白き英雄   作:蕾琉&昇華

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どうも蕾琉&昇華の蕾琉です。
また更新が遅くなってすみません。
これから、遅くなってしまうことが多くなると思いますが、これからもよろしくお願いします。


7.六章

「おはよう没落王子、今日の初戦はどうする?」

 

今日は校内選抜戦二日目、俺はティルファーとルクスと共に登校していたが、途中で出会ったサニアが朝から挑発してきた。朝からはめんどくさい。

 

「私としては君が醜態をさらす前に辞退してほしいのだが?」

 

サニアはルクスに挑発をする。

 

「あの?サニア先輩?ルクっちは初めての校内戦なんですけど?...」

 

ティルファーがやんわりと断るが、サニアはそれを無視し、さらに言葉を発そうとするが、ルクスがそれを静止し、

 

「サニア先輩、その提案は受け入れられません。皆は自分の意思で僕達のために戦ってくれています、それをむげにする事は出来ません。なので辞退は出来ません」

 

はっきりと言った。ここまではっきりと言われるとは思っていなかったのだろう。少しだじろぎながらも、

 

「ふっ、その威勢がどこまで続くか楽しみです。それでは」

 

そう捨て台詞を吐いて何処かに歩いていった。

俺達はその少し後に歩き始めた。

 

 

 

俺はルクスが初戦なので、上の観覧席に座って見ようと思ったのだが、

 

「なあ、エインとアイリちゃん。何だか近くないか?」

 

俺の両脇には二人の少女が座っている。右には、薄い水色の髪を持ち、妖精のような整った容姿のクルルシファー・エインフォルク。

左には、綺麗な銀髪と灰色の瞳を持ち、幼さの残る可愛らしい容姿のアイリ・アーカディア。

その二人の少女が俺の両脇に座っている。

 

「ふふふっ、嫌かしら。恋人なのに?」

 

エインが俺の顔を覗きこみながらそう言って来る。エインとは、少し前に恋人同士になる。と言う依頼を受け、そういうことになっていたのだが、その依頼の報酬、と言うことでキスをされたのだが、それから様子が変?なのだ。

 

「ちょっと!クルルシファーさんっ!近いです!それに恋人なのは先週までじゃないですか!」

 

アイリちゃんにも少し前にキスをされたんだが、何だか近くなっている気がするんだよなー。

まあ、それは本当に気のせいだと思うが、それはともかく、ルクスはすでにリングに上がっているのでそれを見ると、ルクスはこちらに気付いたのかこちらに手を振って来るので、手を振り返す。

審判の生徒に促され、ルクスは〈ワイバーン〉を呼び出すが、その武装に違和感を覚える。

 

「なぁ、リーシャ。ルクスのあの武装、なんかいじったのか?」

 

俺がそう後ろにいたリーシャに聞くと少し驚きながら、

 

「あ、ああ、特殊な加工をしてな。しかし、何でわかったんだ?」

 

リーシャは戸惑いながらも俺の違和感が正しいものだと答えてくれた。

 

「うーん、なんと言うか見える(・・・)んだよエネルギーの流れみたいなのが」

 

そう言うと信じられないという表情でこちらをみてくる。俺はその反応に慣れているので特に何とも思わないが、リーシャはその反応が失礼なものだと思ったのか、羞恥に顔をそめるが、俺は

 

「リーシャ、気にしなくていいぞ?その反応には慣れているから」

 

そういい俺はリングに目を落とす。すでにルクスは接続を完了しており、すぐに始まる緊張感が漂っていた。

 

「試合、開始っ!!」

 

審判の生徒が開始の合図をだしサニア先輩がルクスに向かって飛行する。

ルクスはいつもどうりの構えで、見た目はいつもどうりの大剣を構えいる。

サニア先輩がルクスに接近し、フェイントを織り混ぜながら斬りかかる。ルクスはその攻撃に大剣を合わせる。

そして大剣にサニア先輩が振るうブレードが触れる。そして、

 

ピキィ

 

サニア先輩が振るっていたブレードが砕け、宙を舞っていた。

 

「ふうん、攻撃をせずに攻撃をする為の武装か、やるなリーシャ」

 

「そうか?只、ブレードのエッジ部分までとどくようにしただけだぞ?それにあれはまだ試作品だ。まあ、数日の徹夜はさすがに堪えるけどな」

 

ふぁぁー、と可愛らしいあくびをするリーシャの目の下にはクマができていた。

 

「正しく理解できている生徒は少ないわね」

 

エインが俺の右側からそう言ってくる。

 

「原理はカウンターだろ?」

 

「ああ、そうだな。ただ、普通のカウンターと違って諸刃の剣だがな」

 

リーシャが言うには、エネルギーの原点に綺麗に刃を合わせることによって相手側にエネルギーを全て弾き返す。と言うものらしいが相当困難な技だ。

俺だったら、失敗するのが目に見えている技だ。

 

「やっぱり、ルクスだからこそできる芸当だな」

 

ルクスはすでに五種類の武装を破壊していた。

俺は次の試合の為に下に向かう。

 

「ふふふっ、ルクス君に遅れをとらないようにね?」

 

「頑張ってくれよ?まあ、心配するだけ無駄だと思うがな?」

 

「シオン兄さん、頑張ってくださいね?応援してますから」

 

エインとリーシャ、それにアイリちゃんからそう言われながら控え室に向かう。その道中。

 

