リセットフューチャー(DB2次創作・オリキャラオリ設定あり・超とのクロス設定あり・未来悟飯もの   作:従弟

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未来編 魔人ブウ編

・魔人ブウの復活

 

シンとザマスは予想外に苦戦していた。

プイプイとヤコンを倒したものの、ダーブラとバビディに劣勢だった。

バビディをシンとキビトが抑え、ダーブラをザマスが倒す。

当初はその予定だった。

キビトはいないが、おおむね予定通りに事は進んでいた。

問題は、ダーブラが予想以上に力を隠していたことだ。

前回はかなり手を抜かれて、その状態でシンとキビトは負けてしまっていたということだ。

界王神としての面目は丸つぶれである。

息の荒い、ザマスに対して、ダーブラは涼しい顔をしている。

 

「終わりだ」

 

ダーブラの剣が、必殺の一撃を打ち込もうと振り上げられた。

しかし、その剣が止められる。

キビトからの要請を受け、やってきた悟飯が二人の間に割り込んだのだ。

ダーブラが唾を吐く。

触れたものを石にしてしまうその唾は、しかし、高められた気の熱によって、悟飯に届く前に蒸発した。

 

「それのことは、聞いている」

 

悟飯がダーブラを弾き飛ばし、トランクスが追撃していく。

呆然とするザマス。

対して、シンは突然の援軍に驚きながらも喜んでいた。

悟飯とトランクスの戦闘力は高い。

ダーブラには敵わないだろうが、キビトも来たことで勝率は一気に上がった。

 

「キビトさん!何故人間がここにいるのです!」

「今の状況では、やむをえん。彼らは強い。

 きみは回復が終わり次第、彼らをサポートしてくれ」

 

それは、界王神見習の金縛りや復活パワーがサポート向きの能力であることから導き出された、合理的な提案だった。

しかし、下等なゴミである人間ごときのサポートに回されるなど、ザマスのプライドが許さなかった。

ザマスは戦場に背を向けると、特大のエネルギー弾を放った。

それは、この場にいる誰もが、目的とし、誰もが触れようとしなかったもの。

不用意に触れることで、不完全な復活を遂げることを、シンとバビディの両陣営が危惧していた。

魔人ブウの卵が、エネルギー弾によって、粉々に破壊された。

 

魔人ブウが復活した。

そして、その力は圧倒的だった。

悟飯、ザマス、トランクス、キビト、シン。

5人で戦いを挑むが、攻撃が全く通らない。

ザマスとトランクスが剣撃で首を落とすものの、すぐに再生する。

 

「クッキーになっちゃえ」

 

首を落としたことで油断したザマスへと、ブウの魔法を放つ。

そして、ザマスをかばったキビトが、クッキーへと変わり、ブウに食べられてしまう。

ここで、悟飯が一か八かの賭けに出る。

ピッコロから預かっていた大魔王封じのビン。

人造人間は2人いたため、使えなかった魔封波を使う。

バビディとダーブラは脅威ではあるが、人数は悟飯達の方が多い。

一番の脅威であるブゥさえ、封じてしまえば、あとは一人がビンを持って逃げ、体勢を立て直すことも可能だ。

しかし、これは、悟飯自身の命の危険を内包した賭けだった。

結果。魔人ブウは封印された。

悟飯も、ギリギリだが、生き延びることができた。

 

「くそ!ダーブラ。魔人ブウを取り返すんだよ」

「おやめください。バビディ様。奴は危険です。あいつらが封印したなら、それでよいではないですか」

「うるさい!ビビッてるの……」

 

バビディの頭部が、エネルギー弾で吹き飛ばされた。

魔封波で、封印しきれていなかったのだ。

ザマスによって、切り飛ばされた頭部のみが、ビンに入らずに小さなブウとなって別行動していた。

 

「これで、俺を邪魔な奴が一人いなくなった」

 

シンの手にあったビンが、内側から破裂し、小さなブウと合体する。

ブウは、バビディを殺すタイミングをうかがっていたのだ。

 

「あとは、お前だな」

 

