白き英雄   作:蕾琉&昇華

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やっと更新できました。
遅くなってすみません。
ちなみに今回はいつもより長いです。
それではどうぞ。


5.四章

俺はエインを抱え、箱庭から学園に帰っている。エインは何も言わず、ただうつむいて、顔を伏せているだけで、会話もなく、学園に飛んで行く。

 

「エイン、俺はエインが何であろうと俺はエインが好きだから、恋人になったんだ、エインが何だろうと俺の恋人だ、それだけだ」

 

そう言い、エインからの返答は聞かないように、速度を上げリーズシャルテ達に追い付き、学園に帰る。

 

 

 

「ふぅ、ようやく着いたな、長かった」

 

学園に着いた俺達はレリィさんに無事を報告した後解散し、俺はジャバウォッグを直しに、工房に向かった。ジャバウォッグはこちらの工房に移されたらしい。俺はジャバウォッグを見る、爆発の威力は凄まじく、ほぼ全部のエネルギーを使い障壁を張ったのにも関わらず、装甲の一部はへこみ、先端の装甲に至っては欠けたりしている始末だ。

 

「お前の機竜は凄いな、あの爆発を間近で受けて、欠けたりしているだけだ、特に強力な装甲じゃない、どんな事をしたんだ?普通大破でもまだいい方だぞ?」

 

リーズシャルテがジャバウォッグを見ながら俺に聞いて来た。リーズシャルテは整備士としても一流らしい。

 

「ああ、飛行意外のエネルギーを障壁に回したんだ、その分強力な障壁を張れたんだ、エインを守る為にも、な」

 

理由を話すと、驚いた表情でこちらを向き、またジャバウォッグを見てため息をついて、工具を手に持って、ジャバウォッグに向かって行く。

 

「おい、俺もやるぞ、ジャバウォッグは俺の機竜だからな」

 

そう言って工具を持ち、ジャバウォッグに向かって行くと、

 

「見つけましたよっ!シオン兄さんっ!ちょっと来てもらいますよっ!」

 

アイリちゃんに捕まった。

 

「いや、待ってくれせめてジャバウォッグを決闘の時にしっかりと戦えるぐらいには整備をさせてくれよ」

 

「いえ、すぐに来てもらいます、リーズシャルテ様、ジャバウォッグの整備よろしくお願いします、シオン兄さんは連れて行きますよ!」

 

そう言われ、泣く泣く工具を置き、アイリちゃんに連れて行かれる。

 

 

 

「さて、シオン兄さん、何か弁解はありますか?」

 

俺は今、俺の部屋でアイリちゃんに説教を受けている、何故かアイリちゃんは凄くご立腹なようで、俺は正座をさせられ、アイリちゃんは仁王立ちをして俺の前に立っている。

 

「いや、弁解と言うよりかは、箱庭の探索で俺達だけがイレギュラーで、リーズシャルテ達の予想外な事があった訳で、帰るのが遅れただけなんだが、その、心配かけてすまなかった」

 

俺は自分にあったことを言いつつ、アイリちゃんに謝って、俺はアイリちゃんを見ると、ため息を吐きつつ、

 

「もうっ!そう言われたら何も言えないじゃあないですか、私がどれだけ心配したと思っているんですか?」

 

アイリちゃんは、そう言いながらそこまで怒っているようではなく。

 

「ああ、すまない、心配させるつもりはなかったんだが」

 

アイリちゃんは少し迷いながら、何かを考えていたかと思うと、俺に抱きついて来た。

 

「もうっ、本当に悪かったって思っているんですか?」

 

そんなことを言ってくる、俺はアイリちゃんを抱き返し、頭を撫でてあげると、アイリちゃんは嬉しそうにしながら、抱きついている、そんなアイリちゃんを見ていると、やはり一人にはさせないと思いが強くなる。

 

「あら、お熱いのね、まだ私の恋人なのだけども」

 

そう言って来たのは、エインだった、機竜なども全てリーズシャルテに任せ部屋に戻って来たらしい、俺はアイリちゃんを放し、頭を撫でてから、エインに向き直った、

 

「大丈夫なのか?体は熱があったようだが?もう動いていいのか?」

 

エインは相当高い熱があった、まぁ戻って来ている時はもう下がっていたようだが、心配なので聞くと、

 

「ええ、貴方のおかげでね」

 

エインは話があるようで、アイリちゃんは察したのか、

 

「シオン兄さん、後で私の部屋に来てください、まだ話は終わっていませんよ」

 

そう言いながら部屋を出ていった。

 

「で?エイン、話はなんだ?」

 

エインに話を振りつつ、扉の外にいる雰囲気に気付く、おそらくはルクスだろう、手でエインを静止し、

 

「おい、外にいる奴誰だ?入って来ていいぞ」

 

そう言うと、レリィさんが入って来た。

 

「あら、バレていたの?じゃあ失礼して、今回の第二階層についてだけど」

 

レリィさんが来ていたのはそれが理由だったらしい、エインに向き直り、

 

「エイン、話していいか?」

 

そう言うと、エインはうなずき、レリィさんに向き直り、箱庭であったことを説明し始める、レリィさんはそれを聞きながら、時々メモをとっていたりした。

 

「じゃあ、クルルシファーちゃんは遺跡の生き残りで、遺跡をより深くまで探索するための鍵になるという訳ね」

 

「はい、そうですがエインの事も考えると、皆には言わず混乱を避ける必要があるかと、それにエインもここに居にくくなりますから」

 

エインが遺跡の生き残りだということは認めるが、エインを守る為にも、公表はしないでもらおうとする、勿論するつもりはないだろうが、

 

「わかったわ、公表はしないけど、バレるのは痛いから、あのベルベットが持っていた角笛が鍵になったとしておくわ」

 

レリィさんは角笛を取り出して見せてくれた、角笛は金色で謎の装飾をしてある特殊な物だと言うことがわかる。

 

「ありがとうございます、レリィ学園長それにシオンも」

 

エインは頭を下げ、礼を言ってくる。

今回の一件は俺とエイン、それとレリィさんだけの内密な話となった。

 

 

 

「さて、シオン兄さん、今回私がどれだけ心配したと思っているんですか?」

 

アイリちゃんは仁王立ちで俺の前に立っている。近くにはノクトちゃんもいる。

 

「ああ、2日も帰って来なかったのは、すまなかった」

 

俺はアイリちゃんに謝罪をするが、アイリちゃんはまだご立腹なようで、仁王立ちのまま、

 

「わかっていませんよね、私はそんなことで怒っている訳じゃないんです。私はシオン兄さんが無茶ばっかりして、自分の事を考えていないことに怒っているんです!わかりましたか?」

 

アイリちゃんはそんなことを怒っていたらしい、

 

「そんなことを怒っていたのか?」

 

「勿論です!そんなことってそんなことで死んでしまう事もあるんですよっ!絶対に生きて帰って来るって言ったじゃないですか」

 

アイリちゃんは俺が無茶をして、自分の事を省みず行動することに怒っていたらしい。

 

「わかった、でも俺はエインを見捨てる事は出来ない、それは誰も死なせないということに反するから、ごめんな」

 

そう言って、俺はアイリちゃんの頭を撫でる。アイリちゃんは嬉しいのと戸惑いの半々の表情でこちらを上目遣いで見てくる。

 

