白き英雄   作:蕾琉&昇華

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お久しぶりです。昇華です。
更新がどんどん遅くなって来てます。ヤバい。
二章進んだら一巻分で進んでいますが、今後三章で一巻になったり間にオリジナル展開のお話が入ったりすると思います(するとは言ってない)。
それでは本編をどうぞ



8.七章

「すまない、お前みたいな小さな子を一人にしてしまう私達を許してくれ」

 

 誰だかわからない、何処かもわからない、わからないことしかない何処かで、俺は目覚めた。そこで何かをカプセルのようなものに入れる誰か、その表情は苦渋に満ちたものだった。

 俺は声を出そうとして声が出せないことに気付いた。

 誰かは俺に気付かないまま何処かへと立ち去って行った。

 俺はカプセルに近付き見てみると、冬眠のような状態を作り出す機械のようで、中に幼い五歳ほどの子供が中で眠っていた。俺はその姿をみて、思わず頬が緩んだ。

 俺は少ししてから歩き出した、どうやら地下室だったらしく上に続く階段と扉があった。俺はその扉を開け通路に出た。

 通路は広く、辺りに多くの人の死体が転がっていた。俺は注意して進むため一応でも機攻殻剣を持って進もうと思ったが腰に機攻殻剣がついていないことに気付いた。俺は仕方なく周囲に落ちていた、近衛兵の剣を手に持ち、奥に進んで行った。

 

 

 奥に進むと王座についた。そこには胸から剣を生やした王らしき人物とフードを被った男がこちらを向いていた、髪の色や、目の色は見えないが雰囲気が男だったのと、話している声が男のものだったからだ。

 

破壊者(ジャガーノート)よ、これは貴様の深層領域にある封じられた記憶だ。貴様が全てを取り戻した時、愚弟と共に居続けることを選べるのか見せてみろ」

 

 男はそう言うと俺が瞬きをした後にはいなくなっていた。そこにいたのはおぞましい見た目をした天使のような化け物がいた、俺は剣を構えるが瞬く間に剣を砕かれ、首にその牙が突き刺さる。

 

 

 ガバッと音をたてながら俺は飛び起きた。

 背中は嫌な汗でぐっしょりと濡れており違和感を覚える。さっきの悪夢はなんだったのか、思い出せない。

 俺は少し考えるが、どうにも思い出せないと諦め、汗を流す為シャワーを浴びに行く。

 

「ふぅ、涼しいな。レリィさんが金に物を言わせたんだろうなー」

 

 独り言をいいながら船の甲板で潮風に当たりながら月明かりに照らされた海をみる。

 

「にしてもリエス島か」

 

 過去に非人道的な実験を行うため軍の施設を隠れ蓑にして帝国が生物兵器を作る実験をしていた島が今回の目的地、リエス島だ。

 今回、騎士団や、一部の生徒と共にリエス島の旧帝国の軍の施設を使って強化合宿を行うためリエス島に船を使って向かっている。

 校内選抜戦が終わって二週間ほどしてレリィさんが唐突に、

 

「来週からリエス島に強化合宿に行くわよ」

 

 なんて言ったのだ、騎士団の面々や、一部の生徒、アイリちゃんは大いに慌てた、全く予想していないことだったからだ。しかしレリィさんが準備を恐ろしい勢いで進めていき、本日にいたった。

 

「はぁ、どうも嫌な予感しかしないんだよなー」

 

「嫌な予感ってどんな風にかしら?」

 

 俺の独り言に返して来る言葉があった。

 俺は振り向くと水色の綺麗な髪と妖精のような美しい容姿を持ち、月明かりに照らされた、クルルシファー・エインフォルク、俺はエインと読んでいる少女がいた。月明かりに照らされた彼女は本当の妖精に見える。

 

「いや、あまり当たらない予感だから気にしなくていいよ」

 

 あはは、と笑いながら言う。

 

「そうかしら? 貴方が今まで下手なことを言ったことはないと思うのだけど」

 

「そうか? まあ、俺の予感が当たったとしても皆を守るさ」

 

「ふふふ、なら頼もしいわね」

 

 エインと甲板で笑いながら他愛もない話に花を咲かせ、一時間ほど話してからその場はお開きとなり、俺はそのまま寝ずに夜を明かした。

 

「ほぉ、あれがリアス島。なかなか広そうだな」

 

「ええそうね、海も綺麗だし合宿の合間に遊ぶのをいいかもしれないわね」

 

 リーシャ達が起きて来て数時間がたつとリアス島が見えてきた。緑が生い茂る島とその回りを囲む透き通った綺麗な青い海、そしてさんさんと照りつける六月の太陽。素晴らしい絶景が目の前に広がっていた。

 

 

 リアス島に船を泊め、積み荷と錨をおろし、草が生い茂る石畳の道を通る。

 リーシャやティルファー達が愚痴を言うなか、少し進むと一気に視界が広がり、石で作られた演習場や小さいながらもしっかりとした商店も見られた。

 

「ようこそおいでくださいました。レリィ様、それとシオン様」

 

 そう言いながら近付いて来たのはこの島の町長だ、

 

「いえいえ、今回は学園長として来ているのでお気遣いは不要です」

 

