どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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記念すべき100話目でございます。わしです。
今までえっちな描写を書いてこなかったのでR18のラインがわからずチキリにチキリ倒しながら書きました。絶対無いだろうけどこれで引っかかったら泣きます。あと余談ですが書いてる時めちゃくちゃ楽しかったです。


えっちな夢を見た時の罪悪感と幸福感は紙一重

 カーテン越し、部屋に入り込む月明かりは、雲に合わせてゆらゆらと揺れていた。春も覗きかけの夜、冷え込んでくるはずの室温はやけに高く、蒸し暑い。

 

 理性のタガが外れたニンゲンは思考を放棄して、お互いに愛と快感だけをただただ追い求める。

 

 

 掛け布団のない、軋むベッド。

 

 酷く情熱的なナニカがぶつかり合う。

 

 目の前から零れる声は俺の底を煽る。

 

 水回りにはいっぺんの水滴も見られないのに、水の絡む音が聞こえる。

 

 荒い呼吸で体が酸素を欲しているのがわかる。それでも、お互いの口を求めて塞ぐ。

 

 普段見せない表情が、俺を余計に加速させる。

 

 

 感覚がやけに過敏になっている。いや、狂っているのか。

 目も、耳も、口でさえも、全部ぜんぶ魅せられている。

 

 目の前にいるのに、マーくん、マーくんと、何度も呼ばれる。繋がってるのに、寂しくないように。お互いの名前を何度も、何度も。

 

 とても大人な時間ではないし、そんな楽しむ余裕もない。できるはずもないのに、勢いと本能と頼りない知識に任せるがままに、二人で一緒になりたがる。

 

 ただ、愛おしい。ただただ、愛したい。ずっとこのまま、ステキな時間のままでいたい。

 

 抱きしめて、手を握って、絡め合って、求めて、強く、強く、愛を囁く。

 

 

 

 嗚呼、もういっそ、このまま。

 

 楽になってしまおう。

 

 このままさ、なぁ?

 

 

 


 

 

 

 サイテーな目覚め方をした。

 休日なのにキッチリ8時間睡眠。寝汗をじっとりとかいた体が、心做しかいつもよりもベタついて感じる。おかしいな、寝汗自体はいつもかくのに。

 

 カーテン越しから差し込む朝の日差しがとにかくうっとおしい。こりゃ、今日はカンカン照りだな。今日は半袖に上着でいいか。

 

 

「……最悪」

 

 

 重い体を起こして厨二病みたいに呟く。隣には誰もいないし、ベッドも乱れて無い。俺は寝相が悪い方ではないからな。

 

 念の為ズボンとパンツをぐいっと引きあげて中を確認する。

 うん、汚れてねぇな。何とは言わんが、きちんと戦闘態勢にはなってる。朝だからかな? 今日に限ってはそうじゃなさそうなのが痛い。

 大人のおもらしもなんかもしてない。正直これを一番ビビってたからよかった。

 

 スマホのカレンダーで予定を見よう。俺の記憶が正しければ、今日に限って行きたくない用事があるはずだ。

 ……休んでやろうかな。いや、こんなんが原因で休むとか色んな意味で無理すぎる。休んだらその瞬間色んな感情で俺が死にかねん。

 

 

「……シャワー浴びていこ」

 

 

 深い意味は無いぞ。かいた寝汗を流してさっぱりしたいだけだ。寝癖もついてるかもしれない。

 男とはいえ身なりには気を使うべきだぞ。エチケットは大事だからな。なんともない日常生活でも何があるかは分からないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢というのは不思議な物だ。

 

 見ている時にはあんなにハッキリとしているのに、起きてみれば覚えてたり覚えてなかったり。

 

 やけにリアルな夢を見たかと思えば、ゾンビ相手に無双したり宇宙旅行したりする。

 個人的には無料で見れるくっそ臨場感のある映画みたいな感覚がある。ただ欠点があるとすれば、映画の内容が選べないことだろうか。たまにホラー映画を引くのはやめて欲しい、マジで。

 

