白き英雄   作:蕾琉&昇華

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こんにちは(?)昇華です、
私は文章制作が担当なんですが、更新が遅くなってしまうことがあるので、
先に謝罪させて頂きます、すいません。
それと、今回はクルルシファーのイベントが多いですが、メインヒロインはアイリです。
物語上そうなっただけです。
では、本編の始まりです


4.三章

 俺は逃げていた、およそ5分間、逃げ続けている、誰からと言うと少女達からだ、理由は少し前にさかのぼるが、レリィさんに呼ばれ学園長室に行ったのが、7分ほど前だ、そこでレリィさんが爆弾を落としたことが今俺が逃げている理由だ。

 

 

 

 時間は少し前にさかのぼる。俺とルクスはレリィさんに呼び出され、学園長室にいた。

 

「どうしたんですか? レリィさん」

 

 俺はそう聞くと待っていましたとばかりに、にこにことしながら、レリィさんは話し始める。

 

「ほら、貴方達はこの学園で唯一の男でしかも依頼を出せば受けてくれることもある、でも全員の依頼を受けられない、ならば、優先的に依頼を受けてもらえる権利でも作ろうかしら、と私はこんなものを作ったの、はい」

 

 レリィさんの独白ーーと言うか笑っていて全く悪気は無さそうなーーを聞いて、謎の紙を貰った、

 

「なんですか? これ」

 

 レリィさんに聞くと、

 

「それは、依頼優先権書類よ、それを手に入れた女子生徒の名前を書くと、その生徒の依頼を優先的に受ける必要があるのよ、いいわね早く逃げないと捕まるわよ」

 

 音が聞こえる、どたばたと言う走って来るような音が、

 

「あぁ、機竜は使用禁止ね、十二時まで逃げきれたら、貴方達の勝ちよ」

 

 そう言われる前に走り出す、ルクスは意味がわかっていないらしいが、構っている暇はない、素早く窓を開け三階から飛び降りる、すぐにパラシュートが開き、衝撃はほとんどなく着地する。上では、ルクスが捕まったようだ、

 

「あっ! いたわよー!」

 

 すぐに見つかった、ヤバいな、後三十分は逃げ続けないといけない。

 

 

 

 二十分ほどたっただろうか、今俺は自分の部屋にいる、さすがに寮の部屋にいるとは思わないだろう、と思い、隠れている。しかし、予想外のことは起こるものだと言うことを忘れていた。

 

「ふう、疲れたわね」

 

 そう言って、部屋に入って来たのは、相部屋相手のエインだった、何で!? そう思っていると制服を脱ぎ始めた、エインが着ていた下着は髪の色と同じ薄い水色で印象とあっていて、...なんて考えていたら、

 

「? 何でシオン君の荷物が出ているのかしら?」

 

エインは荷物を入れるために俺の隠れているベッドの下を覗きこみーー下着のままでだーーと俺と目があった、

 

「その、なんだ...すまない」

 

 前にもあったような状況にはならなかったが、なんとも気まずい、

 

「えっと、とりあえず後ろ向いてくれないかしら?」

 

 俺は速攻で後ろを向く、時計はもうそろそろ、十二時になる。

 

「いいわよ、それじゃあ弁解を聞こうじゃないかしら」

 

 エインが言って来たので、争奪戦の話をすると、エインは納得したようにうなずき、

 

「じゃあ、その書類とやらを見せてくれる?」

 

 エインがそう言うと、時計から十二時を告げる音がなる、争奪戦は終わったようなので、エインにその書類を渡す、

 

「ふーん、これが、その書類ね」

 

 エインが含みのある表情をしていると、扉が激しく開けられ女子生徒が数名入って来た、

 

「クルルシファーさんが今回の勝者になったわー!」

 

 疑問が浮かぶ、もう争奪戦は終わった筈だが、そう、思っていると先ほどより大きな鐘の音が耳に入って来る。

 

「ふふふ、シオン君のそういう甘いところは変えた方がいいわよ」

 

 やられた、おそらくは時計を先に弄っていたのだろう、してやられたことに気付いたが、苦笑しつつ、エインの依頼が優先的に通るようになった。

 

 

*

 

 