「?、何で先輩がいるんですか?」

 

待ち伏せていたのはセリスティア先輩だった。

 

「いえ、貴方がなぜルクスに協力するのか、それを聞きに」

 

セリスティア先輩はそんなことが気になるらしい。俺はその疑問に対して、

 

「俺がルクスに協力する理由か?そんなの簡単だよ、俺はどんなことがあろうとルクスの味方になると決めてるからだよ。ただそれだけだ」

 

はっきりと答える。それを聞いてセリスティア先輩は表情を変えないまま、

 

「なぜ、そこまでルクスに肩入れをするのですか?」

 

そう聞いてくる。俺は思わず苦笑しながら、

 

「そこら辺は俺達が勝ってから言うさ」

 

そう言ってセリスティア先輩の前を通り過ぎる、何か言いたそうだったが特に何も言わず、その場はお開きとなった。

余談だが、その後の試合はシャリス先輩とだったが意外と苦戦させられた。情報があるのと無いのでは全く違うことを知らされた。

 

 

 

その日の午後、寮に戻った時だ、

 

「シオン兄さん、少し良いですか?」

 

アイリちゃんに呼ばれ、アイリちゃんの部屋に行くとノクトちゃんは居らず、アイリちゃん一人だけだった。

 

「どうしたの?」

 

「はい、兄さんのバハムートの使用可能時間のことです」

 

ルクスのバハムートの使用可能時間のことらしい。

 

「バハムートが使用可能時間は今のところは10分程です。兄さんが無理をしそうになった時にシオン兄さんに止めてもらいたくて」

 

アイリちゃんはルクスが無理しすぎて怪我をしてほしくないみたいで、その姿が可愛らしい。

 

「やっぱりアイリちゃんはかわいいな」

 

「ひゃっ!?シオン兄さん!?」

 

俺は思わずアイリちゃんの頭を撫でる。そこまで身長の差が無いので上目遣いのアイリちゃんを見ることは出来ないが、少し顔を赤くしているアイリちゃんをかわいいな、と思ったりもしている自分に思わず苦笑する。

 

「そうだ、明日は中休みだろ?どっかに行かないか?」

 

俺は一緒にでかけないか?と誘う。

 

「えっ?明日ですか?でも雑用があるんじゃ」

 

「明日は無いぞ?アイリちゃんが嫌ならいいけど...」

 

「いえ、行きます!」

 

何だか勢いがある言い方で行くと宣言した。俺はそれを見て笑いながら、

 

「わかった。じゃあ明日の朝に寮の玄関でいいか?」

 

そう聞くとうなずいたので、細々としたことを決め、アイリちゃんの部屋をで、自分の部屋に戻る。

 

 

 

「お帰りなさい、これを言うのも久しぶりね」

 

「ああ、ただいま。いろいろあったからな」

 

部屋にはエインがおり、読書をしていた。

 

「明日は何か予定があるかしら?」

 

エインが珍しく予定を聞いて来た。

 

「明日はアイリちゃんと街に行くから、予定はあるな。どうかしたか?」

 

そう答えるとなんだかがっかりした様子で、

 

「ならいいわ、貴方とどこかに行こうと思っていたのだけど」

 

「あー、すまん。まあ、また今度な?」

 

そう言い、少し俺とエインの間に沈黙が訪れるが、不意にエインが、

 

「貴方、見える(・・・)って言ってたわね?と言うことは貴方もこの世界の人間ではないということかしら?」

 

「わからない。俺はいつから見えるようになったのか覚えてないからな」

 

そのまま、沈黙が訪れるが、それから少ししてエインから、

 

「ごめんなさい、変なことを言ったわね。明日は楽しんで、『また今度』この言葉を楽しみにしてるわ」

 

そう言ってお互い笑いながら、その日は終わり、

 

 

*

 

 

次の日、校内選抜戦三日目。中休みの日。俺は制服のまま玄関口に立っていると、アイリちゃんがやって来て、

 

「シオン兄さん?すいません、まちましたか?」

 

「いや、ついさっき来たばかりだ。それじゃあ行こうか」

 

そう言うと、アイリちゃんは俺の横に来たので、歩きだす。俺はアイリちゃんの手を取り、目的地に進む。アイリちゃんが顔を赤くしていた気がするが気のせいだろう。

 

「どう?隠れた名店なんだよな。俺的にだけどな」

 

アイリちゃんと俺はとある店を訪れていた。俺が学園に行くことになった1ヶ月前の前に一年間ぐらいお世話になった店で、比較的安価な料理を提供しており、ほぼ毎日のように通わせてもらっていた店だが、あまり客がいないので隠れた名店と言っている。

 

「はい、とても美味しいです」

 

そうにっこりと笑って言ってくれるので思わず俺もつられて笑う。それから朝御飯を食べて。次の目的地-といってもこれと言って決まっては無いが-に向かう。

 

様々なところを周り、アイリちゃんにいろいろ買ってあげたり、俺の私服を見に行ったりと楽しい時間が過ぎて行った。

そして、街から少し離れたところで不意に複数の視線を感じた。

 

「アイリちゃん、何人かに囲まれてる。俺の側から離れないでね」

 

そう言うと、腰からドレイクの機攻殻剣を抜き、一部だけを呼び出す。

すると慌てたのか、屋根の上から四人の男達がナイフを持って降りて来た。

俺はドレイクを解除し、機攻殻剣を構える。ふりをしてアイリちゃんをお姫様抱っこする形で抱っこし、走りだす。

 