「そう言われたら、何も言い返せないじゃないですか。わかって言ってますよね、ずるいと思います」

 

アイリちゃんは頭を撫でられながら、そんな風にジト目で、言ってくるがそれも可愛く、もっと頭を撫でる。

 

「貴方がたは、本当に仲が良いんですね...うらやましいです」

 

ノクトちゃんがそんなことを言っているので、ノクトちゃんの頭を撫でてあげる、ノクトちゃんは驚きながらも照れくさそうに頬を赤くして、されるがままに撫でられている。

 

「シオン兄さん、余り無茶はしないでくださいね、居なくなったら嫌ですから」

 

アイリちゃんにそんなことを言われてしまった、これは絶対に生きて帰って来ないとな、勿論更々死ぬつもりはないが。

 

 

*

 

 

箱庭から帰って来た翌日、俺はいつもと同じように学園に通い、授業を受けていた。

俺達は機竜演習の為、第一演習場にいた、担当のライグリィ教官が来るのを待っていると、少し遅れてライグリィ教官が男の機竜使いを連れてきた。

 

「皆、集まれ!今日、特別に王国軍の方に来ていただいた、各自しっかりと学ぶように、それでは解散!」

 

男の機竜使いは三人、細身で細長い見た目の男、筋骨粒々の大柄な男、そしてリーダー格の影のある男、それぞれが女子生徒を物色しているようで、女子生徒達は困惑している。俺はそんな様子を後ろで見ていると、リーダー格の男が、

 

「やはり、ここに来て正解だったな!女に甘い体制の新王国が主導している、学園の授業もやはり甘いな、ここは王国の軍の厳しさを教えてやらねばな」

 

そんなことを言っていた、嫌な予感がするが、エインもリーズシャルテもルクスも居ない今、どうにかしてあの帝国の思想に染まっている男達を追い出さないとな、さて、どうするか。

 

 

 

「ほらほら、どうした?この学園の生徒はこの程度なのか?もっと鍛えないとなぁ、軍に行ったりしてから持たねぇぜ」

 

男達は授業と称して、女子生徒達と一対一の模擬戦をしている、女性の方が基本的には機竜適性は圧倒的に高いが、男達は培ってきた技術と場数の違いを武器に女子生徒達を打ち落としている。

そして、今戦っていた真面目そうな女子生徒がブレードを弾かれ、隙を晒した体に男の上段から振り下ろしたブレードが迫る、それを俺は横から《ドレイク》で阻む、それを見た-周りで女子生徒を打ち緒として楽しんでいた-男達が集まって来た。

 

「何故、ここに男がいる?ここは女子だけの学園では?」

 

「いや、俺は只この学園に知人がいて、その知人に嵌められてこの学園に通わされている、只の男の生徒だよ。

新王国のしたっぱさん達、ここの生徒に軍の厳しさを教えてくれるんだろ?じゃあ俺にも教えてくれよ」

 

男達を挑発する、すると男達は顔色を変え、

 

「ほう?教えてもらう立場でその態度とは、まあいい、ならば我々も疲れているのでな、貴様はその機竜でいいか?いいなら、加重パーツを着けさせてもらうが」

 

そう言って来たので、俺は《ドレイク》を解除し《ジャバウォッグ》を呼ぶ。

 

「なるほど、神装機竜か、では加重パーツを着けさせてもらうぞ」

 

そういい、男達は機竜に加重パーツを限界までつけ、

 

「いいな、男達全員が接続を解除するか、貴様が接続を解除したら、負けだということでいいな、それじゃ飛んでみろ、まぁ、飛べるならだが...」

 

本来、この状態で飛翔するのは無理だ、誰もがそう思い、男達は薄ら笑いを浮かべ見ていた、しかし、背中の推進装置が起動し、ジャバウォッグが中に浮く。

それを見た女子生徒の反応は大きく二つに別れた。一つはこの状態で飛べているという事実だけを見て、歓声を上げている騎士団に入っていない一般の生徒達。

そして、もう一つはこの状態で飛べている技術に驚いている騎士団に入っているような特殊な生徒達、その二つが大半を占めている。

 

「おい、準備は出来ているぜ、早く始めないか?叩き潰してやるからよ」

 

男達は怒りを滲ませながら、武装を構え始める、それを見て俺は《激竜鋭爪》を構え男達を見据え、ライグリィ教官の開始の合図を待つ。

 

ティルファーside

「うーん、やっぱりシオっちはすごいなー、あの状態で飛翔するのはルクっちでもきついんじゃないかな?」

 

私はシオっちが飛んでいるのを見ながら、そう呟く、私達《三和音》はこの学園では自警団として活動して他の騎士団の団員より、強いという自信は、あったんだけどねー、お姫様やクルルシファーさん、フィルフィちゃんは前から強かったけど、それよりも強いルクっちやシオっちが来たからなのかなー、この頃は余り訓練も楽しく出来ないんだよねー。

 

「やっぱりシオン君はすごいですわね、あんな状態でも飛べるなんて、やはり才能でしょうか?」

 

隣に座っていた、他の騎士団の生徒がそんなことを言ってくる、うん、わかっている、私は才能がないと言うことが、多分、ルクっち達は才能があるからあんな風に戦える、そう思って割りきっていたんだけど、やっぱり悔しい。

 

「そうなのかな?じゃあシオっちに放課後に稽古つけてもらおうかな?」

 

そうしてもらおう、限界まで強くなれば、皆と一緒に戦えるかなーなんて思いながら、私はシオっちの戦いに目を向ける。

 

シオンside

「試合、開始!」

 

ライグリィ教官の合図に合わせて、俺は筋骨粒々の男が纏う《ワイアーム》に向かい飛んで行く、加重パーツのせいで速度は最大とは言えないが、それなりの速度で突撃する。

 

「へっ!その程度かよっ!甘いぜっ!」

 

筋骨粒々の男はブレードを上段に構え、突撃して来る、速度は相手の方が速い、こちらよりも速く攻撃し、火力で押しきるつもりらしい、こちらが近接武装だけだったらその選択は正しい、

俺は空いていた左装甲腕で《怪竜翼銃》を引き抜き、ワイアームに向けて撃つ。

ワイアームは唐突なこちらの行動に驚き足を止めてしまい、右装甲腕と右装甲脚に何発か着弾する。

空中にいるワイバーンは銃を構えつつ、動かない。

ドレイクは遠くの空中でライフルを構えつつ、動かない。

ワイアームはブレードを左装甲腕に持ちこちらを見ているが、先ほど着弾した部位が上手く動かせないらしい、それもそうだ怪竜翼銃の効果は着弾した部位のエネルギー伝達率を下げ、操作の為の電波を阻害する効果で、一定時間が立つとその効果は無くなるが、それでもこの状態が少しでも長引けばその隙は痛いものとなる。

 

「うん?軍の教官は機竜の基本的な操作をすることすら出来ないんですか?」

 

挑発をする。これでキレたりして冷静さを失ってくれれば御の字、俺は両手に怪竜翼銃を構えつつ、様子を伺う。

ワイアームを纏う男は怒りを滲ませながらも、無策で突撃して来る事はなく、硬直した状態が続く、動いたのはドレイクを纏う男だった、ライフルで威嚇射撃だろうか?少し前に撃って来た。それに意識を向けると、ワイアームが突撃して来て、上からワイバーンが薄く段幕を張ってくる、俺はそれを認識すると即座に状況を確認し最善の行動を考えワイアームの右装甲腕側から一気に接近する。こちらに、突撃して来るとは思わなかったのか少し動きを止める、その隙を突き接近していたワイアームの肩に銃を突き付け、ゼロ距離から肩の装甲に銃弾を打ち込む。

