もしモンストの堕天使が銀さんみたいな感じだったら 作:ネルゲル
速攻で出てきます。
第1話〜本当に世界に光をもたらす者ですか?〜
ー全ての始まりはここからだったー
ある場所で魔物達が剣を取り争っている。
そこに後ろからコツ、コツと足音が聞こえてきた。
聞こえてきた方向へ一斉に見つめた。
そこには、紫色の六枚三対の翼を持った金髪の女性がいた。
その女性は、魔物達を無視をして気だるそうにその間を歩いていく。
目の前にある階段を昇り、頂上にある玉座へと辿り着くと直ぐに座り始め、魔物達を見下ろす。
それを見た彼女は面倒くさそうに告げた。
「我、堕天の王なりー」
そう告げた彼女、堕天使ルシファーの表情はやる気がないように見えた。
そんなやる気のない声とは反対に、新しき王の誕生に全員が歓声を上げた。
この世界は天界、煉獄、魔界と三つに分かれている。
場所は煉獄。
その上空に一機の飛行船の中から天使の羽が生えている者達、中央にはそれらを仕える者がいた。
「オーブよ。永遠に」
中央にいた女性、大天使長ウリエルは拳を胸に手を当ててそう告げると、部下達も復唱した。
そして、ウリエルを先頭に魔物達がいる地上へと羽を広げて飛行船から飛び降りる。
すると
「てめーらぁああああ!!!遅れんなよぉおおおおおおお!!!!」
叫びながら物凄い勢いで突き抜ける者がいた。
「ルシファー!!隊立を乱すな!!」
ウリエルはもう一人の大天使長ルシファーに注意したが、彼女はもう既に、地上に降り立っていた。
ルシファーは愛用の木刀を現出して魔物達に躊躇なく突っ込んでいく。
「ぉおおおおおおおおおおおお!!!!!」
男らしい雄叫びを上げて容赦なく切り裂いていく。
そんなルシファーを見て、ウリエルは毎回思う事がある。
あれは本当に木刀なのか?というか今だに何故、ルシファーが木刀で戦うのかがわからない。
そんな事を考えながらも、ルシファーの遅れを取らないようにウリエルも負けず劣らずに切り込んでいく。
ウリエルの戦闘を眺めていたルシファーはフッと笑った。
「やるねぇ。さすが大天使長なだけあるねぇ、ムニエル君?」
「私はウリエルだぁ!!というか貴方も大天使長でしょう!!」
聞こえていたのか彼女は大声で訂正した。
「へいへい。そんな声出すなよ。カルシウム足りてないんじゃないの?」
やる気ない声で返してやると「貴方のせいよ!!」と返された。
「グォオオオオオオ!!!!」
目の前の大型のドラゴンが大きな口を開けて襲いかかってきたが、避ける事もせずに口の中に右腕を突っ込んだ。
「何、腹減ったの?だったら存分に味わえよ」
突っ込んでいた右手から再び木刀を現出させてそのまま縦に斬り裂いた。
「まぁ…味わえたらの話だけど」
悪どい笑みを浮かべて消えた獲物がいた場所を見つめた。
「ルシファー様ぁ!!流石です!!!」
「早く部隊を作って我々を入れて下さいよぉ〜」
ウリエルの部隊でもなく、ルシファーがいるからと勝手に付いてきた天使達がルシファーの強さに改めて褒めたたえ、部下になりたいと志願している。
「あー…気が向いたらな」
「絶対ですよ!」
「では、我々はオーブの回収を手伝って来ます!」
「さっさと行けよ。後から私も行くから」
適当に答え、それを聞いた天使達は一礼して飛び去った。
「…ハッ。部隊なんざ、もう…」
ルシファーは飛び去った方向を悲しそうな表情で暫く見つめていた。
(ルシファー…)
その後ろで切なそうに見ているウリエルがいた。
戦闘を終えて、オーブを発見したウリエル達はかなりの大きさに唖然としていた。
「……………」
「…ルシファー?どうかした?」
隣に来て、無言でオーブを見ていたルシファーを不思議そうに訪ねたが、彼女は首を振り
「何でもねぇ…それよりも、式典に間に合うのか?」
逆に返されて、ウリエルはハッとした顔をした。
