艦これの世界に引きこもりの青年がやってくるそうですよ?   作:因幡凛空

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17話 夜の戦場 前編

一同「ご馳走様でした」

 

号令とともに合掌して夕食が終わる。あれから俺は海異鬼の夢の事はプリンツちゃん以外の人には口外していない。接近に気が付いたらアナウンスを通して知らせてくれると思ったのは勿論だが、なによりここにいる全員を不安に駆らせるわけにはいかなかったと判断したためだ。

もちろん、彼女達はほぼ全員戦闘慣れしているため知らせても迎撃の意思を見せるだけだとも考えているが、ここには潮のような海異鬼の存在を知らない子もいるという事も見据えているため、伝えないほうがいいのに越したことは無い。現に今いつもの面子に加え、潮も一緒に食事を取っていたし。なぜ一緒に夕食を食べていたのかというと彼女とは今日の連合艦隊での出撃以降親しくなったためである。

 

潮「今日の夕食もおいしかったですね」

リク「ああ、いつでも絶品の料理を作ってくれる間宮さんと料理人妖精には感謝だな」

プリンツ「潮さん、もうリク君と打ち解けてますね!」

浜風「それをいうなら私達全員とでしょ」

プリンツ「あはは、そうでした」

 

潮、何気にコミュニケーション能力が高いんだな。やっぱり、第一印象で判断してはいけないなこりゃ。

 

陽炎「ねえ、そういえば今日のニュース見た?」

潮「ニュース……?」

陽炎「うん、なんでも南方海域あたりで航海中の船が突然轟沈したらしいわよ」

黒潮「一体誰の仕業なんやろな」

陽炎「さあ?でも何の前触れも無く急にらしいから、海異鬼の仕業だと思う」

潮「海異鬼……?」

 

この子、最近着任したから海異鬼知らないんだよな……。ビスマルクさんから教えられた時もあの場にいなかったし……。長門さんも他の勢力と対峙していることを教えないなんて、彼女の身を案じたのだろうか。

 

鹿島「数年前から突如姿を現した深海棲艦でも私達艦娘でもない第三勢力です」

潮「第三勢力ですか……」

プリンツ「深海棲艦の制海権奪取による海の侵食で命を落とした海洋生物の怨念が集まって生まれた怪物です」

潮「私達の別の敵ってことですか?」

リク「俺も詳しいことは分からないんだけど、奴ら深海棲艦に恨みを抱いていて、彼女達艦娘に対しても元凶とみなしてるっぽい」

潮「そんなことが……」

 

案外平然としてるな……。今日の戦いで自信が付いたのかな?

 

陽炎「本来深海棲艦だけを恨めばいいものを、私達や市民にも怒りをぶつけてくるんだもの」

不知火「言うなればただの逆恨みです」

浦風「決して可哀想だなどと思っちゃだめじゃ。さっき陽炎の言っていた事を聞いていれば分かると思うが、奴らは罪もない人にも無差別に襲い掛かり命を奪っておる。だから深海棲艦と共に最優先で倒さねばならんからな」

潮「はい!さっきの話が本当なら許してはおけませんね!」

 

これなら心配はいらないかな。

 

ピンポンパンポーン

 

とその時、アナウンスのチャイムが鳴った。

 

リク「ん?」

プリンツ「アナウンスが鳴りましたね」

 

「総員に告ぐ」

 

陽炎「長門さんの声よ」

浜風「どうしたのかしら?」

 

「敵影がこちらに向かって接近している。敵を迎撃する部隊と、鎮守府周囲を守護する部隊の2つに別れ作戦を遂行する!各自直ちに配置に付くように!」

 

どうやら敵がここに近づいてきているらしい。深海棲艦か海異鬼かは分からないが、もしニュースの出来事の主犯が海異鬼である事、昼寝していた時に見た夢が本当ならば、後者である可能性が極めて高い。

深海の統率者の警告していた事が早速実現することになるとは。

 