「シオン兄さんっ!?」

 

「このまま逃げるからしっかり捕まっていて!」

 

俺は街に向かって走りつつ、後ろから追ってくる男達を見る。

顔を黒い幕で覆い手にナイフを持ち、おそらくはアイリちゃんを狙った暗殺者だろう。

俺は走りながら周辺の地理を思い出す。

そして逃げること数分。少し広い袋小路に入った俺達は後ろから追って来た男達を見据え、ドレイクの機攻殻剣を構える。

 

「アイリちゃん、後ろにいてね」

 

そう言うと、俺は手前にいた男に斬りかかる。いきなり斬りかかられることを予想してなかったらしく、動きが止まる。俺はその男からナイフを弾き飛ばし、腹に蹴りを入れる。

そのままその隣にいた男にも斬りかかり、ナイフを弾く。

その間にアイリちゃんを狙った暗殺者の男に裏拳を入れ、気絶させる。

これで三人。

瞬く間に仲間を気絶させられた残りの男は何があったのか、わからないまま気絶した。

 

「大丈夫か?アイリちゃん。狙いはアイリちゃんだったのかな?」

 

俺は持って来ていたサイドバックに入れていた縄を使って男達を縛り、持ち物を全て取った後で憲兵を呼び、男達を連れて行ってもらい事なきをえたが。

 

イィィィィィィィィ

 

「!これは角笛の音!アイリ、すぐに寮に戻って。俺は幻神獣を殺しに行く」

 

そう言うと、アイリの行動を待たずにジャバウォッグを思念で呼び出し、接続。

すぐさま飛び、辺りを見渡す。すると人が住む街にはいるはずのない存在が見えた。

 

「あれは〈キマイラ〉?」

 

キマイラは中型の幻神獣で、獅子の頭に山羊の胴体、蛇の尻尾と蝙蝠の翼を持つ多彩な攻撃手段を持ち、街中には現れることのないはずの存在だ。

俺はキマイラに背翼の推進装置にエネルギーを送り。なかなかの速度で接近する。

キマイラもこちらに気付いたのか威嚇をし、接近して来るが、わざわざ危険をおかすつもりは俺はない。しかし、試したいこともあるので予備のブレード(・・・・・・・)を手に持ち、過剰にエネルギーを注ぎ、キマイラの左爪での攻撃をブレードで受け、弾く。

キマイラは攻撃を弾かれながらも右の爪で追撃をしようとしたのだろう、しかし動きが突然止まり、苦悶のうめき声が聞こえる。俺はそのまま後ろに下がると、キマイラの左爪から腕にかけて急激に膨れ上がり、それが全身に広がり、さらに大きくなり、破裂する。

核も破裂の衝撃で砕けたようで。復活しそうではない。しかし、

 

キャァァァァッ!!

 

別のところから悲鳴が聞こえそちらに目をやると新たな幻神獣-同種のキマイラだが-が現れていた。俺はすぐに向かおうとするがパシィィッ!と音がしたかと思うと金色に輝く装甲を持つ機竜が現れキマイラを特大の騎槍で貫いていた。

俺はその機竜の乗り手が誰かを知っているので安心した。のだが、その安心はすぐになくなった。

貫かれて絶命したと思っていたキマイラが全身に赤黒い筋のようなのを浮かべ金色の機竜に攻撃を加える。

唐突な攻撃にも対応し、素早く騎槍でキマイラを貫くが前足で受け止め、猛毒を孕む蛇の尻尾が異様に伸び金色の機竜を、性格には金色の機竜使い。セリスティア・ライグリィを狙い、牙がその身をとらえる少し前、俺が神装を発動させキマイラを俺の目の前に転移させ、驚きで動きを止めたキマイラに斬りかかる。

いつもどうり刃が通るが、キマイラの傷がすぐにふさがっているのを確認し、思わず舌打ちをしたくなった。

キマイラは特に凄まじい再生能力を持つわけではなく、本来であればすぐにふさがることはない。だが、何らかの影響を受けているキマイラだとすぐわかるため下手に動け無いが仕方ない。俺は予備のブレードにいつも以上に過剰にエネルギーを注ぎ、キマイラに肉薄する。

キマイラはいつもより数段早い動きで攻撃を繰り出して来るがそれにあわせ斬りつける。キマイラの右爪と予備のブレードがぶつかり合い火花を散らした後、キマイラの体が膨らみ始める。膨張したその体にセリスティア先輩の操る《リンドブルム》の騎槍が突き刺さり、超高電圧をかけられ全身を焦がされたキマイラは核を砕かれたのか、いつもとは違い真っ黒な灰となって崩れた。

俺はジャバウォッグの接続を解除し、機攻殻剣をしまう。

 

「なぜ、貴方がここにいるのです?」

 

セリスティア先輩から明確な敵意を持って言葉が飛んでくる。俺は肩をすくめながら、セリスティア先輩を見るとその奥に栗色の髪の少女《ルクス》がいた。

俺は努めて意識しないようにして答える。

 

「アイリちゃんと出掛けてた途中で幻神獣を見つけてな、討伐する途中で見つけたもんで、助けようかと思ってな」

 