そして部下達にオーブの回収を任せ、飛行船に二人は乗り込んだ。
「さてと、システム解除はしっかり頼んだぜ?」
「…ルシファー?」
ウリエルはルシファーの表情を見て嫌な予感がした。
それは直ぐに実現した。
ルシファーはフルにして飛ばし始めたからだ。
「ルシファー!解除に間に合わない!!スピード落として!!」
「なら、強行突破だ」
「ルシファー!!?」
ゲートが閉じ切る前にその隙間から抜けていった。
雲を突き破った先には見慣れ光景、天界が姿を現した。
第一 セフィラ。
そこがルシファー達が住んでいる世界。
そんな神聖なある場所で式典が行われていた。
そこにはルシファーやウリエルと同じ大天使長であるミカエル、ラファエル、ガブリエルもいる。
「ルシさん達、また遅刻ですか?」
「またルシ君が何かやらかしたんじゃないか?」
「何だかんだ言ってあの二人仲良いですよね〜」
三人が小声で好き勝手に言っている先には、
神の声を聞ける者、天聖の一人であるケテルが話を進めている。
そして
ガシャーン!!とガラスを突き破って来た者がいた。
三人が気にしていたルシファーとウリエルだった。
ウリエルは態勢を崩したが直ぐに立ち上がって拳を胸に当て
「ウリエル、ルシファー。ただいま「二人ともただいま到着しました〜」っ!」
ケテルに報告する途中でルシファーに遮られ、横目で睨みつけた。
式典を終え、罰として割ったガラスの修復作業を二人はしている。
「おー。二人ともやってるねー」
「二人とも、ド派手な登場でしたね」
ミカエルとガブリエルの声に振り向いたが、何も喋ることもせずに二人は黙々と作業を続けている。
「無視ですかー?」
「そういえば無言の行で喋ってはダメでしたね」
ラファエルが罰の説明をすると、ガブリエルはルシファーの隣に来て
「ほら、ここ。ちゃんとなってませんよ〜?」
「オイっ…」
ガブリエルの揶揄いに思わず声を出すとバチっと監視カメラから電流が流れ、ルシファーの手に当たった。
いってーっと手を抑えてるルシファーを見てウリエルも「馬鹿…」と小声で喋るも、電流が流れてウリエルの手にも当たった。
作業を終えて部屋に行こうとしたウリエルを待っていたのは、ルシファー以外の三人だった。
「ふぁ〜っ……」
「無言の行、お疲れ様でした」
ウリエルは体を伸ばしていると、ラファエルが声をかける。
ウリエルは少し怒ったように
「お疲れ様じゃありません!わざわざ邪魔しに来るんだもの」
顔を少し膨らませて三人を睨む。ガブリエルはウリエルを見て笑いながら
「でも、ウリエルさんて戦闘の時と全然違いますよね」
言って揶揄う。
ウリエルは答えずに「ルシファーは?」と周りを見渡す。
「ルシ君なら先に帰るって言ってたよ。…またいつもの所なんじゃない?」
ミカエルがそう答えると四人とも顔を暗くした。
ルシファーは花を持って墓地の近くで座っていた。
かつては部隊を率いていたルシファーの部下達の墓地に。
「……あれから一年ね」
ルシファーは振り向かなくても誰が来たか、なんてのはわかっていた。
ウリエルだ。彼女もまた、墓に供える花を抱えて歩いてきた。
「私の部下じゃなかったら、コイツらも生きていたのにな」
「それは貴方の責任じゃない。原因は機密情報の漏えいによるものよ」
「だとしてもだ。部下の死は上司の…無能な私の責任だよ」
ずっと引きずっているルシファーにウリエルは喝を入れる。
「貴方は!いずれ、私達を、天界を導いてくれる存在になる者よ。その事を自覚しなさい!それに、貴方の部下になりたい者が沢山いるのよ!」
「物好きがいるもんだよな。全滅させた私にまた何かを失えってか。酷な話だと思わねぇか?もう、あんな思いはごめんだよ…光をもたらす者?そんな大層なもんじゃないんだよ私は。なんならお前がなれよ、ウリエル」
「ルシファー!!いい加減にっ!!」