するとワイアームの肩の装甲が粉微塵になり、動力源であるフォースコアにまで衝撃が届き、ワイアームとの接続が解除される。

 

「まず一つ」

 

筋骨粒々の男は走ってリングから逃げ出す、俺はその姿を見ることなくワイバーンとドレイクの姿を見つけ、距離があることを確認し、特殊武装を発動する。

 

「《壊竜毒霧(アルノスギフト)》」

 

そう呟くと、俺を中心に十個ほど白い光球が浮き上がる、それを見て、ワイバーンとドレイクを纏う男達が身構え、その光球に意識を向ける。それを見ながら俺は相手の行動を笑いながら誤算だったと言うことを突き付ける。

 

「「!?」」

 

光球が破裂し、濃い霧のようなものが発生する。勿論普通の霧であればドレイクだったりの探知機能で霧があろうとなかろうと、関係なく狙撃することが出来るだろう。だが、この霧はチャフと同じで、探知を妨害し、とある効果もある。

俺は探知を使わず、ワイバーンに音もなく近付き竜激鋭爪をフォースコアに叩き付ける、フォースコアに強い衝撃を受けワイバーンの接続は解除され、残りはリーダー格の男が纏うドレイクだけ。

ドレイクを纏う男は壊竜毒霧の効果で探知が効かず仕方なく、霧の中に入って来ている。しかし、口元を隠さず霧を吸いながらだ、何故霧が濃く立ち込めている中相手の行動が手に取る様にわかるのかと言うと、この霧は俺の機竜のセンサーのようになっており、この霧に触れていればその物質の状態やその形が大体だがわかる。それにこの霧には毒があり、一定量体内に取り込むと末端の神経から神経障害が起こり、操作することが難しくなっていく、勿論、この霧から抜け出し少しすれば毒の効果は無くなるが、この状態で麻痺させられれば、負けは確定する。

 

「なっ!?機竜が動かない!?」

 

リーダー格の男は不用意に霧を吸い込み神経障害が起き始めたようだ、その隙に一気に接近しフォースコアに竜激鋭爪を叩き付け、ドレイクの接続を解除させる。

霧をジャバウォッグが吸い込み、霧が晴れる。

 

「そこまで!」

 

ライグリィ教官が軍の教官達が機竜の接続を解除されているのを確認し、試合の終わりを告げる。俺はジャバウォッグを解除し、

 

「その程度なら、俺が教えた方が速いしより強くなれるな、と言う訳で帰られていいですよ?」

 

にこやかに、しかし高圧的に軍の教官達に告げる。すると背中に柔らかな何かを押し付けられつつ何かが抱きついて来る。

 

「じゃあさー、私に放課後に軍の教官の代わりに教えてよー、いいでしょ?シオっち」

 

いつの間にかリングまで来ていたティルファーが俺に抱きつきながらそんなことを言ってくる。ライグリィ教官は軍の教官達に何かを言っているようで、忙しいようだ。

 

「ああ、じゃあまたここでな」

 

ティルファーにそう言い、ソードデバイスを腰に戻し、ライグリィ教官を待つ。

 

「すまないな、シオンにあんな戦いをさせることになってしまって。...ああ、今日の演習は終わりだ、各自解散してくれ」

 

ライグリィ教官は軍の教官達を衛兵に渡しつつこちらに指示を出し、ライグリィ教官は衛兵について行った。俺達は演習場から校舎に向かう。ちなみにだが、ルクス達は夜に寮に帰って来た。

 

 

*

 

 

「お帰りエイン、遅かったな」

 

俺はティルファーと放課後に訓練をし、その後でティルファーと食事をして、それから寮に戻って来たがその時はエインが居らずソードデバイスの手入れをしている時にエインが帰って来た。

 

「ええ、ただいま」

 

エインは風呂にでも入って来たのか、髪が濡れていて、頬も少し上気していた。

エインはベッドに腰をかけ、俺が手入れをしていた、ジャバウォッグのソードデバイスを見つめていると、

 

「ねぇ、気になっていたんだけど、貴方のジャバウォッグの神装の効果はなんなの?転移だったり重圧をかけたりしているけど、本当の効果はどんなものなの?」

 

エインがそう訪ねて来た。

 

「うん?ジャバウォッグの神装か、ジャバウォッグの神装は『只の空間掌握』だよ」

 

俺はエインにそう言う、エインは神装の効果を聞いて、驚いたようだ。

 

「それだけなの?空間掌握だけで、あれだけのことを?」

 

そう、俺の神装は空間掌握だけだ、その一つの神装を工夫して使い、重圧をかけたり、転移させたりしていた。

 

「ああ、只の空間掌握だけだったからな、工夫して使わないと戦闘にも生活にも、移動にも使えないからな」

 

「そんな工夫をして、あれだけのことをしていたのね」

 

エインは感心した様にうなずき、俺のソードデバイスを見て納得したのか、

 

「そう、わかったわ、ありがとうそんなことまで教えてくれて」

 

エインはどうしたのか、礼を言ってきた。

 

「どうした?そんなことを言ってくるなんて」

 

俺はエインに聞くと、エインは顔をか赤くしながら、

 

「貴方にあんなことを言われたから、これは正式にお付き合いを、と言うことかしら?」

 

エインは自分で言いながら顔を赤くし、俺にそう聞いてくる。からかっているのだろう、俺は自分の意志を伝える。

 

「いや、まあ、好きだと言うことに偽りはないが、俺には高値過ぎるよ、それにルクスのことが好きなんじゃないのか?」

 

俺はエインに聞くと、エインは驚いた表情で、こちらを見て、

 

「そんな風に見えるかしら?」

 

エインはふふっ、と笑いながら俺に問いかけて来た。

 

「ああ、違うのか?」

 

エインはうなずき、笑っていた。ルクスが好きな訳じゃないらしい。

 

「これだから、アイリちゃんも苦労する訳ね」

 

何故ここでアイリちゃんの名前が出るのか、わからない、それにエインがルクスを好きじゃないとなると、誰が好きなのだろうか?