「俺も学生として来ているのでお気遣いは不要です」

 

 俺とレリィさんがそう社交辞令で挨拶を返し、少し話をした後、騎士団の皆と合流し旧帝国が作った、軍の人間が泊まる寮につく。学園の寮に比べると質素で、簡単な造りだ。

 

「シオン、ここに来たことあるの?」

 

「うんにゃ、何となく、来たことがあるきはするがはっきりと覚えていないんだよなー」

 

 わかんない、これがルクスの問に対する答えだろう。俺はあはは、と笑いながら寮に入る。その後はルクスと別れ、自分の部屋に入り荷物をおいて、着替えて浜辺へと向かう。

 

 

「わわわっ!? すいません見てないですから!」

 

 俺が少し遠泳をして戻って来るとルクスが顔を真っ赤にして顔をそむけながら、シャリス先輩達の水着(ウォータードレス)を見て焦っている。

それを見てシャリス先輩達の玩具になっていた。

 

「おーいルクスー! それは下着じゃなくて水着(ウォータードレス)っていう海に行く際に自身の身を飾る為に貴族の女性が着る衣服の一つだ。ちなみに男用もあってな、俺が来ているこれもその一種だな。まあ、お前のは少し違うが」

 

 俺が着ているのはウエットスーツと呼ばれる種類の水着で、泳ぎ安さを重視したタイプだ。

 

「早く着替えてきな。セリス先輩がまってるぜ?」

 

 俺はルクスにそう言う。ルクスは急いで寮に戻っていった。

 

「ふふふ、意外と似合うのね。それに泳ぐこともできるみたいだし」

 

「まあな、だいたいのことはできるしな」

 

 エインと話し、ティルファーや、ノクトちゃん、シャリス先輩や、セリス先輩達が遊んでいるのを見ているとルクスとアイリちゃんが水着(ウォータードレス)に着替えて来た。すぐにシャリス先輩やセリス先輩がルクスの方に行く。リーシャは何故か腰下まで海に入ったままルクスを見るだけだ。なぜなのかは知らないがルクスは気づいているみたいだし大丈夫だろう。

 

「これから少しですが走りこみと水練をします。しっかりとついて来てください」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 その後俺達はセリス先輩のペースで砂浜の走り込みや水練を行ったのだが。俺みたいに鍛えまくっているわけではないルクス達は息絶え絶えで練習を終え海で遊んでいた。

 俺は遠泳をしてその時間をすべて潰した。

 

 

「あー、疲れたー」

 

 日が登り、ただですら高かった気温がさらに上がったらしい。俺達は一度シャワーを浴び、機竜を使える訓練場に来ていた。すでにウォームアップ-勿論セリス先輩のペースでだが-を終わらせ、レリィさんが話があるということで装衣のまま集まっていた。

 

「それじゃあこれから、ルクス君とシオン君とで別れて総当たり戦をしてもらうわ。それでルクス君達は彼女達の弱点等を総合して見て課題を出してもらおうかしら。それと三名をこの合宿中に頑張った子を選んで優先的に依頼を一回受けてもらえる権利をあげようかしら。まあ、課題を達成すればいいのよ」

 

「僕達も人間なんですけど。さすがに全員はきついかと」

 

「俺は全然いいぜ、今どれだけ皆が強いか見たいし、少し休憩を挟めば全員とは戦えるだろ」

 

 レリィさんが話終わってルクスが反論しようとするが俺が賛成したことで結果的に総当たり戦をする事が決まった。

 ちなみにリーシャ達は神装機竜を使うらしい。全力で戦うことを想定しているらしく俺とルクスが交代交代で戦うことになった。

 

 

「ふふふ、今思えば一番最初に戦ってから戦ってないな。全力でいかせてもらうぞ?」

 

「いいぜ? 三分だしな」

 

 模擬戦は三分間で降参するか機竜を解除させられたら負けの簡単なものだ。審判は騎士団の生徒だ。

 

「両者機竜を呼び出してください」

 

「来い、《ジャバウォッグ》!」

 

 俺は詠唱符を読まずに思念を使って呼び出す。そのまますぐに接続して武装を構える。

 リーシャは《ティアマト》を呼びだし、すでに接続を終わらせ、付属武装も全てだし、レギオンが十六、セブンスヘッズが一つという完全武装状態だ。俺は左に怪竜翼銃、右に壊竜鋭爪を持ち、銃&剣(ガンアンドソード)を取る。

 

「試合、開始っ!」

 

 審判の生徒の合図と共に俺とリーシャは動き出す。俺は突撃、リーシャは後方に下がるバックステップ。

 俺は左右から飛んでくる六対のレギオンを《世界喰》を使って全く別の場所に飛ばしたり、壊竜鋭爪で反らしたり、完全に避けたりして、前進を続ける。

 

「それを完璧にさばける奴が新王国に何人しかいないと思っている?」

 

 苦笑いを浮かべながらリーシャはセブンスヘッズを構える。俺はレギオンがさまざまな方向から飛んでくるのを感知しながら前進を続ける。

 リーシャは俺が前進を続けると思わなかったのか急いでセブンスヘッズの引き金を引く。

 急いで引いたため、綺麗に俺を狙った極太の閃光を世界喰を使って転移し避ける。

 