 争奪戦が終わり、午後の訓練を終え、軽くシャワーを使わせてもらい、寮の部屋に戻る、部屋にはエインがすでにいた。

 

「お帰り、シオン君」

 

「ああ、ただいま?」

 

 エインはにこにこと笑みを浮かべている、それを見ながら、ベッドに座り、エインを見据える。

 

「どうしたのかしら? じろじろと見て」

 

 なんてからかって来たので、久しぶりに反撃をする。

 

「そうか? 彼女をじろじろと見て何か悪いか?」

 

 すると、エインの顔は真っ赤になり、うつむいて、顔を反らす。

 

「なんだか恥ずかしくなってきたわ」

 

 こんな風にお互いに恥ずかしくなるような会話をするがこれがエインからの依頼なのだ、内容は、今度私の動向を見に来る時に、見に来た執事を騙すために、今から恋人の振りをしておいて欲しいと言う依頼だった。

 こんな風な、生活を少しでも送れると思うと、少し楽しみに思っている自分に驚きつつ、

 

「まぁ、依頼はこなすから、大丈夫だ、それじゃあお休み」

 

「ふふっ、ええ、お休みなさい」

 

 そう言ってベッドに入り、寝る。

 

 

*

 

 

 翌日、朝の日課を終え、エインと共に学園に向かう、道中はエインが俺の腕に腕を絡め、少し歩き難かったが、そうとは言わない、教室に入ると、エインは腕を放し、自分の席に向かう、俺はルクスに挨拶をしに行くがルクスはリーズシャルテに捕まっていた。

 おそらくは昨日の争奪戦でリーズシャルテに捕まったのだろう。

 

「おはようルクス、それにリーズシャルテも、ルクスはリーズシャルテだったか、頑張れよ」

 

「おはようシオン、うんそっちも頑張ってね」

 

 挨拶を交わし自分の席に戻る。

 

「ねえ、教科書見せてくれない?」

 

「ああ、わかった」

 

 俺は2つ持って来ておいた教科書の一つをエインに貸す、するとエインは残念そうな、それでいて楽しそうな、そんな表情で受け取り、

 

「一緒に見たいって意味だったんだけども、嫌かしら?」

 

 うまく、路線修正をしてきた、まぁ、本来断る理由もないのだが、

 

「2つ、教科書あるし、二人で一つの教科書を見るのは見にくいからな、それぞれでよくないか?」

 

 それっぽい理由をつけて一緒に見る、と言う事を諦めさせようとするが、

 

「あら、恋人なのに、一緒に見たい、なんて思っちゃいけないかしら?」

 

 抵抗不能、それを言われると、反撃出来ないのをわかって言っているようで、笑みを浮かべている表情のままこちらを見てくる、

 

「わかった、一緒に見ようか」

 

 結果、俺が折れる事になったが、エインは嬉しそうに笑いながら、教科書を読んでいる。こうした、時々出る、可愛らしい素のエインを見ていると、少しドキッとしてしまう、そんな自分に苦笑してしまうのだが、それを表には出さず、エインと教科書を見る。そうして、今日は過ぎて行く、はずだった。

 

 

 授業も終わり、俺が訓練場に行こうと支度を整えていると、エインが荷物を持って俺のところに来ると、

 

「ねえ、今日は一緒に行って欲しいところがあるんだけど、いいかしら?」

 

 これは依頼だと言うことだ、俺は訓練をしなければ時間は余る事を知っている故の依頼だろう、

 

「わかった、少し待ってくれ、準備を済ませる」

 

 そう、断りを入れ、荷物をまとめ、訓練場使用をキャンセルするための書類を書き、

 

「学園長に出して来る」

 

 そう言って荷物を持ち、学園長室に向かう、エインは何が面白いのか、にこにことずっと笑っている。

 

「失礼します、学園長、訓練場使用の断りの書類を出しに来ました」

 

「あら、シオン君にクルルシファーちゃん、こんなところまで一緒なんて、ラブラブね」

 

 からかいを入れつつ、書類を受け取りサインをしてもらう。

 

「後、明日の分の使用も無効にしてもらっていいです」

 

 そう言って、俺は学園長室を出る。

 

「ありがとう、じゃあ今日は少し何かを食べに行きましょうか」

 