 

「...はぁ、貴方ってそんなところは鈍いのね、いいわ、明日も早いしお休みなさい」

 

エインはベッドの中に潜り込み寝息をたてはじめた。俺はせ少しして眠りについた。

しかし、何故か寝付けなく、エインを起こさない様に寮を出る。

 

 

 

「ふぅ、こういう時は一人でいるのが落ち着くな」

 

俺は真夜中に学園内を歩き回り、適当な場所を見つけ、地べたに座り空を見上げていた。夜は明かりが乏しく、夜空が綺麗に見える。

時間を潰しながら学園を巡回する。衛兵も居ないらしく、誰にも会わず学園の周りを回っていると、

 

「あ、アイリちゃん?」

 

アイリちゃんが学園の芝生に座り空を見上げていた。

 

「えっ?シオン兄さん?何でこんな時間に外で?」

 

アイリちゃんはこちらに気付いたのかこちらを向いてそんなことを聞いて来る。

 

「何だか寝付けなくてな、アイリちゃんはどうしたんだ?」

 

俺はアイリちゃんの隣に座り込み、アイリちゃんと一緒に夜空を見上げる。

 

「私は、空の星の観測をしているんですよ、国からの依頼で、時々こうやって夜に空を見上げているんですよ」

 

アイリちゃんはちゃんとした理由があったらしい、何だかとても誇らしい様な気がして、アイリちゃんの頭を撫でる。

 

「んっ、どうしたんですか?でも嬉しいです」

 

アイリちゃんは戸惑いながらも嬉しそうに笑みを見せてくれる。

 

「いや、偉いなーって思ってさ、後アイリちゃんが可愛かったからかな?」

 

俺がそうアイリちゃんに言うと、アイリちゃんの顔がみるみる赤くなり、

 

「アイリちゃん?大丈夫か、顔が真っ赤だけど、風邪でも引いたのか?」

 

俺はアイリちゃんの熱を測るために撫でるのを止め、アイリちゃんの髪をかきあげて、アイリちゃんのおでこに俺のおでこをくっつけ熱を測る。

 

「えっ!?シオン兄さん!?」

 

アイリちゃんは驚いているが、そのままおでこをくっつけたままにする。

それから少ししておでこを離し、

 

「熱は無さそうだけど、大丈夫か?アイリちゃん」

 

俺がそう聞くと、

 

「シオン兄さん、そんなのずるいですよ、そんな風にされたら普通じゃいられないですよ」

 

アイリちゃんは顔を真っ赤にして、ジト目で俺を見てくる。

 

「あ、ああ、すまない?」

 

何に対して怒っているのかわからないまま、アイリちゃんの勢いに押され、謝る。

 

「シオン兄さんはそう言うところを治してください、何だか変な感じがします」

 

アイリちゃんにそう怒られた。しかし、その後くすくすと笑い始め、こちらに顔を寄せて来る。

 

「でも、そんなシオン兄さんが私は好きです、今週末でしたよねあの決闘は、無茶や無理はしないでくださいよ?ちゃんと帰って来てください。あのバルゼリッド候からは、帝国の貴族達と同じような雰囲気がします、気をつけてくださいね、それが私からの依頼です」

 

アイリちゃんにそう言われた、だが、

 

「ああそうするよ、だが、無茶や無理をしてどうにかなるなら、俺は無茶や無理をするだろう。でも、帰って来るさ、絶対にな」

 

アイリちゃんにそう言い、アイリちゃんに笑いかけようとすると、

アイリちゃんの顔が目の前にあり、俺の唇に何か柔らかいものが重ねられる。

 

「んんっ、シオン兄さんへの私からの依頼の報酬の前払いです。初接吻じゃ、たりませんか?」

 

アイリちゃんは顔を真っ赤にしながら、俺に問いかけて来る。

 

「いや、大丈夫だ。絶対に帰って来るさ、ここまでされたならな」

 

俺も顔を赤くしながら、アイリちゃんに答えを返す。

 

「そろそろ俺は寮に戻るけどアイリちゃんはどうする?」

 

「ええ、私も戻ろうかと」

 

アイリちゃんも寮に戻るようで、機材を片付けていた。

 

「じゃあ、送っていくよ」

 

機材の片付けを手伝い、アイリちゃんを寮まで送って行く。

そして寮に着くと、アイリちゃんがこちらを向いて笑いながら、

 

「送ってくれてありがとうございます、安心して寮に帰ってこれました、依頼はしっかりとこなしてくださいね?」

 

アイリちゃんに微笑みながら釘を刺された。

 

「ああそうするよ、それじゃあお休みなさい」

 

そう言い、アイリちゃんを見送り、アイリちゃんが部屋に入ったのを確認し、俺も寮に帰る。

 

 

 

「お帰りなさい、どこに行っていたのかしら?」

 

エインは起きていた。

 

「起きていたのか、エイン」

 

エインは笑みを見せながら、俺の顔を見つめている。

 

「口が紅くなっているわよ?」

 

そう言われたので、口元を手拭きで拭くと、特に何もついておらず、

 

「ふふっ、カマかけたんだけど、特に何も無さそうね」

 

「何かカマをかけられる様なことをしたか?」

 

俺がそう聞くと、エインは顔を赤くしながら、

 

「好きなんて言われたら、気にしてしまうでしょう?」

 

エインは笑いながら、俺にそう言って来る。それに対して俺は少し迷いながら、

 

「そのことは、すまない。深く考えて言ってはなかったんだ、その、なんだ、なかったことにしてくれないか?」

 

俺がそう言うとくすくすと笑いながら、

 

「あら、あんなにはっきりと私のことを恋人だと言っていたのに?」

 

エインは笑いながら俺にそう言い、反応を待っている。

 

「うっ、それはその、なんだ」

 

俺が答えを見つけられず、言葉につまっていると、エインが顔を近付けてきて、

 

「ふふっ、大丈夫よ。仲間として好きだと言うことでしょう?わかっているわ、それに、アイリちゃんがいるもの」

 

エインの柔らかく甘い匂いがする。エインは俺の目の前で俺をまっすぐに見つめている。

 

「その、なんだ、エインすまない。だが、今回の依頼はしっかりとこなすし、あいつとの決闘も控えているしな」

 

俺がそう言い、エインに俺の意志を伝えると、エインは笑いながら、うなずき、

 

「ええ、貴方はそっちの方がいいわ」

 

「そうか、エインありがとう。なんだか、引っ掛かっていた何かがとれた気がする、これからもよろしくな、エイン」

 

俺はエインに礼を言い、感謝の気持ちを伝えようと迷っていると、エインがこちらを向いて、

 

「お礼なら、決闘が終わってからしてもらおうかしら、今はいいわ、朝は早いからね、私はもう寝るわ、お休みなさい」

 

「あ、ああ、わかったお休み、エイン」

 

そう言い、俺もベッドに入り寝る。すると、疲れていたのか、すぐに意識は暗闇に落ちて行った。

 

 

*

 

 

「ああ、シオン、この人達は昔からの付き合いでな、お前も親しくしろよ?」

 

ある日の俺の記憶。懐かしき灰色の記憶。

 

 

 

「シオン!逃げろっ!あの剣を持って、早くしろっ!」

 

またある日の記憶。真っ赤に燃えている城、それを加速させる、灰色の竜達。悲しき赤い記憶。

 

 

 

「た、頼む、助けてぐ...」

 

違うある日の記憶。赤黒い血にまみれた死の匂い漂うとある部屋。怒りに染まった黒き記憶。

 

 

 

「君、大丈夫?こんなところで、何をしているの?」

 

また違うある日の記憶。眩しい光に引き上げられた、約束の日。輝きし白き記憶。

そして、世界が狂ったあの日の記憶。

 

 

 

「うわぁぁぁっ!!」

 

あの日の記憶がよみがえり、飛び起きる。俺は汗を服がぐっしょりとなるほどかいていて、呼吸が荒いまま、周りを見渡すがいつもと変わらない、いつもどうりの部屋だった。

 

「う、ううん、どうしたの?そんな大声出して、悪い夢でも見たの?」

 

エインは俺の悲鳴-と言えるかわからないが-を聞いて目を覚ましたようだ。

 

「ああ、すまないなエイン。少し昔の記憶を夢で見たみたいだ、起こしてしまったな、すまないな」

 