ブウの次の狙いは、自身を封印した悟飯へと向かう。

ここで、予想外のことが起きた。

なんと、ダーブラがブゥに不意打ちを食らわせると、そのまま悟飯を連れて、暗黒魔界へと逃げてしまったのだ。

そして、シンもその隙にザマスとトランクスを連れ、界王神界へと逃げかえる。

一人残されたブウは、怒りながらも、お菓子を求めどこかへと去っていく。

 

・一時の休息

 

魔人ブウの力に脅威を覚えたダーブラは、悟飯を鍛え、ぶつけることでブウを排除しようと考える。

そのために妹のトワに協力を仰ぎ、悟飯を鍛える。

悟飯も自分の力不足と共に、ブウを倒すという共通の目的があれば、ダーブラとの共闘が可能だと考え、その提案を受け入れる。

この悟飯の決断の背景には、ナメック星でのベジータとの共闘があった。

暗黒魔界七罪秘湯巡りの始まりだった。

 

一方、界王神界ではトランクスがゼットソードを引き抜くことに成功し、ザマスから指導を受けることになる。

これは、シンがあまり武術に精通していないことと、ザマスが斬撃を使った戦いを得意としていることからの判断だ。

人間ごときに物を教えることを渋るザマスだが、キビトが自分を庇って死んでしまった負い目もあり、トランクスへの指導を受け入れる。

 

両陣営が、不安視していたのは、魔人ブウの動向だった。

修行が終わる前に、ブウが宇宙中を破壊してしまうのではないか。

しかし、その不安は杞憂に終わる。

なんと、西の都にたまたまやってきたブウを、ブルマがお菓子で釣って働かせていたのだ。

がれきの撤去や、けが人の治療。

人造人間の被害にあっていた人々も、復興作業の戦力として役に立つブゥの登場に喜び、自主的にお菓子を持ってきていた。

ブゥはちやほやされるのが嬉しいのか、悪さをせず、おとなしくしている。

そのことに悟飯とトランクスは、別々の場所で安心した。

そして、トランクスは界王神を通じて、ブルマにブウの危険性と、できるだけ刺激しないようにということを伝えた。

 

・休息の終わり

 

半年が過ぎた。

ブゥとは、このまま共存できるのではないだろうか。

そんな甘い考えが、事情を知る人間の頭によぎる。

しかし、それは、本当に甘い考えだった。

地球で異様なエネルギーが生まれたのだ。

ブゥではない。

しかし、ブウのようでもある。

その異様なエネルギーの正体を確かめるべく、悟飯、ザマス、シン、トランクスは地球へと向かう。

ダーブラは、魔界から高みの見物を決め込むことにしたため、不参加。

ダーブラからすると、ブゥと界王神が同士討ちでもしてくれたら、ラッキー程度のものである。

西の都には、人が誰もいなかった。

いたのは、ブウではない。

 

「お前は、なんだ」

「わたしはセル。ドクター・ゲロが戦闘の達人の細胞を集め、合成し、作り上げた人造人間だよ」

 

本来は、17号と18号を吸収し完全体へと進化するはずだったが、悟飯によって破壊されていたために、断念せざるを得なくなる。

しかし、セルはもっと良いものを見つける。

それが、ブウだ。

ブウを吸収するために、まずセルは、ブルマを丸のみにした。

そして、ブルマの声で言葉巧みにブゥを騙し、吸収したのだ。

 

「素晴らしい。パワーだ。この魔人ブゥのパワー。

それに、私のもっているあらゆる達人の技術や、技が加われば、完全体以上の生物になることができる」

 

だが、戦いは予想外の方向へと転がっていく。

セルが劣勢に立たされたのだ。

 

「何故だ!今の俺は、ブゥよりも大きなパワーを持っている。なのに、何故」

「魔人ブウの怖さは、パワーだけじゃない。不死身の体。予測不可能な動き。魔人ブウという生物自体が脅威なんだ。

普通に格闘家として戦うお前の動きは、逆に読みやすい」

「なにより、私は勿論、私直々に指導を施したトランクスは、以前とは比べ物にならないくらいにパワーアップしている。

 それこそ、魔人ブウを倒せる位にな」

 