 その時に見せた笑みがーーおそらくは素が出たのだろうがーー見たことのないほど、可愛らしく、思わず赤面してしまった。

 

 

*

 

 

「今日は一緒に服を買いに行きましょうか、貴方、礼服なんて持ってないでしょう?」

 

 今日は休みだが、エインがそう言った。

 

「わかった、と言うことは街に行くんだな?」

 

「ええ、そうね、前に言った通り今日、彼女が来るから、街で会うかもしれないわね、注意しないとね」

 

 会話が終わると俺は必要最小限の荷物とソードデバイスを二本持ち、エインの準備が終わるのを待つ。

 

「待ってくれていたの? ありがとう」

 

 エインがそう言うが、うなずくだけで、玄関に向かう、エインはなんとも言えないような表情で後ろから歩いて来る。

 

 

 街まで行った俺とエインは少し高級そうな衣服店に入り、エインのセンスで選んでもらった礼服を着る。

 その礼服は漆黒の上下に黒いネクタイ、そして黒い靴、全身真っ黒だが、俺の元からの薄紫がかかった白髪と対象的な服でピシッとした執事のような印象をーー自分でそう思っただけだがーー受けた。

 

「やっぱり似合うわね、格好いいわよ」

 

 エインがそう言い、彼女の財布を取り出す。

 

「さすがに自分の礼服なんだ、自分で払うよ」

 

 そう言い、会計を自分の財布から出して、終わらせる。

 

「以外と男前なのね、顔は、可愛らしいのに」

 

「顔がどうこうは関係ないだろ」

 

 そんな会話をしつつ、学園に帰る道を通っていると、不意に視線を感じた。

 

「エイン、礼服を持っていてくれ」

 

 エインに礼服を強引に渡し、ソードデバイスに少し触れ、〈ジャバウォッグ〉を神経操作だけで呼び出し、一部だけ接続する。

 それを見て焦ったのか、〈ドレイク〉が複数現れる、すでにブレスガンを構えている、さすがにここで戦うことはきつい、逃がしてくれるか、わからないがエインを抱え、一気に逃げる、ドレイク達は追いかけて来る、しかし俺の〈ジャバウォッグ〉にはとある機竜の反応がある、うまく逃げて、彼女達に倒してもらうのが、良いだろう。

 

「エイン、このまま逃げる、彼女達がいるから、そこまで牽引する」

 

 そう言い、エインを抱えたまま、近くの広い場所まで逃げる、彼女達はその近くまで来ている。後ろの〈ドレイク〉はしびれを切らしたのか、ワイヤーテイルを投げて来る、それを避けつつ、広い場所に逃げ込む。

 

「はぁ、はぁ、手こずらせやがって、まあいい、機竜を解除しろ」

 

 そうリーダー格の男が言うが、後ろに白と黒の奇妙な機竜が現れる、リーダー格の男は影に隠れたことに気付き、後ろを向くが、大型のブレードの一撃をフォースコアに受け、ダウンする。

 

「ふぅ、お前達がどこかに行くから後を着けてみれば、何をしたんだ?」

 

 奇妙な機竜を纏ったリーズシャルテが油断していると、リーダー格の男は装甲を解除し、ナイフを持って近くを通っていた、女性を人質に取ろうとしたのか、女性に向けて走って行った、リーズシャルテが気付き助けようとするが、

 

「この街は治安がよくないようですね」

 

 その女性は腰にさしていたソードデバイスを使い、ナイフを弾き飛ばし、リーダー格の男を組強いていた。

 

「あら、アルテリーゼ早いのね、今回は私もしっかりとパートナーを連れて来たのよ」

 

 少し険悪な雰囲気が場を支配しつつ、アルテリーゼさんが持ちかけて来た話をすることになり、俺達は近くのカフェに行くことになった。

 

 

 

「それで、その男性がお相手ですか、今回は本当でしょうね?」

 

 アルテリーゼと再度名乗った彼女はエインの家で執事をしているらしく、今回はエインの目的の一つ婚約について確認しに来たそうだ、俺はエインに正体がバレたその日の夜、俺にエインがこの学園に来た理由の一つである、婚約についての話をしてきた。

 

