リセットフューチャー(DB2次創作・オリキャラオリ設定あり・超とのクロス設定あり・未来悟飯もの   作:従弟

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この後編で完結になります。
ここまで、お付き合いいただきありがとうございました。

用語説明
・第1世界 未来のトランクスがセルにタイムマシンを奪われた世界。界王神が宇宙を巻き戻し、いくつかの戦いを経て現在は平穏になっている。
・第2世界 未来のトランクスの世界。トランクスが人造人間を倒し、魔人ブウの復活を阻止したが、ゴクウブラックという新たな脅威に襲われている。
・第3世界 未来のトランクスがタイムマシンに乗ってきたことで、悟空が心臓病で死ななかった世界。現在フリーザ軍が接近している。
・第4世界 ゴクウブラックが生まれた世界。詳細は不明。

戦闘シーン、途中の展開を少し変更。
それに伴い、加筆。すでに読んだ方には申し訳ありません。
ですが、最初投稿した奴より面白くなっていると思います。


未来編 後編(途中の戦闘シーンを少し加筆)

・残された者たち

 

悟飯達の移動先を特定した悟空達は、シンの瞬間移動で、すぐに二人を追いかけた。

だが、界王神界で行われていた悟飯とフリーザの戦いは、悟空達にもついていけないものだった。

大気が割れ、大地が揺れる、けれども、動きもつかめない。

時折、衝突音はするものの、それは、ずっと前に終わった攻防の名残にすぎない。

 

「悟飯の方が、押しているが、このままだと、1時間たってしまうぞ」

 

ザマスが、顔を険しくする。

ベジータと悟空も同意見らしく、その顔は晴れない。

トランクスは、戦いを目で追うので必死だ。

 

「ええ!そんなぁ!」

 

一人、勝てるだろうと高をくくっていたシンは、その重い雰囲気に悲鳴を上げる。

実は、戦闘力の差がありすぎて、合体した悟飯にしろフリーザにしろ、シンにはすごく強いというくらいにしか把握できていなかったのだ。

 

「なあ、それに、フリーザの気がちょっとずつ、増えてきてねえか」

 

悟空の言葉は、本当だった。

傷つくほど力を増す。

ブラックのその性質がポタラ合体したのちにも、引き継がれていたのだ。

シンが恐怖から逃げるようにして、思いつくがままに口を動かす。

 

「そうだ!悟空さんとベジータがもう一度ポタラで合体してベジットと悟飯さんと二人がかりで戦えば」

「肝心のポタラはどこにある」

「それに、限界まで力を高めると合体が解けちまうしなあ」

 

シンの意見を、ベジータと悟空が即座に切り捨てる。

 

「なんとかして、しっぽが切れれば」

「しっぽを切ると、どうなる」

 

悟空の言葉に、サイヤ人の大猿化を知らないザマスが、問いかける。

しっぽがなくなれば、大猿(フリーザの場合は大トカゲ)の分の強化されたパワーはなくなる。

しっぽがなくなった状態のフリーザならば、今の悟飯で十分勝てるはずだ。

 

「だけど、そんな隙なんて」

 

トランクスが、何かないかと思考する。

 

「あの太さも問題だ。

 サイヤ人のものと違って、フリーザの野郎のしっぽは、太いからな。

 切るのにかなりの力を使う」

 

ベジータがイライラと言い捨てる。

 

「くそっ!私の体力が万全なら、金縛りで少しくらいはサポートできたものを」

 

ザマスが自分の無力さに、近くの壁を、殴りつける。

 

「へ?おめえ、フリーザの動きを止めれんのか」

「ああ、体力が全快すれば、少しくらいは止められるはずだ。

 だが、貴様らを回復させたので、今の私にそれほどの力はない」

 

悟空が、懐から袋を取り出す。

 

「ちょっと、これ食ってみろ」

 

仙豆だ。

一粒で体力が回復したことに、ザマスは驚く。

これで、フリーザの動きを止めるめどは立った。

残る問題は、どうやって、太い尻尾を切るかということ。

切断に関する技を得意としているザマスは、フリーザの動きを止める役割がある。

悟空やベジータは、打撃系の方が得意。

トランクスは出力不足。

最低でも、極悪化をしたミラ程度の出力が必要となる。

 