悟飯とザマス二人が危険視していたのは、ブウの再生能力だった。

一度にすべての細胞を消し飛ばさないといけない。

そのための、溜めの時間を短縮する方法を、二人は自身のパワーアップと同時に考えていた。

まず、最初に仕掛けたのは、ザマスだった。

 

「神技・断罪殲滅刃」

 

戦いの最中に、わざとあちこちにバラまいていた気の刃を、上下左右隙間なく360度から一気に襲い掛からせる。

戦いながら、消滅させる気を集める。それが、ザマスの選択だった。

しかし、ブウには有効だっただろうこの技は、セルによって阻まれてしまう。

 

「私に、バリヤーを使わせるとは」

 

一撃一撃は決して強くない斬撃の集まりだ。

全方位をカバーするセルのバリヤーがその刃、すべてを阻んだ。

九死に一生を得たセルだが、ブゥを倒すための方策を練っていたのは、ザマスだけではない。

そして、セルがバリヤーを張ったこの状況は、悟飯にとって千載一遇のチャンスだった。

 

「は!」

 

悟飯が、バリヤーに対して、エネルギー弾を叩きつける。

あまり強いエネルギー弾ではない。

セルは、バリヤーを維持し、耐えようとする。

奇妙なことが起こった。

セルのバリヤーに接触したエネルギー弾が、爆発せずにそのまま残っていたのだ。

ここで、バリヤーを解除していれば、セルにも勝ち目があった。

だが、セルはその奇妙なエネルギー弾を解析しようと、観察してしまった。

 

「は!は!は!」

 

悟飯が、エネルギー弾にエネルギー弾を撃ち込んでいく。

そのたびに、エネルギー弾の威力が高くなる。

加算式エネルギー弾とでもいうべきそれは、撃ち込まれるたびにエネルギーを高めていく。

相手に受け止めさせ、そのまま相手が消滅するまで段階的にエネルギーを高める。

はじかれたり、避けられたりという心配があったものの、セルがバリヤーを張ったために、確実に受け止めさせはじけないほどの威力にすることができた。

バリヤーにひびが入る。

 

「お、オレが、こんな、こんなところで」

 

セルの頭の中が、屈辱と、絶望、怒りで真っ白に染まる。

バリアが破れるとともに、セルの体から、ピンクの蒸気が噴き出した。

蒸気が晴れる。

地面には、横たわるブルマと太った状態の魔人ブゥ。

そして、上空には、コンパクトな人影があった。

 

「あ、あ、あの、姿は」

 

シンが、茫然とその姿を見る。

凶悪な笑みを浮かべるその人影は、かって、界王神達を吸収する前の制御の利かない最悪な最初の魔人ブウの姿だった。

最悪のブウが、最初にしたのは、エネルギー弾を地球へと落とすことだった。

直撃すれば、地球が消滅しかねないその威力に、悟飯がとっさに受け止める。

そして、受け止めた途端に気付いてしまう。

それが、自分の開発した加算式のエネルギー弾であることに。

 

「界王神様!トランクスとブルマさんを連れて、逃げてください!」

「そんな、悟飯さん!」

 

自分の技だけに、一度受けてしまえばこの技からは逃れられないことを悟飯は知っていた。

同時に、セル?ブウ?が今は手加減して遊んでいること。

本当ならば、加算式のエネルギー弾など使う必要もなく、戯れで地球を吹き飛ばせること。

地球で戦う限りにおいて勝ち目が全くないことに気付いてしまった。

自分も残ろうとするトランクスを、ザマスが気絶させた。

その顔は、怒っているような、悲しんでいるような、半年前では考えられないような顔だった。

 

「すまない」

「任せておけ。トランクスは私の弟子だ」

 

シンが、瞬間移動でザマスとトランクス、ブルマを連れて界王神界へと逃げる。

そして、地球が消滅し、後には千切れたブウの肉体が宇宙に漂うだけだった。

 

・界王神界での戦い

 

「何が、ゼットソードだ!」

 

界王神界で怒りの声を上げたのは、トランクスではない。

気絶しているトランクスの横で、ザマスがゼットソードをへし折った。

 

「あ、ああ、ゼットソードが」

「そんなナマクラどうでも良いではないですか。抜いたものに力を与えるという伝説も嘘だったようですし」

「なにが、嘘じゃ。最近の若いやつは、せっかちでいかんわい」

 