『私がこの学園に来た理由は黒き英雄と白き英雄を探す事と、婚約相手を見つけることだったわ、相手はある程度大きな貴族だったらどこでもいいとか』

 

 そんな事を俺に言って来たのはこんなときの為だったのかは、わからないが。

 

「アルテリーゼさん、クルルシファーさんの恋人で亡国オルバートの第一王子だった、シオン・オルバートです。お見知りおきを」

 

 アルテリーゼさんに挨拶をする、

 

「はぁ、亡国の王子と、しかし、クルルシファーに強引に恋人にさせられたのでは? それに、今回は......」

 

 なんて、アルテリーゼさんがぶつぶつと何かを言っていると、

 

「おや? これはアルテリーゼ殿、こんなところで出会うとは、それにクルルシファーではないか?」

 

 ずかずかと近付いて来たのは、自己主張の強い赤や、金色の多い服装のどこかの貴族だと思われる、男だった。

 

「これは、バルゼリッド殿、正式な婚約は明日の筈、どうされたのですか?」

 

「いや、俺の未来の妻を一目見ておきたくてな、やはり噂通りの美しさだ、我が未来の妻よ」

 

 それを見てエインはしてやられた、と思ったようだ、おそらくはアルテリーゼさんが先に婚約をして欲しいと、バルゼリッドとやらに先に言っておいたのだろう。

 

「でもアルテリーゼ、私にはもう決めたシオン君がいるのよ」

 

 そうエインが反論すると、

 

「そこの女のような男がいいだと? 所詮は亡国の王子だろう、私の方がいいと思うが?我が未来の妻よ」

 

 バルゼリッドがそう言い、エインに近付いて来るがエインはそれを受け流す、このタイミングで俺は口を開く、

 

「そうか、女のような男か、それがどうした? 見た目で相手を図るなんて、強がっているだけの奴がすることだぞ?」

 

 挑発をする、相手がこれに乗ってくれるか、どうかはわからないが乗ると確信している。

 

「ほう? 亡国の王子風情が吠えるではないか、ならば貴様はこの俺よりも強いと?」

 

 乗った、このまま話を決める。

 

「じゃあ、俺と戦って負けるわけないから、決闘をしてもいいよな?」

 

 相手の発言をうまく利用して決闘を組み込み、倒して、エインに害がないように持って行きたい。

 

「ふむ、しかし俺はいいが、一対一だと、意味がないだろう、俺とアルテリーゼ殿と貴様と未来の妻でどうだ?」

 

 そこまで馬鹿ではないらしい、頭も回るようだ。

 エインとアイコンタクトを取る、エインはいいらしい。

 

「ああ、それで良いだろう、俺達が勝ったら、婚約を破棄してもらおう」

 

「わかった、ならばこちらが勝ったら、未来の妻はもらって行こう」

 

 両者の同意の元、決闘は来週の夜になった。その間に遺跡(ルイン)の一つである箱庭(ガーデン)の探索があるからだ。様々な思惑が飛び交う中こうして、決闘が決まった。

 

 

 

「ごめんなさい、あんな決闘なんてさせる事になってしまって」

 

珍しくエインが謝って来た、以外と決闘について思うところがあるらしく、少し暗い雰囲気がある。

 

「何を謝っているんだ? 俺から言ったんだ、気にしなくていいさ、そんな事を気にするような奴だったのか? エイン」

 

 エインは俺にそう言われて、いつも通りのエインに戻った、こんなところでうじうじされたら、こちらが困ってしまう。

 

「ふふっ、ありがとう、貴方にこんなことを言われるなんて思わなかったけど」

 

 からかいを話しに入れれるぐらい、元に戻ったのだろう、

 

「ああ、俺もエインが彼女じゃなければ、こんな風に本気で心配しないだろうな、でも、元に戻ってよかったよ」

 

 俺が本心を言うと、エインは一気に顔が赤くなり、目を反らし、

 

「え、ええ、ありがとう、明日は箱庭の探索で早いから、もう寝ましょう」

 

「ああ、そうだな、それじゃあお休み」

 

 そうして、今日が終わって行った。

 

 

*

 

 

「皆! 今日は箱庭の探索だ! 箱庭の周りには大型の幻神獣のゴーレムがいる。これを討伐し、箱庭に入り、いつも通りに探索をして、撤退する、いいな!!」

 