黒潮「せっかくお腹が膨れて気持ちよかったのに、敵を迎撃してカロリーを消費することになるなんてなぁ」

浦風「奴らにうちらの事情など関係ないってことなんじゃろうな」

不知火「ちょうどいいです、腹ごなしの運動にはなるでしょう」

浜風「わざわざ私達の鎮守府を自ら襲うとは、身の程を教えてやらないとね」

鹿島「そうね!」

潮「潮、頑張ります!」

プリンツ「返り討ちにしてやりましょう!」

リク「行くぞ!」

 

 

 

 

鎮守府周囲の近海では、全員の艦娘達が各自配置に着いていた。敵がどこから現れるか分からない以上、徹底して鎮守府を死守する必要があるのだろう。

俺達水上打撃部隊と第二水雷戦隊の連合艦隊は迎撃側として出撃した。前者の部隊の面子はいつもどおりだが、後者の部隊は磯風と谷風が防空駆逐艦である秋月、照月に入れ替わっていた。

 

秋月・照月「今回はよろしくお願いしますね!」

プリンツ「はい!」

リク「なんで入れ替わったんだ?」

秋月「磯風さんと谷風さんは鎮守府側の防空担当となったので、私達が代わりに迎撃側の防空担当となったんです」

リク「なるほど」

照月「私たちは上空の警戒に専念するので、皆さんは敵の駆除を頼みますね!」

リク「任せとけ」

秋月「じゃあ照月、行くわよ」

照月「うん」

 

二人は一旦俺達から離れて行った。

 

??「シャアアアァ!!!」

 

とその直後にイルカのように海面から飛び跳ねながら、角を生やしたイッカクのような姿をした怪物が現れた。

 

ビスマルク「来たわよ!海異鬼が!」

リク「あれが海異鬼か……」

プリンツ「あいつは海異鬼の中でも最下位に位置するロッカクです!」

 

ロッカクか、覚えておこう。

 

ビスマルク「最下位と言えど深海棲艦の駆逐より強いわよ!」

ロッカク1「シャアアアァ!!!」

陽炎「角を射出してきたわ!」

ビスマルク「避けて!」

 

ロッカクが額の角を発射してきたが、難なくかわす。どうやら角を砲撃のように発射する攻撃を得意としているようだな。あれが心臓に刺さりでもしたら即死だ。

しかも角を発射しても何度でも生えてくるようで、奴の額からニュキニュキっと出てくるのが確認できる。

 

リク「お返しだ!」

ロッカク1「ギィ……」

 

俺の砲撃を食らった奴は一撃で沈黙した。攻撃力は高いが耐久自体は大したことなさそうだった。

 

プリンツ「次が来ます!」

ロッカク2・3・4「シシャアアアァ!!!」

 

と休む間もなく別の個体が現れる。

 

ビスマルク「言い忘れてたけど、奴は主砲を隠し持っているから気をつけなさい!」

 

武器を隠し持っているというのか。なんとも器用貧乏な奴らだ。

 

ロッカク2「シャアアアァ!!!」

リク「口をあけた!」

プリンツ「あれ見てください!」

 

口を開いた奴の体内から、主砲が姿を現す。体内から出てくる形で主砲が顔をのぞかせるということは、身体の中に隠し持っているという事になるな。

 

浦風「気をつけぃ!放ってくるぞ!」

 

浦風の言ったとおり、口を開いた奴の主砲から砲撃が放たれた。

 

浜風「相殺するわよ!」

鹿島「ええ!」

 

瞬時に二人が奴の砲撃を相殺し、続けて陽炎型トリオが奴に接近する。

 

陽炎「私達の力、見せてあげるわ!」

不知火「沈め!」

黒潮「砲撃やで!」

 

まず最初に攻撃してきた方の個体を陽炎が倒し、さらにまだ攻撃していない方の個体を不知火と黒潮が撃沈させた。

 

ロッカク複数「シャアアアァ!!!」

リク「まだまだいるな」

 

今度は10体ものロッカクが現れる。奴ら一体何体いるんだ?