そう言うと、セリスティア先輩はどういったらわからない、と言った表情を少し見せたが、すぐにいつも通りの雰囲気を纏い、

 

「そうですか、ですが助けは要りませんでした」

 

そう言われた、俺はそれに苦笑しか返せず。特に何か言うこともないのでそのまま脇を通りすぎる。ルクス(ルノ)と目が合ったが特に何も言わず通り過ぎた。

 

 

そして校内選抜戦四日目。俺は今日二試合をこなすが、その一つがシャリス先輩との試合だ。

シャリス先輩は二日目の試合で上手くあしらわれたこともあり、今回は油断できない。

 

「ふぅ、君と試合をするのはやはり慣れないね」

 

「そうですか?俺は楽しみですけど」

 

すでに俺とシャリス先輩はリングに立っている。

 

「両者、機竜を呼び出してください」

 

審判の生徒に促され俺は白い機攻殻剣を、シャリス先輩は白と蒼の機攻殻剣を引き抜き、掲げる。

俺は柄にあるボタンをおし、声高らかに

詠唱符(パスコード)を詠む。

 

「ーー恐怖を振り撒け!万物を喰らいし最恐の龍!白きその身を赤く染めろ!《ジャバウォッグ》!」

 

俺が声高らかに詠唱符(パスコード)を詠み終わると、俺の後ろに巨大な白い装甲と真紅の(ライン)を持つ龍が現れた。

俺は思念で接続をする。

白い装甲が内側から分かれ、俺を守る鎧に変わる。

シャリス先輩も〈ワイバーン〉を呼び出し、接続しており、それぞれが戦闘可能な状態になると、審判の生徒が、

 

「それでは、試合(バトル)開始(スタート)!」

 

宣言を受け、俺とシャリス先輩は動く。

俺は後方に大きく跳びつつ、背翼の推進装置を起動し、左手に壊竜鋭爪(ガルムウォーパル)を持ち、右手に怪竜翼銃(ウォーバルウィル)を構えてシャリス先輩を見据える。

シャリス先輩は前進しながらダガーを片手に持ち、中型のブレードを構えながら先に斬りかかってくる。

三和音の三人とは、特訓と言う名目で稽古をつけていたためこちらの手の内は殆ど(・・)明かしている。

 

「早速その体制とは、私はまだなめられている訳ではないみたいだな」

 

「ええ、さすがにシャリス先輩をなめて戦うには少し難しすぎますしね」

 

そう会話のようなやり取りをして俺達はぶつかる。

 

アイリside

白と蒼の光が空中で衝突するのを見て、私は思わずため息をついてしまいました。

 

「はぁ、シオン兄さんはこっちの気も知らないで」

 

ジャバウォッグは負担がバハムートよりも大きい神装機竜だ。その為、連続使用はやめて欲しいと頼んでいたのだが。

 

「苦戦しているわね、いつもならもう少し優位に試合を進めているのに」

 

クルルシファーさんが私の横でそう呟く。

 

「そうですね、昨日の負担が残っているのもあるでしょうが、シャリス先輩の技術が上がっているのもあるでしょう。

まあ、シオン兄さんが稽古をつけていたからでしょうけど」

 

シオン兄さんは戦いの時や、政治等の闇を見抜いたりするときはとても鋭い。だけど私の気持ちに対してだったりにはとても鈍い。

なとなく理解は出来るけどやっぱり変な感覚なのは仕方ないと私は思いました。シオン兄さんがなんにでも鋭いのはなんだか違うと思うので、まあ、こういう時には鋭いのですけど、

 

「うーん、特にシャリスは頑張ってたからなー」

 

「Yas.私達の中では最も頑張っていました。ここまでなったのも納得できます」

 

三和音の二人、ティルファーさんとノクトがそんなことを言っていた。もちろんそれもあるだろうが、戦闘スタイルの相性の悪さもあるだろう。 

 

「にしてもシオンの武装の持ち方は、初めてみたぞ?新王国の機竜使いの戦いを今まで見てきたが、似ているスタイルの持ち方も見たことがない」

 

「ええ、ユミル教国でも見たことがないわ」

 

シオン兄さんは銃&剣(ガン・アンド・ソード)スタイルで、それぞれの武装を持ち、手数と威力を兼ね備えたスタイルだが、それぞれをしっかりと使え、かつ状況に応じて武装を使い分けれる判断力も必要だと言うことで使う人は少ない、というかいない。

だからこその強みがあるのだが、シャリス先輩とは相性が悪かったらしい。

私はシオン兄さんの試合に目を向けると試合の重要な局面を迎えていた。

 

シオンside

俺は思わず苦笑してしまった。俺がシャリス先輩に教えたことがここまでしっかりと効果を発揮するとは思わなかった。

 

「ふふふ、私に自分の戦闘のしかたを教えてしまったからな、中々に戦いにくいだろう?これでも追い付こうと頑張っているからね」

 

シャリス先輩はダガーを巧みに攻撃の間に挟めて来るので、こちらの動きを阻害しつつ、手数を増やす。俺が怪竜翼銃(ウォーバルウィル)を使って手数を増やすようにシャリス先輩もダガーで手数を増やしているのだが天性のセンスだろうか、タイミングや場所が絶妙で、こちらから手を出しにくいのだ。

このままだと試合が終わってしまう、俺は仕方なく本気を出すことを決める。

 

「シャリス先輩、本気だすんで、気を付けてくださいよ?」

 

