どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

103 / 138
お久しぶりでございます。最近短編を2つほど書いたり別作品の連載を始めたりしていたら、完全にこちらの存在を忘れていました。ごめんなさい! 許してください! なんでもしm


杞憂は大体杞憂のまま終わる

「珍しいわね。彩ちゃんから話があるなんて」

「どうしても千聖ちゃんに聞いて欲しいことがあって……」

 

 

 午後の日の昼下がり。私はいつもの会議の場であるカフェテリアに千聖ちゃんを呼び出していた。

 お脳は一人で解決しよう思っていたんだけど、どう考えても一人じゃ抱えきれなかった。そんな時のための千聖ちゃんだ。そんな時のって言ったけど、だいたい困ったら全部千聖ちゃんかマーくんか麻弥ちゃんに助け求めちゃうよね。みんなが凄いのがいけない。多分。

 

 

「マーくんって、私のことが嫌いなのかな」

「彩ちゃんってほんとにそういうとこおバカよね」

「なんで!?」

 

 

 最近気がついてしまったんだ。マーくんがあまりにも私のアタックに動じなさすぎるということ。マーくんは女性に興味がないのではないのかということ。私に興味がないのではということ。

 

 

「だってさー! あの子全然動じないんだよ! 何しても!」

「恨むなら小学生の時のあなたを恨むのよ。前科を作ったせいで大概が『彩だし』で済まされてしまう状況になってるんだから」

「でも小学生の時は色仕掛けしてないし! つるつるぺったんだし!」

「あのハーレム野郎が並大抵の理性を持っているわけないじゃない。場を整えないと色仕掛けなんて通じないわ」

 

 

 そんなぁ……最近は頑張って意図的に腕に押し付けたりしてるのに……

 それも最初テンパられただけで、最近は簡単に躱されてもう触れることすら難しくなっちゃったし。

 

 

「じゃあもうどうしようもないじゃんか! もうおしまいだよー!」

「病んでるわね」

 

 

 私の一番強いところは諦めない不空の武士道(イヴちゃん談)だけど、私だって一人の人間だ。あまりにも手応えがないと、心がぽっきり折れちゃうことだって普通にある。

 Twitterで病むわけにもいかないし、かと言って吐き出すところもない、というところで千聖ちゃんにエスケープだ。千聖ちゃん助かる。生きてくれてありがとう(限界民)

 

 

「そもそも、最近はどういうことをしたのよ」

「どういうって?」

「彼に抱きついたとか、強引に唇を奪ったとか、寝ている彼に夜b」

「そ、そんなことしてないよっ!」

「彩ちゃんも純粋ねぇ」

 

 

 千聖ちゃんがなんかオトナな余裕笑みを浮かべながら、コーヒーに手をつける。

 そういうところ、とっても羨ましいから私もマスターしたい。オトナなミリョクでハートを打ち抜きたい。

 

 というか! 強引にキスをするならまだしも、よb……ううん! そういうことはちゃんとお互いに合意の上でするべきだと思う。愛の結晶って言うし! あと流されかけたけどキスをやっぱり強引にはダメ!

 それに、まだ私はファーストキスは誰にも渡してないし! ちゃんと取っといてあるし!!!

 

 

「さ、最近はさっき言ったみたいに抱きついたりだとか……抱き付いたりだとか……抱きt」

「いつもと変わらないじゃない」

「ぎゃふんっ」

「擬音が違うわよ」

 

 

 間違えた。ここはぎゃふんじゃなくてポピーッ! って言うべきだったね(違う)

 確かに最近私は少し意地気になりすぎてストレートになりすぎていたのかもしれない。

 

 そろそろ私も方向性を変えたほうがいいのだろうか。お姉ちゃん系ヒロインとかクール系ヒロインとかドジっ子系ヒロインとかツンデレ系ヒロインに路線変更をした方がいいのか。うわぁ、頑張ろう。リサちゃんと蘭ちゃんをみて勉強しよう

 

 

「仕方ないわね……そんな彩ちゃんに私が少しだけ助け舟を出してあげるから。一緒に頑張りましょう?」

「ほんとに!? やったー!」

「このままじゃいつまで経っても終わらないしね」

 

 

 なんかよくわかんないけど、千聖ちゃんが助け舟を出してくれることになった。私から頼んでないんだけどなんでだろう?