 

秋月「皆さん!前方上空に飛行型海異鬼が現れました!」

照月「撃墜します!」

 

さらに空からも敵が現れた事を秋月が知らせる。体長3m前後の飛行型海異鬼で、数はざっと20体くらい。

 

秋月「行くわよ照月!」

照月「うん!」

 

秋月型姉妹の二人が対空射撃で上空から現れた海異鬼を7体程撃墜するが、残った13体が攻撃態勢に入った。

 

飛行型海異鬼「フシャアアアァ!!!」

秋月「来る!」

照月「突進してくるよ!」

 

奴らは身体を高速回転させながら秋月達に突撃してくるが、彼女達はスイスイと回避してみせる。あの動き、演習で夕立と時雨が見せたのと同じだ。

 

飛行型海異鬼「……」

 

一方の飛行型海異鬼も回避されると同時にすぐさま旋回しながら上空に戻り、今度はロッカクと対峙している俺達に狙いを定めた。

 

鹿島「彼らが私達を狙いだしましたよ!」

浜風「そんな、こいつらを相手にするのに手一杯なのに!」

浦風「さすがに無理があるぞ!?」

飛行型海異鬼「フシャアアアァ!!!」

 

奴らは生意気にも、どんな手を使ってでも貴様らを沈めると言わんばかりに威嚇する。

 

秋月「ちょっとちょっと!あなた達の相手は私達よ!」

照月「勝手に標的を変更しないでよ!」

 

なんとか奴らの狙いを自分達に変更するように射撃しようとする秋月達だが……。

 

別の飛行型海異鬼「フシャアアアァ!」

照月「秋月姉!背後からまた別のが来たよ!」

秋月「ああんもう!タイミング悪すぎ!少しは空気読みなさいよこの悪霊が!」

 

自分達の近くに別の5体の飛行型海異鬼が現れたため、7体の狙いを自分達に向けることが出来ずそちらの相手をするハメに……。

 

陽炎「数が多すぎる!」

不知火「ちょっとピンチです」

黒潮「やばいでぇ……」

 

奴らの数が多すぎて対処が間に合わない!どうすればいいのかと思ったその時……。

 

潮「任せてください!私がやります!」

ビスマルク「潮!?」

 

潮が名乗りを上げた。

 

ビスマルク「あなた一人で13体も同時に相手取るのは無理があるわ!」

潮「大丈夫です!昼での戦いで多勢に無勢は慣れっこですから!」

ビスマルク「でもあいつらはあなたが倒した深海棲艦よりも強いのよ!?それに慣れっこだって言ってもたった1回でしょ!?海異鬼の恐ろしさも知らないあなたが無茶しないで!」

潮「でも……」

リク「潮、気持ちは分かるが一人じゃ無謀だ。俺も手伝うよ」

プリンツ「私も一緒にやります!」

潮「それだと陽炎さん達が……」

リク「彼女達なら大丈夫だ、一人や二人抜けた所で大した問題じゃないさ」

プリンツ「信じてますからね!」

潮「……分かりました!一緒にやりましょう!」

 

俺は仲間を信じているからこそ任せるが、13体もの敵に潮一人はさすがに無茶なのでその場合は一緒にやるだけだ。ビスマルクさんもそれなら納得しているはずだ。

 

リク「そいつらの対処はビスマルクさん達、上空の警戒は秋月達、そして奴らの対処は俺達という感じならいいですか?」

ビスマルク「それなら安心だわ。だけどあなたもまだ経験は浅いんだから無茶しないでね」

リク「はい!」

 

さてと……。

 

飛行型海異鬼「ッ!?」

 

標的をこちらに向けさせるための威嚇射撃は、偶然か13体の内1体に命中する。

他の奴らが仲間を撃ち落されたことに気づき、こちらを向いた。

 

リク「こっちだ!悪霊共!」

プリンツ「あなた達の相手は私達です!」

潮「ビスマルクさん達は襲わせません!」

飛行型海異鬼「フシャアアアァ!!!」

 

奴らはそのままこちらに襲い掛かってくる。海異鬼共に俺とプリンツちゃんのコンビネーションを見せるチャンスだ。もちろん、潮もね。




投稿が1週間ほど空いてしまって申し訳ありません。
あと今回から投稿ペースが不定期になるかも。
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