俺はエインに謝る、エインは気にした様子もなく、ベッドから出て支度を始めた。

 

「何をしているんだ?」

 

「何って、貴方の朝の日課について行こうと思って、駄目かしら?」

 

俺は自分の日課だった朝の鍛練をエインに思い出させてもらった。

 

「あ、ああ、そうだったな忘れていたよ。ありがとう、エイン」

 

俺はベッドから出て支度を始め、部屋から出る。

 

 

 

俺とエインはいつもどうり、朝の鍛練を終え、学園に向かう、ルクスやアイリちゃん、リーズシャルテ、フィルフィに挨拶をし、いつもどうり授業を受ける。

そのまま何事もなく1日が終わる、そう思っていたら、

 

「おーいシオっち、学園長からの伝言だけど、今日の九時からならお風呂に入ってもいいんだって」

 

ティルファーがお風呂に今日は入れると言うことを伝えてくれた。

 

「ああわかった、教えてくれてありがとう、ティルファー」

 

そう礼を言うと、ティルファーは驚いたような表情でこちらを向き、

 

「おおっ?脈ありかな?私も捨てられたもんじゃないねー」

 

ティルファーはそう言い、嬉しそうに笑いながら教室から出ていった。どういうことだろうか?まあいいや、それにしても久しぶりの風呂だなー、楽しみだー。しかし何もやることもないし、久しぶりにジャバウォッグの整備でもするかー。

俺はそう考え、学園の敷地内にある工房に向かう。

 

「あれ?リーズシャルテか?」

 

俺が学園の工房に行くとリーズシャルテが謎の機竜をいじくっていた。

 

「誰だ?ってシオンか、どうしたんだ?」

 

「えっとな、ジャバウォッグを整備しようかと思って」

 

俺がリーズシャルテに要件を言うと、整備を中断して、

 

「ジャバウォッグか、それなら奥にいるぞ」

 

リーズシャルテは奥の格納庫を指差し、そう言ったが、俺はリーズシャルテの目にくまがうかんでいるのが気になってしまい、リーズシャルテに何も言わず薬湯を持って来る。

 

「ん?薬湯か?...私にか?あ、ありがとう」

 

リーズシャルテは薬湯を俺からもらい、それを飲む。

 

「口にあうか?疲労回復と眠気を覚ます効果があるが、あまり無理はするなよ、リーズシャルテ」

 

俺は薬湯を渡し整備に行こうとすると、リーズシャルテが後ろから俺に向けて、

 

「おいシオン、私もなんだ、そのそれっぽく呼んでくれないか?」

 

「?それっぽくって言うと、リーシャ、でいいか?」

 

俺がルクス達が呼ぶ様にでいいか?と聞くとリーシャは満足そうにうなずいた。

 

「あ、後、お前は覚えているか?あの日助けてくれたこと」

 

俺が格納庫の戸に手をかけたとき、リーシャがそう聞いてきた。俺はリーシャの方を向く、リーシャはいつもと同じ表情だった。それを見て、俺は、

 

「ああ、覚えているさ、それにしてもあの時の少女が、今はここまで立派になったと思うとなー、笑いが」

 

「!? なんで笑うんだ!?」

 

リーシャは顔を真っ赤にして俺に積めよって来るが素早く工房の奥に入る。リーシャが扉越しにいろいろ言っているがそれを無視して、ジャバウォッグと向かい合う。

 

「よう、久しぶりの整備だな」

 

俺がそう、ジャバウォッグに声を投げ掛けると、ジャバウォッグの赤い目の部分が光り、武人の様な声がする。

 

『ああ、そうだな』

 

ジャバウォッグは機竜でありながら自我を持ち、話をする事ができる、戦闘中はあまり話しかけてきたりはしないが、こうやって整備の時だったりは、話たりする。

俺はジャバウォッグと話し合いながら整備をしていく。

 

 

 

ジャバウォッグの整備は長引き4時から8時の間、四時間もしていたようで、工房を出たときには日は沈んでおり、寮に戻った時の時間は八時三十分だった。

部屋に入ると、同じ部屋の住人のエインが、本を読みながら。

 

「おかえりなさい、シオン。遅かったわね」

 

「ああ、ただいま」

 

時間はまだ少しある。明日は休みで例の決闘の当日だ、明日のために早く寝るか、

 

「明日は絶対に勝つぞ、エイン」

 

エインに言うと、笑いながら、俺を見てくる。

 

「ええ、頑張りましょう」

 

エインはそう言い、本に目を落とす。

 

「俺は用事があるから、そろそろ行くぜそれじゃあな」

 

俺は明日の午前中にある、幻神獣の討伐に行く為の支度を整え、部屋を出る。

 

 

 

俺は、入浴場の脱衣場で着替える。水着を着て、浴場に入ると、すでに誰かが入っているようで、何だか声がする。

 

「ルクス?それに、フィルフィか?」

 

入っていたのはルクスとフィルフィで、フィルフィの真っ白な二つの風船が湯船に浮かんでいた。ルクスは顔を真っ赤にしながら、フィルフィの世話を焼いていた。

 

「あっ、シオン...これは違うからねっ!僕の後にフィルフィが...」

 

「フィーちゃんでしょ、それにお兄も」

 

フィルフィはこんなところでもマイペースだ、思わず笑ってしまう。

 

「ああ、わかったよフィーア。それにしても、ルクスもやるなー」

 

俺はルクスを少しからかう、ルクスはあたふたとしながら、

 

「違うってば!その、フィーちゃんが入って来て、その後シオンが来たんだ」

 

「わかっているよ、少しからかっただけだ。それにしてもこの三人だけなのは久しぶりだな、あの日以来かー」

 

話を反らしてルクスがいろいろ言うのを未然に防ぐ。ルクスは何かを言おうとしたが、何も言わず口をつぐむ。

 

「おいルクス、フィーアがのぼせているみたいなんだけど、連れていってくれないか?」

 

「えっ、僕が?でもシオンでもいいじゃないか」

 

ルクスは恥ずかしいと言うが、フィーアの胸が目に入るらしく、顔を真っ赤にしている。

 

「いや、俺は今風呂に来たんだし、のぼせるぐらい入っていたんだろう?」

 

ルクスは論破され泣く泣くと言うが、顔を真っ赤にしながらフィーアを連れていった。

俺は一人湯船に浸かり、体をほぐして体を洗う。久しぶりの風呂だということでしっかりと体を洗う。

 

「ふいー、やっぱり風呂はいいなー」

 

俺が一人でそんなことを声に出して言うと、

 

「っ!誰かいるんですかっ!」

 

その声に反応した誰かがいた。

 

「えっ?アイリちゃん?何でアイリちゃんが?」

 

頭の中が疑問符でいっぱいになる。

アイリちゃんは顔を真っ赤にしながらこちらを見ている、俺はどうしていいのかわからず二人の間に沈黙が訪れる。

 

「えっとー、そのー、なんだ、久しぶりに一緒に、な、どうかな?」

 

俺はどうしたのか、アイリちゃんに一緒に入らないかと誘った。俺はどうしたのだろうか?そんなことを考えると顔が熱くなり、思わずうつむいてしまう。

そんな風にうつむいていると、水面に波が立ち、驚いて顔を上げるとアイリちゃんは顔を真っ赤にしながらも湯船に肩まで浸かり、俺の近くまで寄り添って来ていた。

 