「なかなか面白そうな話をしているな」

 

声をかけてきたのは、自前の魔術で追ってきたダーブラだった。

 

「私たちにも、一枚かませてもらおうか」

 

いかにも悪役という顔で笑うのであった。

 

・最後の戦い

 

戦いは悟空達の恐れていた方向へと向かっていた。

いや、それよりも、事態は悪い方へと、転がっていた。

 

「こういうのは、どうですかね」

 

フリーザが、自分の手のひらを気の刃で貫くと、そこから気の鎌を作り出した。

そして、フリーザは次元を鎌で切り裂き、自分の分身を大量に生み出したのだ。

偽物の耐久力は低いが、強さはフリーザとほぼ同じという反則。

そして、いくら消しても無尽蔵に分身は作られ続ける。

悟飯の体力は、徐々に削られてきていた。

唐突に、次元の裂け目が見えない糸で、縫い合わされる。

 

「暗黒魔界の王を舐めるなよ」

 

魔術に精通したダーブラが、空間をふさぐ魔術を使ったのだ。

続いて、悟空とベジータが連続エネルギー弾で、フリーザの分身を一掃していく。

次々と、煙となって消えていくフリーザの分身たち。

その中で、一人だけ、エネルギー弾をはじいたフリーザがいた。

 

「そこだ!」

 

次元の切れ間の影響で、気を探ることができない状況。けは

分身と本物を見分けるには、エネルギー弾で消えるかどうかが一番わかりやすい。

煙にならなかったフリーザに向けて、ザマスが金縛りを放つ。

そして、斬撃に一番慣れているトランクスが、動きの止まったフリーザを下半身ごと斬らんとする勢いで切りかかる。

その気は幽鬼のように蒼白。

ミラの気を分け与えることで、トランクスは一時的に極悪化状態になったのだ。

これによって、フリーザのしっぽを切るのに、十分な力が、一時的とはいえ、トランクスに備わった。

完璧なタイミング。

トランクスの剣が、フリーザのしっぽを切り離した。

 

「そんな、バカな……」

 

フリーザの気が見る見るうちにしぼんでいくのが、気を感知するまでもなくわかる。

その瞬間を、悟飯は見逃さなかった。

全身全霊、すべてを書けた一撃を、フリーザへと放つ。

 

「かめはめ波!」

 

巨大な気の塊に押しつぶされ、フリーザが消滅する。

かめはめ波の威力に関しては、頑丈な界王神界に、隕石でも落ちたかのような巨大な大穴が開いていることがからはかり知ることができる。

渾身の攻撃が、当たった手ごたえは、確かにあった。

悟飯は、大きく息を吐き、アルティメットブルーを解除する。

体力的に限界だったのだ。

そして、悟空達の方へと笑顔で振り返る。

 

「危ない悟飯さん」

 

トランクスに、突き飛ばされた。

さっきまで悟飯がいた場所で、トランクスがデスレーザーに貫かれていた。

そして、空中から、先ほどかめはめ波で開けた大穴へと、落ちていく。

こういう時、悟空ならば、まず、敵の確認をしただろう。

しかし、悟飯はそうはしなかった。

守るために戦う。

それが、悟飯の強さであり、甘さでもある。

一直線でトランクスのもとへと向かう悟飯の背後へと、何十ものデスレーザーが放たれる。

よければ、トランクスへと当たってしまう。

だから悟飯は、体に気をまとわせ、トランクスをかばったまま、すべての攻撃をその身に受け、トランクスと共に大穴へと落ちていった。

 

「やれやれ、鶴仙流にはね、自分を分割する技があるのですよ。

 貴方達が大人しくしているとは思いませんでしたから。

 分身の中に、一体だけ戦闘力を分割した私を混ぜておいたのです」

 