「甘い、焦って射つのは悪手にしかならんからな。覚えとけよ?」

 

 後ろに転移した俺はそうリーシャに言う。

 焦ってリーシャはブレードを使って斬りかかって来るが予想ずみの俺は既に転移をして後ろにまわっている。ブレードを振り切り、がら空きの背中の推進装置に

斬りつける。

 動き終わりがら空きだった背翼に綺麗に入った斬撃は推進装置を破壊する。

 推進装置を破壊されたことにより、中空に飛んでいたリーシャは地面に降りることになった。

 

「それでだ、焦って判断を誤ればあのタイミングで殺される。反撃をしようとするときはカウンターだけだ、焦っての反撃なんて隙を晒すだけだ。特に俺みたいな転移が可能な相手だとな」

 

 俺は少し浮いた状態からリーシャに向けて言う。リーシャはそれを聞いてむう、と唸る。

 俺は壊竜鋭爪を構え、リーシャにプレッシャーをかける。今二分程がたち後一分もないはずだ。

 

「動かないのは悪手とは言えないが、いいとも言えないぞ?」

 

 既に準備をしていた俺は神装を発動させ、リーシャを目の前に転移させる。

 俺はそのまま斬りかかることはせず、一旦距離を取る。

 リーシャは素早く後ろに下がりながら手元に戻したレギオンを飛ばしてくる。

 俺は全てを壊竜鋭爪で弾き飛ばし、怪竜翼銃で逃げたリーシャを狙い射つ。

 おそらく天声で操作しているのだろう、動きが極端に鈍くなっているリーシャに着弾すると集中が切れたのか、地面に着地する。そのタイミングを狙いフォースコアに壊竜鋭爪を叩きつける。 

 フォースコアに直接衝撃を受けたリーシャは《ティアマト》を強制解除させられ、

 

「そこまで! シオン・オルバートの勝利!」

 

 審判の生徒が宣言し、俺は機竜を解除して、お互いに礼をする。俺はリーシャに近付いて、

 

「俺からの課題は近距離の戦闘で切り札を手に入れるって、とこかな」

 

 今回の戦闘で目立った接近戦の弱さを改善するように伝える

 

「うむむ、近距離のか。わかった頑張ろう」

 

 リーシャはむむ、と唸りながらも特に俺に聞かず何処かへと行ったおそらく工房だろう。

 

「次は私です。一対一はなかったので今回はとても楽しみです!」

 

 俺が少し考えているとセリス先輩の声が聞こえた。

 

「そう言えばそうだったな。しかし全力で行かないときついな、さて頑張るか」

 

 セリス先輩は長い金髪とはち切れんばかりの豊満な胸を強調するような装衣を纏いレイピア型の特徴的な機攻殻剣を引き抜き、今か今かと合図を待っている。

 

「両者、機竜を呼び出してください」

 

 俺はきつくなると感じながら機竜を呼び出した。

 

 

「ハァッ、ハァッ。早めにやめてくれてよかったぜ。あのままだとヤバかった」

 

「う、うん、確かに、危なかった」

 

 俺とルクスは木陰に座り込み、息を整えていた。俺達は騎士団の生徒達とも戦おうとしていたのだが、リーシャやセリス先輩ですら疲れるような戦闘の激しさからルクスと俺との連続試合は危険だと言うことで、半分ずつ戦い、今日の模擬戦は終わったのだが、常に全力を出しつつける俺達の負担は尋常ではなく、肩で息をしていたが、今は少しずつ落ち着き、会話はできる。

 

「皆頑張ってるね。さすがに依頼をしたいわけではないんだろうけどね」

 

 ルクスがごく普通にそう言う、俺は全く的はずれなことを言っていることに驚いた。

 

「お前、気付いてないのか? マジかお前?」

 

「え?」

 

「もういいよ」

 

 ハァ、ここまで鈍いとは、見てる俺がイライラしそうだ。

 俺がそんなことを思い少しイライラしているとルクスが不意に立ち上がり、

 

「おーい、フィルフィー! ......どうしたんだろう。って! 大丈夫!?」

 

俺はルクスが向いている方向を見るとフィーアがふらふらと歩き、倒れ初めていた。

 

「っ! とりあえず寮まで運ぶぞ!」

 

 俺とルクスは倒れたフィルフィをルクスがおんぶし、俺はレリィさん達を呼びに行った。

 

 その道中アイリちゃんと出会い、

 

「あっ! アイリちゃん! 医師がいる場所ってわかる?」

 

「えっ、あっはい。わかりますけど」

 

「それだったらフィルフィの部屋に連れて行ってくれ、フィルフィが倒れたんだ!」

 

 俺が事情を説明すると、アイリちゃんは真剣な顔になり。走って医師を呼びに行ってくれた。

 俺もレリィさん達を呼びに走り出す。

 

 

「ごめんなさいね。わざわざ呼び出して、フィルフィを助けてくれてありがとう」

 

 レリィさんがフィルフィの容態が良くなった後で呼び出して来たので、レリィさんの部屋に行くと、疲れた様子のレリィさんが椅子に座っていた。

 

「俺が助けたわけではないのでルクスに礼はいってください」

 

