時間は過ぎるもの。東風谷さんはお風呂を済ませて脱衣所から俺になにやら呼びかけていた。
「あの〜私、何着ればいいですか〜?」
俺はその声を聞いて我に返った。そうだ!東風谷さんの服用意してなかった!!
「ごっ、ごめん!今用意するから待ってて!!」
俺は急いで2階の自室に行き、タンスから乱雑にパーカーとパジャマ代わりに使っていた部屋着のズボンを持って東風谷さんの待つ脱衣所に行った。
「東風谷さん、入るよ?」
「うぇえ!?ままっ…待って下さいね!?」
どうやら東風谷さんは裸で脱衣所にいたみたいだ。
いかんいかん、色々変なこと想像してしまう!
「えいっ!」ぺしっ
俺は平常心を取り戻すために頬をビンタして邪の心を振り払った。
「もういいかい?」
「は、はいっ!」
「俺の部屋着で悪いけど、今日のところはこれで我慢してくれ!!」
俺はまだ風呂場にいる東風谷さんに磨りガラスを隔ててそう言った。
「お、お構いなく!下着とかは明日買いに行くので…」
「ホント…ごめん…じゃあ、キッチンで待ってるんで。」
「は、はい!」
その返事を聞いて俺はキッチンに向かった。
なんだろう。普段こんなに女の子と喋ったことないし、さっき改めて考えてからすごく意識するようになった。いけない…仮にも身の安全を守ってあげなきゃならない立場なのに!こんな邪念捨ててやる!!
そんな風に頭の中で再び息を吹き返した邪の心を押し殺そうと葛藤していると、準備を済ませた東風谷さんが現れた。
「準備出来ましたよ!!早速始めましょう!!」
「あ、うん!じゃあ今日は回鍋肉作るんで、材料から出しましょうか。」
「回鍋肉いいですね!」
「好きですか?」
「結構好きな方ですよ!」
「それは良かったよ。」
俺と東風谷さんはテキパキと材料を用意し、調理に取りかかった。
調理中、変にだんまりを決め込んでも妙な空気が漂うだけなので、俺は東風谷さんの幻想郷での生活などについて聞いていた。
「この前は外来人の方が幻想郷に迷い込んで、大騒ぎになったんですよ〜。」
「へぇ〜、そんなことがあったんだね!あ、外来人って何者なの?」
「それはですね、こっちの世界から幻想郷に来た方々のことを言うんですよ。」
「じゃあ、東風谷さんはこっちの世界での『外来人』になりますね!」
「厳密に言えば『半外来人』ですけどね!」
「そっか!そうだったね!」
「ところでなんですけど、」
「うん?」
「まだあなたのお名前をお聞きしてなかったんですけど…」
「あ!ご、ごめん!つい忘れちゃってたよ!じゃあ、改めて!俺の名前は武野 新、呼び方は東風谷さんに任せるよ。よろしく!」
「新…いい名前ですね!!」
「そ、そんなことないよ!!東風谷さんの名前の方がよっぽどいい名前だよ!」
多分今の俺の顔は東風谷さんに名前を褒められてすごくだらしない顔になってると思う。(こんな美人に褒められたら否が応でもだらしない顔になるだろ。)
「じゃあ、『新くん』って呼びますね!!」
「……うん!!」
その時、俺の頭の中では『新くん』というフレーズが何度も再生され、それと同時に東風谷さんの髪の香りで、俺は新たな未知の領域に立ったみたいだった。
「「いただきます!」」
「美味しいです!新くんの腕前は確かですね!!」
「そんな、俺だけのものじゃないよ!この味は!」
「箸が止まりません!!」
東風谷さんはやっぱりかなりお腹が空いていたらしく、ものすごいスピードで回鍋肉を食べ尽くした。
「「ごちそうさまでした!!」」
「あぁ〜美味しかった〜!!新くんは料理上手ですね!」
「一人暮らししてたらこれくらい出来なきゃ死ぬからね。それに、この位は心得ておかないと毎日似たようなものばかりじゃ苦労するよ。」
「褒められてるんですからさっきみたいに照れてくださいよ〜!」ニヤニヤ
やっぱり名前褒められた時のリアクション見られてたのか…超恥ずかしい!!
「で、でも流石に東風谷さんには敵わないと思うなぁ。」
食事中に聞いた話だけど、東風谷さんは普段3人で生活しており、その三人分の料理を全て東風谷さんが切り盛りしているらしく、味には自信があるという。
「今度食べてみます?」
「ヴェ!?」
何だって…!?東風谷さん…今、あなた何て!?