四身の拳。

天津飯が23回の天下一武道会で使った技だ。

自身を4分割することができるが、力もスピードも4分の1になっていしまう。

鶴仙人はこの技をアレンジし、分割した戦闘力に応じた分身を作る技へと変え、フリーザに伝授したのだ。

悟飯達が穴に落ちたのを確認し、フリーザが現れる。

 

「どうです?10分の1の戦闘力で作った私の分身を倒した感想は。

 誇ってもいいのですよ。

 私の戦闘力を10分の1も減らせたのですから」

 

完全にあおりに来ているフリーザ。

気付かれないように、ザマスがそっと瞬間移動した。

悟飯達の所へと飛んだのだ。

先ほどの作戦のために、仙豆は使い切ってしまったので、回復にはザマスの復活パワーが必要となる。

 

「まさか、生きていやがったとはな。今回ばかりは、神にでも祈りたい気分だぜ」

「フン。下らん。今この宇宙にいる神など、そこの界王神だけだぞ。

 他はすべて殺されているのだからな」

 

ベジータの悪態に、ミラが皮肉で返す。

言葉数が多いのは、緊張の表れである。

 

「ベジータ、ミラ、ダーブラ。わりいけど、ちょっと、時間稼いでもらえねえか」

「なにをするつもりだ。孫悟空」

「ふん。貴様のことだ。どうせろくでもないことを思いついたんだろう」

 

いぶかしげなミラ。

ベジータは不機嫌そうだが、悟空の提案に乗る気なのは、その態度から明らかだった。

 

「ろくでもないって。ひでえなあ。

 うまくいけば、フリーザの奴を倒せるかもしれねえ」

 

そう言って、悟空は上空へと両手を掲げた。

 

・悟飯とザマス

 

大穴の底に悟飯とトランクスはいた。

瞬間移動でその場についたザマスは、まず、ダメージの大きいトランクスに復活パワーを送る。

トランクスの顔にうっすらと血の気が戻っていく。

 

「ザマス。頼みがあるんだ」

 

いつの間に目が覚めていたのだろうか。

悟飯が、ザマスの方を見ている。

 

「これを使って、トランクスを連れて逃げてくれないか」

 

その手にあるのは、ポタラだった。

悟飯の両耳から、外されたポタラ。

だが、悟飯の合体は解除されない。

 

「ポタラと時の指輪があれば、別の世界に飛べるんだろ」

「ふざけるな。お前の父親だって、今、上で戦っているんだぞ。それを」

「トランクスは。最後の希望なんだ。トランクスさえ生きていてくれれば、きっと、この戦いにだって意味はある」

「あきらめるつもりか」

「まさか、とうさん達もいるんだ。まだきっと可能性はある。

 だけど、万が一にもトランクスを死なせるわけにはいかない。わかるだろ」

 

ザマスは無言で、悟飯に復活パワーを流し込む。

 

「さすがの私でも、お前ほどのデタラメな力を全回復させることはできん」

「ごめんな。ザマス」

 

トランクスを連れて、ザマスが瞬間移動で消える。

それを見届けて、悟飯は上を見上げた。

悟空達が戦っている戦場めがけて、飛び上がる。

 

・悟空の賭け

 

ベジータが、ミラが、ダーブラが、地に伏していた。

かろうじて生きてはいる。だが、戦えるだけの体力は残っていない。

フリーザ相手に時間を稼ぐ、それが、どんなに無謀なことか。

 

「何を企んでいたかは知りませんが、ここまでのようですね」

 

だが、フリーザも無傷ではない。

戦闘力の差は大きくとも、死ぬ気の覚悟を持った戦士の牙は、確実にフリーザに傷跡を残した。

しかし、その傷跡も大きくはない。

せいぜいが小動物のひっかき傷。その程度だ。

 

「ちくしょう。ここまでか」

 

悟空が望みをかけていたのは、元気玉だった。

もしも、悟空の計算通りならば、フリーザを消滅させるだけのエネルギーが集まるはずだった。

だが、その目論見は外れた。

宇宙中から集められたエネルギーは莫大だが、それでもフリーザを消滅させるには、全く届かない。

 

