艦これの世界に引きこもりの青年がやってくるそうですよ?   作:因幡凛空

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序章 死亡そして転生
プロローグ


「ふう……。コンビニに行ってくるか……」

 

俺の名は加藤リク。大学入試でつまずいて不合格になり、進路が決まらないまま高校を卒業して以降は部屋で自堕落な生活を送っている。二次元美少女をこよなく愛し、頭も悪い、身体能力も悪い、コミュニケーション能力もないキモオタ、要するに引きこもりだ。俺は何の才能も持たない自分に絶望し、二次元に逃げ込んでいる。こんなどうしようもない奴はこの世にそうそういないだろう。

 

そんな俺だが、趣味はブラウザゲームをすること。その中でも一番好きなのが艦隊これくしょん、通称「艦これ」という戦略シミュレーションゲーム。実在の艦艇を擬人化した存在、艦娘という少女が正体不明の敵、深海棲艦と戦うというものだ。艦これを始めて1年経つが、イベント海域限定でドロップする艦娘が充実しており、何人かはレベル90代に到達している。

 

朝起きてから艦これにログインして任務を消化しながらレベリングをし、飽きたら動画を見たり別のゲームをしながら時間を潰す毎日……。だがそんな日常がある日突然、終わりを迎えることになる……。

 

それは昼食を買うためにコンビニに行った時だ。買い物を終えた俺は帰宅途中、道路で車に轢かれそうになった老人を庇った結果、代わりに車に轢かれて死んでしまったんだ。

 

今思えば馬鹿な話だぜ。ダメダメな俺がなんで見ず知らずの老人を助けたのか。あのまま無視していれば今頃死なずに済んだのに、なんて愚かなことをしてしまったのか、未だに分からない。今頃気づいても遅い。

 

こうして、俺は短すぎる生涯に幕を下ろした。

 

 

 

 

 

「起きてください……起きてください!」

 

死後どれくらい経っただろうか……?突然少女らしき声が聞こえてきたためふと目を開けてみると、そこに耳あたりで鎖のような髪留めでおさげにしている、金髪碧眼の可愛らしい女の子がいた。

 

「目を覚ましましたね!うふふ!」

「君は誰だ……?」

 

目を覚ますや否やとっさに名前を尋ねるが、よく見るとこの子見覚えがあるぞ?

 

「私はプリンツ・オイゲンと申します!」

 

プリンツ・オイゲン!?まさか、本当にプリンツちゃん本人なのか?夢じゃないよな?そう思い、俺は頬をつねる。

 

「夢なんかじゃありませんよ。あなたは本来事故で亡くなるはずだった老人の身代わりになって亡くなったんですから」

 

そうか……。俺はコンビニから帰宅する途中、車に轢かれそうになった老人を救った結果、代わりに俺が轢かれてこの世を去ったんだっけな……。夢なわけないか……。気を取り直して、ここがどこなのかを問おう。

 

「ここはどこなんだ?教えてくれプリンツちゃん」

「ここは不慮の事故で死んでしまった人がたどり着く空間、分かりやすく言えば死後の世界ですね」

 

死後の世界……まあ当然か、俺は死んだんだから……っとここが死後の世界なのは分かっている。俺が一番疑問なのは、なぜここにプリンツちゃんがいるかだ。俺を膝枕してるという謎のシチュエーションつきで。

 

「あのさ、君ってなんでここにいるの?しかも俺を膝枕してるし……どう考えても不自然なんだが?」

「私はあなたを迎えにここに来ました!だから、今からリクさんを私達の世界に案内します!そこで、私達と一緒に世界を救う勇者になってほしいのです!」

 

何言っているんだこの子は?ていうか、なぜ俺の名前を知っているんだ?わけが分からん。どう考えても現実的ではないその言葉と状況に、頭の中がこんがらがりそうだ……。とりあえずいつまでも彼女の膝を枕にしているのは気が引けるので、ヒョイっと立ち上がった。

 

「あなたのことは存じていますよ!何せ、いつも私達のゲームをプレイしてくれてるんです!当然じゃないですか!」

 

まるで意味が分からんぞ!?確かに俺は毎日艦これをプレイしていたが、だからって彼女が俺のことを知っているなんて理解不能なんだが!?

 

「ほらほら、行きましょ!優しい勇者、加藤リクさん!」

 

頭が混乱して戸惑いを隠せない俺を横目に、プリンツちゃんは立ち上がるや否や俺の手を掴んでこっちこっちと子が親の手を引っ張るように走り出した。しかも俺が優しい勇者だって?別に俺は轢かれそうになった老人を歩道に突き飛ばしただけだぞ?優しくなんか……ない。

 

まあそんなことはさておき、一応彼女にこれから向かう世界がどういう所なのか聞いてみた。一応……な。

 

「一応聞くけどさ、君が言う世界ってどういうところなの?」

「……そういえば私こうやって男性の手を引っ張るのやってみたかったんだよね!」

「ええ……」

 

あどけない表情ではぐらかすプリンツちゃん。だが俺には分かる。この子は艦これのキャラクター、プリンツ・オイゲンだ。彼女が言う世界なんて、安易に想像がつく。

 

「着きましたよリクさん!」

「……やっぱりな」

 

プリンツちゃんに連れられてやってきたのは、俺の予想通り……

 

 

艦隊これくしょんの世界だった……




艦これ要素なさすぎ……これでいいのか。
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