 よくわかんないけど、千聖ちゃんにもきっと人の心があったんだろう。いままではターミネーターかなんかだと思ってたけど、やっぱり千聖ちゃんも人間なんだね?

 

 

「彩ちゃん? 今変なこと考えなかった?」

「よーし! そうと決まれば、早速明日から頑張るぞーっ!」

「彩ちゃん? ねぇ、彩ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 GO!(せがれいじりのアレ)

 BGM.運動会の競走で流れるアレ

 

 


 

 そのいち、ハロウィンじゃないけどお菓子くれなきゃイタズラ戦法

 

 

「お菓子くれなきゃいたずらするぞー!」

「は?」

「お菓子くれなきゃー! いたずらするぞー!」

「今日何月何日か知ってる?」

「えーっと、多分3月14日!」

「そうだな、えらいぞ。じゃあハロウィンっていつか知ってる?」

「えへへ……ハロウィンは10月31日だね!」

「ジャージ姿でそれとかナメてんのか」

 

 

 作戦内容はタイトルの通り。月のイベントを利用して一気に距離を縮めちゃえと言う私の案! 唯一の欠点は三月に恋愛ごとに使えそうなまともな行事が一切ないということ。

 けれど今の私はそこではへこたれない。たとえ三月であろうと! なんとなーく押し切ってしまえばそれでいいのだ!

 

 そんな訳でレッスン終わりのジャージ姿のまま突撃してみたけど……この有様だ。的確にこの作戦の弱点をついて来る。

 けどこの計画は最初っから矛盾点しかないようなやつだからもう押し切るしかないのだ! 逃げ道はなーい!

 

 

「お菓子くれないといたずらするの!」

「すれば?」

「えっ」

「すれば? イタズラ」

 

 

 ななななななな! 何を急に言い出すのマーくん! こんなところで急にイタズラしてみろって! は、はれんち!

 

 

「何する気なの? イタズラ?」

「い、いやー。こちょこちょーって……」

「ふーん……ちょっと待ってな」

「?」

 

 

 ここで考えてることがバレたらマーくんにえっちな子だと思われちゃう……なんとかごまかさないと……って思ってなんか適当なことを言って必死にごまかしている。と、急にマーくんが鞄から何かを漁って取り出す。

 

 

「はい、これ」

「……へ?」

「今日ホワイトデーだろ」

「あっ」

 

 


 

 

「マーくんにお返しもらっちゃった〜!」

「で、中身はその飴?」

「うんっ!」

 

 

 心底嬉しそうに口の中の飴玉をコロコロさせている彩ちゃんの人生一幸せそうな顔を見ると、作戦成功はしてないけど実質成功したのかな、と思ってしまう。

 ニコニコしながらいきなり駆け寄って来るもんだから初手成功したのかと思ったあの時はガックリしたけど。

 

 

「それで? なんで飴なの?」

「なんかマーくん基準で一番かわいかったからだって。いやー、センスいいよね〜」

 

 

 飴をプレゼントにするセンスがどうなのかはアレだけどね。

 ともかくホワイトデーにプレゼントする飴の意味。二人ともわかっているのかしら?

 

 

「ん〜、甘くておいし〜!」

「次の作戦、忘れちゃダメよ?」

「大丈夫だよ! この調子で成功させるから!」

 

 

 これは……いろんな意味でわかっていないわね。絶対。

 しかも二人ともわかってないパターンかしら? なんというか、たらしの天才というか。彩ちゃんも大変な男に引っかかったわね。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 そのに、すけすけ下着で色仕掛け

 

 

「マーくん……あついぃ」

「扇風機の前に行ってこ……」

 

 

 よし、固まった。作戦は完璧だ!

 今の私は上のジャージを脱いでシャツ1枚に下がジャージ。ちょっと冷たかったけど、汗に偽装して千聖ちゃんに胸あたりにピンポイントに水をかけてもらって勝負下着が透けるようにしてある。男女関係なくこれに気が付かない男はいない!

 

 いくら色仕掛けが効かないとはいえ、シャツから透ける下着にそそられない男はいない(千聖ちゃん談)という確かな情報から得た子の作戦!

 さぁマーくん! どんとこい! 男なら、どんとこーい!

