翠と穹と雲と   作:イエシア

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本作を読んでいただいただいている皆様、こんにちは!イエシアです!
今回、ついに本作は最終回かを迎えました!少し名残惜しい気もしますが、新作を出そうと考えているので、また読んでいただけると嬉しいです!
それではお楽しみください!


第6話「翠と穹と雲と」

その日、新くんは帰ってきませんでした。次の日も、その次の日も、その次の日も……

 

 

 

 

私はその日、あの公園のベンチで新くんの帰りを待っていました。

すると、

「早苗ちゃん!?」

聞き覚えのある声がどこからが聞こえてきて、その声の方向に目を向けると、そこには親しい友人、「森近霖之助」がいました。

「早苗ちゃん!やっと見つけたよ!みんな心配してるよ!!」

「霖之助さん!!」

私は久々に会う友人に出会えたことを霖之助さんに抱きつき、涙を流して喜びました。

「帰ろう。みんなの所に!」

私は唸ずこうとしました。でも、何か引っかかるのです。

それは、すぐに分かりました。

「待ってください!!まだ…まだ新くんが帰ってきてないんです!!」

「新くん?誰だいそれは?」

「この世界で私を助けてくれた私の大切な人…彼と話したい…話してそれから決めてもいいですか?」

 

 

 

 

でも…新くんは帰ってきませんでした。日が暮れても、日が昇っても、また日が暮れても…きっと、何も食べてないに違いない。どこかで寒さに凍えて苦しんでいるかもしれない。どこかで大怪我をして動けなくなってるかもしれない。きっと、誰かの助けを待っているに違いない。そんな新くんの姿を想像すると胸が張り裂けそうで、いてもたってもいられなくなって、家を飛び出そうとすると霖之助さんに止められて、

「このままあと五日帰ってこなかったら幻想郷に帰ろう」

と言われました。

私は泣きながら、

「新くんに助けて貰った恩を返したい!!今すぐ新くんを助けたい!!」

と叫びました。

でも霖之助さんは、

「ここで君まで居なくなったら君を待ってる人達はどうなる!?」

と、やはり私はを止めるのです。

「やっとの思いで新くんのことが分かってきたって言うのに、こんな形でお別れするなんて絶対に嫌です!!」

 

新くんは私を助けてくれた。新くんは私を褒めてくれた。新くんは私を支えてくれた。新くんは私に人を想う大切さを教えてくれた。

 

これからももっと貴方と一緒にいろんな気持ちを分かち合いたい!!

 

私は霖之助さんの羽交い締めを振り払って家を飛び出していました。

「早苗ちゃん!?」

 

「新くぅぅぅぅぅん!!」

 

私は走ります。体が傷だらけになっても、走り続けます。

私は叫びます。愛する人の名前を。声が枯れても。

 

私が新くんにかけた迷惑の方が何倍も新くんの負担になったから、新くんを追い詰めたから。

私が新くんの力になれたことの方が少ないから、これからその数を増やしたいから…

 

 

 

どこだろう。ここ。どこかの山か、森みたいだ。

あそこから逃げ出して何日経ったのかな。もう何日も何も食べてないや。おかげで走る力も残ってないし、起き上がる力もほとんど残っていない。涙はとっくの昔に枯れ果ててしまった。

 

全てわかっていたことなのに。自分じゃ東風谷さんを支えられないなんてこと、最初からわかってたのに。それでも諦めようとしなかったのは何故だろう。

今頃、東風谷さんは何してるだろう。ちゃんと、幻想郷で友達に会えただろうか。あの白髪の人とちゃんと結ばれただろうか。もう、俺の役目は終わったのかな。ずっと東風谷さんの隣に居たいって願いは叶わなかったけど、彼女の幸せを願って支えられたかな。ちゃんと、自分で決めたこと、やれたかな。

 

もうわかんないや。全部どうでも良くなって、難しい人間関係から解放された。やっと自由になれた。

 

 

 

 

見つからない。新くんが見つからない。あの優しい表情や、あの優しい声、あの優しい眼差し、たまに見せてくれる恥ずかしがる表情、もう二度と会えないなんて嫌!!君に嫌われててもいい。1度でいいからまた他愛もない話をして、一緒に料理を作って、また一緒にお買い物に出かけて、またあの海を、今度は2人ならんで笑顔で眺めたい!!

 

そして伝えたい!私のこの想いを!!

 

「新くぅぅぅぅぅぅぅん!!!!!」

 

 

 

「こ…ちや…さ…」

聞こえた。東風谷さんの声が。なんで俺を探すの?幻想郷に戻らないと、みんなが待っているんじゃなかったの?あの男の人とはどうなるの?

浮かんでくるのは東風谷さんの心配ばかり。

 

でも俺のそんな考えとは裏腹に、俺の体は東風谷さんの声に呼応して動き始めていた。

その声の方向に向かおうと、最後の力を振り絞って立ち上がろうとしていた。

もう体力なんて残っていないはずなのに。

徐々に戻ってくるあの気持ち。今までネガティブな考えだった俺の頭が、東風谷さんの声を聞いて色鮮やかなものに変わっていく。

 

そうだ。俺は…俺は東風谷さん…いや、早苗のことが…

 

 

────好きだったんだ!!!!

 

 

「早苗ぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

「新くん!?」

声が聞こえる!!私を呼ぶ、新くんの声が!!何度も聞いたあの声の面影がある!

 

 

どうやら森の中に俺は横たわっていたらしい。少し急な斜面を転がり落ちると、俺は道路に投げ出された。

 

あと少し!あと少しで早苗にまた会える!

 

あと少し!あと少しで新くんにまた会える!

 

 

俺はボロボロの体を奮い立たせ、直感を信じて走り出した。

 

私は体の傷が痛むのを我慢して、直感を信じて走り続けた。

 

「「あれは…」」

 

「早苗!!」

「新くん!!」

 

2人は抱き合い、お互いが生きていることを確かめあった。

やっと会えた喜びからか、涙がとめどなく溢れて止まらなかった。

「早苗だ!やっと会えた!俺の大好きな早苗!」

「新くん!もう絶対に離さない!大好きな新くん!」

 

俺は早苗に向き直り、今までの事を謝った。

「ごめんね早苗。何も言わずに居なくなったりして。」

私はそんな新くんの涙で潤う目を見て今までの事を謝った。

「私の方こそごめんね。新くんが悩んでることに気づいてあげられなくて。」

「ううん。でももういいんだ。苦しみも悲しみも、幸せも喜びも全部2人で分かちあって生きたいんだ。だから…俺と付き合ってほしい!!」

俺は伝えた。自分の想いを。今、俺が早苗に伝えたい言葉の全てを詰め込んで。

 

「そんなの、新くん答え聞かなくても本当は分かってるくせに!!喜んで貴方について行きます!!」

 

 

 

 

 

「本当にいいのかい?早苗ちゃん。みんなに事情は説明するけどさ。」

「はい。私はこの世界で生きていきます。」

「分かった。じゃあ、新くん。早苗ちゃんを頼んだよ。」

「はい!」

「これで僕はお暇するよ。紫さん!!」

突如、森近霖之助の後ろにスキマが現れ、その中から女の人が顔を出した。

「二人とも、お幸せにね!!」

その女の人、「八雲紫」は森近霖之助を隙間の中に入れ、手を振って消えた。

「行ったみたいだね。」

「はい。でも、悲しくないです。」

「ホントに?」

「はい!だって、私には貴方がいるから!!」

 

 




本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!
今まで応援してくださった皆様や、本作を読んでいただいた皆様には感謝してもしきれません!新作も頑張るので、どうか応援よろしくお願いします!
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