シンとザマスの前には、ゼットソードの封印から解放された老界王神がいた。

 

「伝説は嘘ではない。ワシの究極潜在能力解放能力で、潜在能力のさらに限界を超えた力を引き出してやれるのじゃ」

 

その言葉に、シンとザマスは悔しそうな表情を浮かべた。

知っていれば、もっと早く、簡単にブゥを倒すことができたのだ。

そうすれば、悟飯が死ぬことも、地球が消滅することもなかった。

 

「では、すぐにでも、潜在能力を開放してください」

「ばっかもん。潜在能力以上じゃ。潜在能力だけじゃなくその限界を超えて力を開放するっていうのは、そんなすごいことは、わし以外にはぜーたい無理じゃ」

「はい。わかりました。すごいことは分かりましたから」

 

言い合いをするシンと老界王神をしり目に、彼方を見ていたザマスが口を開いた。

 

「ちなみに、お聞きします。その究極潜在能力解放というのは、どのくらいの時間がかかるのですか」

「なあに、わし程の者にかかれば、儀式に5時間。パワーアップに20時間。たったの25時間で十分じゃ」

「なるほど、時間切れだ」

 

ザマス達の目の前に、ブウが飛んできた。

ザマス達のわずかな気を追ってきたのだ。

 

「随分遠くまで逃げたものだ」

 

ブウの中から、セルの声が聞こえた。

 

「やはりか」

 

セルは消えたわけではなかった。

ブウと完全に融合していたのだ。

しかも、かろうじてブウを制御していた太っていたブウを排除し、自身がそのポジションに収まっている。

これによって、ブウは基本的に本来の無軌道な戦い方をしながら、セルの採取した過去の達人の技や戦略を適宜使うことができるようになった。

ブウの中でセルがRPGゲームなどのように、技を出すタイミングや簡単な作戦だけを指示している状態だ。

そして、加算式のエネルギー弾を出してきた時点で、ザマスはそのことに気付いていた。

 

「ブウか、セルか知らないが、ここで私が倒してやろう」

「ブウでもあり、セルでもあるわけだが、そうだな。セブルとでも呼んでもらおうか」

「ちっ。余裕だな」

 

ザマスには、自分が勝てないことが分かっていた。

そして、トランクス達を逃がすために、その命を投げ出すことを決めていた。

戦いが始まった。

案の定、ザマスは一方的にセブルにやられた。

ザマスの誤算はシン達が、ザマスの意図に気付かなかったことだ。

ひたすらおろおろしている。

半年前のザマスには自己犠牲。しかも、人間を助けるための自己犠牲などなかったのだから、その意図を図り切れなくとも、仕方がないともいえる。

追いつめられるザマス。

救援にシンが向かおうとしたところで、セブルとザマスの戦いに割って入ったものがいた。

地球に置いてきた太っているブウである。

 

「久しぶりだな。シン。私は、ブウに吸収された界王神が、統合されたものだ」

 

驚いているシン。

 

「シン。ポタラをこちらに」

「ポタラを?」

「早く」

「は、はい」

 

両耳のイヤリングを、シンはブウに渡した。

セブルはその様子を楽しげに見ている。

自分が絶対に負けないという自負があるからだ。

 

「一対のポタラを、二人の戦士が別々の耳につけると、合体し、新たな戦士が生まれる。

単純な足し算ではない計り知れない莫大な力を持った戦士がな」

「では、ザマスとトランクスさんで」

「いや。もっとふさわしい戦士がここにいる」

 

自身の腹を指さすブウ。

 

「貴様と、合体だと」

「違う。宇宙空間でも、どんな強い攻撃を食らっても、魔人ブウならば、一片の肉片が再生ができる。

なら、その魔人ブウに吸収された戦士も、ブウに吸収されて体内にいる限り、ブウの再生と同時に再生される」

 

ブウの腹から、一塊の肉塊が千切れる。

その肉の塊の中から、死んだと思われていた悟飯が姿を現した。

地球が破壊される直前。

界王神の集合が、悟飯を吸収し自分の一部にしてしまったのだ。

太ったブウの体の中に、昔、制御装置として吸収された界王神達がまとめてぶち込まれて、セルに捨てられた。

そのことが、功を奏した形だ。

 

