艦これの世界に引きこもりの青年がやってくるそうですよ?   作:因幡凛空

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まだ2話ですが、少し長いです。

プリンツちゃんが死後の世界にいた理由、艦これの世界と死後の世界を行き来できる理由が明らかになります。


2話 訳あり鎮守府とプリンツの謎

鎮守府前でドイツ艦、ビスマルクと出会ったリクは、彼女の案内で内部へと足を踏み入れた。

 

中に入ると、そこにいた何人かの艦娘の視線が突き刺さる。

プリンツちゃんと手を繋いでるというのもあるが、それ以上に俺が入ってきたことが怪訝そうだった。

 

「皆俺のこと見てる……警戒しているのかな?」

「ここには男性がいないから、あなたがとても珍しいのでしょうね。私もあなたみたいな人は珍しいから」

「そうなんですか」

「まあ……ね」

 

男性がいないということは、提督がいないということなのか?いや、提督が男性とは限らないから、女性提督かそれに準ずる艦娘がいるのだろう。

 

「ここってなんか、隔離されてる感じがしません?」

「そうかしら?」

 

ここに来た時から薄々感じていたのだが、妙に寂しい感じがするんだよな……。外界から隔離されてるっていうか……。

 

「あなたが言う隔離されている感じはしないけど、敵の襲撃を受けやすいってのはあるかな」

「敵というと?」

「深海棲艦は当然として、それ以外の邪悪な存在ね」

「邪悪な存在?」

 

なんかここ、俺が知っている艦これの世界と何か違うぞ?深海棲艦以外の邪悪な存在が鎮守府を襲撃するとは。

 

「すごいでしょ?」

「すごいって言われても……」

 

ここの艦娘達はよくこんな敵襲が多い鎮守府で暮らしていられるな……。こんなところで俺は生活して行けるのか……?すぐにでも死にそう……。

 

「なんだか不安になってきた……敵襲が多いこの鎮守府で俺は暮らして行けるのだろうか……?」

「心配しなくても、あなたには私がついてます!それにここの艦娘達を侮らないほうがいいですよ?」

「そうね。皆戦闘経験豊富だから慣れるまでは彼女たちに頼りなさい」

「俺が守られる側になってる……」

 

まあ、艦娘は深海棲艦の手から海を取り戻すべく戦っている。それはすなわち、人類は艦娘に守られてるということだ。今思えばなんら不思議なことではない。しかもずぶの素人かつ戦闘経験皆無のこの俺が彼女たちに守られるのは必然なことなのだ。異世界ものでよくあるチート能力を持って転生したわけでもないしさ。

 

「あ、そういえば……」

「ん?どうしたの?」

「俺、ずっと引っかかっていたことがあるんです」

 

ここで、艦これの世界に来た時から疑問に思っていた事を切り出した。それは、なぜプリンツちゃんが死後の世界にいたのかということ。それに加え、プリンツちゃんがどうやってあそことこの世界を行き来しているのかということ。ビスマルクさんの言っていたあの事という単語も気になる。

 

「実は……」

「あなたが言いたいことは分かるわよ」

 

なるほど、それなら話が早い。

 

「彼女はこの世界と死後の世界を行き来できる空間移動能力を持っているのよ」

「なんですかそれ……」

「言葉通りの意味よ?この子、いつからかこの特異な能力を持って生まれたの」

 

空間移動能力!?漫画やアニメとかで聞く二つの世界を自在に行き来できる能力というとてつもないチート能力を艦娘が持っているというのか!?どういうことだってばよ……。

 

「ビスマルクお姉さま!言わないでくださいよ!」

「だって早めに言っておかないと……」

 

この子がただものではないことは死後の世界にいた頃から気づいてはいたけど、どうも驚きのほうが大きい。だってそんなこと聞かされたら誰だって驚くだろう。

 

「ごめんなさい……隠すつもりはなかったんだけど、どうしても言えなかった……」

「言えなかったって事は、何か嫌な思い出が?」

「ああ。この子ね、今までも幾度となく死後の世界に赴いて、先ほどの能力を明かした上、この世界を救う勇者になって欲しいってお願いしたらしいの。だけど皆それを聞いた瞬間、まるで彼女を疫病神扱いするかのように遠ざかったんだって。彼女それで心に深い傷を負ってしまったらしくて……」

「そんな事が……」

 

まあ、無理もないか。気づいたら死後の世界にいて、目の前に突然現れた挙句、空間移動能力を持っていると明かした上に、自分たちの世界を救う勇者になって欲しいだなんてお願いされたら、普通は遠ざかるだろう。俺も信じられなかったが、この子は強引に俺の手を掴んでこの世界に連れて行った。本当ならこの子を変人扱いして無理やり振り切っていただろうが、この子は俺が承諾する前に嬉しそうに俺をここに連れて行った。それを見て、俺はこの子のお願いを受け入れようと決意したんだ。まあ、この世界で第二の人生を歩むっていう認識だけども。

 

「でもこの人優しいんだよ!本来死ぬ予定だった老人を救って身代わりになったの!私、この人のその優しい心を感じたからここに連れて来たの!」

「お……俺は……何の取り柄もないただの……」

「取り柄?あるじゃない。その優しい所が、あなたの取り柄よ?もっと自信を持ちなさい?」

「優しい所……か」

 

優しい所だなんて、生まれて初めて言われた気がする。現実の俺は中学時代の親友が別の進路だったため、孤独な高校時代を送っていた。高校では中学までとは全く異なる環境で親友など出来ず、いじめはなかったもののもはや地獄のような日々だった。その後大学受験で失敗し、卒業以降は引きこもりになった。ないない尽くしの俺だが、面と向かってそんなことを言われると、周りに他の艦娘達がいるのも手伝って羞恥を覚えてしまう。

 

 

 

 

 

プリンツちゃんの謎が明らかになったところで、3階の左側通路の奥にある部屋前にたどり着いた……

 

「着いたわよ。ここがあなたの部屋」

「やっと着きましたか……」

 

ふぅ……いろいろと疲れたな……。ベッドで寝たい……。

 

「さあリクさん!入りましょ!」

「えっ?君も入るの?」

「ダメ?」

「そういうわけじゃないけど……」

「ここ、私の部屋ですけど?」

 

……今何と言った?私の部屋?

 

「つまり……その、あなたとプリンツの共同部屋よ」

「……」

 

な……なんだって!?艦娘との共同部屋だと!?……思わず絶句してしまう。

 

「ごめんなさい。あいにく満室で、空いている部屋はないのよ」

「そうですか……」

 

てっきり一人部屋があると思っていたが、これは予想外だな。本当なら一人部屋じゃないことに文句を言いたいところだが、しょうがないか。住まわせてもらうだけでもありがたいのだから、俺が文句を言う権利などない。

 

「改めて、これからよろしくね!リクさん……いや、リク君!」

「う……うん、よろしくプリンツちゃん」

 

大喜びのプリンツちゃんを見て思う。彼女俺のことが好きなんじゃないのか。まあそんなの勘違いに過ぎないのだが、前世で生きていた頃は艦娘と一緒の生活に憧れはしたが、いざ本当に一緒にすごすと思うとどうも実感が沸かなかった。




いろいろとぶっ飛んでます……
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