「あはは、といっても僕も特に何もしてないですよ」

 

 俺とルクスが謙遜しあっていると、レリィさんが笑いながら、

 

「まあ、二人のお陰で早く知ることもできたし、二人共ありがとう。それで、本題なんだけど、貴方達にはフィルフィのことを見ておいて欲しいの。頼めるかしら?」

 

 レリィさんが俺達にお願い、といいながら俺達を見てくる、俺とルクスはあうんの呼吸で、

 

「「もちろんだ(です)」」

 

 引き受ける。レリィさんが珍しく頭を下げながらありがとうと、言って来た。俺達はいつもされないので、思わず照れて苦笑いを浮かべるだけだった

 

「ありがとう、おにいにルーちゃん」

 

 俺達が苦笑いを浮かべていると同じ部屋にいたフィルフィが口を開いた。

 いつもと同じような様子のふんわりとした雰囲気のまま感謝の言葉をのべていた。

 

「そう言えば、下着や装衣の着替えはフィルフィの部屋のクローゼットに入っているわよ?」

 

「ああ、それはルクスの担当なのでルクスに詳しいことは言ってください」

 

 レリィさんが微笑を浮かべながら言って来たことをルクスを盾にすることで回避する。

 

「えっ!? いや大丈夫ですっ!? それに何で僕達にいうんですかっ!?」

 

 ルクスが顔を真っ赤にしてそう言うと、ルクスを除いた三人に笑いが起こった。

 

 

 そして夕食が終わり練習に疲れて自身の部屋に戻った生徒も多い中、俺とルクスは明日の為の水を汲みに行ったり、夕食で使われた皿を洗ったりしていた、まあ、雑用をしていた。

 それを見つけたアイリちゃんにフィルフィの一件を問いただされ、

 

「はあ、兄さんもしっかりと依頼されていないのに面倒事に自分から向かっていくなんて、もう病気ですよ?」

 

 と、アイリちゃんから二人そろって俺の部屋でお説教を受けていた。

 なぜ俺の部屋なのかは、わからないが俺達はあはは、と苦笑いを浮かべるしかなく、ルクスは辛辣な言葉に傷付いているようだった。

 俺がルクスを慰めるため、肩をとんとん、と叩いていると俺にもアイリちゃんの怒りが向いたらしく、

 

「シオン兄さんも! 自分から厄介事に首を突っ込んで行く癖があるじゃないですか!」

 

「うーん、まあなんとかなってるし大丈夫だろ?」

 

「今までがそうなだけであってこれからはどうかわからないんですよ?」

 

 むう~と、頬を少し膨らませながらまだ何か言いたそうだったが何も言わず。

 ルクスはフィルフィの容態を見てくると言い部屋を出ていき、誰も何も言わないまま部屋が静寂に包まれる。

 

「大丈夫なんですか?」

 

 俺が何も言うことがなく本をとろうとして座っていた席をたったとき、アイリちゃんが口を開いた。

 

「シオン兄さんのジャバウォッグは兄さんのバハムートよりも使用者の負担が大きいです。それはわかっていますよね」

 

「ああ、俺の相方だからな」

 

 手に本を取って、しおりを挟んでいたページを開く、

 

「なら、何であんなに連続使用をしたんですか? あんなに連続で使えば体が悲鳴を上げているはずです」

 

「上げてないさ、まだまだ大丈夫さ」

 

 俺は経済についてかかれている本を見ながらアイリちゃんに答える。

 

「なら! 今は大丈夫でも!」

 

「大丈夫だよ、少なくともアイリちゃんが心配しているようなことにはならないさ」

 

 ページをめくり、さらに本を読み進めながら答える。

 

「心配させないでください。私はシオン兄さんがいなくなったら嫌です。だから、無理はしないでください」

 

 今までとは全く違う声音、俺は本を閉じアイリちゃんを見る。

 アイリちゃんの目には涙が浮かんでいて今にも泣き出しそうな雰囲気だ、

 

「私は、シオン兄さんが、死んでしまいそうでっ! 心配でっ! 何処にも行ってほしくなくてっ!」

 

 ダムが、防波堤が決壊したように涙と思いがアイリちゃんからあふれでる。

 

「いつも危険なことをしてっ! 自分から死にに行くようなこともしてっ! 私のことを見てくれなくてっ!」

 

 次々と出てくる思いと涙が俺の心を打ち、心が大きく揺さぶられる。

 

「私だってっ! 私だってシオン兄さんの事が好きなのにっ(・・・・・・・・・・・・・・・)!」

 

 アイリちゃんの言った一言に俺の理性が崩壊していく音が聞こえ、次の瞬間には強引にアイリちゃんの唇を奪っていた。

 前にアイリちゃんから一秒にも満たない時間だがキスはした。が、今回は俺から不意を突くようにしてだ。

 

「ん!? んん! ん...」

 

 俺は唇を重ねて、アイリちゃんの口の中に舌を差し込みアイリちゃんの口の中をかき回す。

 アイリちゃんは焦っているのか口を塞がれながらも抵抗しようとしているが、俺はアイリちゃんの肩をつかんでだきよせ、さらに密着する。それによってアイリちゃんは驚いたのか動きを止める。

 現在キスをし始めて二秒。

 