「その、シオン兄さんとはその、久しぶりの二人きりなので」

 

アイリちゃんは恥ずかしがりながらも俺に寄り添ってくれた。正直に言うととても恥ずかしい。うん、凄く恥ずかしい。

またもや二人の間に沈黙が訪れる。

 

「シオン兄さん、私はシオン兄さんに決闘に行って欲しくないです、なんだか嫌な予感がするんです」

 

アイリちゃんが俺に横から抱き付いて来てそう言った。うん、前にはなかった女性特有の柔らかい何かが腕に当たっている、俺は顔を赤くしているのを見せない様にしながら、抱き付いて来たアイリちゃんの頭を撫でながら、

 

「ごめんなアイリちゃん、俺はエインのために行くよ、期限が切れているとしてもね。だからごめん」

 

俺がそう言うとアイリちゃんはギュッと俺を強く抱き締めて、俺の顔を見てくる。

 

「ええ、シオン兄さんがそんな人だってことは、良くわかっています。ですから、絶対に帰って来てくださいね。絶対に」

 

俺はアイリちゃんにうなずき返し、アイリちゃんを抱きしめる。アイリちゃんは俺に抱きしめられたことに驚いて、恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、そのまま抱きしめあったままにしてくれた

 

「うー、のぼせてしまった」

 

「私もです」

 

俺達はあの後、抱きしめあったままお風呂に入ったままだったのだが、なかなかの時間入っていて、二人とものぼせてしまったのだ。

今は女子寮に戻り、アイリちゃんを部屋まで送っている途中だ。

 

「ありがとうございます、ここまでで大丈夫ですよシオン兄さん。それじゃあ、お休みなさいシオン兄さん」

 

そう言いアイリちゃんは部屋に戻って行った。それを見送り、部屋に戻る。

 

 

 

「お帰りなさいシオン、お風呂だったのかしら?言ってくれたら私も一緒に入ったのに、ね...」

 

エインはそう言いながら顔を赤くしていく、それを見ている俺も恥ずかしくなり、顔を赤くする。

 

「明日は早いから、もう寝るわ、お休みなさいシオン」

 

エインは俺を待っていてくれたらしい、まあそんなことをエインは言わないが。

 

「ああ、お休みエイン」

 

俺もエインと同じようにベッドに入った、体は疲れていたのかすぐに眠りに落ちた。

 

 

*

 

 

「うー、ふぁぁぁ、うん?...寝坊しちまったな」

 

珍しく寝坊してしまった、エインはもう起きてどこかに行っているらしい。

今日は学園の皆からの依頼を朝から夕方までこなすことになっている、エインとの依頼が昨日で終わったからだ。

俺は支度をし、部屋を出る。

 

 

 

学園の皆からの依頼は久しぶりで、楽しくこなして行った。皆も俺やルクスが例の効果が無くなり依頼を出せるということで、いろいろな依頼が来たが俺のことを考えてティルファーが仕分けてくれたようで、そこまで酷い-恋人になって欲しいなどの依頼のことだ-もなく、普通に依頼はこなせて行き、夕方になる前に部屋に戻れた。

部屋ではエインが紅茶を飲んでいた。

 

「ただいまエイン、紅茶か?」

 

「ええ、ダージリンね、貴方もいるかしら?」

 

紅茶の種類はダージリンらしい、

 

「ああ、頂けるなら、ありがたく頂こう」

 

俺はエインから紅茶をもらい、飲む。

いい香りが鼻に入って来る。

 

「うん、美味しいな、ありがとう」

 

俺は紅茶を半分ほど飲み、カップを置く。

 

「エイン、少し横になっておくから、時間が来たら起こしてくれ」

 

そうエインに言って、ベッドに横になる。

俺はすぐに眠りについた。

 

 

 

クルルシファーは赤い満月を背に教会の廃墟の前にいた。装衣を着用し、ソードデバイスを持ち、バルゼリッド達を待つ。

 

「ほう、早いじゃないか未来の妻よ」

 

バルゼリッド達は約束の時間ぴったりに来た、バルゼリッドはクルルシファーの周りを見て、嘲るような笑いを浮かべ、

 

「あの亡国王子は居ないのか、逃げたのでは...」

 

「彼には帰ってもらったわ、これ以上こんな茶番に付き合わせる訳には行かないから」

 

クルルシファーはソードデバイスを引き抜き、

 

「もう、いいかしら?」

 

「ああ、いいだろう、アルテリーゼ殿」

 

バルゼリッドはアルテリーゼに開始の合図を出す係を頼む。

クルルシファーはソードデバイスのボタンを押し、パスコードを唱える。

 

「--転生せよ、財貨に囚われし災いの巨竜。遍く欲望の対価となれ、《ファフニール》」

 

光がクルルシファーの背後に集まり、巨大な竜の形を成す。

 

「接続 開始」

 

巨竜が内側から半分に割れ、瞬く間にクルルシファーを守る竜を模した鎧になる。

 

「アルテリーゼ殿、では」

 

バルゼリッドは《アジ・ダハーカ》を纏い、アルテリーゼに開始の合図をさせる。

 

「わかりました、では失礼して...試合 開始!!」

 

クルルシファーは合図と共にバルゼリッドにダガーを投げつけ、フリージングカノンの標準を合わせる。クルルシファーの基本戦闘形である遠距離からの精密射撃、その形体を取る。

 

「なるほど、強いな。しかしそれだからこそ、惜しいそんな聡明な頭脳を持ってしまったことが」

 

バルゼリッドは土砂と教会の周りのレンガを巻き上げ、盾にしていた。

 

「入知恵かしら、アルテリーゼ?」

 

「さて、なんのことでしょうか」

 

バルゼリッドに標準を合わせていた間に接近していたアルテリーゼはとぼける。

アルテリーゼは《エクス・ワイアーム》の強化された膂力を生かし、双剣を振るう。クルルシファーは身を捻って避けようとするが、

 

「腕が落ちていますよ、お嬢様」

 

アルテリーゼが振るう双剣がクルルシファーに当たる。寸前にクルルシファーの周りを囲う様に七つの薄い盾が現れた。

 

「甘いのは、貴方よ」

 

双剣を弾かれ隙ができたアルテリーゼに標準を合わせ、トリガーに指をかけるがバルゼリッドの纏うアジ・ダハーカの肩にある特殊武装から砲弾が放たれたのを認め、大きく背後跳躍をし、砲弾の直撃を避けるが、素早く接近したアルテリーゼの双剣を中型のブレードで弾き、反撃しようと試みるがバルゼリッドの特殊武装に上手く阻まれ、すぐに防戦一方となる。

 

 

 

そろそろ賭けに出ないと、かしら。

クルルシファーはそう考えていた。今はバルゼリッドが後衛で、アルテリーゼが前衛。それに対してこちらは一人で戦う、ファフニールの神装は未来予知、陸戦型のアジ・ダハーカとも戦える。

クルルシファーはそう確信し、背翼の推進装置を最大出力で起動し、アジ・ダハーカに肉薄する。

 

「ほう、陸戦機竜に接近戦を挑むか!」

 

バルゼリッドはハルバードを振り上げ迎撃の形を取る。クルルシファーは中型のブレードを持ち、一気に接近する。

 

