月に向かって   作:ぼっちのシニガミ

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プロローグ

 

 

 

 

丑の刻。夜淡い月明かりが道を照らす、そんな時間。

 

大きな屋敷で、一人の青年と、一人の少年が相対していた。その二人は兄弟だからか、髪、目、顔立ち…どれを取っても少しずつ似ていて、両方たいそう端整な出で立ちをしている。

 

二人の兄弟の名は―――――――イタチとサスケ。

 

「愚かなる弟よ…。」

 

スゥ……。

 

“万華鏡写輪眼!!!!!”

 

イタチはサスケと目を合わせながら術をかける。瞳には手裏剣のような不思議な模様が浮かんだ。

 

イタチが発動した万華鏡写輪眼の月読みは、一瞬で相手に幻術を見せるものだ。一瞬だからこそ解かれる事がないし、逃れる事も出来ない、驚異的な幻覚術。

 

―――――の、筈なのだが…。

 

 

 

「おいおい、イタチさんよ。いきなり攻撃はねーンじゃねーのJK?」

 

「―――っ!?」

 

サスケは、まるで何も無かったかのように起き上がった。

呑気に、あくびまでしている。

 

 

「どうゆう事だ…。何故、万華鏡写輪眼が効かない。」

「いや、別に効いてねェ訳じゃない。ただ、俺はそれに耐えた。それだけ。」

「お前に見せたのは、家族の死んでいく様…。何も感じないのか…?」

「特には?」

「!?」

 

イタチは酷く混乱した。

 

…あぁ、確かに自分の弟は生まれた時から妙に胡散臭かった。赤子の時は泣きもわめきもせず静かに

鎮座し、大きくなったらなったでユラユラ笑いながら、子供らしさと言うものを欠片も見せない。兄を演じても、まるでそれが滑稽だとでも言うように、自分を決して兄とは呼ばない。

 

――――だが、、、両親が死んでも、それを兄が殺したと知っても、何も変化が無いなんて…。

 

「あれ?随分悩みこんでんじゃねェか、イタチさん。一族皆殺しにしたくせに、今更泣き崩れない俺を見て気色悪くなったとか、なしだぜ?」

「……お前は…何だ。」

「今更かよ。どこをどう見たって、イタチさんの弟だろーによ。」

「……そうか。」

 

薄っぺらい紙を口に入れた時のような胡散臭さが残るが、それを無理矢理飲み込み、サスケと向かい合う。

サスケは月明かりにユラユラゆられながら、二回目のあくびをしていた。まるで弟の我侭な遊びに付き合っている兄のような、そんな気だるさを感じ取れる。自分が言うのもなんだが、なんとも達観した弟だ。

 

「…俺は己のうつわを量るために一族を殺した。」

「ふわーぁ、で?」

「……。…お前は俺を恨まないのか?お前の家族を自分勝手に殺した俺を…。」

「自分で言ってちゃ世話ねーわな。だが、力ある者はそれをする権利があると俺は思うぜ。そして、その権利を使った事に関してとやかく言うつもりは無い。」

「そこに転がってるのは、お前の両親だぞ?」

「と、同時にイタチさんの両親でもあるだろ。」

 

無残に倒れ伏した夫婦を、ゴミのように蹴りながらサスケが言う。

 

「実は言うとよ、イタチさん。俺、うちはの秘密だいたい知ってンだわ。」

「……秘密だと?」

「今俺に踏まれてるこいつ等が、木の葉の里はうちは一族が治めるべきだつって、クーデターおこしたんだろ?で、イタチさんが二重スパイして、命令でうちは一族を滅ぼしたって話。」

「!? …どこで知った。」

「さーてな。教えねーよ。」

 

ゴッ―――!!と、サスケは両親であるはずの死体を蹴っ飛ばした。イタチはそれを見て、わずかに顔をしかめるが、すぐに無表情に戻す。

                                

……落ち着け、俺。どこでその情報を知ったのか分からないが、サスケはあの会合に関わってはいなかった。きっとどこかで情報が漏れただけだろう。俺は計画通りにサスケを英雄に仕立て上げれば良い…!!

 

「……サスケ、貴様は殺す価値もない。」

「殺されるつもりも無いけどな。」

「お前はいつか、この万華鏡写輪眼を手に入れ俺の前に来い…!!」

「何故にwww」

 

サスケからすれば、かなり理不尽な事を言われている。それに気づけないのは、それだけイタチが焦っている証拠でもあった。

 

「万華鏡写輪眼の発眼条件は―――。」

「親しい友を殺せば良いんだろ?」

「……そうだ。」

 

イタチは即答したサスケに内心呆気にとられる。

 

今日だけで、どれだけ自分の弟に驚かされただろうか。それだけ、俺は自分の弟について何も知らないのか…。

 

「あ、ちなみに俺もう万華鏡写輪眼、発眼してンだよね。」

 

そうしてサスケの黒髪の間から見えたのは、万華鏡写輪眼独特の模様が浮かび上がっている瞳であった。

 

「な――――!!!」

「ん、まァそうゆう事だから…。俺もう寝るわ。」

「は…?」

 

あろうことかこの一族皆殺しという有り得ない状態において、サスケは昼寝でもするように、ごろんっと地面に寝っころがった。イタチはそんな弟を見て、更に呆ける。

 

「…………。」

 

……なんとも、締まらない最後だ…。と、思いながら、イタチは幸せそうに寝る弟にかすかに笑いかけた。何だかいつも通りで、これからまた普通に明日が始まるのではないかと錯覚してしまいそうになる。

 

だが、これから俺は、大悪党の抜け忍だ…。

 

イタチは静かに決意を決めながら、里を出た。

 

サスケは…

 

「……zzz」

 

 

 

…変わらず寝ていた。

 

 

 

 







イタチ涙目ww
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