|剣士《The Fencer》だが、それだけじゃない 作:星の空
高校2年次となり、クラスはある種の混沌となっていた。
メンバーを紹介しよう。
1番
3番
5番
7番
9番
11番
13番
15番
17番
19番
21番
23番
25番
27番
29番
31番
33番
35番
37番
39番
41番
43番
45番
47番
49番
以上50名がクラスメンバーである。
そして、担任は
何より今年は最重要警戒年である。何故って?心眼と直感でする未来観測が今年の春で途切れているのだ。まぁ、’’ありふれた職業で世界最強”の地球での主要キャラがいるので大方異世界トータスに飛ばされるであろうことは分かっているので、外回りを対策しに回っている。まず、パトリキウスをトータスに転移できるようにしたり、出会ったことがあるクラスメイトの親に異世界転移について教え、暫くいなくなることを教えておく。他の神話や日本神話(ヨミ以外)にも教えておく。三王や桜、李書文にもパトリキウスごと飛ばされるであろうことはことを告げておく。
そして、日常的に生活をしていて気がついたのだがいつの間にやら天之河がこのクラスのリーダー核となっていた。ただし学級委員長は飯田である。
そんなこんなで過ごしていたのだが…それは起こった。
月曜日
それは休日明けでかなり憂鬱となる日である。
そして、擬似的な未来予知こと未来観測が途切れている日である。なので連絡網でクラスメイトの親御さんに今日起こる事を教えてパトリキウスを霊体化もとい儂の内に仕舞ってから学校に向かう。因みに騎士王と英雄王、桜と李書文、序に隣町である駒王町から異世界転移の匂いがしたとミルたんなるある種の化け物がパトリキウスの中におる。征服王は教師なので儂らより先に学校に行っておる。
儂は白音と共に学校に向かい、着いたのだがまだ誰も来ていなかったので、今まで描写したことはないが毎日の日課である宝具を磨く作業を開始した。
「……涼愛さん、さりげなくメタな思考をしないでください。」
「む、悟られたか。これは儂もかなり落ちぶれたのう。ヘラから詫びとして貰った権能も
「……いえ、ピリッと私の毛が反応したのでメタなものを悟っただけです。ですので涼愛さんが落ちぶれた訳ではありません。」
そんなやり取りをしている間に武器系の宝具を磨き終わり、着々とクラスメイトが教室に入ってくる。
大方揃い、あと5分か7分程で朝のホームルームが始まるくらいで南雲が教室に入ってきた。
それを檜山を筆頭とした近藤、中野斎藤が囲み、
「よぉ、キモオタ!また、徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」
とゲラゲラと笑う。それを聞いてムッとしたのはコータや慎一等の連盟のオタクチームを主とした璃緒須中出身者である。
檜山の言う通り、ハジメはオタクだ。と言ってもキモオタと罵られるほど身だしなみや言動が見苦しいという訳ではない。髪は短めに切り揃えているし寝癖もない。コミュ障という訳でもないから積極性こそないものの受け答えは明瞭だ。大人しくはあるが陰気さは感じさせない。単純に創作物、漫画や小説、ゲームや映画というものが好きなだけだ。
世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。
関係ない話で言い忘れていたが、このクラスは2分割してるのではないかと思える何かがある。
飯田をリーダーと見立てたあの当たり屋事件を知っており、香織の初恋を成就させる連盟と、天之河をリーダーと見立てた当たり屋事件を知らず、南雲を侮蔑対象としている者達だ。
まぁ、清水が撮影してメモリ保存していた当たり屋事件の映像を見せたら女子達は侮蔑する事は無くなるだろうが。
それはさておき、南雲が席に座ったら連盟のオタク共が南雲のもとに行きオタク話を始める。
話は戻るが、なぜ檜山ら1部男子生徒が南雲に敵意や侮蔑をあらわにするのか。
その答えが彼女だ。
「南雲くん、おはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ。そしたら転〇ラが今後どうなるのかの予測を談義出来るのに。」
香織である。しかし、香織が混じってオタク話に交じったのを見た檜山をはじめとした連盟外のクラスメイト達が驚いていた。それもそうだろう。なんせ璃緒須高校ですら2大女神と呼ばれている白崎香織がキモオタと同じものを趣味としていると誰が思うだろうか。
「ごめんね香織さん。昨日一昨日はテスターのバイトで«モン〇ン»新作のエピソードをしてどうだったかをまとめなくちゃいけなかったんだ。」
さらに、徹夜でエロゲと馬鹿にしていたのに、まさかの某有名ゲーム企業の専属?テスターであることを宣ったので、今まで侮蔑していた訳が分からなくなるという自体に発展。
今までは徹夜でエロゲをして2大女神の1人である香織に世話を焼かれてもただそうとしないから侮蔑していたのに、実はテスターとしてのバイトで忙しく、徹夜をするハメに。しかも、別の観点から見たら将来の就職先が決まっているが故の余裕とも取れるので、南雲のことを知らずに侮蔑していた自分が馬鹿らしくなったのだ。未だに侮蔑している者もいるが。
後に香織から教えられたのだが、香織が南雲に挨拶をしたら連盟外の生徒らが殺気を南雲に放ち始めたのを読み取ったのでいっその事色々とバラして殺気を緩和しようと思い、南雲にオタク話をかけたそうだ。
「だから寝不足でさ。慎一達も────」
「香織、また彼の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
南雲が話しているのを口を挟んだのは勇者(笑)である天之河と脳筋の坂上である。
雫は後方で額に手を置いて溜息を吐いていた。
((何処が世話を焼いてるんだ?!どっからどう見ても白崎さんは南雲にほの字だろう?!坂上も坂上でやる気ないって……仕事疲れに何言ってんだよ!!))