「甘いっ!」

 

バルゼリッドはハルバードを振り下ろす。

がしかし、何かに当たった感触はない。

 

「甘いのよ、バルゼリッド卿」

 

そう涼しい声が聞こえてきたと思うと、アジ・ダハーカの左肩にある特殊武装が砕け、そのまま追撃しようとするクルルシファー。その体に横から衝撃が加わる。

 

「ふふ、素晴らしいぞクルルシファーよ、だからこそ惜しい、やはりお前はおれのものになるべきだ」

 

衝撃はバルゼリッドがアジ・ダハーカを操作し、ハウリング・ロアをクルルシファーに向け、放ったからだ。

クルルシファーは無言のまま、神装を発動させ、未来予知をする。

バルゼリッドが右肩の特殊武装で迎え撃ってくる。

クルルシファーは中型のブレードを持ち、再度肉薄する。肩の特殊武装を狙うふりをしてハウリング・ロアを使おうとした時、左装甲腕で持っていたハルバードをバルゼリッドは振り抜き、クルルシファーが廃墟に吹き飛んで行く。

 

「かはぁっ!...うぅっ、なぜ?何で〈ワイズブラット〉が...?」

 

クルルシファーは背中から叩き付けられ肺の中にあった空気を吐き出す。

バルゼリッドはその間に近付きアルテリーゼとクルルシファーの間に入り、クルルシファーがアルテリーゼから見えないように、立ちはだかる。

 

「すまないな、俺の子を産む大切な腹なのに、大丈夫か?」

 

バルゼリッドが嗜虐的な色を宿した瞳と深い笑みを浮かべて、クルルシファーを見下ろす。

 

「大丈夫?嘘をつかないで、貴方は私を一方的に叩きのめしたことに悦びを覚えているはずよ」

 

クルルシファーがバルゼリッドにそう言うと、バルゼリッドは笑みをより深くし、アルテリーゼに見えないように痛みを与えるには十分で、肉体を壊すことはない程の力加減で、クルルシファーの腹をアジ・ダハーカの装甲腕で抑えつける。

 

「くっ、くうぅぅぅっ!」

 

「いいか?クルルシファー?貴様は只の道具だ、エインフォルク家から俺に売り払われる、遺跡をより深くまで探索するための『鍵』なのだよ。クルルシファー、只の道具がそんな聡明な頭脳を持ってしまうなんて」

 

バルゼリッドがはっきりとクルルシファーに向けて、クルルシファーは『只の道具』と言った。そう言われたクルルシファーは体が芯から冷えきり、うつむいた。機竜の腕でも負け、何もすがるものがなくなってしまったからだ。

 

「私は、只の道具...」

 

クルルシファーの心が折れかけていた。

 

「ああ、そうだ!貴様は只の道具だ!」

 

バルゼリッドが声高らかに、宣言し、クルルシファーの心を折ろうとした時。

 

シオンside

「ああ、そうだ!貴様は只の道具だ!」

 

バルゼリッドが俺の大切な恋人を傷つけている。これ以上は許せない。

 

「待て!ごめんなエイン遅れちまった」

 

エインはバルゼリッドの影に隠れて見えないが、竜声を通して悲痛な声が聞こえてくる。相当戦って欲しくないらしい。

 

『なぜ来たの!?私は貴方を巻き込みたくなかったのに!?』

 

だそうだ。俺は俺の意志でここにいるというのに。

 

『もう期限は過ぎたのよ!もう私の我が儘に付き合わなくていいから!』

 

『黙っていろ、俺は自分の意志でここにいる。期限なんて関係ない、俺の好きなエインの為にいる』

 

俺は強引にエインを黙らせ、怪竜翼銃を構える。銃口をバルゼリッドに向け、俺は言う、

 

「遅れたがいいだろう?アルテリーゼさんも一緒に叩き潰してやる。覚悟しろ」

 

アルテリーゼさんはすぐ近くに接近しており、双剣を振り上げている。

しかし、神装を発動させアルテリーゼさんを少し遠く、およそ二十メートル程の距離の空間と入れ替える。アルテリーゼさんを転移させたうえで、怪竜翼銃で両装甲腕を撃つ。着弾した装甲腕は動きが鈍り始める。バルゼリッドはこちらに向かって、ワイヤーテイルを投げてくる。

しかし、常時発生させている磁場によってワイヤーテイルが地面に沈む。

アルテリーゼさんは動きの鈍ったとは思えない機竜操作で肉薄し、突進してくる。俺は居合いの容量で壊竜鋭爪を引き抜き、アルテリーゼさんの機竜をフォースコアごと装甲を切り裂く。

 

「なあっ!?フォースコアを!?」

 

「すいません、後で賠償するので」

 

アルテリーゼさんが纏うエクスワイアームは、フォースコアが破壊されたことによって、解除させられ、アルテリーゼは気絶し、戦闘不能となる。

 

「ほう、フォースコアを装甲ごと切り裂くとは、亡国王子もやるではないか」

 

バルゼリッドはハルバードを肩に担ぎ、足についている車輪を一気に加速させ、突進してくる。

 

「《壊竜毒霧(アルノスギフト)》」

 

光球が大量に発生し、バルゼリッドは突進を止め、警戒しているようだ。俺は精神操作で光球を破裂させ、只の霧を発生させ、それに紛れるようにして隠れる。

バルゼリッドは霧に不用意に入らずハルバードを構え、俺からの攻撃を待っているようだ。俺は怪竜翼銃を両手で構え、一気に乱射する。バルゼリッドはハルバードで防ごうとするが防ぎきれず、着弾する。間近で薄い盾が発生する。

 

「エインの特殊武装を!?」

 

バルゼリッドを撃った時に霧が晴れてしまい、俺の居場所がバルゼリッドにバレる、バルゼリッドはハルバードを構え突進してくる。俺は壊竜鋭爪を右装甲腕で持ち、『壊竜剛撃(ディストラクション・ブレイズ)』をするためのエネルギーを過剰に壊竜鋭爪に注ぐ。バルゼリッドがハルバードを振り上げ、俺目掛けて振り下ろす。俺はそのハルバードに壊竜剛撃を当てる。ハルバードと壊竜鋭爪がぶつかり、俺の体に激しい衝撃が加わり、大きく吹き飛ばされる。空中で立て直しバルゼリッドを見据える。ハルバードはヒビは入ったが、壊すまでは到らず、思わず舌打ちをしてしまう。

バルゼリッドは俺より激しく戦っていて、おそらくだが神装も発動させ続けているはずだ、なのに息を全く切らしておらず、俺の方は肩で息をする程疲れていて、こちらが何度攻撃を仕掛けてもアジ・ダハーカの厚い三連障壁を貫通できず壊竜鋭爪の効果で障壁は貫通できても、半壊のハルバードで弾かれ、反撃をもらってしまう。ジャバウォッグはハルバードで叩かれたりなどで装甲がへこんだりしていたがこの戦闘でわかったことがある。それはアジ・ダハーカの神装の効果のことだ。

 

「バルゼリッド、アジ・ダハーカの神装の効果は範囲内にいる機竜からエネルギーを奪い取り、触れた機竜の神装をも奪い取れる。そんな効果だな?」

 

「ああ、そうだ!しかし、わかったところで何も変わらない!」

 