「ん、んんん......」

 

 アイリちゃんはまだ抵抗しようとしているが、俺はアイリちゃんの舌と自分の舌を絡み合わせ唾液があわさり、一旦放した舌の間に二人の唾液があわさった銀の滴が糸を引き、途切れる。

 現在キスをし始めて五秒

 

「シオン兄さん?」

 

 アイリちゃんは顔を真っ赤にしてこちらの様子をうかがっているのかはわからないが、俺は再度唇を重ねる。

現在キスをし始めて八秒。

 

「んむむむっ! ん......」

 

 今度はアイリちゃんは抵抗らしい抵抗はせず、舌を絡めお互いの唾液を混ぜながら、唇と舌の感触を味わいながら五秒ほど唇を重ねていた。

 そして唇をゆっくりと放し、名残惜しそうに唇を放しても舌を絡め、それも放すと間に銀の滴が糸を引く。

 それが切れ下に落ちる。

 合計十六秒間唇を重ねていた。

 

「アイリ、ごめんな? 気付いてやれなくて、でもな。まだ答えることはできない。探さないと行けないやつもいる」

 

だからまだ今度答えさせてくれ、な?

 

「わかりました。ですけど...うう、私が言ったことを覚えていてください。私の正直な気持ちですから」

 

「ああ、ありがとう。そしてごめんな?」

 

 俺は謝りながらアイリちゃんを見る。

 今は午後九時、すでに夜を迎えていた外は真っ暗闇の中、月光が窓から射し込みアイリちゃんを照らしていた。その口からは銀色の滴が少し垂れていた。

 その後アイリちゃんは自分の部屋に帰り、明日も朝から早いため寝付こうとしたが先ほどの熱いキスの感触が生々しく残っており、興奮が冷めずなかなか寝付けなかった。

 

 

 

 

 前日の夜にアイリちゃんと熱いキスを交わした感触は残っているが、アイリちゃんもわかっているのか、特に話さず、昨日の続きの模擬戦を始めるとそこまで気にならなくなった。

 そして午前中に模擬戦がすべておわり課題をだしきった俺達はそれぞれで自主連を始めていたとき、

 

 ゴウゥゥゥゥゥン

 

 巨大な駆動音が響き渡る、俺達は一斉に音のした島の東側の海岸の方向を向く。

 

「どうする? セリス先輩」

 

 俺は近くにいたセリス先輩に指示をあおぐ、セリス先輩は少し迷いながらも、

 

「わかりました、私とリーズシャルテ、ルクスとクルルシファー、そしてシオンで様子を見に行きます」

 

 セリス先輩の言葉を聞いていたのだろう、リーシャ達が集まってくる。

 俺達は機竜を呼び出し、接続する。

 

「それでは私が先行します」

 

 セリス先輩のが最初に飛び俺が最後に飛ぶ。島自体はそこまで広くなく、東側の海岸までさほど時間はかからなかった。

 俺達は東側の海岸にある灯台に登っているのだが、海に巨大な真っ黒の船のようなものが浮かんでおり、こちらに少しずつだが近付いているのだ。

 

「あれは、まさか第三遺跡(ルイン)方舟(アーク)?」

 

 俺は歴史書などの情報から、真っ黒な船のような形をした遺跡は方舟しかないはずだ、リーシャもうなずいている。

 

「なぜここに方舟が?」

 

 ただの疑問、答えられることを想定していない、ただ口から出ただけの独り言だったのだが、

 

「それは今回の私達の使命に関係があるわ」

 

 答えて来た声がした方を向くと、灯台を登って来たらしいレリィさんがいた。

 

「今回の私達の本来の使命はあの遺跡。方舟の最深層まで行くことよ」

 

 その瞳には使命感に燃えていた、それが私欲の炎だったとしても、だ。

 

「あの船はなにかしら新王国のものみたいだけど」

 

 俺達が方舟を見ていた時エインが逆の俺達が入ってきた港の方を指差して言った。

 

「レリィさんは騎士団の皆に説明をしてきてください。俺が出てきます」

 

「お願い出来るかしら?」

 

「ええもちろん、任せてください」

 

 レリィさんに許可も得たので俺はジャバウォッグを纏い、港に飛ぶ。

 数分もせずに港に着くとそこには白い髭をはやした禿頭の恰幅の良い貴族が私兵を連れて降り立っていた。

 

「おお、これはこれはドバル侯爵殿。このような小さな島にどのようなご用で?」

 

 町長がすでに対応していた。そこに俺が入り込む。

 

「町長さん、どうしたんですか? ......って、ドバル侯爵。どうもお久しぶりです」

 

「ん? ......っと、貴方はまさかシオン王子? 大きくなられましたな、私のことを覚えていますか?って、覚えていますか」

 

 はっはっは、と笑うドバル侯爵を見ながら町長に戻っても大丈夫だと伝える。

 

「それでドバル侯爵は何をしにこの島に来たのですか?」

 

 俺が探りをいれるとドバル侯爵の目に欲の光が宿るのが見えた、

 

「ああ、この島に遺跡の一つである方舟が近々停泊すると言うことを聞きまして、ここにいる国立女子学園の騎士団の方々のお手伝いをしようかと思いまして」

 