何を言っても聞く耳を持たないルシファーにウリエルは痺れを切らそうとしたが彼女に木刀を向けられた。
「それに、今の天界はそんなに立派な場所か?ここにはもう、私の護るもんなどありゃしねぇよ」
ウリエルはルシファーの表情を見て声を出せなかった。
苦しみ、哀しみ、そして憎悪。
その三つが含まれていると彼女の表情からそう読み取れる。
ルシファーは木刀を消し、柔かに笑った。
「悪いな、ちょっと頭冷やしてくるわ」
そう言ってウリエルから姿を消した。
暫くウリエルはその場から動けなかった。
ルシファーは部屋に戻ると先客がいる事に溜息が出た。
「あ、ルシお姉ちゃん!!」
その人物は彼女が帰ってきたのがわかった瞬間に抱きついてきた。
「お帰りなの。ルシ姉」
ルシファーはまた溜息をついて二人を見た。
「何がルシお姉ちゃんだ、何がお帰りだ。ここはお前らの帰る場所じゃないだろ。つーかまた脱走したのかよ。サンちゃんにメタちゃんよぉ」
二人、ルシファー達とは違う場所で大天使長を務めている双子の天使、サンダルフォンとメタトロンだった。
「だって、ルシお姉ちゃんがいつまで待っても来てくれないから」
「「我慢出来ずに来ちゃった。あっ、ハモっちゃった」」
抱きついたままのサンダルフォンとそれを見ているメタトロンがハモったのがおかしいのか笑っている。
やれやれとサンダルフォンの頭を優しく撫でるルシファーも二人には余程甘いのだろう。
すると、急にサンダルフォンを離し、真剣な表情をする。
「なぁ…サンダルフォン、メタトロン」
「私が になった時のお前らの仕事はわかってるな?」
ルシファーの切り出しに二人は少し戸惑い出す。
「えっ?でもっまだ早いんじゃ……」
「いや多分、アイツは動いている」
「わかったなの。ルシ姉の思うままに」
アイツという言葉に二人も把握してコクンと頷いた。
ルシファーは物分かりの良い妹分に笑みをこぼし、二人を撫でた。
「その時はお前らの天聖も何か言ってくるだろうな。その時は私との関係は喋るなよ?」
それにもきちんと頷き
「私達姉妹は何があってもルシお姉ちゃんの味方だよ?」
「決してルシ姉を裏切ったりしないなの」
そう付け足すサンダルフォンとメタトロンの目には揺るぎないものがあり、強い決意を感じた。そんな二人をルシファーは
「ありがとうな」
と、頭を撫でてそう答えた。
「あっ、そうだ!ルシお姉ちゃんの大好きな甘いもの、たくさん持ってきたよ!」
サンダルフォンがバスケットに入っているフルーツを手渡すと怪訝そうに見た。
「ありがたいが……また、どっかからパクってきたんじゃねぇだろうな?」
「い、いや違うよ?ちゃんと買ったんだよ〜!?」
ルシファーの痛い視線に冷や汗を出しながら焦る。
「…メタちゃん」
「…はぁ。後で言っておくなの」
ルシファーは呆れ顔でメタトロンを呼び、彼女は言うことがわかっているのか、直ぐに頷いた。
「ほ、ホントなのに〜っ!!」
二人の対応にサンダルフォンはがっくりと項垂れた。
「こんな時間に呼び出しとは、何の用です?」
ウリエルはケテルに呼び出されていた。
ケテルの側近に聞いても答えはわからないとの事。
そうしているうちにケテルがいる場所に連れて来られた。
ウリエルは思い出す限りの事を伝え、謝罪しようとしたがケテルはその事ではないと首を振る。
「貴方に渡したいものがあるのです」
ケテルはウリエルにあるものを見せる。
「!これはっ…」
それを見て驚く。ケテルは衝撃の発言をする。
「天使殺しの剣」
「実は…ルシファーさんが反逆を企ててるとの情報があるのです」
それを聞いたウリエルはその情報が嘘である事を信じたい気持ちと
『今の天界はそんなに立派な場所か?ここにはもう、私の護るもんなどありゃしねぇよ』
ルシファーの言葉が心に突き刺さり、まさか本当にと、疑っている自分がいた。