艦これの世界に引きこもりの青年がやってくるそうですよ? 作:因幡凛空
あと今後進めて行くうちに同じ口調の台詞が入り混じって分かりづらくと思うので、分かりやすくなるように台詞の最初にキャラの名前を入れます。
不要であれば言って下さい……。
10話 準備
前世において不慮の事故で死亡し、この世界に転生してから一日が経った。
俺はこの世界で生き抜くために、早朝からトレーニングを行っている。
今後深海棲艦はもちろん、昨日ビスマルクさんが言っていたそれ以外の邪悪な存在を相手しなければならないのだから、これをやって力をつけるのは当然の事だ。
とはいえ、すっかり鈍ってしまったこの身体に、朝から1時間のトレーニングは少々堪えた。
リク「今日はこれくらいにしておこうかな……」
プリンツ「頑張りますねー」
水の入ったペットボトルを持って駆け寄ってきたプリンツちゃんがそれを俺に差し出す。彼女は俺が朝早起きしてトレーニングしているのをずっと付き添っている。
別にプリンツちゃんまで早起きしてまで付き添わなくてもいいのに……。
リク「敵と渡り合うためにはまず力を付ける事から始めないとダメだからな」
プリンツ「そうですね、でもいくらそれで力を付けようとしても、ご飯をいっぱい食べないと意味ないですよ?」
リク「うぐぐ……」
確かにそうだ……。
リク「だけどいきなり食事量増やせって言われてもなぁ……」
プリンツ「それ、いきなり1時間の練習で身体を鍛えようとしてるのも当てはまりますよね?」
核心つきやがった。この子抜け目ないな。
??「いたいた」
プリンツ「ビスマルク姉さまだ!」
と、プリンツちゃんか大はしゃぎで駆け出す。その先にはビスマルクさんがいた。
リク「ビスマルクさん」
ビスマルク「こんなところにいたのね、もしかして自主練?」
リク「まあそんなところですね」
ビスマルク「朝ごはんの準備が出来たから、はやく食堂に来なさい」
そう言ってビスマルクさんは抱きついているプリンツちゃんを引き剥がし、去って行った。
リク「じゃあ行くか」
プリンツ「はい!」
昨日不知火が言ったとおり、俺は今日のこの朝食から量を増やす事を試みるが、やはり元々少食の俺がいきなり量を増やすのは無理があった。それでもなんとか完食する。
リク「なんとか食べきれた……」
不知火「しょうがないですね、それでは今後が思いやられます」
リク「なんだよそれ……」
浦風「お前は一体何の指導をしておるのじゃ……?」
プリンツ・浜風・鹿島・陽炎・黒潮「あはは」
そんなこんなで和気藹々とした朝食を済ませた俺は、明石さんがいるという工廠に向かった。自己紹介をまだ済ませてなかったのと、敵と戦う上でかかせない艤装を作ってもらうためだ。
当たり前というべきか、プリンツちゃんと共に。
リク・プリンツ「失礼します!」
??「あら、いらっしゃいませ」
元気よく明石さんが出迎えてくれる。
プリンツ「こんにちは!明石さん!」
明石「プリンツさん、それに……」
リク「そういえば、まだ自己紹介を済ませてなかったですね。俺は加藤リクと申します」
明石「私は明石、見れば分かると思うけど工廠で艤装の製作及び整備を行っています」
工廠では、明石さんのほかにたくさんの妖精がせっせと動き回っていた。
明石「今日はどういったご用件で?」
リク「艤装の製作をお願いできませんか?」
明石「構いませんよ、戦闘を行う上で必須ですからね」
リク・プリンツ「ありがとうございます!」
なんでプリンツちゃんまでお礼を言うんだよ。
明石「見ての通り、作業はたくさんの妖精さんのおかげではかどってますから、1日時間をいただければすぐに完成しますよ!」
リク「分かりました」
妖精さん達、ちっこい身体でよく動いてるよな。まるで働き蟻みたいだ。これだけいれば艤装を作るのなんてあっという間だろうな。
一体どこからやってきたのだろうか?装備が完成した際に生まれてきたとか?いや、んなわけないか。
リク「それでは、また明日お伺いします」
プリンツ「バイバーイ!」
明石「はーい」
工廠を後にした俺達は自分達の部屋に戻ってきた。朝からかなり動いたため、休息もかねてベッドに腰掛ける。
プリンツ「リク君」
リク「なんだ?」
プリンツ「今日の昼食後、演習が行われます」
リク「演習ねぇ……」
演習とは、まあ端的に言えば艦娘同士の模擬戦だ。
プリンツ「はい、それを見学しませんか?」
リク「見学か」
プリンツ「身体を鍛えるのはもちろん大切ですけど、実際に戦いの様子を見学して知識を養うのも大事ですよ」
なるほど、それは名案だな。
プリンツ「そしてそれを元に、明日も行われる演習に参加して実戦を経験しましょう!」
リク「演習って参加制なのか?」
プリンツ「はい。鎮守府の出入り口のポストに演習参加申込書というプリントがあるので、それに必要事項を記入し、演習の記録を付けている大淀さんに提出するだけです」
リク「理解した」
プリンツ「それでは、早速プリントを持ってきますね!」
リク「君一人で行くの?」
プリンツ「朝からトレーニング頑張ってたから、リク君は休んでいて良いですよ!」
それじゃあお言葉に甘えさせてもらうかな。正直足が棒になってもう歩けやしない。
昼食までの数時間休息させてもらおう。
長門「リク……」
陸奥「突然リク君の名を挙げてどうしたの?」
司令室では、長門がふとリクの名を呼んでいた。
長門「あいつと出会った時から、私は感じている」
陸奥「何を?」
長門「あいつの身体の底に眠る潜在能力をだ」
陸奥「どういうことよ」
長門「初めての出撃で、深海棲艦共と渡り合える気がするんだ」
長門のその一言はまるでリクの秘めたる力を察しているような口ぶりだった。
陸奥「言っている意味がさっぱり分からないわ」
長門「要は、あいつは家にとって優秀な戦力となるってことだ。直感だがな」
陸奥「……」
まだ入ってきて1日しか経ってないにも関わらず、リクが鎮守府にとって優秀な戦力になるという言葉を陸奥は理解できなかった。
陸奥「ねえ長門」
長門「なんだ?」
陸奥「あいつと出会った時から私は感じてるっていう台詞、キモいわよ?」
長門「気にするな」
……と冷静に返す長門だった。
??1「アノ鎮守府ニ、別世界カラ人間ガヤッテ来タヨウダナ」
??2「珍シイ事モアルモノダナ、艦娘デハナイタダノ人間トハ。アノ艦娘ガ連レテ来タノカ?」
黒雲に覆われ、光が一切射さない海域にある泊地らしき場所に、美しい女性の姿をした生命体が2体ほどいた。それは言わずもがな、深海棲艦である。
どうやら彼女達も、艦娘と同じく拠点なるものを持っているようだった。
深海棲艦1「ドウスル?アノ男ガ我ラノ脅威トナル前ニ芽ヲ摘ンデオクカ?」
深海棲艦2「イヤ、ヒトマズ様子見ダ。今動イテモ、例ノ敵ニ感ヅカレル恐レガアル」
深海棲艦1「海異鬼……カ」