 リーズシャルテの閧の声をあげ、箱庭に出発する、バルゼリッドを同行させてだ、なぜバルゼリッドが同行するようになったのかはわからないが、戦力に考えて行くようだ。何も起きなければいいが、まぁ、ルクスもいるし大丈夫だろう。

 

 

 あれがゴーレムか、見た目は人形に石や土塊が集まっているような、そんな姿だ、しかし大きさは、三十メートルはあるだろう、あれで殴られれば、一撃だろう。

 

「私が殺るわ、私には時間が無いの」

 

 俺がそんな風に観察をしていると、エインが飛び出し、ゴーレムに突っ込んで行く。

 

『大丈夫か? エイン』

 

 竜声でエインに直接聞くとエインは笑いながら、

 

『ええ、大丈夫よ、ゴーレムぐらいに遅れは取らない』

 

 エインはそう言いながら、ゴーレムの関節にフリージングカノンで凍結弾を撃ち込み、凍結させる、関節が凍結すると言うことは、ゴーレムは基本的に腕での振り回ししかせず、腕を封じるか、遠距離から攻撃するか、大体がこの2つのどちらかで戦う、エインは凍結弾で動きを封じ、確実に殺すために胸の部分を凍結させ貫通しやすくして、撃つ。

 ゴーレムは核を貫通されたのか、動きを止め、灰になっていく。

 

『全員、構えろ、幻神獣がいるぞ』

 

 竜声で全員に注意を促しつつ、俺は瞬時に〈ドレイク〉を解除し、白いソードデバイスを引き抜き、パスコードを唱え、〈ジャバウォッグ〉を纏い、遠距離用の特殊武装〈壊竜翼銃〉を構える。

 見えた幻神獣は真っ黒な体にギョロっとした真っ赤な目が特徴的な幻神獣は一匹しか知らない、名前はディアボロス。強力な幻神獣で一体で国を滅ぼせる、悪魔的な強さを持つ、そんな幻神獣だ、それがこちらに向かって来ている。

 シャァァァァッ!!

 するといきなり、前にいたノクトちゃんに向けて、恐ろしい速度で飛んで来る。

 

「ッ!! 世界喰(オムニスゲイル)!!」

 

 神装を発動させノクトちゃんと自分を入れ替え、ディアボロスと対峙する。

 自身の周りに神装を使い、擬似的な結界を作り出す。ディアボロスは結界に弾かれ、唸る。

 

『大丈夫か? 亡国の王子よ、手伝ってやろうか?』

 

 バルゼリッドがそんな風に挑発を入れて来るが無視し、ルクスに皆を守ってもらう。

 

「行くぞ、幻神獣」

 

 俺は神装を使い、ディアボロスに超重圧がかかる。

 

「助かるぞ、亡国の王子よ」

 

 バルゼリッドがそう言い、ハルバードを構える、しかし、ディアボロスはすでに重圧の範囲から抜け出し、エインを狙いに行った。

 しかし、エインの機竜は何故か暴走の予兆がでている。エインは神装の効果内なのでディアボロスごとこちらに転移させ、エインを守る。

 

「ッ!! シオン!!」

 

 エインが後ろで驚いているが、無視して、ディアボロスを弾き飛ばし、追撃しようとしたその時、

 

ガッ! ググガァァァァッ!!

 

 ディアボロスの胸にハルバードが刺さっておりそれが核まで達していたのか、体の端から灰になっていく中、ディアボロスの上半身が膨れ上がる。

 

「ッ!! 爆発かっ!」

 

 幻神獣の中には自爆するものがいて、ディアボロスはその一種だ。逃げないと、ディアボロスの爆発に巻き込まれる、そう思い神装を発動させ逃げようとすると、

 

「何で? 動いてっ!?」

 

 エインの神装機竜である〈ファフニール〉が動かず、暴走し始めている、今から神装で転移させようにも、一度俺の近くに転移させないと一緒に転移できない今からじゃ間に合わない。しかし、エインを見捨てる事もできない、俺はエインの前に転移し飛行意外のエネルギーを全て障壁に使いエインを守るように特大の障壁を発生させる。

