艦これの世界に引きこもりの青年がやってくるそうですよ? 作:因幡凛空
「ここがこの鎮守府の食堂か……」
昼食の時間になり、鎮守府の食堂にやってきた。中は艦娘達で賑わいを見せており、彼女達の話声がそこかしこから聞こえてくる。
「あ、リクはん達」
と、特徴的な呼び方で黒潮が声を掛けてきた。
「こんにちは、黒潮」
「普通に黒潮って呼んでくれたらええ。うちとの仲やで」
「お、そうだな」
「プリンツはんはいいとして、浜風と鹿島はんも一緒なんやな」
「まあね」
「特にやることがなかったので、挨拶回りに同行していました」
「なるほどなー」
納得する黒潮の持っているトレイの上は、ご飯と味噌汁、そしておかずと思われる肉じゃがが乗っていた。
「今日の献立は肉じゃがですね!」
「そうやで。うち大好きや、リクはんは好きか?」
「ああ」
肉じゃがは好きだが、最近食べてないな……。
「うちはあっちの席だから、リクはん達も早く来いや、陽炎姉と不知火も待ってるで」
「分かった」
「はい!」
俺達は黒潮と一旦別れ、料理を取りに向かった。
料理が置かれているテーブルへと向かった俺達は、そこで朝潮と再会する。
「あ、リクさん達」
「また会ったね」
「こんにちは!」
「はい、こんにちは」
プリンツちゃんが元気よく挨拶すると、朝潮もそれに続きにこやかに挨拶した。
「島風は一緒じゃないの?」
「島風は他の子と一緒に食べてますよ」
いつも行動を共にしてるわけではないらしいな。
「あ、潮さん!」
「えっ……?」
と、プリンツちゃんが彼女の隣にいた少女に声を掛けた。
「朝潮さんと一緒にいたんですね!」
「そうだけど……」
ややオドオドしながら返答する。
「あの……その人は……」
「俺は……」
「この人は加藤リク君!今日からここで暮らすことになったんです!」
おいおい、俺が名乗る前に言っちゃったよ……。彼女に毎回言わせるのはあれだったから自発的に挨拶しようとしていたのに……。
「私は潮と申します……綾波型10番艦です……」
潮はゲーム基準からすると怖がるはずなのだが、不思議とそれほど怖がってる様子には見えなかった。多分、朝潮から俺のことは聞いていたのだろう。
「よろしくお願いします……」
「ああ、よろしく」
「では、私達は失礼します」
「また今度……お会いしましょう……」
二人は料理を盛り付けると、そのまま2列目のテーブルの方に去って行った。
「じゃあ私達も盛り付けましょ」
「そうですね!」
俺達も料理を盛り付け、黒潮がいる席に向かった。
「ここのご飯を作ってくれるのって間宮さんだよね?」
「はい、そうですよ」
「よく知ってるわねそんな事……」
「もしかして、かつて鎮守府にいた事がおありですか?」
「いや……たまたま風の便りで聞いたことがあっただけさ」
とりあえず適当にはぐらかしてみるが、前世で艦これをプレイしコミックを読んだことがあるのだから知っていて当然だったりする。
まあ、これだけで俺がこの世界で転生してやってきた、元現実世界の住民である事はバレないと思うが、朝潮と島風と別れた直後にこの子がうっかり口を滑らせそうになったからなー。
「でも間宮さんだけじゃないわよ」
「他に誰が?」
「妖精も一緒に作っているわ」
妖精とは艦これにおいて装備に乗っているちっこい奴らの事。よく分からなかったらとりあえずググれ。
「妖精さんは間宮さんのお手伝いの他にも、工廠において明石さんのお手伝いも行っています!」
「入渠する際に、傷を治療するためのバケツをぶっ掛ける役目も担ってるのよ」
「随分と多忙だな……」
きっとそれでも仕事をきっちりとこなしてるんだろうな。元引きこもりの俺とは大違いだ……。
「4人とも、こっちや」
話し込んでいるうち、黒潮の声が聞こえる。
「リクー」
陽炎の声も聞こえる。そして隣には不知火がいた。
「こちらです」
不知火に呼ばれ、俺は彼女の隣に、プリンツちゃんが俺の隣の席に座る。浜風と鹿島は俺達の真正面の席に着いた。
「うちの隣には浦風が座るから少し待つで」
「うむ」
「すまん、待たせたな」
しばらくして、浦風がやってきた。
「別に構わへんでー」
実際待っている間、プリンツちゃん達の明るい話のおかげで退屈はしなかった。俺はそれを無言で見ていただけで一言も喋っていない。
まあ、ガールズトークを聞いて楽しんでいただけなんだが。なんつーか、割り込む気が起きなかった。
「じゃあ浦風も来たし、いただこっか」
「それでは皆、手を合わせて……」
俺達はプリンツちゃんの指示で一斉に手を合わせ……。
「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」」
妖精さんに関する独自設定がいろいろと判明します。