白き英雄   作:蕾琉&昇華

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新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


昇華です。
今回は話の間の話でアイリとシオンを中心に回っています。アイリのスピンオフ的な話です。

次からは新王国編が終わり七竜騎聖編に移って行きます。オリ主をどうするかは決まってません。

それでは本編をどうぞ。


9.5話 スピンオフ・アイリ

 シオン・オルバートの朝は速い。

 日が登る前に起き、同室のクルルシファーを起こさないようにそっと部屋を出る。

 それから食堂でトーストとスクランブルエッグをさっとつくり食べる。

 太陽が学園を照らし始める頃には訓練所で体力トレーニングや機竜の操作だったりを行っている。

 そして他の生徒達が起きてきた頃には教室で依頼の確認をしている。

 その後学園で他の生徒達と同じ授業を受け、終わり次第依頼をこなして行く。その速度はルクスと比べても速く、彼の体を心配するものはいた。

 そして今日......

 

「シオン兄さん。今日は雑用禁止です」

 

 シオンを兄と慕うアイリ・アーカディアが自身の兄の為に雑用を行うシオンの前に立ちそう言った。

 

「え?」

 

「この頃シオン兄さんは働きすぎです。なので今日は休んでもらいます」

 

 突然のことで動けないシオンの手を取り寮の方へと向かう。

 

「アイリちゃん......? いきなりどうしたの?」

 

「本来雑用をしなくていいシオン兄さんが私や兄さんの為に必要以上に雑用をしているのを見ているといたたまれなくなるので」

 

「あ......ごめん......」

 

「いえ......謝るようなことではないんですが......」

 

 気まずい雰囲気となった二人は無言になり、寮へと向かった。

 

 

 シオン兄さんの雑用を禁止させるまではできたものの、その後を考えていなかった。顔には出さないものの私は焦っていた。

 シオン兄さんの部屋で無言のまま時間が過ぎていた時、ボソッとシオン兄さんが呟いた言葉に私は食いついた。

 

「んー、小物でも買いに行くか......?」

 

「! シオン兄さん、街に買い物に行きませんか!?」

 

「わっ!? いきなりどうしたの?」

 

「い、いえ、全竜戦の為に明日からいかないといけませんし、ちょうどいいと思ったので」

 

 思わぬ言葉に食いついてしまったことに赤面しながら私は座っていたベッドから立ち上がり、シオン兄さんの手を握る。感じる暖かさに赤くしていた顔をさらに赤くしながら。

 

「シオン兄さん、街に買い物に行きましょう」

 

「え? いいけど......」

 

 内心ガッツポーズを取った私だが、そこであることに気がつく。これは〈デート〉ではないかと......そう思った瞬間顔が熱くなり、耳まで熱くなる。

 

「じゃあ行こうか......? アイリちゃん?」

 

「ひゃっ!? わ、わかりました」

 

 デートだと意識しはじめた時からずっと心臓がばくばくと早鐘を打っている。

 

「......? どうしたの?」

 

「だっ、大丈夫です!」

 

 顔を思わずそらしてしまう。

 シオン兄さんも苦笑し、そっと私の手を取り、

 

「なら早く行った方がいいね......長く回れるし」

 

 ほんのりと頬を赤くしながらそう言うシオン兄さんに心臓がとくんと脈を打つ。

 

「は、はい!」

 

 嬉しさのあまり声が大きくなってしまい、恥ずかしくて赤面してしまうがシオン兄さんは苦笑をこぼすものの、特に何も言わず街に連れていってくれた。

 

 

 アイリちゃんと一緒に街に出た俺は雑貨屋や本屋によってお互いに必要なものや欲しいものを見ていき、学園を出て三時間。

 昼から街に出ていた俺達は昼御飯を食べておらず、横からぐぅ~とお腹が鳴るのを聞いてそれを思い出す。

 

「そう言えば、何も食べて無かったね......何か買ってこようか?」

 