 しかし、本心ではそうではなく方舟に眠る宝物を掠め取ろうとしている魂胆が見え見えなのだが、あえてそこには触れず、

 

「なるほど、ですが騎士団の面々には私がついていますのでドバル侯爵と別れ、個別で奥に進むと言うのはどうでしょうか? そちらの方が効率がいいかと」

 

「ふふふ、そうですな。ではお互いに新王国のために方舟の探索を進めましょうぞ」

 

「ええそうですね、新王国のために」

 

 ふふふ、とお互いに笑みを浮かべながら握手をかわすが、今かわした言葉にはお互いに干渉せずに自己責任とすると言うことが決まった。

 ドバル侯爵が何処かに行ったのを確認して、ハア、とため息をつく。すると、

 

「あら、貴方がため息なんて珍しいわね。どうしたのかしら?」

 

「エイン!?」

 

 エインに後ろから声をかけられた。

 

「気になって来たのだけど邪魔だったかしら?」

 

「あ、いや、大丈夫だ。方舟はどうだ?いつぐらいに停泊するんだ?」

 

 露骨に話を反らすと、ジト目を向けられたが気にしない。

 

「今日の昼に停泊するらしいわ、とりあえず三層ほど進んで撤退するらしいわ」

 

 昼から探索を始めるらしい。まだ昼にはなっていないので今から準備をして行くのだろう。

 俺達は一旦寮に戻った。すでにレリィさん達は準備を始めていた、レリィさんにドバル侯爵との話を伝え、俺も準備を始めた。

 

 

 翌日朝の個人練習を終え昼から日が沈む少し前まで方舟を探索していた。

 無事に三層まで探索をし、ドバル侯爵とのひと悶着もあったのだが、一人も欠けることなく探索を終え、夜になった。

 

「あー、疲れたー!」

 

 ティルファーが机に体をを預けそう愚痴る。

 

「あら、それじゃあ楽しい話をしようかしら?」

 

 レリィさんが楽しそうに笑いながらそう言うとソファに体をだらしなく放っていたリーシャが顔だけを上げて、

 

「またかー? 私は個人的な仕事もあるし、早くしてくれ」

 

 そう疲れた口調で言う。実際に疲れているのだろう気力がなさそうに体をソファに埋めている。

 

「あら、楽しい話は、この島の温泉が使える(・・・・・・)って、言う話だったのに」

 

 レリィさんが意地の悪い笑みを浮かべながらそう言うと、今まで気力なくソファや、椅子に体を預けていた女子生徒達が色めきたつ。

 

「温泉に入れるんですかっ!」

 

「温泉かー」

 

「ルクス君達はどうするの?」

 

 温泉に入れると聞いた生徒達の気力が一気に跳ね上がる。

 

「ああ、ルクス君達は残念だけど特別な依頼があるの」

 

「あら、残念ね水着(ウォータードレス)を着れば大丈夫だと思ったのだけども」

 

 エインがそう呟く、ルクスはそれを聞いて顔を赤くしているが、

 

「依頼を優先するよ。エイン達のためにもね」

 

 俺はそう言い不敵に笑う。それを見たルクスが驚いているが俺はどうして、男達をどうあしらうかの作戦を練っていた。

 

 

 

 

 アイリside

 

 十数分前の女子生徒の騒ぎが終わり、寮の近くに白い湯気が立ち上っていた。

 夜空の下、乳白色の湯が張った石造りの温泉にはこの世の男が見たら卒倒する光景があった。

 そこには未来を期待された貴族の令嬢の一糸纏わぬ姿を惜しみ無くさらした絶景があった。

 周りを3メートルはある板と背の高い草と大きな岩に囲まれた温泉に、チャポンと音が響く。

 温泉には私と騎士団のメンバーの合計十一人が乳白色の湯に浸かっていた。

 

「ふぃー、気持ちいいー。夜空の下での温泉なんて学園ではできないねー」

 

 ティルファーさんが上半身を湯から出しながらそう言う。

 今浸かっているこの温泉もこの島に来たときは荒れていたが、レリィさんが連れて来た職人達によって綺麗に整えられていた。

 

「Yas.それにこれだけの人数が、一緒に入っているのも始めてですし」

 

 ノクトが湯に浸かりながらそう言う。

 

「そうですね、皆さんスタイルがいいので少し恥ずかしいですけど......」

 

 私は同年代のノクトや、先輩の皆さんの胸を見て、私の控えめな胸を見る。

 

「ふっ、後輩達の若さが羨ましいね、な?セリス?」

 

「いえ、そのようなことはありません。それに貴女は元から子供っぽいじゃないですか」

 

「お? いったな? なら子供っぽい悪戯をしてやろう、ほれっ」

 

「や、やめてください!」

 

 シャリス先輩がセリス先輩の胸を触り、触ってきたシャリス先輩の手を弾く。

 

「ふふふ、賑やかね。ここに彼らがいたらもっと賑やかになったでしょうけど」

 

 クルルシファーさんがそう呟くと、それを聞いたティルファーさんが、

 

「そうだけど、ルクっち達がいないからこそできる話しもあるじゃん?」

 

「え?」

 

 ティルファーさんの意味深な呟きに私を含めた何人かが反応した。

 