 ディアボロスが自爆しその衝撃が俺の体を貫く、エインを守るために機竜ごと被さる。しかし、衝撃に耐えきれず、意識が遠退くが、意識が無くなる前に激しく箱庭が光った気がしたが、俺の意識は暗闇に沈んで行った。

 

 

*

 

 

「...オン、ねえ、シオン!」

 

「う、うう...こ、ここは?」

 

 俺は意識を取り戻し、周りを確認する。周りにはエインしか居らず特に危険は無さそうだ、

 

「エイン、大丈夫か? 痛むところはないか?」

 

 エインにそう聞くと、エインは泣きそうな表情で、

 

「何を言っているのっ! シオンが気絶したまま、目を覚まさなくて、すごく怖かったんだから、目を覚まさないかもって...」

 

 そう言いながら、エインの目頭から涙が溢れた、少しずつ、エインの声が上がって来る。

 

「お、おい? エイン? どうしてそんなに泣くんだ? 泣き止んでくれよ、どうしていいか、わからなくなる」

 

 エインは泣き止むことはなく、ダムが決壊したように涙が溢れ出て、泣き止んでくれない、俺はそんなエインを見て、エインの頭の後ろに手を回し、胸に抱く、

 

「泣きたいなら、思う存分泣いてくれ、だが、恋人ならこれぐらいはさせてくれ」

 

 エインは先ほどよりも激しく泣く、それをぎゅっと抱きしめる。

 

 

 それから少し時間が経ちエインが落ち着いて来ると、恥ずかしそうに顔を赤くしながら、

 

「ありがとう、それとごめんなさい、あんな危険なことをして」

 

 謝って来たが、俺はそんなエインの手を握り、

 

「俺はエインの恋人だ、どんな時でも、エインを守るし、幾らでも悲しみを受け止めよう」

 

 そうエインに言い、食事ーーと言っても携帯出来るような乾パンや、干し肉などを組み合わせた奴だからと言ってーーを渡す。

 

「ありがとう、貴方は? シオン」

 

「俺か? 俺はもう食べたよ」

 

 嘘だ、それはもうバレているだろう、だがエインは何も言わず、食事を受け取り食べ始める。

 

「明日は中央に行くのか? それとも、外に繋がる《ポータル》を目指すのか?」

 

 エインに聞くと、少し迷ったような表情をした後、

 

「中央に行くわ」

 

 そう言って食事を終えたのか、寝袋の中に入り、

 

「早く寝ましょう、幻神獣は出ないとはいえ、早く動く事に悪いことはないから」

 

 そう言い、エインは寝る、それに習って、俺も寝袋に入り、寝る。

 

 

「おはよう、起きたかしら?」

 

 エインが上から見下ろすようにして、俺を見ていた。

 

「ああ、おはよう」

 

 そう言い、俺は寝袋から出て、支度をして、食事を作り始める、エインも準備をしているのか、全く音がしない。

 食事が出来たのでエインを呼ぶつもりで後ろを見ると、エインが倒れていた。

 

「っ!! 大丈夫かっ! エイン!」

 

 素早く脈を確認し、熱があるのかでこを当て、高い熱があることがわかった。

 タオルを近くの水辺で冷やし、エインのでこに当て、熱を冷まそうとする。冷やし始めて少し経つとエインが目を覚まし、

 

「あら、どうしたの? シオン?」

 

「エイン! 起きたか、良かった、いきなり倒れたから驚いたぞ」

 

 そう言うと、エインは立ち上がろうとして、倒れそうになる。それを支えつつ、

 

「エイン、中央に行くのか?」

 

 そう聞くと、エインはうなずいた。

 

「わかった、だから無理をするな、エインに倒れられたら俺は普通じゃいられない」

 

 そう言い、エインを背中におぶり、荷物は肩にかけ中央の祭壇に向かう。

 

 

 

 祭壇に着くと、エインは歩いて、祭壇に近付くと、

 

[管理者を確認、第二階層のロックを解除します]

 

 無機質な何処かで聞いたことのある、そんな声が聞こえた、すると祭壇が真ん中から割れ、下への、階段が出てきた、

 

「大丈夫か? エイン、降りるときは気を付けろよ、肩を貸そうか?」

 