「はい......お願いします......///」

 

 恥ずかしそうに顔を両手で覆うアイリちゃんに苦笑しながら俺は近場にある飲食店を思い出す。

 そしてクレープを売っている露店があったことを思いだしそこに歩いて向かう。

 近くの噴水の側で待ってもらい、俺はクレープを売っている露店に向かった。

 

目線は変わって(視点変更)

 

 噴水の側でシオン兄さんを待つ私はふと、リエス島で起きた、実際には第三遺跡(アーク)で起きたシオン兄さんの異変を思い出す。

 今までは好戦的だったりと少し戦いを楽しんでいるところはあったものの先日の私を助けるため--だと思いたい--にドバル伯爵の私兵と戦った時、シオン兄さんは殺すことを楽しんでいた気がするのだ。

 幼い頃、アーカディア帝国に来ていた時も兄さん以外の兄に噛みつき、帝国の兵士とも訓練をしていた頃から戦いを好んでいるのはわかっていたが、人を殺すようなことは決してしなかったのに、それこそクーデターの時だって機竜と機攻殻剣を破壊するだけだったのに......

 

「アイリちゃん......? クレープ買ってきたよ?」

 

「あ、ありがとうございます......」

 

 シオン兄さんのことを家族としてではなく、異性として意識している自分はいると認識しているもののシオン兄さんに恐怖の感情を抱いている私もいる。

 クレープを受け取った時に見たシオン兄さんの緋色に変わった瞳の奥には憎悪のようなものを感じて、思わず怯えてしまう。

 シオン兄さんは私が怯えているのに気がついているのかいないのか少し距離をとってクレープを食べている。

 私もシオン兄さんから受け取ったクレープを食べる。

 

「アイリちゃん......どうかした?」

 

「い、いえ......」

 

 ちらちらとシオン兄さんを見ていると視線に気がついたのかクレープから口を放し私の側に来て隣に座る。

 

第三遺跡(アーク)から何か気にしてるみたいだったから......何があったの?」

 

「大丈夫ですよ......そんなに気にしてるように見えますか?」

 

 微笑を浮かべながらそう言うと、そうと言ってシオン兄さんは食べるのを再開させる。

 お互いに話すことなくクレープを食べ終わり、次に私にアクセサリーを買いたいとシオン兄さんに連れられてアクセサリーショップに行った。

 そこで私に渡すアクセサリーを選ぶと言って店の奥へと行った。しかし私も貰うだけではと思い少し物色していると綺麗な銀色の髪止めが目に留まった。それはシオン兄さんの髪色を思い出させるもので、定員に値段を聞き購入する。

 髪止めを購入して数分後に店の奥から手に収まるぐらいの箱を持ったシオン兄さんが戻ってきた。

 

「ごめんね、遅くなっちゃった」

 

「大丈夫ですよ、私も気になるものがあったので」

 

「ならよかった......ブローチを作って貰ったんだ。アクセサリーあんまり持ってないみたいだったから......いらないお節介かな?」

 

「い、いえ! 嬉しいです」

 

 手渡された箱のなかには私の手のひらに収まるほどの紫水晶(アメジスト)を使ったネックレスが入っていて、それを取り出し着けようとしてみるがうまくつけることができない。

 するとそっとシオン兄さんが私の手を取りネックレスをつけてくれた。私の胸元で紫水晶(アメジスト)が輝き、それを見て嬉しそうに笑うシオン兄さんを見るといつも通りに見える。

 

「そうでした、私もシオン兄さんに渡したいものがありました」

 

 そう言って恥ずかしいものの背伸びをしてシオン兄さんの少し伸びた髪に髪止めを刺す。

 

「髪の色とあわせてみました......伸びているようだったので」

 

「ぁ......全く気にしてなかった......ありがとう」

 

 さっきよりもさらに嬉しそうに笑うシオン兄さんはそっと髪止めを触り、私の頭をポンポンと撫でる。

 子供扱いされているのに嬉しくて、頬を朱に染めながらうつむく。恥ずかしくて顔をあわせられない。

 