「具体的には、ルクっちやシオっちに対して思ってることの大告白大会をしよう!」

 

 そう言うと、ティルファーさんは周りを見て、

 

「それじゃあ言い出しっぺの私から。

ルクっちはなんて言うかとても親しみやすくて、一緒に居て楽しいかな。

シオっちは頼れる兄貴分みたいな感じで、ほら、料理とか何でもできるし、一緒にいれたら安心できるなー。後は...ま、いっか、じゃあ、次はノクト」

 

 ティルファーさんは最後を濁しノクトにバトンを繋げ、

 

「私ですか? そうですね。ルクスさんは少しアレなところはありますが、頼れる人かと。

シオンさんは、普通に頼れる人です。次はシャリス、お願いします」

 

 ノクトはいつもどうりたんたんと感想のようにイメージを言い、シャリス先輩にバトンタッチする。

 

「私かい? 私はだね、ルクス君は最初はかわいらしい顔にしか、興味がなかったが、今では強さ的にもとても頼れる弟みたいなものだよ。

シオン君はできれば一緒にいて欲しい人物だね、何でもできるし彼の女装姿がかわいくてな。おっと、私はこれぐらいにして、そろそろ本命に聞いてみようか。まずはクルルシファー嬢?」

 

 シャリス先輩は最後を言わずにクルルシファーさんにバトンを渡す。

 

「上手く大切な部分をはぐらかされたきもするけど、まあルクス君はとてもかわいい同年代の頼れる人かしら、シオン君は言わなくてもわかるとおり私は大切な人だと思っているから、彼にもそう思って欲しいわ」

 

 クルルシファーさんがそうさらりと言い、次のリーシャ様にバトンを送る、

 

「わ、私か? ......ルクスは私のことを理解してくれて、誉めてくれて、もっと誉めて欲しいから頑張れる原動力みたいなもの。

シオンは何でも頼れるいい兄みたいな存在だ」

 

「聞いているこちらが恥ずかしくなる台詞だね、それじゃあ次はセリスかな?」

 

 リーシャ様が聞いている方が恥ずかしくなる台詞をいい、それをシャリス先輩がちゃかしながらセリス先輩にバトンをパスする。

 

「わ、私も言うんですかっ!? ......うう、私はルクスもシオンもこれから男の子との接し方を教えてくれる大切な仲間です。それにともにいたいと思える人です」

 

「まさかセリスがそんなことを言うとはな」

 

「い、いえ、そんなつもりは」

 

 セリス先輩をシャリス先輩がからかうとセリス先輩は顔を真っ赤にして否定するが先に言った言葉がある手前、全く反論できていない。

 その間にシャリス先輩がフィルフィさんにセリス先輩のバトンをうつしている。

 私はそんな様子を端でノクトと共に見ていた。シオン兄さんや兄さんに対する思いはそれぞれらしいが、少し過大評価され過ぎているようで、なぜだかシオン兄さんをとられそうで悔しいような感じがしています。......なぜ私はそんなことを考えているんでしょう。昨日の思わず言ってしまったアレのせいでしょうか?ですがこの気持ちは思春期特有の感情のはず、

 

「それじゃあ最後にアイリちゃん?」

 

「ふぇっ!? わ、私ですか?」

 

 私にまでバトンが飛んで来るとは思っていなかったので驚いたが、こうなると言わない訳にもいかない。

 

「兄さんは兄さんです唯一の肉親ですしそれ以上でもそれ以下でもありません。シオン兄さんはとても優しくて強い人です。幼い頃から助けてもらったりして、私達咎人にはもったいないぐらいです」

 

 私は本心から思っていることをいい、それに付け加える形で、

 

「ですが、兄さんもシオン兄さんもこの頃は過大評価されすぎです。要領が悪かったりやけに鈍感だったりするのに」

 

「Yas.アイリはただ単にシオンさんやルクスさんをとられたくないだけだと言ってしまえばいいのですが」

 

「ち、違いますっ!」

 

 私が不意に言われたことに何故か顔を赤くして違うと言うと温泉に笑いが起こった。私もそれにつられて笑うと、空気が一旦弛緩した。

 

「そう言えば、シオン君がアイリちゃん達と出会う前ってどうだったのか、知っているかしら?」

 

 クルルシファーさんが唐突にそう言った。それは今まで全く考えたことのないことだったらしく、他の皆も考えているようだが全くわからないらしい。

 

「名字はオルバートだったよな? むう、どこかで聞いたことがあるんだがな」

 

「オルバートですか、私も聞いたことはあるのですが、思い出せません」

 

 リーシャ様やセリス先輩が思い出せずに、むむむとうなっていると、隣にいたノクトが、

 

「旧オルバート王国。今では知られていませんがアスティマータ新王国の領地に入ってます」

 

 そう言った。

 

「あら、私は彼の口から聞いたけども、貴女はどのようにして知ったのかしら?」

 

 それを聞いたクルルシファーさんがノクトに問いかけると、ノクトはいつものように、

 

「覚えていた知識にそう言った知識があっただけです。シオンさんはオルバート王国の王子だと言うことであってますか、アイリ?」

 