 

 

「」

「ほ、ほらほら〜」

 

 

 大きさに自信はないけど、とりあえずいつもよりも胸を前に出してアピールをしてみる。

 すると、顔を固めたままのマーくんがとぼとぼ確実にこちらに近づいてくる。

 き、きたっ! 今まで色仕掛けが通用しなかったマーくんがまさかこんな簡単に釣られるとは。やっぱり千聖ちゃんの言う通りシチュエーションっていうのは大事なのかもしれない。

 

 

「ひゃっ! マーくんそんながっつかないでも私は逃げ……」

「」

「……へ?」

 

 

 急に飛びかかって来たマーくんにびっくりして目を瞑ってしまう。マーくんも男の子なんだね! って思っていると、何かが体に被せられる。

 これは……マーくんの上着?

 

 

「……じゃ」

「ちょ、待ってマーくぅぅぅぅぅぅん!!!!!!!」

 

 


 

 

「それで逃げられちゃった」

「まぁこれに関しては成功するなんて微塵も思ってなかったし大丈夫よ」

「なんでさー!」

 

 

 だってあの彼が今更この程度の色仕掛けにねぇ……

 ただ、生じゃなくても下着でもちゃんと反応するくらいには男子高校生をしているというのが分かったのは収穫ね。玄人になってる可能性もあったし。

 まぁ彩ちゃんはアイドル補正かかってる分、下着でも反応したとでも思ってるんでしょうけど。普通に女子高生の下着に反応しない男子はほとんど居ないわよ。

 

 

「ちなみに彼は彩ちゃんがアイドルになる前からの知り合いだから、アイドル補正は効かないわよ」

「なんで考えてることわかるの?」

「あなた達は比較的思考が読みやすいのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 そのさん、催眠をかける

 

 

「マーくんは私を好きになーる〜、マーくんは私を好きになーる〜!」

「イヴちゃん、こいつに面を決めてやってくれない? 頭のネジが外れてるんだわ」

「無抵抗な相手に攻撃するのはブシのハジです!」

 

 

 紐を通した五円玉をゆらゆらさせてマーくんに催眠をかけさせる大作戦! この前テレビで実際に女の人が引っかかってたし! マーくんにも効くはず! 多分!

 

 

「彩ちゃんは閉じた目が開かなくなーる、開かなくなーるぅ〜」

「彩、目ぇ閉じてみ?」

「目が! 目が開かない! 何にも見えない〜!」

「これすっごーい〜! 帰ったらおねーちゃんにもやってあげよー!」

「すげー、これほんとうに効くんだな。あと紗夜さんにやったら後が怖いからやめときな。多分、俺が怒られるから」

 

 


 

 

「そんな訳で通じなかった!」

「聞くまでもなかったけど、ありがとう」

 

 

 そりゃあそうよ。むしろこれのどこを見ていけると思ったのか後で問い質すまであるわ。

 

 

「それでこの目はどうやったら開くのかな? 何にも見えないだけど」

「本業の方を呼んでやってもらいなさい。多分それ、日菜ちゃんじゃあ解けないから」

「暗いー! 怖いー!」

 

 

 普通、目が開かなくなったらもっと違う方向のパニックになるのだけど……彩ちゃんもメンタルが強いというかなんというか……

 ま、まぁそのうち目は開くでしょう。多分。

 

 

「こうなったらもう奥の手だよ! 何をやるか私知らないけど!」

 

 

 奥の手は私が考えたやつだから彩ちゃんは知らなくて当然よね。

 その前に彩ちゃんには早く目を開けてもらわないと話にならないんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 そのよん、シンプルにめちゃくちゃ甘えさせてと駄々をこねる。

 

 

「甘えさせてよおおおおおおおお!!!!!」

「なんなんだてめぇいきなり!?(困惑)」

 

 

『いい? あっちは彩ちゃんの事を子供として見てるの。だからそれを逆手にとって彩ちゃんは子供になりきるのよ』(引用 白鷺千聖の恋愛論)

 

 スマホを見ながらポケーっとしていたマーくんの腹に頭から突っ込んでとにかく駄々をこねる。

 なんか腑に落ちないけど千聖ちゃん曰く、イチャラブに近い事がしたいならこれが一番手っ取り早いらしい。なんか最初の目標と若干食い違ってる気がするけど、この際こっちの理想通りのリアクションが見れればなんでも良くなってきた。

 

 