「ありがとう、アイリちゃん」

 

 再度ありがとうと言い、笑うシオン兄さんに私の頬も緩み笑顔になる。

 その後少ししてから店を出た頃には日も落ち始めていて、シオン兄さんの提案で学園に戻ることにした。

 私は買い物に来るときに感じていた恐怖等はすっかり忘れてしまい、横を歩いて帰路についた。

 

 

 学園に戻る途中、少しした路地に入った時、そっとアイリの前を遮るようにシオンは手を出した。

 立ち止まった二人の前に口を布で隠した暗殺者風の男が二人、後ろから二人現れた。

 そっとシオンは腰の機攻殻剣を引き抜き、油断しているような男の喉に恐ろしい速度で投擲しその息の根を止めた。その行為に横で息をのむアイリがいたがそれを気にしている様子はなく、喉を貫かれて絶命した男に近づき嬉々として首に突き刺さった機攻殻剣を引き抜き男を蹴り飛ばす。

 いきなりの行動に動けなかった他の暗殺者風の男も現状を理解し、シオンとアイリを殺さんと手に持ったナイフを振り上げるがシオンの隣にいた男は手首を切断され、胸に鋭い回し蹴りを受けて沈む。残りの二人がアイリを狙ってナイフを振り下ろすが辛うじてそれを避ける。

 アイリが避けたことで開けた斜線をナイフと機攻殻剣が飛ぶ。ナイフは頭を砕き、機攻殻剣は胸に突き刺さり激痛に男が悶えている間にシオンは男のそばまで近寄り突き刺さっていた機攻殻剣を引き抜く。そして首を機攻殻剣で飛ばして残りの男の方を向く。

 ゆっくりとした足取りで一人となった暗殺者風の男に迫るシオンに恐怖を感じているのだろう、這いずるようにしてシオンから遠ざかろうとする男だったが、その手に突如として機攻殻剣が生えたことによって距離を取ることができなくなる。

 

「誰から襲うように依頼された?」

 

 シオンのそこまで大きくないものの、威圧感とその人外じみた力に恐れた男は顔を涙などでぐちゃぐちゃにしながら声を絞り出す。

 

「ひっ、ヒィッ!? ぎ、銀髪の女に!」

 

「そう、じゃあもういいよ」

 

 スパッと音が聞こえるほどに速く首を斬ったシオンは機攻殻剣を一振りし血を拭うと剣帯にさし、アイリの方を向く。頬には返り血がつき、紫がかった白髪は鮮血で赤く染まっている。

 

「銀髪、ね......裏切者の一族(・・・・・・)が......まだいたんだね」

 

 蒼色の瞳は光を失い、緋色の瞳が爛々と輝く。本能的な恐怖を感じたアイリは逃げようとするが足がガクガクと震え、ペタンとへたりこんでしまう。

 

「シオン、兄さん......?」

 

「......俺はシオンだけども、裏切者の一族の兄になった覚えはない......」

 

 煌めく機攻殻剣の刃身がアイリに迫り、アイリの顔が恐怖の色に染まりその首を刃が通ろうとしたとき、間に藍色の衣が入り込み純白の刃と藍色の刃が火花を散らしながら接触する。

 

「アイリ様、お逃げください。お兄様はおかしくなっていらっしゃるので」

 

「俺はおかしくなんてないぞ? 東の国の戦士。裏切者の一族は殺さなければいけない」

 

「あら、私のこともお忘れですか?」

 

 機攻殻剣を振るい火花を撒き散らしながら打ち合う二人は真剣そのもので、その間にアイリは路地から抜け出し胸元で輝くネックレスを握りしめ学園の寮に向かって走る。

 信頼する兄に敬愛する兄を止めてもらうために。

 

 