「もしかして、頭上のあの玉ですか。

 たしかナメック星でも作っていましたね。

 あんなもので、私を倒そうとしたのですか。面白い冗談です」

 

ひとしきり笑って、フリーザは悟空を指さす。

痛ぶって殺すつもりなのだ。

 

「悪いが、お前の相手はオレだ」

 

フリーザに突撃する悟飯。

だが、その気の色はアルティメットブルーの銀河色でなければ、超サイヤ人ブルーの青でも、アルティメット化の純白でもない。

超サイヤ人の金色。

しかも、2でも3でもない。ただの超サイヤ人だ。

トランクスの傷は、重傷だった。

そのため、ザマスは自前の復活パワーだけなく、自らの命までもを削らなければトランクスを復活させることはできなかったのだ。

そして、そんな状態のザマスでは、悟飯への復活パワーもかろうじて戦える分しか渡せなかった。

 

「親子そろって、ゴキブリ並みのしぶとさですね」

「まったく、その意見には同意する」

 

フリーザの言葉に答えたのは、ザマスだった。

 

「ザマス!なんで、ここに、トランクスは!」

「案ずるな。界王神様にポタラと一緒に預けてきた。

 界王神様が死んでしまえば、破壊神様も消えてしまうからな。

 トランクスは界王神様に預けるのが合理的な判断という奴だ」

 

ザマスは、構えをとる。

 

「それに、貴様には借りもある」

「借り?」

 

それは、過去にザマスがブウを目覚めさせてしまったことや、トランクスを囮にしたことだ。

勿論、ザマスはそんなことまでは言わない。

 

「まあ、いいか。お前が一緒に戦ってくれるなら、心強い」

 

悟飯も構えをとる。

 

「おしゃべりは終わりましたか。精々いい声で鳴いてください。孫悟空が苦痛を覚え、絶望するようないい声でね」

 

両手を広げたフリーザに、悟飯とザマスは突っ込んでいった。

 

・元気玉

 

悟飯とザマスの稼げた時間は微々たるものだった。

ザマスは岩盤に体をめり込ませている。

悟飯もかろうじて、浮いてはいるものの、超サイヤ人は解けてしまい満身創痍だ。

ただでさえ、消耗していたところで、特大のかめはめ波を放ち、デスレーザーをその身に何十と受けたのだ。

ザマスの復活パワーがあったところで、本来は戦える状態ではなかった。

相手がフリーザとなれば、それはなおさらだ。

だが、それでも、悟飯の目から闘志は消えない。

1秒、でもコンマ秒でも、時間を稼ぐ。

蜘蛛の糸よりも細い、希望の切れ端を掴むべく、悟飯は戦う。

ベジータが、ミラが、ダーブラが、ザマスが、何より今、この瞬間悟飯が稼いでいるこの時間。

この時間の積み重ねが、ついに実を結ぶ。

 

「きた!きたきたきたー!」

 

悟空の声と共、上空にあった元気玉が、えげつない大きさへと進化する。

その様子に、その場にいた全員が唖然とする。

 

「フリーザ。おめえと合体してるブラックは、色んな宇宙にいる神様を殺してまわったらしいな」

「ああ、それがどうした」

「だったらよ、ブラックを倒すためなら、手を貸してくれるんじゃねえかと思ったんだ。

 あの世にいるブラックに殺された破壊神様達が」

 

悟空の頭上にある元気玉を見る。

その力は、美しく、神々しいが、奈落のような寒々しい恐怖をまとっている。

12の宇宙の破壊神達の怒りと破壊の塊がここに顕現した。

 

 

・決着

 

破壊神の破壊の力で作られた特大の元気玉。

12の破壊神の力が凝縮された破壊の元気玉が、悟空から放たれる。

 

「こんなもの」

 

フリーザは、元気玉を正面から受け止める。

押し返せる。

その自信からの、行動だ。

そして、普通の元気玉ならば、フリーザの思惑はかなっただろう。

しかし、この元気玉に込められたのは、破壊神の破壊の力。

12の破壊神の混沌とした破壊は、触れた端から、フリーザの体と力、フリーザという存在そのものを破壊していく。

さすがにこの状況に、フリーザも抑え込むのは無理だと判断する。

横目で、満身創痍の悟飯を確認する。

 