そう言い、俺は思念でとある命令を出す。そして、機攻殻剣を持ち、一言、起動符(パスワード)を詠む。

 

「〈悠久門解錠〉!」

 

俺が起動符(パスワード)を詠むと、俺の背後、ジャバウォッグの背翼部分に巨大な時計盤が現れる。

そして、俺の左右に小さな時計盤の描かれた門が二つ現れる。

 

「嫌な予感しかしないね、それは何かな?」

 

シャリス先輩は身構えながら俺に聞いてくる。俺はその問いに微笑をたたえながら答える。

 

「これは〈悠久門〉と言って俺の全力を成す為の奥義ですよ。ジャバウォッグの強化武装です」

 

そう言い、俺は怪竜翼銃(ウォーバルウィル)を構え、撃つ。

シャリス先輩は驚きながらも複数発射されるエネルギー弾を避け、ダガーで誘爆させ避けきるが、それは予想通りだ、俺は〈悠久門〉の真価を発揮する。

この〈悠久門〉は時間制限がある。というかは設定することができ、その制限を越えると強制的に解除させられる。しかし、悠久門の真価はその付属武装である〈刹那門〉にある。

〈刹那門〉は〈悠久門〉の付属武装であり主武装である特殊武装で、神装の効果で自由に動かすことができ、放出系のエネルギーを取り込み、そのエネルギーを分解し全く別のエネルギーとして再度放出できる。という効果だけを持つ付属武装だ。しかし、使い方によっては恐ろしい武装となる。

そして今その真価を発揮している。

 

「なっ!?」

 

先ほどの怪竜翼銃(ウォーバルウィル)のエネルギー弾を取り込み、分解し再度放出したのだ。

シャリス先輩の後方から放出したのだが、シャリス先輩はそれに反応し、素早く避けたのだが、背翼にダメージを与えることができたようで、動きが格段に鈍っていた。

そして、〈刹那門〉を使用したため、背翼部分にある、〈悠久門〉の針が動き始める。

 

「くうっ、やってくれたね。まさかそんな隠し種があったなんてね」

 

そうシャリス先輩が恨めしそうに言って来るが苦笑を返し、一気に攻める。

背翼を破壊され動きの鈍ったシャリス先輩は粘ったが、徐々に危ない時が増え、

 

「ぐうっ!?」

 

フォースコアに打撃を受け、機竜が解除させられる。

 

「そこまで!第三試合はシオン・オルバートの勝利!」

 

歓声が上がり、俺達はお互いに礼をする。

その後は特に何もなく進む。そして四日目が終わり、

 

 

校内選抜戦最終日。今日は俺は一試合だけで、アイリちゃんに呼ばれている。

ちなみに今は三年生は百四十九点、一・二年生が百四十二点で中々の接戦だ。

今日はルクスとセリスティアのタッグ戦がある。まあ、俺は一試合だけで、ルクスのタッグはフィーアだ。心配は無いが俺がアイリちゃんに呼ばれた方が気になるな、まあ、俺の試合は終わり-勿論余裕で勝利したが-後はルクス達のタッグ戦だけだ、俺は観覧席でエインとアイリちゃんに左右を挟まれその上ティルファーとノクトちゃんに上下で挟まれ、周りがすべて花と言われるような状態になっている。

特に左にいるエインが俺の腕に身体を絡めつけてきて俺の腕にエインの柔らかい身体の感触と見た目以上にある胸が腕にあたり平然を装っているが心臓がバクバク言っている。

 

「ちょっとクルルシファーさんっ!?何でそんなにくっついているんですか!?」

 

アイリちゃんがエインに突っかかっている。それをエインは巧くあしらっている。俺はそれを見ていると不意にエインにだきよせられ、エインに、

 

「ふふふっ、私に言ってくれたわよ?シオン君から直接、私のことを好きだと。ね?」

 

爆弾を投下された。

周りが凍りつき、ティルファーとノクトちゃんでさえも凍っている。

 

「シオン兄さん?本当ですか?」

 

アイリちゃんが先ほどまでの覇気を無くし、俺に聞いてくる。

 

「あ、ああ、言葉のあやで...」

 

俺がその先まで言おうとしたとき、俺は思ってしまった。このままではどちらにしろ俺は被害を受けるのでは無いのだろうかと、しかしここまで言った以上、後には下がれないのではないか。そう思ってしまった以上下がれないと思った俺は仕方なく、

 

「言った、好きだと。まあ、俺の気持ちをエインに言ったんだ」

 

そう言うとアイリちゃんは驚いた表情を浮かべていた。そして笑いだした。

 

「やっぱり、シオン兄さんはそういう人ですよね」

 

そう言い、そのまま笑っていた。俺はそれを見ながら苦笑すると、後ろから体重とムニュッと柔らかいものが背中に当てられた。俺はあわてて後ろを向くと、すぐ近くにティルファーの顔があり、ふわっと柔らかい何かの匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「ティルファー、いきなりどうしたんだ?」

 

「うん?アイリちゃんとクルルシファー嬢がシオっちを奪い合ってたから漁夫の利を狙ったんだよ」

 

そうティルファーが笑いながら言う。それを聞いていたアイリちゃんとエインの表情が固まる。俺は苦笑しかできない。

前にいるノクトちゃんは表情はあまり変わっていないが、少し雰囲気的に笑っているのだろう。

逃げ場の無い俺は力なく笑うが、不意に声をかけられた、

 