「はい、シオン兄さんはオルバート王国の第一王子です、私達がまだ王宮にいたときにオルバート王国の王族が来たときに会いました」

 

 私がシオン兄さんとの出会いを話して行くと途中でシャリス先輩がなにかを思いだしたのか、

 

「そう言えば」

 

「どうしたのですか?シャリス」

 

「いや、父様から聞いたんだがオルバート王国はアーカディア帝国によって滅ぼされたと聞いたんだが」

 

 そう言って私を見てくるがそこまでは知らない。私のところまでそのような話が来ないからだ。

 

「すいません、そこまでは話がまわって来てないので」

 

 そこまで言うと不意に背の高い草藪ががさがさと音を立てた。

 とたんに騎士団の面々は武器になりそうな石や桶を手に持つ。

 そのなかでクルルシファーさんだけが冷静で、

 

「覗きだったら『彼ら』がどうにかしてくれるわ」

 

「彼ら?」

 

 そうリーシャ様が鸚鵡返しに聞くと、草藪の奥から男の悲鳴が聞こえてきた。

 

 

 少女達が温泉で石や桶を構えていた同時刻、白髪の少女(・・・・・)と銀髪の少年がたっていた。

 

「お、おいそこの少年! それでも男か!?」

 

 周りの木や地面に縄で縛られている男のうちの一人ーー屈強とまでは言えなくてもがたいのいい男ーーが銀髪の少年。ルクスに問いかける。

 

「え、えっと一応男ですけど」

 

「ならなんで覗かねぇ!? 男なら覗けよ! 顔が女っぽくなったからって、玉までなくしちまったのか!?」

 

「そうだそうだ! 情けねえ!」

 

 他の木にくくられていた同年代ぐらいの男子にまでそう言われ辺りに縛られている男達が次々と情けない等といいだす。

 

「女の私がいることをわかって言っているのですか?」

 

 白髪の少女が呆れたような目をしてそう言う。すると熱のこもっていた男達が静まる。

 

「さて、ルクスさんもさらっと覗こうとしましたよね?」

 

「ええっ!? そんなことないよっ!?」

 

「そのわりには草藪の方をチラチラと見ているようですが?」

 

 白髪の少女はジト目で、しかし面白そうな声音で追撃を食らわせる。

 

「はあ、それにしても覗きに来る男がこんなにいるとは罠を仕掛けておいて正解でした。その罠の数もなかなか仕掛けてたんですけどね」

 

 白髪の少女は周りに縄で縛られている男達を見ながらそう呟く。その隣でルクスはあはは、と乾いた笑いを浮かべる。

 

「それにしても、この罠は全部『シーナ』が仕掛けたの?」

 

「ええ、まあ不本意でしたが。さて、それでは新しく来た(覗き魔)を退治しますよ」

 

 そう言ったシーナと呼ばれた少女はのぼって来ていた男達のところに突撃していた。

 ルクスは苦笑を浮かべ、シーナの援護をしに行った。

 それから少しして守るべき少女達が温泉から上がり一組の男女がそこからいなくなったが翌日町の女衆が男達を回収して行ったらしい。




こんにちは(?)昇華です。
字数を削ろうとはしているんですが削れませんね(言い訳)
まだまだいたらない部分はありますが、読んでいただいて感無量です。
これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします。

〈クルルシファー〉「少しいいかしら?」

〈私〉「うん?どうしたんだいクルルシファー嬢よ。何かしら私に直談判しに来たのだろう?」

〈クルルシファー〉「ええそうよ、私の出番が少なくなっていると思うのだけども、どうなのかしら?」

〈私〉「ふむ、しかし三章と四章がクルルシファーメインの章だったし、今回はあくまでもフィルフィだからな、それは仕方ない。」

〈クルルシファー〉「そうね、でもアイリちゃんは出てるじゃない、あれはどうなのかしら?」

〈私〉「む、それは相方の要望があったしな。アイリの方がいろいろ少ないって。仕方ないじゃないか。」

〈クルルシファー〉「...仕方ないわね」

〈私〉「わかってくれた?」

〈クルルシファー〉「ええ、不本意ながらね。彼に対して先を越されたということがあるけれども、まだ挽回できるしね」

〈私〉「あはは、まあ新しいヒロインが増えるけd......あ......」

〈クルルシファー〉「どういうことかしら?」

〈私〉「待って失言だったから!笑っているのに雰囲気が笑ってないの!本当に待って!怖いから!」

〈クルルシファー〉「何かしら?私は怒ってないわ、ただ詳しく話を聞きたいだけなのだけど?」

〈私〉「まてっ!待ってくれっ!......俺が悪かったからっ!」

〈クルルシファー〉「なら、私にも彼といろいろさせて。出来ないなら...」

〈昇華〉「わ、わかった!わかったから威圧をかけないでくれ!怖いから!全然雰囲気とか目とかが笑って無いのに口は弓なりにしないで不気味っていうか怖いの!ホントに!」

〈クルルシファー〉「言ったわね?ならしっかりとしてくれることをいのってるわ」

上の会話は今後の展開に関係しています、覚えなくても大丈夫です。

〈私〉「ここまで見てくださりありがとうございました。次の作品で会いましょう。それでは」

〈クルルシファー〉「また、今度に」
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