「こんなもの、あなたにあげますよ。

 父親の技で死になさい」

 

フリーザが、元気玉の軌道をそらし、悟飯の方へと弾き飛ばす。

正面からは無理でも、軌道を変える程度の力なら、フリーザにはあったのだ。

 

「しまった!」

 

まさか、これだけの威力の元気玉をはじけるとは思っていなかった悟空が慌てる。

体力の残っていない悟飯のところへと、元気玉が迫る。

 

「すまねえ!悟飯!そっちにいっちまった!」

「えっ!!?」

 

目の前に迫る元気玉を前に、悟飯の頭に昔の思い出がよみがえる。

かつて、ベジータと地球で戦った際の記憶だ。

悟飯は、その時の記憶のままに、両手を突き出し、元気玉を跳ね返した。

その先にいるのは、もちろんフリーザ。

 

「くそ!しつこい奴らだ」

 

フリーザがよけようとする

体力が十全であるなら、一直線に飛んでくる元気玉を避けるのは、難しくない。

トランクスはその様子を見ていた。

トランクスとシンはまだ、時の指輪を使っての転移をしていなかった。

悟空達を置いていくことに、難色を示したシンがうだうだやっているうちに、事態が動き、先ほどトランクスが目を覚ましたのだ。

もちろん、死にかけたのだから、戦えるほどの力は復活していない。

トランクスは何もできない自分を呪っていた。

元は、自分がタイムマシンで皆を巻き込んでしまったのだ。

力が欲しい。

ほんの一瞬でもいい。

フリーザの動きを止められるなら、ここで命が尽きても構わない。

トランクスは、決して届かない距離にいるフリーザを捕まえようと、手を伸ばし、祈る。

そして、奇跡が起きた。

 

「な!」

 

本当に、フリーザの動きが止まったのだ。

元気玉がフリーザに直撃する。

フリーザの体が、チリになって消えていく。

その表情は悔しさと驚きに満ちている。

 

「ち、ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 

フリーザの体が爆発的な光を放つ。

光が、収まった後には、何も残っていない。

信じられないものを見たかのように、自分の手のひらを見るトランクスに、岩盤から抜け出したザマスが問いかける。

足元はおぼついていないが、歩ける程度には回復している。

 

「おい、トランクス。お前、界王神様に弟子入りしていたのか」

「え?」

「先ほどの金縛りだ。

 あれは、界王神に連なるものに与えられる力の一つだ」

 

この世界のダーブラを倒す際に、トランクスは界王神に弟子入りをしていた。

トランクスの脳裏に浮かぶのは、3日間延々と自分の周りを回り、踊り続ける過去のシンの姿だった。

もういなくなってしまったが、シンが力を貸してくれた。

その事実を、トランクスはかみしめる。

振り返ると、ボロボロになった悟飯と、笑顔の悟空がやってきた。

悟飯が、悟空が、トランクスが示し合わせたように、拳を突き出し、合わせる。

ゴン!という鈍い、戦士の祝砲が響いたのであった。

 

・後始末

 

悟飯達からは、見えない位置で、うごめく影があった。

フリーザだ。

破壊される際に、ゴクウブラックに元気玉の破壊のダメージを押し付けて、分離したのである。

トカゲのしっぽ切り。

その言葉が示す通り、今のフリーザにはしっぽがない。

あの攻撃を無傷で乗り切ることはできなかった。

しっぽどころではなく、下半身が丸々ない状態で、悟空達に見つからないよう極限まで気を落とし、フリーザーはその場から逃げようとしていた。

今の状態ではさすがに、悟飯達には勝てない。

彼らがこの世界から消えたころを見計らい、時間はかかるが、生身で宇宙を漂って治療施設を探す。

そして、地球へと戻ってくる。

タイムマシンを使い、各世界を順番に巡り、各個、殺していけばいい。

まずは、第2世界のトランクス。

次に、やっかいな第1世界の悟飯、ミラ、ダーブラ、ザマス。

最期にメインディッシュである第3世界の悟空とベジータ。

 

