いよいよこの作品も終盤に近づいて来ました!そして終盤に近づくにつれ、新作を書かなきゃと焦る僕もいます!でもいいアイデアが浮かばなくてのたうち回っている状態です!そんなこんなで第4話、お楽しみください。
「ここは…海?」
気づくと私は新くんが連れてきてくれたあの砂浜、あの波打ち際に立っていました。
「東風谷さん!」
あ!!新くんが呼んでいる!!
私は私を呼ぶその声に元気よく応えます。
「はい!どうかしましたか?新くん!!」
「東風谷さん、俺、東風谷さんに言わなきゃならなきことがあるんだ。」
「え?」
これは以前紅魔館でパチュリーさんに借りた恋愛小説で読んだことがあります!新くんはきっと私に…
「俺、東風谷さんといると、楽しくないんだ。」
────え…?
「俺、東風谷さんの事嫌いなんだ。」
────新…くん?
「だからさ…」
────待って…新くん…そこから先は言わないでっ!!
幻想郷に早く帰ってよ。
「っ!?」
今まで私が見ていた風景は全て溶け、いつの間にか新くんの部屋に変わっていました。
「…ゅ、夢…?」
先程のあの言葉が脳裏を離れず、ふとした瞬間になんとも言えない恐怖で私を包みます。
「…新…くん」
その恐怖が襲う度、私は泣き、もがき苦しみ、想いを寄せる人の名を叫びたくなるのです。
でも、あの時海で見た新くんのあの表情を思い出すと、これ以上新くんに負担をかけたくないという思いで私は笑顔を見せるのです。
「嫌だよ……嫌いにならないでよ…」
思えば5日前、私は幻想郷から何故かこちらの世界に迷い込んでしまいました。気を失い、そのまま夜の寒さに蝕まれる私を彼、新くんは助けてくれました。
新くんはすごく真面目で優しくて、私に良くしてくれました。
私のわがままにも文句も言わずに聞いてくれて、短い間で私は彼に想いを寄せるようになりました。
でも、新くんは違うみたいです。あの日、あの海で見たあの表情はきっと、私が新くんにかけた負担の表れだと思うのです。
私は、新くんと自分はやっぱり釣り合わないのかもしれない…いつしかそう思うようになりました。
新くんは人に優しくて、真面目で、でもたまに可愛いところも見せてくれる面白い人。それに比べて私は魅力が無くて、ドジで、わがままで、新くんに迷惑ばかりかけて…
いっその事もう幻想郷に帰った方がいいのかもしれません。
だけど、
新くんに対するこの想いはずっと大きくなり続け、新くんと一緒に過ごしたいという気持ちも大きくなり続けるのです。
「東風谷さんが起きてこない。なんでだ…?」
いつもならこの時間帯に東風谷さんは起きてくる…はずなのに、今日は起きてこない。もうすぐ学校に行かなきゃならないけど、そんなことはどうでもいい。もしかしたら、部屋で体調を崩して苦しんでいるかもしれない。
俺は募る不安を胸に東風谷さんの眠る俺の部屋へ向かった。
部屋の前に立ち、ドアをノックするが返事は帰ってこない。
「東風谷さん?起きてる?」
「…」
「寝てるのかな。」
俺はますます心配になって、思い切ってドアを開けてみた。
東風谷さんは起きていた。けど、その表情にはいつもの東風谷さんが見せる元気が全くなかった。どこか遠くを見てるみたいで、まるで魂はここに無い…そんな表情をしていた。
「東風谷さん!?」
「…っ!!新くん…」
「ど、どうしたの!?」
「…私…嫌な…夢を見たんです。」
「言わなくていい!!言わなくていいから、今日はもうゆっくり休んで!」
「は…はい…」
結局俺は東風谷さんを家に1人で置いてきて学校に来てしまった。
「はぁ…。」
(本当に東風谷さんの事を想ってるんだったら、彼女のいるべき世界へ彼女が帰ることを応援してあげないと…。)
「俺が要らない心配させるから、俺が東風谷さんにこんな想いを持つから、きっと東風谷さんを引き止めてしまうんだ…」