 夢に関しては色んな話を聞く。

 

 その日の中で起きた出来事や思い出を整理してる時に混ざって出来る物。

 その人が故意に見たいと思ったものを実際に見る。

 その人が自覚していないだけで、本当は見たい、やりたいと思った妄想を実際に見る。

 

 かく言う俺も今日、夢を見た。

 

 ハッキリ言おう。ヤッた。確実にヤッてた。しかもめちゃくちゃ鮮明に覚えてる。

 出来ることなら忘れたかった。思い出したら息子が戦闘態勢に入っちまう。

 

 自家発電を疎かにしていた訳では無い。よって、最近溜まってんだよね〜的状況でもなかった。

 俺だって一端の男子高校生。性欲だってもちろん人並みにあるし、そういうのだって調べたりする。当たり前だよなぁ!?

 下ネタを言わない男は信用出来ない。これマメな?(圧倒的偏見)

 

 それにしても淫夢なんてものは初めて見たが、あんなにリアルな夢だとは思わなかった。俺あんな快感知らないんだけど、なんで夢の中であの感覚がわかるの? おかしくない? 俺ってもしかして童貞じゃないの?

 あと淫夢で反応したそこのお前。その淫夢じゃないから。何でもかんでも例のアレに繋げるのは、やめようね!(戒め)

 

 

「……おはようございます」

「おはよー!」

「おはよう。今日は遅かったわね?」

「たまにはね?」

 

 

 言えない。シャワー浴びながら無心で般若心経唱えて邪念を落とそうとしてたなんて言えない。

 般若心経とかわかんないけどマジで勘と邪念を振り払いたい一心だけでやってたら普通に1時間経ってた。シャワーなのに若干のぼせたわ。

 

 

「マーくん顔赤くない? 大丈夫?」

「だ、大丈夫大丈夫!」

「なんでそんな狼狽えるの!? もしかして風邪引いてるの!?」

「ちげぇよのぼせてんだよ! お前はオカンか!」

「お嫁さんだよ!」

「ちげぇよ!!!」

「のぼせてるってどういうことなの……」

「のぼせてるんじゃなくて惚気けてるんじゃない?」

 

 

 お前が顔を近づけるから余計に顔が赤くなるだろうが! 今日に限ってはダメなんだよ! 勘弁してくれ!

 しかも心配されるのもすっげぇ申し訳ない。

 あんな夢を見といてのうのうと彩といられるほど俺はメンタルが強くないんだ。もういつも通りの目で彩を見れない。すっげぇ意識しちゃうの、怖いくらい意識しちゃうの。

 

 そうです、今日は午前中の9時過ぎからパスパレとの練習があったんです。

 マジでやばい、本当にやばい。まぁあんな夢を見たけど結局は彩だし……とか思ってたけどもう無理、全然無理。

 

 忘れかけてたけど彩ってスタイルはめちゃくちゃ俺好みだし、顔もめちゃくちゃ可愛いし、なんなら性格もどちゃくそいいと言う紛うことなきアイドルなんですよ。あいつは自分で気にしてるみたいだけど、俺としては普通にどストライクなんですよ!(迫真)

 

 

「それよりも、今日は珍しく愛斗くんが遅れてるんだから。早く始めて取り返すわよ」

「「「はーい!」」」

「ライブも近いですしね」

「そういやそっか」

 

 

 パスパレは約1週間後に遊園地で開かれるライブでの出演が決まっている。今日はセットリストを決めた上で一度全曲流してみるという内容だ。

 

 曲自体のクオリティは正直もう安定期に入ってきてるので問題ないが、曲の繋ぎなどはそのつど演出などで繋ぎ方を変えたりする。それは俺たちだってやる事だし、毎回同じだと常連の人達だって新鮮味がないからな。

 

 それに、練習は腐るほどやっでも損にはならない。これは俺がRoseliaから学んだことだ。

 海の向こうで活躍している超有名バンドでも、未だに楽器隊が上手くなって行ってるのを見ると、やはりプロでも練習は大事というのを痛いほど実感するよな。

 俺だってライブの演出に関してはズブの素人だから、まだまだ学ぶことだらけだ。

 