「いい気味だな。フリーザ」

 

復讐に燃えるフリーザの前に立ちふさがるのは、ミラとダーブラだった。

時間稼ぎの戦いの際、実はダーブラは早々に狸寝入りを決め込んでいたのである。

ダーブラには、悟飯ならともかく、悟空に協力する義理もなく、隙を見て一時撤退する腹積もりだった。

しかし、事態がこうなってしまえば、撤退する必要はない。

ミラを回復させ、こうしてフリーザの元へ来たのだ。

 

「悟飯達も詰めが甘い。

 先ほど戦闘力の分割を見たというのに、もう忘れている。

 おかげで、私自身の手で始末できるのだから僥倖か」

 

気が察知できなくとも、ダーブラには魔術がある。

最終的に見落としがないか念入りに確認するのは、暗黒魔界のトップに立つ者としては、当然のことだった。

そして、その用心深さが今回フリーザを追いつめる。

フリーザが何か言うよりも早く、ダーブラが唾を吐く。

顔に唾をつけられたフリーザは、ぬぐうこともできず、石になっていく。

 

 

「何か役に立つかと思って、客分として対応していたというのに、とんだ失敗だったな」

「殺さないのか」

「焦るなミラ。

 地獄なんて言う素晴らしいところ、こいつにはもったいない。

 こいつへの罰は、じっくり考えることにしようじゃないか。

 幸い時間はたっぷりある。

 石になったまま、楽しみにしていてくれよ。フリーザ」

 

ダーブラは、フリーザの上半身を砕くと、持ち運びしやすいように頭だけにする。

そうして、近くにおいてあった炊飯器にフリーザの頭を入れると、蓋をして、悟飯達と合流するのだった。

 

・ポルンガへの願い

 

シンがナメック星から、ドラゴンボールを預かってきた。

通訳として、デンデもやってきた。

ドラゴンボールに頼りすぎることのないように、トランクスには、ナメック星の座標は伏せられた。

今更といえばそうなのだが、界王神としては必要な措置らしい。

最初の願いは

 

「今回の事件で死んでしまった人達を、極悪人を除いて生き返らせてください」

 

これにより、ゴクウブラックに殺された別の宇宙の破壊神達も復活し、宇宙に秩序が戻った。

この願いによって、トワもよみがえり、ダーブラは盛大に、ミラはひっそりと喜んだ。

では本人はどうかというと。

 

「よかったな。トワ。極悪人でなくて」

 

ザマスにあおられて、プルプル震えていた。

次の願いは

 

「今回の事件で壊れてしまったものを修復してください」

 

これにより、第2世界は復興作業を一からやり直す必要はなくなった。

最期の願いは

 

「悟飯さんのポタラの合体を解除してください」

 

懸念されていた通り、同一人物同士の合体にはリスクがあった。

本来ならば、神以外がポタラを使っても1時間で合体が解除されるはずが、悟飯の合体は解除されなかったのだ。

しかし、そのおかげでフリーザと戦うこともできた。

そうでなければ、戦闘の途中で、合体は解けていただろう。

合体の解けた第1世界の悟飯と、第3世界の悟飯が改めて、握手する。

 

「では、私は元の世界に戻って、タイムマシンで迎えに来てもらえるように頼んできます」

 

すすんで、パシられる全宇宙を統べる界王神であるシン。

そもそも、時間移動は重罪であるというのに、タイムマシンの使用を人間に頼むというのは、神の自覚があるのかと問われても、仕方がない。

トワはザマスの煽りに耐えかねたのか、ダーブラとミラを連れて、自分達だけでさっさと帰ってしまった。

シンがいってしまい、残された戦士達は手持ち無沙汰になる。

タイムマシンのエネルギーがたまる時間を考えると、少し時間がある。

それよりも前に、シンが一度、ベジットの変身で壊れてしまったポタラの替えを持って帰ってくる予定になっている。

第1世界の悟飯とザマスは、そのポタラと、今もザマス指にはまったままの時の指輪を使って元の世界に戻る予定になっている。

 