「おい、シオンを取り合うのはいいが少しは自粛したらどうだ?」

 

少し眠そうにしたリーシャがやれやれ、といった雰囲気でそういってきた。

 

「シオン君は私の恋人だから悪いことはないと思うのだけど?」

 

エインはさも普通のことのようにそう言い、

 

「私はクルルシファーさんがくっつきすぎだと言っているだけです」

 

アイリちゃんはそう普通の顔で言った。

 

「いいじゃんリーシャ様、リーシャ様にはルクっちがいるから大丈夫だと思ってるんでしょ」

 

そうティルファーが意地の悪い目をして言った、するとリーシャはみるみる顔を赤くしてうつむいた。

 

「リーシャ大丈夫か?俺はそこまで迷惑になってないし大丈夫だぞ?」

 

ルクスがいるから大丈夫、と言う続きの言葉は周りの歓声に消えた。

俺達はリングに視線を向けると、ルクスとフィーア、セリスティア先輩とシャリス先輩が立っていた。

それぞれが機竜を召喚し接続した。

ルクスとシャリス先輩は飛翔型の〈ワイバーン〉セリスティア先輩は金色の装甲を持つ巨大な機竜〈リンドブルム〉そしてフィーアが紫色の分厚い装甲を持ち、巨大な装甲腕を持つ〈ティポーン〉

それぞれが機竜を纏い、審判のライグリィ教官の合図で蒼と蒼が、金と紫が激突し戦闘が始まった。

 

「フィーアって強いのか?」

 

俺はフィーアと同じ騎士団のエインとリーシャにそう聞く。エインとリーシャは少し考え、

 

「そうだな、あの天然娘は強い。機竜使いでは少ない体術を使うからな、見切るまでは避けたりガードもしにくい。それに〈ティポーン〉の性能をあるから、下手にガードしてもガードの上から衝撃をもらうからな」

 

今もリンドブルムが背後に転移して来たときに回し蹴りをしているのを見ると手強そうだ、

 

「彼女はいつも学園を守るため幻神獣とは戦わないけどそれでも強いわ」

 

騎士団の中でも強い部類にいる二人が強いと言うのだからそうなんだろう、俺はルクスの方を見ると少し押されぎみだった。

 

「シオンがシャリスを鍛えたんだよな?」

 

リーシャがそう聞いて来たので縦に首を振る。俺がうなずいたのを見てリーシャはなにかを考え始めた。

俺達はルクス達の戦いを観戦しはじめて少したった時、右側から声をかけられた。

 

「シオン兄さん、少しいいですか?」

 

アイリちゃんに誘われ、第一闘技場をでる。

 

 

「どうしたんだ?アイリちゃん。この先には図書館しかないはずだけど」

 

そう聞くと、アイリちゃんはこちらに振り向き、近付いて小さな声で、

 

「これからヘイブルグ共和国のスパイを捕らえに行きます。そのときに相手が何かしてきた時に私達(・・)を守ってもらう為にシオン兄さんには来てもらいました」

 

「私達?」

 

俺はアイリちゃんの一言に首をかしげると、後ろからふわっとミントの香りが漂ってきた、その香りの正体を確認しようと後ろを向くと二人の少女がいた。

 

「やっほー、私達も一緒に行くんだよ。しっかりと守ってよねシオっち」

 

「Yas.二人だけでも大丈夫と言ったのですが、アイリが聞かないで」

 

「ノクトっ!?それは言わないって!」

 

先ほどまでの一緒にいたティルファーとノクトちゃんだった。

俺は三人の少女達のやり取りを苦笑しながら見ながら図書館に向かって行った。

 

 

その同時刻。アスティマータ新王国とヘイブルグ共和国との国境の海岸に新王国の記章の刻まれた機竜が数百体集まっていた。

その機竜達の視線の先には巨大な烏賊のような姿をした石像があった。

 

「これほど巨大な存在が動いていたのか」

 

この石像はかつて帝国が世に解き放った遺跡を守る世界に七体しかいない最強最大の幻神獣のうちの一体。〈ポセイドン〉その冬眠状態の姿だ。

この幻神獣を討伐するために集まった新王国の戦力がここに集まっていた。

しかし、〈ドレイク〉を纏っていた一人の兵士の一言で激震が走った。

 

「たっ、隊長!!海底を何かが進んで行った痕跡があります!!」

 

その一言はここに集まった戦力が意味をなさないことと、新王国ががら空きだと言うことをさしていた。

 

「総員!急いで王国までもどるぞ!!」

 

そして悲劇は全く別の場所でおこっていた。

 

 

図書館に入って少し進むと一人の少女が鍵のかかった扉の前で何かをしていた、アイリちゃんに目で聞くと、答えはイエス。目の前の少女がヘイブルグ共和国のスパイだと言うことだった。

すると、カチャンと音がした。アイリちゃんが立ち上がったので俺も立ち上がり、機攻殻剣を引き抜きついていく。

 

「よし、これで...」

 

「立ち入り禁止の場所で探し物ができると言う訳ですか?ヘイブルグ共和国のスパイさん?」

 

アイリちゃんの声を聞いたスパイは立ち上がりこちらを向いた。

 

「サニア先輩。貴方は確か今日は休養だと言うことだったと思いますが?」

 

俺がそう問うと、

 

