「…………そっか、それを選んじゃったのね」
世界中に降り注がれる光の雪を眺めながら、『彼女』は寂しそうに呟いた。
『彼女』が視た多くの
けれども、この結末を望んでいない者達も確かにいるのだ。
『彼女』はその一人である。『彼女』は自分でこの世界に居続けることを望んだ者だ。それは偏に『彼女』の王が愛した世界の、王がかくあれと願った光景を、『彼女』に比べると短命である王に代わって目に焼き付けようという、たった一つの思いからである。
――――出身世界に関係無く協力し合い、笑い合える世界。
その夢物語に近い世界を実現できた島の存在をほんの二十年程前に『彼女』は目にした。故に、もっと多くの年月を有するであろうが、王が願った世界が実現できるのだと希望を持っていただけに、この結末は残念でならなかった。
世界を超えた絆を無条件で結ぶことが出来る者がその役目を放棄した。王が望んでいた世界へと繋がる道が完全に閉ざされた。しかしながらそのことに対する憤りは不思議と『彼女』の中に存在しない。ただ残念だ、寂しいという気持ちで埋め尽くされるだけだ。
しかし、そろそろ自分の思考に耽ることを止めなければならない。『彼女』のチカラがいくら膨大なものであると言えど、この光の雪に込められた術式を弾くことは不可能なのだ。この世界に存在する異界の住人を元の世界へ還すまで、この光は止むことは無い。
故に『彼女』は自身の世界に還るしかないのだ――――本来ならば。
「四界天輪……、陰陽大極……」
だが『彼女』にはそれ以外の道がある。傍観者たる『彼女』にしか選ぶことが出来ない、ただ一つの選択肢が。
「龍命祈願……、自在解門……」
異界へ繋がる道が完全に閉ざされかけている今、抜け道の先がどれ程危険な状態になっているのかなど、『彼女』ですら想像もつかないものだけれども。
「星の巡りよ……、還ることを望まぬ我が身に果て無き狭間の門を開きたまえ……」
それでも『彼女』は王の愛した世界がどうなるのかを見届けたいと願ったため、自身が命の危険に晒される可能性が高かろうとも、その道を選んだ。
「王命に於いて……疾く、為したまえ!」
そこは全てに繋がり、全てに繋がらない場所。全てに属していて、全てに属していない狭間。
何者にも侵されることのない結界が完成した今、本来の目的に使用されることはもはや無いのだけれど、それでも『彼女』が生きて世界を見続けるには充分適した場所だから。
「さて……と、色々準備をしないとね~、にゃははは」
こうして、無限に広がる界廊は、『彼女』の新たな住処となった。
サモンナイトを知っている人には分かる、知らない人には分からない『彼女』の話。
これでにじファンに投稿していた分の改訂は終了しました。