思わぬ返しに変な声が出てしまった。
「ここで新くんに認めてもらえれば、私の自信に拍車がかかるので!!」
「そ、それなら…、お願いしますっ!!」
「はい!分かりました!!」
なんてこった…あぁ神よ…俺をこんなにも良い女の子に出会わせてくれてありがとうございます。
「じゃあ私食器洗うので、新くんはお風呂に入ってくださいね!」
「お言葉に甘えてそうするよ。」
俺は言葉では表せない幸せを胸に脱衣所へと向かった。
俺が風呂からあがると、東風谷さんは来た時に寝ていたソファで眠っていた。
「東風谷さ〜ん?こんなところで寝たら風邪ひくよ〜?」
「むにゃ…あ…新くん…」
「ちゃんと布団用意してあるからさ」
「はい…」
客人を流石にソファで寝かせるわけにはいかないので、俺は自室の俺のベッドで寝かせることにした。
寝ぼけまなこの東風谷さんを俺の部屋に誘導し、東風谷さんが布団に潜ったところで部屋の電気を消した。
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい…新くん……」
俺は東風谷さんの返事を聞くとそっと部屋の扉を閉めた。
「さて、少しバラエティ番組でも見て俺も寝るとするかな。」
俺はそう独り言を呟いてリビングへと向かった。
「んぁ…?」
気づくと俺はリビングのソファで眠っていた。閉めたカーテンの隙間から朝陽が差して、小鳥のさえずりが聞こえる。
「人に風邪ひくとか言いながら自分が出来てないなんてね」ハハ…
今の時刻は朝の7時2分。今日は土曜日なので、いつまでも寝ていたい気分だが、リビングのソファじゃろくに眠れない。どうやら東風谷さんもまだ起きていないみたいだ。
すると、リビングのドアが開く音がした。
「おはようございます、新くん。」
「あ、おはよう東風谷さん。朝ごはんにしようか。」
「そうですね!」
俺はソファから立ち上がると、食べ物をいつも入れてある棚から食パンを取り出し、トースターで焼き始めた。
「それにしても新くんは早起きなんですね!いつからリビングにいたんですか?」
「あー…いつって言うと、ずっといたかな。」
「え?」
「ソファでいつの間にか寝てた。」
「え?新くんに部屋って無いんですか?」
「いや、昨日東風谷さんが寝た部屋が俺の部屋だよ。」
「嘘!?ごめんなさい新くん!!私なんかが寝てしまって!!」
いやいや。寧ろ構わないさ、俺のベッドだって東風谷さんに使ってもらって大喜びしているだろうさ!!
「俺の方こそごめんね。俺の部屋なんて使わせてしまって。もし嫌なら他の部屋にするけど、」
「とんでもないです!本当にありがたいです!!」
「そ、そう?」
(それなら良かった。)
そう思うと同時に食パンが焼けたことを知らせる鐘がなった。
「あ〜、ジャムも残り少ないな。買いに行かないと。」
「では、今日行きませんか?ついでと言ってはなんですが、この街を紹介してくださいよ!」
「そうだね。天気もいいしそうしよっk…」
何だってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
東風谷さん!良いのかい!?俺で良いのかい!それはその…つまり……
「ありがとうございます!!」
東風谷さんは俺が複雑なことを考えている間に満面の笑みでお礼を言ってきた。
こんな笑顔見せられちゃ行くしかないじゃないか…
そうだ。これはただの買い物なんだ。
その時、手元に置いていたスマートフォンの通知音がなった。
それは悪友からのメッセージを知らせるものだった。
来人【今日暇?遊びに行かね?】
「あー…」
俺はバツの悪い気持ちで返信した。
新【ワリー。今日先客入ってんのよ】
来人【お?もしや女の子?まさかデート?www】
「ム"っ!?」
俺はあえて考えないようにしていたことを掘り返され、むせてしまった。
「新くん大丈夫!?」
「だっ…!大丈夫、大丈夫!」
野郎…今度あったらシメてやる…!
「早く食べて出発しよっかー。」
「…? そ、そうですね!」
俺は平静を装ってパンに食らいついた。
しっかりしろ!武野 新!まだスタートラインにすら立ってないぞ!!
自分にそう言い聞かせるしかなかった。
続く
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