連盟はもちろん今まで侮蔑していた連盟外の生徒らの1部で気づいた奴も心が重なった。
「あぁ、おはよう。八重樫さん、天之河くん、坂上くん。仕方ないよ、最近競争率が上がってるんだから。」
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」
光輝がハジメに忠告する。光輝の目にはやはり、ハジメは香織の厚意を無下にする不真面目な生徒として映っているようだ。
「馬鹿を申すでないぞ光輝。南雲のバイト先とライバル社の競争率が上がり忙しいと南雲は申したというのにお主はそれが分かっているなら直すべきだと申すか。競争率をどうやって直すのじゃ?申してみぃ。そもそもの話し、そんなことをしたら1発で営業妨害として起訴されるぞ?それに……」
「?天之河くん、なに言ってるの?私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」
香織が南雲にほの字であることに気づいてない男子が南雲を呪い殺さんばかりの殺気を放ち、檜山達四人組に至っては昼休みに南雲を連れて行く場所の検討を始めている。
が、ほんの一瞬だけちびる程の威圧が放たれて静まる。
「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」
どうやら光輝の中で香織の発言は南雲に気を遣ったと解釈されたようだ。
どれだけご都合主義なのだろうか。此奴は。
そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り雷王の先公が教室に入ってきた。教室の空気のおかしさには慣れてしまったのか何事もないように朝の連絡事項を伝える。そして、仕事疲れの南雲が夢の世界に旅立ち、当然のように授業が開始された。
そんなハジメを見て香織が微笑み、雫はある意味大物ねと苦笑いし、1部男子達は舌打ちを、女子達は呆れの視線を向けるのだった。
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昼食の時間となり、オタク共が南雲の席の周りに集まる。というより、周りの机を除けて広くし、風呂敷を大きく広げ各自でマイ箸とマイ皿を用意する。
そこに涼愛と白音、連盟メンバーが座っていく。そして、涼愛が縦横30計900平方×10段の重箱をも出して広げる。
そう、連盟メンバーは当番制で場所取りをしており、1人700円払うことで涼愛特性の弁当が食えるのだ。
因みに払う金の量が多いほど中身が豪華になっていったり、要望道理の品を入れてもらえたりするシステムでもある。
喧騒で目が覚めたであろう南雲も直ぐに風呂敷内に座ってから食べ始める。1クラス合同勉強会の時に連盟メンバーは涼愛の作った料理の味が美味く、それ以来虜なのである。
教室内は購買組が既に飛び出していったので人数が減っており、それでも儂らの所属するクラスは弁当組が多いので三分の二くらいの生徒が残っており、それに加えて四時間目の社会科教師である畑山愛子先生(二十五歳)が教壇で数人の生徒と談笑していた。
「おおっと、なくなる前に来れてよかった。」
教室に雷王の先公が入って迷うこと無く連盟のいるもとに来て儂を持ち上げてから座禅を組んで儂を膝上に座らせる。そう、900平方が10段の重箱なのは雷王の先公も一緒に食べるからである。
そうしていたら、
「皆珍しいね、教室でお弁当食べてるの。一緒に食べてもいいかな?」
「うむ、余は一向に構わんぞ。」
教員が許可を出したので香織も風呂敷内に座って自分の弁当を食べ始める。
「南雲くん、良かったら私が作ったの食べる?」
「ん?いいの?ならいた「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝を一瞬睨んだが直ぐにキョトンとした香織。天然なのだが、中学の時に邪魔をしないよう忠告したのにバリバリに邪魔をする天之河に嫌味が指している彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも効果がないようだ。
「え?なんで天之河くんの許しがいるの?」
素?で聞き返す香織に思わず連盟メンバーの内数人が「ブフッ」と吹き出した。
「それは───」
天之河が香織の問いに答えようとしたが空気が凍ったせいで出来なくなった。
原因は天之河の足元で純白に光り輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。
その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。
自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆!教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。
数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子に、食べかけのまま開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。ただ、重箱と風呂敷も無くなっていた。
「チーすっ。涼愛の弁当食いに来………………あり?どこ行った?」
他のクラスで今の今まで教員に押し付けられた仕事をして終えたから昼飯を食いに来たが誰もおらず昼飯抜きとなってショックを受けるYであった。
因みに他の