「お願いお願いお願い! もうマナトンBが残ってないのおおおおお!!!」

「ビタミンBみたいに言うなよ。牛乳でも飲んでろ」

「おっぱい大きくしろってこと?」

「やめて。俺がセクハラしたみたくなってるから」

 

 

 別に気にしなくてもいいのに。あんまり気にしてなかったけど、よく良く考えれば一回お風呂も一緒に入った仲だし! マーくん全然こっち見てなかったけど。

 ちなみにちゃんと牛乳は飲んでる。なんなら風呂上がりにちゃんと寄せてる。大きくなってる実感はないんだけどね……

 

 

「たまにはいいじゃん……甘えさせてよぉ……」

「……お前なんかあったのかよ」

「……マーくんから嫌われてるのかなって」

「は?」

 

 

 思わず本音をポロッと言ってしまう。

 思えばここまでの作戦、全部失敗……あれ? 最初のは成功してなかったっけ? なんだったらホワイトデーのお返しまで貰って……

 あれ? もしかしてこれ以上やらなくても、もう目標達成してるんじゃ?

 

 

「わぷっ!?」

 

 

 そんなモヤモヤした思考を頭ごとグイッとズラされる。彼の胸に抱かれたと気が付くまで数秒後ほどかかった。

 

 

「ま、まままマーくん!?」

「なんだよ、こうして欲しかったんじゃないの? 先走りだったら俺死ぬわ」

「う、ううん……うれしいですぅ……」

「奇特なやつだな、ほんと」

 

 

 マーくんの大きい手が優しく頭を撫でていく。その感覚が甘く、そのまた熔けそうになる。

 顔だけじゃなくて体全体が沸騰しそうなくらい熱い。こんな距離でこんなことされるなんて、最後にされたのはいつ以来だろうか。寝起きドッキリの時は意識なかっただろうし……

 

 

「安心しろって。嫌いだったらこんなことしねーよ。バカだなお前」

「だってぇ……」

「はいはい」

 

 

 呆れたような物言いの癖に、私の頭を撫で続けてる右手は暖かい。というか、マーくん自体暖かい。幸せ。このまま二人で寝たい。

 

 

「……しい」

「えっ?」

「何が、して欲しい」

 

 

 ぼそっと呟く彼の声。きっと、勇気を振り絞ってのセリフだったんだろう。めちゃくちゃ声が小さかった。可愛い。抱きしめたい。

 うーん、これ以上なんかされても私溶けちゃうんだけど……うーん……

 

 

「抱きしめて欲しい……なぁ」

「……マジか」

「い、嫌ならやらなくてもいいよっ!」

 

 

 や、やっぱり大胆すぎたかな……こんなことしてくれるだけでも多分、マーくんにとっては勇気がいると思うのにワガママ言いすぎだよね。

 

 少し落ち込んでいると、急に脇の下から手を入れられ、グイッと体を持ち上げられる。驚く間もなく、そのまま前にいきなり引っ張られると、胸が物理的にも精神的にも少し苦しくなる。

 

 

「ひゃ……あっ、あの……」

「く、苦しくないですかね?」

「そのっ、あのっ……しゅきぃ……」

「あっ」

 

 


 

 

「千聖ちゃん。アレなにしてるの?」

「イチャラブしてるのよ」

「そっかー」

 

 

 彩ちゃん、倒れたわね。やっぱり素の攻撃力では彼の方が強いじゃない。普段攻めないから目立たないけど。

 彼の方がよっぽどツンデレよ。早く折れればいいのに。

 

 

「ねーねー。アレ助けなくていいの?」

「ほっといていいわよ。そっちの方が面白いし」

 

 

 証拠写真だけ抑えておいたし、私の仕事は終わったわね。と言っても、私は何もしてないけど。

 

 しばらくの間、愛斗と彩が顔も合わせられない両思い新人カップルみたいになって日菜ちゃんにいじられたのはそう遠くないお話よ?




黒歴史バンドメンバーのファンアート書いて頂きました!
ソラらさん! ありがとうございます!
{IMG57811}
{IMG57813}
{IMG57814}
{IMG57815}
{IMG57816}
ファンアートはいつ貰ってもマジで嬉しいです。泣きます。この作品も大きくなって… これからもファンアートはいつでもお待ちしております! 書いてくださった方はTwitterやハーメルンのメッセージ等で気軽に「描いたよ!」ってご連絡ください!

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。