「皆さん。食事にしませんか。

 ドラゴンボールで、街が復旧してますから、食料も戻ってるはずです」

「おお。いいなあ。オラさっきから、腹が減って腹が減って」

 

トランクスの言葉に、悟空が同調する。

悟空の腹の音を合図に、一行は笑いとともにカプセルコーポレーションへと歩き出す。

こうして、いくつもの並行世界を巻き込んだ事件は解決し、世界には平和が戻った。

 

ポルンガの願いでよみがえったブルマが、丸くなったベジータに若干引いたり

悟空が何人かの住人にゴクウブラックと間違えられたり

悟飯が死んで以来気落ちしていたチチが、悟空と二人の悟飯に会って少し元気になったり

未来悟飯、過去悟飯、悟空、ベジータ、トランクス、ザマスでおこなった総当たり戦の決着がつかず、トーナメント戦やタッグ戦も交えて、夜通し戦い続けたり、

そういったことは、すべてこことは別の話である。




ここまで、読んでいただいてありがとうございました。

追記、途中の展開が少し気にくわなかったので加筆しました。
大まかな展開は変わっていません。

完結といいながら、ちょいちょい更新していましたが、とりあえずネタぎれです。
個人的に書いていて楽しかったのです。
ドラゴンボールなのか?と疑問が頭をよぎることもありましたが、個人的に楽しく書けました。
ただ、トワ、悟空、フリーザ様などには話の展開上、結構突飛な行動をとってもらうこともあり、特に悟空の元気玉と最後のフリーザ様はファンの方には気にくわない展開だったのではないかと思います。
また、ふと、展開の粗を思いついてしまい、投稿後急きょ変更するという事態になったことをお詫びいたします。
投稿時間を予告してしまっていたこと、急ごしらえで書き上げたことから、一時投稿を見送ったのですが、読み直した結果、こちらの方が面白いと思い、変更させていただきました。。
次回執筆することがあれば、そういった点にも配慮していこうと思います。

以下、オリ設定など

・界王神の儀式
これ、3日かかってるらしいですが、この儀式がなかった場合。
Zソードの試し切りが3日早まる。
よって、ダーブラバビディ襲来前に、老界王神復活。
トランクスアルティメット化。うまくするとポタラでキビトシン爆誕。
漫画版でキれたトランクスがダーブラ圧倒してることを考えると、戦力的にダーブラ達をかなり楽に撃退できるので、あの儀式がなければ……
あまり深く考えない方がいいですね。
ザマスを倒すためには、きっと必要なプロセスだったのです。

・仙豆
ザマスはこれの存在を知らなかったので、無駄に体力を使って悟空とベジータを復活パワーで回復しました。

・破壊の元気玉
当初は次元のはざまから第3世界のビルスが力を貸してくれた。
的な展開にしようとしてましたが、フリーザを強化しすぎた結果として、破壊神一人ではきつそうだなということで、あの世の破壊神の皆さんに出張ってもらいました。
悟空の呼びかけで、すぐに元気玉に力が集まったのは、破壊神たちも事の成り行きをあの世で見ていたからです。
あの世からこの世への干渉が同程度まで許されてるのか。割と謎です。
力を凝縮してドッチボール位にしたのは、作者的にはフリーザ様がよけやすくするため。
ほっとくと、悟空がそのまま一人で決着をつけてしまいそうだったので、未来悟飯ものとして、それはまずいし(そもそもこのSS悟飯の勝率自体よくない)、トランクスにも見せ場が欲しい。
ということで、理屈をくっつけて元気玉を凝縮してもらいました。

・不死身ザマス
石になったまま放置されていましたが、悟空が帰るときに気付いてタイムマシンに乗せて回収していきました。
その後は、対処方法が分からなかったので、ウイスさんに丸投げ。
石になったままのザマスがどうなったのかはウイスさん以外にはわかりません。

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