 それからルクス達に起きたことを伝え襲われた路地に向かったがそこには壁に寄りかかって座りこみ剣帯に指された機攻殻剣を握って眠っているシオンが見つかった。

 近くには藍色の布切れと暗殺者風の男達の死体があり、辺りには鮮血が飛び散っていたことからここで暗殺者風の男達は死んだのだろうと考えられた。シオン自体には外傷はなく学園まで運ばれその後目を覚ましたが記憶はないとのこと。

 アイリ曰く豹変したシオンが男達を殺害しアイリも殺そうとしたときに藍色の衣装を身に纏った少女が現れ助けてくれたとのこと。

 いろいろと謎は残ったものの一週間後には全竜戦があると言うこともあり、結局詳しくは調べられなかった。

 

「----皇女様、奴はすでに覚醒している模様。ならばこちら側に引き入れるべきなのでは? 奴は元はと言えば裏切られた者なのですから」

 

「ふん、言われずとも引き入れるつもりだ。裏切者の一族への恨みは体に染み付いているはずだ。きっかけさえあればこちらにつくはずだ」

 

「ちゃんと考えられていましたか......さしでがましい真似をしてしまい、申し訳ありません」

 

 憲兵が路地を調べているのを闇夜に紛れて屋根の上から見下ろすフードを被った青年と少女は会話をしていたがそこには絶対的な上下関係が見えた。

 

 

 ----ここは?

 

『お前の思考の中だ』

 

 シオンは気絶している間、思考空間の中でふんわりと水にプカプカと浮いているような感覚の中どこだと考えていると、自分の声と全く同じ音の声が聞こえた。

 

 ----誰だ?

 

『俺はシオン・エクスファー。エーリルの従者だ』

 

 ----身に覚えのない記憶の持ち主か......

 

『この体は俺の物だ。今もなお裏切者の一族が生きているのであれば殺さなければならない』

 

 ----裏切者の一族? 一体なんのことを言っている?

 

『お前の記憶の中ではアーカディアの名を持つ者達、エーリル達を裏切った恩知らずの屑のことだ』

 

 ----エクスファー。俺はルクス達に救ってもらった。だからお前に体を渡すことはしない

 

『そうか、いずれ俺に主導権が移るにも関わらず抵抗すると......』

 

 ----ああ、だから黙ってもらおうか

 

 意識の中に存在する俺以外の思考を弾き出す。

 その結果意識が朦朧とし、へたりこんでしまう。

 機攻殻剣を握り壁に寄りかかったところで俺は意識を手放した。

 




いかがでしたでしょうか。

今回は五千字ぐらいと少ない字数でしたが楽しめていただけたでしょうか?



ここでは少しこの話で出たものだったりについての補足をしようと思います。



 紫水晶(アメジスト)のネックレス

 アイリとシオンの接点を作りたいだけだったのですがちょうどよくオリ主のイメージカラーの一つの色にあう宝石があったので使わせていただきました。
 宝石言葉を調べればちゃんとした理由もわかるかと、アイリは宝石言葉についてはわかっています。

 銀色の髪止め

 上と同じで接点を作りたいだけ。一応は伏線的なところもあるがそこまで重要ではない。

 暗殺者風の男達

 シオン君にはおかしくなってもらうためのきっかけが必要でした。君たちの犠牲は無駄ではなかった。

 フードを被った青年と少女

 多分わかってるけど一応書く。
 青年はオリ主と原作主人公が追っているあいつ。適度に出てくる、昇華の方は個人的に好き。
 少女はオリ主を姉にとられた子。昇華の方は個人的に好きではないが機竜が気になる。まともだったらヒロインにも慣れそうと勝手に思っている。



 今後もオリジナル要素が出てきたらあとがきか前書きに書く予定。感想に質問を書いていただければそちらにも返答を返すつもりです。なので感想をください(懇願)

 これからキャラも増えてオリ主と絡ませるのが楽しくなってきました。感想評価等いただけると励みになります。
 それでは次回にまた
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