「この状況で声をかけて来たのが一年の没落皇子の妹だったから馬鹿なのかと思ったが案外そうでもないようだな」

 

サニアはそう言いながら腰に差していた機攻殻剣を引き抜き、詠唱符(パスコード)を詠み〈ワイバーン〉を召喚し接続する。

俺はそれを見て、思念で〈ジャバウォッグ〉を呼び出し接続する。

 

「温室育ちの貴族ども!本当の戦争を始めようじゃないか!」

 

そう言うと目をカッと見開き、それと同時に不協和音があたりに響く。

俺は幻神獣の出現を警戒するが現れない。しかし、目の前のサニアが操る機竜の装甲の表面につい先日倒したキマイラの表面に現れた赤黒い血管のような筋が浮き出た。

 

「アイリちゃんとティルファー、ノクトちゃんはふせてっ!」

 

そう俺は言うとサニアに最速で接近した。

速度の乗ったまま、収納部から居合い抜きの要領で切りつける。サニアはそれをブレードで弾いた。

サニアはまとめていた髪をほどき荒々しい印象を受ける。

俺は再度接近し、鍔迫り合いに持ち込む。サニアの機竜は出力でジャバウォッグに勝っており、まともに戦えば出力の差で負けてしまう。なので全力を出せる広い場所に動くのが先だと。

 

「!?」

 

サニアと鍔迫り合いを続けていると、景色が変わり、サニアの表情が驚きに変わる。

 

「何回も見ただろっ!」

 

俺はそう言いながら、周囲にいた騎士団の機竜に竜声を送る。

 

『騎士団の皆。スパイは俺が相手する。残りの敵を探してくれ』

 

俺はサニアと視線を交わし、口を開く。

 

「どうした?全力を出せよ。その程度で俺達に戦争ふっかけたのかよ」

 

高速でうごきながら、挑発をするが全く反応しない。俺は自分からしかける。

体重をのせ、速度も中々の一撃。

 

「っ!」

 

サニアはそれをブレードで防ぎ。フォースコアを砕かれた。

 

「なぁっ!?」

 

何をしたのかと言うとエネルギーを伝播させ自壊させた。しかし伝播させたエネルギーの量は尋常ではない量を送ったのだから生半可な防ぎ方では防げない。

俺はフォースコアを破壊したワイバーンを蹴り飛ばしルクス達がいる第一闘技場を見ると巨大な烏賊のような幻神獣が現れていた。

 

「あれは、ポセイドン。何でこんなところに?って、何で俺は一度もみたことのないあれがポセイドンだとわかるんだ?」

 

ふと、思い浮かんだ記憶が巨大な幻神獣がポセイドンだと言っているがまったくと言っていいほど記憶にない記憶なのだ。

 

「迷っていても仕方ねえ。さっさといかないとっ!?」

 

俺が背翼にエネルギーを送り飛ぼうとしたとき爆発音が聞こえ、音のする方を見ると女子寮に灰色の機竜が砲撃していた。女子寮は頑丈に作られているため壊れてはいない。それに騎士団の面々が奮闘しているが相手が悪い。俺はルクスに竜声で任せろといい。灰色の機竜の前に転移する。

 

「騎士団の皆は生徒の救助を、ここは俺がやる」

 

そう大きくはない。しかし通りやすいように少しソプラノぎみの声で伝え、灰色の機竜に壊竜鋭爪を向け、

 

「ここで暴れたことを後悔させてやるよ!」

 

そして殺戮が始まる。

全力で動き周り刹那門もフル活用し、五十はいた灰色の機竜を次々と落として行く。勿論疲労感が蓄積されて行くが俺が疲れて動きを止める前に灰色の機竜達は全滅した。

 

「はぁっ、はぁっ!これで終わったか。ルクス達は?」

 

俺は息を整えながら闘技場の方向を向く。するといまだに戦い続ける皆がいた。しかし、ポセイドンの全身は切り傷が大量についておりセリスティアが肩に連結された特殊武装が起動し、光球が放たれ、破壊の波がポセイドンの全身を焼き付くし、力なく周りを破壊していた触手が横たわる。

セリスティア達はふっ、と気をゆるめた。そしてセリスティア達はポセイドンに近付いて行く。俺は息を整えながら闘技場に向かう、その時、

 

イィィィィィ!

 

角笛の不協和音が聞こえて来たかと思うと力なく横たわっていた触手が赤黒い筋を浮かべ、動きだし、セリスティア達を叩き、吹き飛ばす。前に俺が全力で発動させた世界喰がリーシャとクルルシファーを俺の元に転移させる。ルクスとセリスティアは範囲内に入っておらず既に範囲内だった二人だけを俺の元に転移させた。

 

「「っ......?」」

 

リーシャとエインは痛みに備え、目をきつくとじ体を強張らせていたが一向に痛みが来ないことに驚き目を開ける。

 

「大丈夫か?ルクス達は間に合わなかった。すまん」

 

そう言い俺はポセイドンを見据える。全身に赤黒い筋のようなものを浮かべ辺りを破壊している。ルクス達がどこに飛ばされたのかは、わからないが、今はあれを止めるのが先だ。

 

「リーシャとエイン。お前達はルクスとセリスティアを探してくれ。俺がポセイドンを殺る」

 