「おい!たしかにポタラは強力じゃが、合体は一生じゃぞ」

「何を言っているんですか。それは、神が合体した時のこと。

人間や見習界王神が使っても、合体できるのは、一時間だけです」

「あれ?そうじゃったかの」

 

悟飯の姿に、ザマスが複雑そうな表情を浮かべる。

悟飯は、そのザマスの気を知ってか知らずか、ブウから受け取ったポタラを右耳につけた。

そのまま、ザマスにもう一方を投げて渡す。

 

「おい。貴様。孫悟飯。本当にいいのか」

「ああ、以前のお前なら、オレもまっぴらごめんだったけど」

 

そう言って、悟飯は遠くで寝かされているトランクスとブルマを見る。

 

「今は、悪くないと思うよ」

 

ザマスが嫌そうな顔をして、左耳にポタラを付ける。

悟飯とザマスのポタラ合体。

ザハンの誕生だった。

 

・最後の戦い

 

「さて、1時間だけなのだろう。さっさと始めようではないか」

 

セブルが、冷静な口調とは裏腹な獣の動きで、ザハンへと迫る。

冷静なのはセルだけで、体を動かしているブウは破壊しか考えていない。

戦いは、互角だった。

いや、ザハンの方が、優勢と言ってもいい。

半年間のブゥ対策が実を結んでいる形だ。

 

「ふむ。では、ウォーミングアップは終わりにしようか。

なれるのだろう。超サイヤ人に。

それとも、それが本気だとでもいうつもりかな」

「それはこっちのセリフだ。サイヤ人の細胞を取り込んだお前なら、超サイヤ人の力位引き出せるんじゃないか」

「ご名答だ」

 

セブルから、黄金の気があふれる。

 

「更に、ブウの不死身の肉体を使えば、こんなこともできる」

 

セブルの黄金の気の上に、重なるように赤い気が生まれる。

 

「そう。超サイヤ人に孫悟空の界王拳10倍の重ね掛けだ。

ブウならば、体への負担を考える必要もない。戦いを体に任せて、私は気のコントロールだけをすればいい」

 

魔人ブウとセルを合わせた気を、超サイヤ人によって強化し、更に界王拳で10倍まで引き上げる。

考えうる限りの最悪の組み合わせの上に、体を担当しているブゥは理性なく手加減なしに暴れまわる。

シンと老界王神が、顔を青くする中、太っているブウだけが冷静にトランクスとブルマを非難させていた。

 

「確かに。強大な力だ」

 

セブルのその変化を見て、ザハンは顔色一つ変えていなかった。

 

「だが、大きなだけだ。見せてやろう。本当の力の使い方を。神の力を」

 

その言葉と共に、ザハンが静かに気を高める。

静かな湖面の上で、二つの嵐がぶつかるような、歪な気の高まりだった。

ザハンの体から、エンジンがアイドリングするように、ボ、ボ、ボと、白い気と赤い気が漏れる。

気の勢いが増し、臨界点を超える。

白い気と赤い気が、交わり、薄紅色の炎のような気となってザハンの身を包んだ。それに応じて、髪の毛も超サイヤ人のように逆立ち、薄紅色に染まっている。

左の瞳は黒いままだが、右の瞳は夕日のように赤く穏やかに輝いている。

 

「なんだ。それは、気が小さすぎて全く感じられないぞ。それに、ちょっと、縮んだんじゃないか」

「ふん。下賤なものには、神の高みなど感じ取れんということだな。

俺の今の姿は、そうだな。貴様ごときでも分かりやすいように。

ロゼ。

ザハン・ロゼとでも呼ぶことだ。無知蒙昧な貴様でもロゼ位はわかるだろう」

 

そこからは、一方的だった。

神の気は次元が違う。

セブルは、ザハンに触れることもできずに、一方的やられる。

ザハンは一撃で決めるタイミングを逃さないことだけに集中する。

そして、その状況はセブルにとって、我慢ができないことだった。

体中から煙をだし、自分の分身を使って時間稼ぎをさせる。

ザハンが、分身を倒し煙を払った時には、技の準備が完了していた。

界王神界の草花が枯れはて、宇宙がモノクロに染まる。

そして、両腕を空へと伸ばしたセブルの頭上には、巨大な元気玉ができていた。

 