俺が考えに耽っていると、不意に後ろから声をかけられた。
「よォ新!お前が昼休みに屋上なんて珍しいな!!」
「なんだ。来人か。」
「なんだその言い方、お前らしくねーな」
「なんだよ俺らしさって」
「いつものお前躊躇なんてしねぇもん!」
「そうか?フフッ」
来人の答えに思わず笑いがこぼれてしまった。
「やっと笑ったか!!」
「はぁ?」
「最近お前ずっと湿っぽいからよ。なんかあったか?」
なんでもお見通しってか…。
やっぱり小学校時代からの友達だけはある。表情の変化に気づいたんだろうなぁ。
「まぁ、色々。」
「相談していいんだぜ?俺ら友達だろ?」
「そうだな。でもな、来人。これは俺にしか解決できない、人に答えを求めても帰ってこない複雑な悩みなんだ。」
「そ、そうなのか。」
「お前を誇らしく思うよ。ありがとな。」
俺は来人の肩をぽんと叩くと、教室に戻った。
「本当に好きなら、全力で支えないとな。」
「じゃあ、頼んだわよ?」
「え?着いてこないのか?」
「当たり前よ。呼べば来るから、それじゃ。」
「あ!待て!!」
そう言ってスキマを閉じて八雲紫は消えた。
「さぁて。どこを探せばいいのやら。」
「ただいまー」
返事はない。東風谷さんは寝ているから帰ってくるはずがない。
俺は荷物を下ろして部屋へ向かった。
ドアをノックすると、「どうぞ」と帰ってきた。
どうやら今起きたらしい。
「東風谷さん、体調はどんな感じ?」
「今朝よりは良くなりました…」
東風谷さんは笑顔を見せてくれたが、その笑顔はかなり引きつっていて、無理していることが分かった。
「何か…食べたいものとかある?」
「いえ…」
「そっか。また、来るから。」
「はい…」
俺は静かに扉を閉めて、キッチンへと向かった。
俺はキッチンに立つと早速調理を始めた。
「元気がない時はお粥がいいよな。」
俺は黙々とお粥を作り、梅干しをトッピングして東風谷さんのところへ持っていった。
「東風谷さん、入るよ。」
「…はい。」
「東風谷さんお粥食べれる?」
「作って…くれたんですか?」
「ごめん…余計だったよね…」
「た…食べます。」
「あ…うん。」
俺はスプーンにお お粥をひとすくいすると、息で冷まして東風谷さんの口に持っていった。
東風谷さんはそれを咥え、お粥を食べた。
「熱くない?無理しなくていいからね。」
「美味しいです。」
「そう。なら良かった。」
「もう少し…頂けますか?」
「う、うん。」
東風谷さんはそのままお粥を完食した。
俺が食器を整えて下げようとしていた時、東風谷さんはふと口を開いた。
「また…」
「え、」
「新くんに助けてもらいましたね。」
「そんな。俺は別に何も…」
「好きな人に嫌われるってどんな感じなんでしょうか…」
「好きな人に…嫌われる…?」
そうか、これが今朝東風谷さんが見た夢…
俺だったら…
「悲しくて…寂しくて…辛くて…苦しいと俺は思います。」
「…」
「でも、本当にその人が好きなら、俺は嫌われてもその人を応援し続けます。」
「…応援…」
「だから俺は、東風谷さんの事、応援してます。みんなのところに帰れるように、全力で支えますから。」
「え…?」
「ん?」
俺は自分の言った言葉の意味をよくよく考えてみた。
(俺は好きな人を応援するって言ったから…東風谷さんを応援するってことは………!!!!!!!!!)
「ぅあぁぁあ!?あ、いや、その特にふ、ふふ深い意味とかはななっ、無いからっ!!」////
俺は苦し紛れの言い訳とも取れる言葉を残して、バタバタと部屋を後にした。
「新くん…やっぱりあなたは優しい人です!」
私の中の新くんへの想いはさらに大きくなりました。
「いつか…この想いを君に…」
続く
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