 

「心頭滅却……煩悩破壊……南無三宝……」

 

 

 各々が自分の担当楽器の機材などをいじっている中、俺は適当な四字熟語と四字熟語っぽい言葉をぶつぶつ呟きながら煩悩を消し去りにかかる。

 もちろん、ちゃんとチューニングしなら平行でやってるよ? サボりダメ、はっきりわかんだね。

 

 ここは現実でアレは夢なんだ、浅尾愛斗。

 いいな? アレは夢で彩には何にもしてないし俺もなんもしてない。ただ単純にアレは俺の妄想だ。なんて煩悩抱えてるんだ、性欲の馬鹿野郎。

 

 

「……おん?」

「あっ……」

 

 

 シャツをちょんちょんと引っ張られた感覚で、後ろを振り向くと、なんだかいつもより小さく見える彩がちょこんとしてた。可愛いかよお前。

 

 どした? そんな親に怒られることして反省した子供見たいな顔して。俺の家を爆破でもしたのか。流石にねぇか。

 

 

「ね、ねぇ……マーくん」

「はい?」

 

 

 えっ、どしたのそんなしょぼくれて。ただでさえちっさいのに、やっぱりいつもより小さく見えるんだけど。

 もしかして俺のギター破壊したりした? それやったら流石に俺でも1ヶ月くらいはへこむかもしれんわ。

 

 

「私……なんかしちゃったかな……?」

「……へ?」

 

 

 いやいやいや、逆にこっちが聞きたいんやけど。

 彩がなんかして反省してるんじゃないの? どゆこと? 俺なんもされてないけど? 強いて言うならお前がいるだけでなんだかんだ楽しいからそう言う意味ではなんかしてるかもしれんけど。

 

 

「いや? なんもしてなくね? なんで?」

「なんかマーくんの様子がなんかおかしいと言うか……あんまり目を合わせてくれないから……」

「」

 

 

 うせやろ? そういうのわかるの? ぼくちん自然に振舞ってなかった? 確かに顔は赤くなってたけど、それくらいじゃなかった? 確かにあまり見ないようにはしてたけどさ。

 

 ……ん? ちょっと待てよ? もしかして俺のせいで彩をしょんぼりさせてる? あれ、俺死刑じゃね? 死刑だよな? 死刑だわ(確定)

 

 

「彩」

「な、なにかな?」

「ほんっとうにすいませんっしたァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

「えぇっ!?」

 

 

 お前ら。男はな、女を泣かせなくても悲しませた時点で失格なんや。

 誠心誠意のDO☆GE☆ZAをかました後に晩御飯をご馳走して家まで送り届けような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会議よ」

「なんでこんなことになってもうたんや……」

「マーくんがそういう夢見たからだと思うよ?」

「まぁ愛斗さんも男性ですし……」

 

 

 事態を聞きつけた千聖さんと日菜さんに夢のことを割られましたとさ、俺の人生めでたしめでたし。

 

 いやー、普通に俺の人生終わりましたわ。千聖さんと麻弥さんはやけに落ち着いてるし、日菜さんは他人事だから楽しそうだし、イヴちゃんは可愛いし、彩は顔を真っ赤にしてそこで固まってる。

 

 

「それで? どんな夢を見たの?」

「えっ、具体例まで聞くんですか」

「当たり前じゃない」

「練習は……?」

「後でもできるわ」

「マジかよ」

 

 

 千聖さんがそれを言ったらあかんやん。貴方練習の鬼やん。Roseliaで言う紗夜さんのポジションやん。練習より俺のこと優先はあかんやん。

 

 

「それで? 彩ちゃんとはどこまでいったの? シてたんでしょ?」

「」

「ひひひひひ日菜ちゃん!?」

「言い逃れはできないわよ。さっき自分で吐いたんだから」

 

 

 やめてくれ勘弁してくれ、あまりにも酌量の余地が無さすぎる。

 確かに吐いたよ、吐かされたよ。圧が強いんだよ。

 