俺は怪竜翼銃を構え、銃口をバルゼリッドに向ける。しかし、カタカタと震え、暴走の予兆が出ている。バルゼリッドはクルルシファーから奪い取った神装を使い、攻撃を見切る。

 

「暴走を始めたそんな状態で俺に勝とうなどと、貴様のその自信ごとへし折ってやるっ!!」

 

俺が怪竜翼銃から発射したエネルギーをバルゼリッドはクルルシファーから奪い取ったオートシェルドと強固な三連障壁の絶対の盾で迎え撃とうとする。

 

「俺は只のエインの恋人だ」

 

俺は全力で発射したエネルギーを圧縮し、それをバルゼリッドの前に転移させ、

 

「『世界喰・解放(オムニス・リベロ)』!!」

 

一気にそのエネルギーを解放する。

 

「ヒギッ、ヒギャァァァァァ!!」

 

バルゼリッドはそのエネルギーの衝撃波を直接受け、纏っていたアジ・ダハーカは半壊では済まずかろうじて形を保っている。しかしバルゼリッドは全身から血を吹き出しながら半壊のハルバードを支えにしてどうにかして立ち上がった。

 

「なっ、何故だぁぁ!何故俺のアジ・ダハーカが」

 

どうにかして俺に攻撃をしようとしたのか、肩の特殊武装を起動させ、砲撃しようとしたのだろう、しかし特殊武装はエネルギーの伝達に耐えきれず武装が崩壊する。

俺は怪竜翼銃を構えたまま、バルゼリッドの行動を見ている。するとバルゼリッドはアジ・ダハーカの頭部を触る、するとアジ・ダハーカの頭部が上を向き、

 

イィィィィィィ!

 

不協和音が当たりに響き渡る、俺は怪竜翼銃を構えバルゼリッドに銃口を向け、

 

「おい!今の音は何だ?」

 

「ふっ、この辺りにいた、俺の私兵への合図だよ」

 

バルゼリッドはアルテリーゼさんが気絶している今、俺達を不慮の事故にするつもりらしい、だが対策はしっかりとしている。機竜を使い探知をするが、その私兵らしき反応はない。その代わり、よく見慣れた反応がある。その反応は俺の背後にある。俺が振り替えると、赤い巨竜を纏う、金髪の少女が気絶した男を横に積み上げていた。

 

「そうか、ならばその私兵も、叩き潰すまでだな」

 

バルゼリッドは顔をひきつらせ、走って逃げるが、銃声が鳴りアジ・ダハーカが凍結する。その衝撃でバルゼリッドは転倒しアジ・ダハーカは粉々に砕け散る。

バルゼリッドは気絶し、衛兵につき出された。

 

「ふぅ、それにしてもお前がこんなことを頼んで来たときは驚いたぞ?」

 

金髪の少女、リーシャは機竜を解除しそう話して来る。

 

「まあ、助かった。バルゼリッドの思考が簡単でよかったよ」

 

リーシャがフフン、と胸を張る。後ろにはルクスやフィーア、三和音の皆もいる。

 

「クルルシファーさんを助けたいからって僕やフィーちゃんに声をかけていたんだよ」

 

エインは皆を見て何を思ったのかは、わからない。だけどエインはただ一言、

 

「皆、ありがとう」

 

 

 

*

 

 

 

バルゼリッドとの決闘を終え数日がたった。アルテリーゼさんの休養が終わり、とあるカフェに俺達は呼ばれた。

俺はエインと一緒に買いに行った礼服を着て、エインは薄水色のドレスを着て、一緒にカフェに行く。

アルテリーゼさんはすでに席に座っており、こちらの姿を認めると席を立ち上がりこちらに向かって礼をする。

後ろにつけて来ていたリーシャやルクス達はガラスの窓からこちらを見ている。

 

「どうも、先日はバルゼリッド候の真意を見抜けなかった私の代わりにお嬢様を助けていただきありがとうございました」

 

アルテリーゼさんは俺達が席に来るとそう言い謝ってきた。アルテリーゼさんは謝った後、席に座る様に促され、席に座らせていただく。

 

「アルテリーゼ、貴方から呼び出すなんてどうしたのかしら?」

 

エインがアルテリーゼさんにそう言うとアルテリーゼさんは俺の方を向き、

 

「今回は先日の失態とシオンさんについてですが、先日はバルゼリッド候の真意を見抜けなかった私に代わりお嬢様を助けていただきありがとうございました、私はシオンさんをご主人に推薦していくのでご心配には及びません、それではお嬢様、シオンさん、失礼します」

 

アルテリーゼさんはそう言い、カフェを出て行く。

 

「アルテリーゼさん、行ったな...ってアルテリーゼさん勘違いしてるよな!」

 

俺は先ほどの言葉を思いだし思わずそう叫ぶ。

 

「ええそうね、あまり騒ぐのはおすすめしないわ」

 

それに対してエインは冷ややかに受け流す。俺は一人うつむいていると、エインが、

 

「私、やっぱり、優柔不断な人は好きじゃないの、今回の件でよくわかったわ」

 

以外と傷付いた。俺の最硬メンタルに傷を付けるなんて、と傷付いていたら、

 

「でも、本当の貴方は凄く強引で男らしい、そんな人、私はそんなシオン君が好きよ」

 

エインはそう言い、俺の肩を掴んでこちらを向け俺の唇にエインの唇を重ねた。

 

「ん!?んんん!」

 

俺は抵抗らしい抵抗もできず、されるがままになる。

 

「んんっ、...ふぅ、今回の依頼のお礼よ、まだまだ少しだけど」

 

エインが唇を俺の唇から離す、エインは顔を赤く染め、自分の唇に触れている。

 

「な、なぁ...定員や他の客も見てるし...」

 

俺が驚いていると、エインは顔を赤くしながら、顔を近付けて来た。

 

「ふふ、足りなかったかしら?」

 

エインはそう言いさらに唇を重ねようとする。

 

「いや、もうだいじょおい?お、おい、んむぅ!?」

 

もう大丈夫だと言おうとしたとき、エインは俺の口に白く細い指を当てて俺の口を少し開け、唇を重ねてきた、おまけに俺の口の中に舌を入れてくる。

エインはついばむ様にちゅ、ちゅっ、と何度も唇を重ねてくる。

それを見たルクスやリーシャ、それにアイリちゃんまでもがカフェに入って来て、エインを俺から引き離す。

 

「クルルシファーさんはシオン兄さんから離れてくださいっ!」

 

アイリちゃんが顔を赤くしながらエインにそう言う。リーシャが面白そうにそれを見ている。ルクスはあたふたとしながらエインとアイリちゃんの成り行きを見守っている。俺はそれを見て思わず笑ってしまう。それにつられてエインも笑い始める。その様子を見てリーシャ達はどうしたのか、と思っているのがわかるような、曖昧な表情をしている。

 

「シオン、これからもよろしくね」

 

エインがそう俺に言って来る。それに対して俺は大きくうなずく、こうしてエインの恋人のふりをする依頼は達成した。

これからまた慌ただしい日々が戻って来ると思いながら、エイン達と共に学園に帰る。




どうも、蕾琉&昇華の蕾琉です。
正月バタバタして更新遅れました。
すみません。
あと今回以上に長くなったのも遅れた理由です。
まあ、なにがともあれこれで二巻が終わりました。
次からは三巻です。
これからもよろしくお願いします。
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