オレのギャングアカデミア!   作:ジャギィ

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投稿でーす。アニメの黄金の風も折り返しになってきましたね

どの話も面白かったです。特にギアッチョ戦の出来は感動レベルでした。朝日が昇ったあたりで鳥肌立ちました


第7話

「いやぁすまないね!!わざわざ詰めるのを手伝わせてしまって!」

「いいよ別に。ただでコーラもらったし」

 

オールマイトがヴィランを退治してから20分後

 

オールマイトは流動体のヴィランを拘束するためにペットボトルの飲み物を開けたのだが、中身を捨てるわけにはいかないのでちょうど近くにいたナランチャにコーラをあげて、飲み干した後ヴィランをペットボトルに詰めたのだった

 

その際ナランチャも手伝ったことでオールマイトはお礼を言うのだが、ナランチャは無愛想に返事するのだった

 

「じゃあオレ、もう行くから」

「あれ!サインとかいらないのかい!?」

「イラネ」

「ガーン!」

 

「平和の象徴」と呼ばれるNo. 1ヒーローとしての人気を自覚しサービス精神も旺盛なだけに、迷いないナランチャの返事にオールマイトは結構ショックを受けるのだった。ヒーローを目指し始める時期の子供に言われたのも大きい

 

そのまま頼まれた買い物をするために歩くナランチャ

 

「ちょっと待ったァ!!」

 

しかし道を塞ぐようにオールマイトが前に立ったため、足を止める

 

「なんだよ」

「ヒーローとして君に言っておかなければならないことがどうしてもあってね」

 

そう口にするオールマイトの声音はヒーローとしての重みを感じさせるものだった

 

「今回君を巻き込んでしまったことに関しては本当に申し訳なかったと思っている。しかし……」

 

ポケットに入れていたヴィラン詰めのペットボトルをナランチャに見えるように取り出す。ナランチャに中のヴィラン、正確にはナランチャが潰した目の部分を見せながら言葉を続ける

 

「例え自分の身を守るためとはいえ“個性”でみやみやたらに人を傷つけてはいけない。いくらなんでもこれはやり過ぎだ」

「……やらなきゃオレがやられてたじゃあね〜か」

「だとしても他にも方法はあっただろう?逃げるとか時間を稼ぐとか救けを求めるとか、あれだけ冷静だったなら十分可能だったはずだよ」

 

 

 

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

 

 

 

スタンド使いの元ギャングとNo. 1ヒーローの視線がぶつかる

 

「………いやあすまない!つい説教くさくなってしまったね私!」

 

緊迫した雰囲気を先に解いたのはオールマイトの方だった

 

「時間がないから私はもう行かせてもらうよ。でも、さっきの言葉は忘れないでほしいッ。どんな力も正しく使いこなせるようになれば…」

 

背中を向けたオールマイトはペットボトルを尻ポケットに入れると、最後にナランチャに振り向いてサムズアップ!

 

「君もヒーローになれる!!!」

 

ドギュゥゥン…!

 

「HAHAHAHAHA!」という残響を残しながら、オールマイトはひとっ跳びで街の彼方まで消えていった

 

「…「オレもヒーローになれる」ね」

 

1人になったナランチャは跳んでいった方向を見ながらそう呟いた

 

(“個性”みたいに強弱をつけれるならなれたかもしれねェけど、オレのは『スタンド』だ。どれだけスタンドパワーが消耗していたところで絶対に重傷になるからな〜、ヒーローになんかなれる訳がねえ)

 

オールマイトは知る由もないが、ナランチャは前世で何人ものスタンド使いを見てきた。その中には殺人ウイルスをバラまく能力、周囲の人間を無差別に老化させる能力、肉体や機械類を喰い尽くす肉塊の能力etc.etc

 

覚悟がキマりまくったギャングの世界だったから一切手加減しないというのもあったが、どう扱っても殺傷にしか活用できないスタンドだってあったのだ

 

この世界の“個性”だってそうだ。存在が希少だったスタンド使いと違い人類の8割が“個性”を持っている。ならば必ず存在するハズなのだ、救助になど絶対使えない“個性”が

 

「ア、やべぇ!はやく買い物済ませねーとッ!」

 

母親からのお願いを思い出したナランチャは、急いで街に向かって走り出したのだった

 

 

 

 

 

シュゥゥゥゥ……

 

「ぐうぅ…!あ、危なかった…もう少しでバレてしまうところだった……」

 

一方、とある街にあるビルの屋上で1人の男が胸を押さえながら苦しく呻いていた。顔や体はガイコツのように痩せこけて、触覚のようにピンと伸びていた金髪はチカラなく萎びていた

 

この姿を見ても誰も信じないだろう。しかし、この男はあのオールマイトである!オールマイトの本当の姿(トゥルーフォーム)なのだ!

 

「しかし、不思議な子だった…」

 

オールマイトが思い出していたのは縮れた緑髪にオレンジのターバンをつけた学ランの中学生だった。下手な裏社会のヴィランなんぞ圧倒してしまうような『スゴ味』を睨まれた時にオールマイトは感じた

 

「さて、早くこのヴィランを警察に届けねば…」

 

そう言いながら尻ポケットに突っ込んでいたペットボトルに手を伸ばす

 

スカ…

 

「え…?」

 

しかし、伸ばした手は空を切るだけ

 

(ポケットにない…ま、まさかッ…)

「まさかッ!HOLY SHIT!急ぐあまりに!」

 

そう。オールマイトは焦ってその場を離れたばかりにペットボトルが途中でなくなっていたことに気づくのが遅れたのだ

 

思わずフェンスを掴んでネイティブに叫んだ


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