 

「シたんでしょう? 彩ちゃんと夢で」

「はい」

「本当に彩さんだったんですか?」

「あれは彩だった」

「恥ずかしいから言いきらないでぇ!」

 

 

 いやいやそんな顔を真っ赤にして叫ばれても。

 だって嘘ついたら死ぬし……別の女の人の名前だしたらそれはそれで死ぬし……実際に彩だったから俺は死ぬし……

 

 

「なんで彩ちゃんって分かったの? 顔とか?」

「いや、ひたすらに『マーくん』と『好き』って言われてたんで……顔は暗くてよく見えなかったし」

 

 

 やべぇ、思い出したら息子が戦闘態勢に入りそうになってきた。心頭滅却。海砂利水魚。

 表情とかもよく見えなかったけど、うっすらと月明かりに照らされてた彩の顔は凄まじい破壊力だった気がする。

 

 夢の中での俺は完全に理性が粉々に砕け散ってたから余計にそう見えた説も無くはないけど、それでもあの時の彩はやばかった。もう魅力的すぎた。一歩間違えたらというか夢の中で二人揃って脳死して8割型好きってしか言ってなかった。

 男性が達する時のIQは3って言うのも頷ける。いや、元々分かってはいたんだけど。

 

 

「素敵な夢を見た感想は?」

「良かった」

「意外とマーくんってちゃんと男子高校生してるよね〜」

「うぁぅ……まーくんのえっち……」

「マジでごめん」

 

 

 彩の激レアジト目が胸を突き刺す。

 アレだな、これは蘭のよりも効くわ。今日は寝れなさそうだ。あと胸を手で抑えないで。襲わないから。余計に気になるから。

 

 だって嘘ついたら殺されるじゃんか! 彩が可愛かったんだもん! エロかったんだもん!

 

 

「マーくん溜まってたの?」

「」

「日菜ちゃん!?」

「マヤさんマヤさん。タマッテルとは何ですか?」

「イヴさんにはまだ少し難しいかもしれないですね〜」

「イヴちゃんにもわかる時が来るわ」

「そうなんですか?」

 

 

 そうよ、とニコニコしながら言う千聖さん怖いっす。千聖さん多分この中で一番()()()()()に強いだろうしなぁ。次点は日菜さん。

 そこに比べるとイヴちゃんはやっぱりかなりウブな部類なんだろう。というか普通の女の子と比べてもウブな部類に入る気がする。彩と麻弥さんもちゃんと知識はあるっぽいし。

 

 まぁ、高校生にもなってそういう知識がほとんどない女子ってのも超レアケースだろうしな。それを好む男子は多いんだろうが。現実はそう簡単に甘くはない。

 処女厨なんてその典型例だろう。理想と現実は程遠いってはっきりわかんだね。

 

 

「夢の中での彩ちゃんはそんなに良かったのね」

「そりゃあ、まぁ……」

「アヤさん! 良かったですね!」

「えへへ……」

「それ本当に喜んでいいことなんか」

「まぁ、本人が喜んでますし……」

 

 

 よくお前、目の前の男が夢で自分を犯したって言ってるのに呑気に喜んでられるな。ほんと気をつけろよ。お前めちゃくちゃ可愛いんだからな。

 

 

「良かったわね彩ちゃん! やっぱりマーくんがホモだったなんて気のせいだったんだよ!」

「うん! これで勝ち確ってやつだよね!」

「えっ何その噂」

「あまりにも愛斗くんが彩ちゃんの色仕掛けに引っかからないから、もしかしたらそもそもあなたは男にしか興味が無いのではって考えになったのよ」

「えぇ……(困惑)」

 

 

 そもそも俺は彩のことは嫌いじゃねぇって言ってるんだよなぁ。色仕掛けで簡単に襲って彩の人生めちゃくちゃにしてたまるかってんだ。なお、襲わなくてもそれはそれでこういう事件が起こる模様。

 

 あれ? 俺詰んでね? 何しても無理じゃね?

 このあとめちゃくちゃ彩に晩飯奢った。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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