 そう言ってエインに肩を貸し下に降りて行く。第二階層は見たことのない壁に囲まれており、左右に〈ボックス〉と呼ばれる、古代遺物がある。

 それをエインは手をかざして、どんどんロックを開けて行く。中にある、書物を読み、次のボックスを開けて読む、を繰り返している、俺はそれの後を追う、少し時間が経ち奥まで行っていると、グラグラと揺れ、エインの上から岩などが降って来る。

 俺はエインを抱き抱え、奥の小部屋に飛び込む。

 

「大丈夫か? エイン」

 

 俺はエインの無事を確認しつつ、落ちて来た岩を見る、機竜をこんな狭いところで召喚するわけにも行かず、岩を壊すことは無理だと確信する。

 

「エイン、大丈夫か? 寒いなら、上着を貸すが?」

 

 今のままだと脱出する事は無理だ、せめてリーズシャルテ達が救出しに来てくれることを願うしかない、救出を待つためには、俺達が反応できるような状態であることは必須だ、熱を出しているエインの体を冷やさない為にも厚着をしてもらう必要がある、俺は自分の上着をエインに着させ、箱庭の第二階層の探索に行こうとする。

 

「待って、一人にしないで、お願い」

 

 エインが後ろからそう言って来た。俺は黙って後ろを向きうなずく。

 

 

 

「何も聞かないの?」

 

「エインが言いたくないなら言わなくていいさ、それに大体の予想はついている、それなりに勉強はしているからな」

 

 おそらくだが、エインは機竜やこの遺跡を作り出した古代人類の生き残りだろう。

 

「ごめんなさい、こんな風に巻き込んでしまって、貴方には少し恋人のふりをしてもらうだけのつもりだったのに」

 

 ごめんなさい、謝って来るエインに俺は自分の予想を言う。それを聞いたエインは驚きながらも、うなずく。

 

「ええ、私はユミル郷国の遺跡から発見され、今の家に引き取られたの」

 

 エインはそう言いながら、目を伏せる、

 

「私はこの世界の人間じゃないの、古代遺跡の人間なのよ」

 

 そう言い、話をやめる、何処かに居場所を求めるように、機竜を使い続け、しかし疎まれ、居場所がなくなって行った。それでエインのあの氷のような性格が出来たと思われる。

 

「私の為に、あのバルゼリッドとの決闘なんて破棄していいのよ、私の為に傷付かなくていいのよ」

 

 エインがそう言い、俺を付きはなそうとしてくる、

 

「そうか、エイン、俺がそんな軽い気持ちで恋人になったと思っているのか? 俺は自分の意志で恋人になった、エイン、お前は俺の恋人だ、恋人を見捨てるなんて、そんなこと出来るわけないだろう」

 

 俺はエインの手を握りしめ、宣言する。

 

「エイン、お前は俺の恋人だ、これは変わらない、そして俺が自分からあの男に決闘を申し込んだんだ。俺は逃げない」

 

 エインは目の前でそう言われ、照れているのか、顔を真っ赤にして、消え入りそうな声で、

 

「ありがとう、嬉しいわ」

 

 エインは俺の手を握り返して来る。そして少し時間が経ち、俺は遺跡を探索しに行こうと立ち上がると、上から砂が落ちて来た。思わず身構えると、天井が崩れ、ドリルを装着した半分半分の機竜を纏ったリーズシャルテがいた。

 

「おお、大丈夫か? シオン、それにクルルシファー」

 

「ああ、大丈夫だエインも無事だ、中央の祭壇が開いていてな、中に入れたんだが、途中で崩壊してな、機竜を呼び出すにも狭かったからな、助かったよ」

 

 リーズシャルテに助けてもらい、第二階層から出る。俺はジャバウォッグを纏った、あちこちがダメージを受けていたがすぐに直せそうだ、俺はエインを抱え、リーズシャルテ達に案内してもらい、箱庭から脱出する。

 エインの事は誰にも言わず、学園に帰る、俺達は箱庭に2日もいたらしい。




こんにちは(?)昇華です。
今回は二巻の時間軸を変え、箱庭探索を先にすると言う行動に出てみました。
時間軸を変えたので、お風呂イベント等は四章で出します。
では謝礼を、この小説を読んで頂きありがとうございます。
それでは、四章で会いましょう。
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