そう言うと俺はリーシャ達の返事を聞かずに飛ぶ。

悠久門は既に解除しているため、俺は壊竜鋭爪を両手に持ち接近する。

周りの百を超えるような触手が俺を打ち落とそうと襲いかかって来るが、必要最小限の回避と攻撃で本体に攻撃を加える。

しかし、過去の記憶にあるような柔らかさではなく、壊竜鋭爪がしっかりと通らない。

俺は世界喰を使用しながら触手の攻撃を避け、ダメージを蓄積させる。何故か再生しないことが救いか、俺は隙を見て壊竜毒霧を発動させる。ただの目眩ましだがこれがあるだけでルクス達の安全性が上がるのならばしないわけがない。

俺はポセイドンの注意を引くため更に攻撃を加えて行く。

 

どれだけの時間がたったのだろう?いや、おそらく十分と少しだろう。装甲を削られながらポセイドンの触手を削り、血反吐を吐きながらポセイドンの全身から血を流させる。そんな殴りあいのような戦闘を繰り返していると、待ちわびた声が竜声を通じて聞こえてきた。

 

『シオンっ!ごめん!』

 

ルクスの声だ、俺はポセイドンの触手を避けながら一旦引く。

 

「応、遅かったな。なんだ?セリスティアを丸めこんだのか?」

 

「あはは、変わらないねこんな状態でも」

 

ルクスは苦笑いを浮かべ俺もつられて笑う。ルクスは数分しか使えないであろうバハムートを纏い助けに来てくれたようだ。

 

「ああ、これぐらい俺達が協力すれば簡単だ...とは言えないがな。俺が仕留める。それまで時間を稼いでくれるか」

 

「疑問文じゃないね、うん、任せて」

 

そう言ってルクスはポセイドンに斬りかかっていく。俺は過剰にエネルギーを背翼に送り込み、壊竜鋭爪以外の部位には必要最小限のエネルギーしか送らず、全身が普通とは異なるエネルギー供給に耐えられず震え始める。

ルクスはエンドアクションと言う半永久的に攻撃をし続けることのできる奥義を使い、本体に届く勢いで攻撃を加えて行く。俺は壊竜鋭爪を前に構え竜声でルクスに準備が終わったことを伝える。

ルクスはエンドアクションを続けポセイドンの本体に攻撃を加えて行くがその途中、一本の触手によって吹き飛ばされる。そしてポセイドンが宙に浮く俺にターゲットを変えたとき、

 

限定突破(リミットブレイク)

 

光の速さでポセイドンの核ごと体を貫通し、一滴の返り血も無いままポセイドンの裏側に立つ俺の秘技が決まった。

 

ウゥゥゥゥゥゥ!?

 

核を貫かれ絶命したポセイドンが断末魔を上げ体を灰に変えて行く中、人の頭と同じ大きさのクリスタルがポセイドンの死体から出てきた。

俺とルクスは既に満身創痍、リーシャとエインはセリスティアを助けるため動けない、俺達はそのクリスタルが宙に浮くのを見ているだけだった。

 

「まさかポセイドンまで倒しちまうとわなぁ!」

 

俺達が宙に浮くクリスタルを見ていると空から、サニアが俺が破壊したはずのワイバーンを纏いその肩にのせるかたちで黒いフードを被った女が降りてきた。

その姿は俺とルクス、アイリちゃんで探している男に似ていたが雰囲気が違い、俺は今までは全く記憶になかった記憶から違うと確信した。

俺は吐血しながらも立ち上がる。

 

「てめぇは、フギルじゃねえな?」

 

俺は神装すら使えない状態にもかかわらず、壊竜鋭爪をサニアとフードの女に向けて切っ先をあげる。

なんで俺がフードを女だと言っているのは、記憶にあるからだ、今までは全くと言っていいほど覚えていなかったのだが、

 

「?なぜわかった?」

 

「あんたとは前にあっているみたいでな。それで、ヘイブルグのスパイを従えているってことはあんたもヘイブルグの人間なんだな」

 

俺はできるだけ満身創痍なことを悟られないように強気に振る舞う。

 

「へっ、オレと出会ったことがあるって言うのは面白い冗談だなぁ、まあいいさっさと回収しろ」

 

「はい」

ヘイズは謎のクリスタルを回収した、サニアのワイバーンの肩に乗り何処かへと飛んで行き、残ったのは破壊し尽くされた闘技場と大量の灰だった。

 

 

ポセイドンとの戦いから二日後、なんで二日後かって言うと俺があの後昏睡状態になったからだ。エインとアイリちゃんが看病を交代でしてくれたらしい。

俺は二人にありがとう、と一言言ってから、呼ばれていた学園長室に向かう。

 

「シオン・オルバートです。入ります」

 

俺はノックもせずに入る。中にはルクスとセリスティア、それとレリィ学園長がいた。

 

「で、何ですか用って。最後の試合はポセイドンの乱入によって決着は決まらなかった。俺達の今後についてですか?」

 

俺は早速、話を切り出す、レリィ学園長はうなずき、口を開く。

 

「ルクス君にほだされちゃったセリスティアさんの一声で貴方達はこの学園に残ることになったわ、おめでとう」

 

パチパチと拍手をするレリィ学園長。

 

「だと言うことです。これからよろしくお願いします、ルクス、シオン」

 

セリスティアもいつもの雰囲気を纏いながら頭を下げてくる。

うーん、これからまた学園が賑やかになるなと思い苦笑を浮かべる。

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