「この宇宙中から、強制的に元気を集めさせてもらったぞ」

 

得意げに笑うセブルに、飽くまで、ザハンは冷たい視線を送る。

 

「父親の技で死ね!」

 

元気玉が、放たれた。

 

ザハンは一歩も引かない。

ただ、ゆっくりと体の中で気を練り、構えをとっていく。

 

「か・め・は・め」

 

左手の白い気、右手の赤い気が、それぞれの軌跡をたどり、合わさる。

腰だめで高められる気が解放されたのは、一瞬のことだった。

 

「はああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

薄紅色のかめはめ波が、一条の槍となって、セブルの元気玉を貫いた。

神の気によって焼かれたセブルは細胞一つ残さず、この世から消滅した。

風船に針を突き刺したように、元気玉がはじけ飛んだ。

かめはめ波によって貫かれた元気玉から、解放された元気が持ち主のもとへと帰っていく。

界王神界の草花は色どりを取り戻し、宇宙中に広がる元気は、モノクロの宇宙をカラフルに前以上に染め戻していく。

こうして、一度は宇宙を破滅に追い込んだ魔人ブウは、セルとともに完全に消え去ったのであった。

 

・エピローグ

 

破壊された地球は、シンの計らいによって、ナメック星のドラゴンボールを使い復活した。

どの期間で地球人を生き返らせるかは、問題になったものの、セルが殺した人間と地球の破壊で死んでしまった人間だけが対象となった。

特別に過去に死んでしまったZ戦士たちをよみがえらせることも提案されたが、それは本人たちの希望により却下された。

 

太っていたブウは、そのまま、地球に住むこととなった。

中身が吸収された界王神の集合なので、界王神界に残るかと思われたが、地球の復興に協力したいということらしい。

本音は、地球のお菓子にひかれただけではないかと考えられる。

 

亀仙人は、亀ハウスに戻った。

たまに、神の宮殿にも顔を出している。

 

ミスター・ポポは、神の宮殿で一人過ごしている。

 

ダーブラは、暗黒魔界でしばらく休暇を楽しむらしい。

悟飯にも、今度トランクスを連れて遊びに来るように提案している。

妹のトワが研究にかまけて相手にしてくれないのが、悩み。

 

シンは、ドラゴンボールで復活したキビトと老界王神と共に、界王神界から宇宙の命運を見守っている。

 

ブルマは、地球で発明をしながら、復興にも協力している。

 

トランクスは、最後の戦いで気を失っていたことを後悔し、更に修行に力を入れている。

最近、街の復興作業で仲の良い女友達ができたらしい。

 

ザマスは、元居た第10宇宙へと帰り、修行を続けている。

人間的に柔らかくなり、師匠であるゴワスは喜んだが、その分悟飯やトランクスの所に遊びに行くことも多くなった。

そのため、ゴワスは少し寂しい思いをしている。

最近いれるお茶に雑味を混ぜることを覚え、たまに、とんでもない劇物を作るようになった。

 

孫悟飯は、地球に帰り、修行を続けている。

学者になる夢は諦めてしまったが、母であるチチ、祖父である牛魔王がいる自宅で、近所の子供たちを集め、寺小屋のようなものを始め、先生と呼ばれている。

これは、自分の知識を伝えていくとともに、次代の戦士を育成する目的もある。

たまにやってくるザマスが、正しい知識(界王神や破壊神、いくつもの宇宙の存在)を子供たちに教えてくるのが、最近の悩み。

 

彼らの心は引き継がれていく。

いつまでも。

未来へ。




自分の中ではやり切った感があります
格闘ゲームのストーリーモードなどを目指して書いています。
描写、設定、掛け合い、そういったものをかなり端折っていますが
書けば書くほど書きたいものから離れて、つまらなくなっていく気がしました。
未来悟飯に光を当てたい。
ドラゴンボールの魅力的な設定を自分も料理してみたい。
そういった欲求を発散できて、個人的には満足です。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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