どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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普段安いところで済ませてると高い店行ったとき超緊張する

 男にとって髪型とは服装に並ぶくらい大事なものである。

 俺はそこまで髪形を気にしないが、世の中の男子高校生というのは暇さえあれば前髪をいじっている。

 正直滅茶苦茶前髪をおかっぱカットにしてすっきりさせてやりたくなるが、それをやったらやったで今度はどれだけホ〇ちゃんみたいな綺麗なおかっぱにできるか選手権を開催しそうなのでそれはやめておこう。

 

 そんな俺だが流石にここ最近の髪型はひどい。というか結構伸びてきた。目に髪の毛が入ってきそうな勢いで伸びてきた。

 茶髪の色が落ちてきたのはいくらでも重ね塗りすれば済む話だが、さすがにこれはヤバイ。

 そもそも俺は髪の毛をロングヘアレベルまで伸ばしているような男は苦手なんだ。だって清潔感に欠けるじゃない。だから柳田の長髪もたまに無性に切り落としたくなる衝動に駆られるから切り落とそうとするんだけど、大体阻まれるよね。

 

 

「……ここで合ってるよな? うっわ入りにくぅ」

 

 

 そんなわけでやってきたのは美容院。それもちょっと高そう、というかオサレな雰囲気全開の美容院。

 オシャレ代表だと勝手に思ってるリサ姉に『どっかいい美容院知らないですか?』って聞いたら『予約取ったから今からここに行ってきな☆』って勝手に予約入れられたお店である。手が早すぎんか。

 

 基本的にこちらに越してきてからは適当な駅前にある1000円カットで済ませて家で髪を染めてきた俺にとってここはあまりにも難易度が高すぎる。

 そもそもちゃんとした美容院を利用しようとしたこと自体滅茶苦茶少ないんだ。それこそ中学の卒業式直前と高校の入学式前に行ったくらいでそれ以降は記憶がない。

 

 俺ももう今年で高校二年生、しかも周りには美少女ばかりだ。そろそろ髪の毛とかを気にし始めてもいいころ合いなのかもしれない。

 けどここまでリア充感満載の場所だとさすがにおじけづくよね。髪の毛とか基本気にしないしこんなところに来なくてもいいじゃんって正直思ってしまうよね。

 最初こそツーブロにしてイキってたけど、茶髪も映えないしなんかあんまりツーブロが思ったより似合わなかったから普通の髪型に戻しちゃったし。

 

 でもうじうじしても何も始まらない。もうここまで来ちゃったんだしお店に入るしかないよね。

 

 からんころーん

 

「いらっしゃいませー」

「ど、どうm……」

「待ってたよ~。お店の前でずっとぐるぐる回ってるんだから入ってこないのかと思ったよ~」

「なんでいるんすか……」

「アタシが呼んだんだから居なきゃダメかなーって☆」

 

 

 意を決して扉を開いた先には店員さんとさっきまでLINEしていた家庭の事情でよく見るカリスマギャルが。いや家庭の事情じゃないけど。俺の事情だけど。

 てか俺がお店の前でぐるぐるしてるところ見られたんかい。

 恥ずかしっ。穴があったら入りたい。壺があったら入りたい。そのまま崖を登ってどっかのシンデレラに物凄い咆哮を吐かせたい。

 

 

「リサちゃんから話は聞いてましたよ? こちらの席にどうぞ」

「あっ、どうも……」

 

 

 綺麗な店員さんに案内されるがまま椅子に座ると、美容院でよくある髪の毛が服にかからないようにするテルテル坊主みたいになるやつをタオルの上からかけられる。

 

 されるがままに椅子に座りながら鏡を見てひでぇ髪型だな~なんてのんきに思っていると、何故か嬉しそうな顔をしたリサ姉が肩越しからひょいっと顔を出してくる。

 こうやってちゃんと見比べてみるとマジでリサ姉って顔小さいよな。男と比べるのもあれかもしれないけど、綺麗な女の子は顔が小さい法則でもあるのだろうか。だとすれば色々と謎すぎんか?

 

 

「どうしたんすか……そんな嬉しそうな顔して……」

「んー? 愛斗がこれからどんな髪型にするのかな~って楽しみにしてたんだよ」

「リサ姉はどんな髪型にしてほしいんですか」

「リーゼントとか似合うと思うよ?」

「なんつーベタなボケしてるんすか」

 

 

 高校生の口からそんなベタなボケが出てくるなんて思わなかったよ。しかもひねらずにド直球のやつ来たよ。こんなおしゃれな店に来てまでリーゼントやらなきゃダメなんですか。

 そもそもこの店員さんってリーゼントの練習とかしてるんやろか。そもそも美容学校でリーゼントカットとかの練習ってやらされるんだろうか。そうやって思うと美容学校ってめっちゃくちゃある髪型を滅茶苦茶練習しなきゃいけないから大変だな。手先器用じゃないと出来なさそうだし。

 

 

「えー、せっかくの美容院なんだからちょっと挑戦とかしてみようよ~」

「挑戦って……例えば?」

「髪色を変えてみるとか?」

「あー、確かに茶髪はありきたりですよねぇ」

 

 

 そもそもなんで俺って茶髪に染めてるんだっけ? なんとなく似合ってた的な理由でしか染めてなかった気がする。

 黒も普通に似合ってたんだけどね。似合ってたというか見慣れてただけかもしれないけど。

 そもそも顔が童顔だから髪染めるの似合ってなかったのかもしれない。

 

 

「リサ姉は何色が見たい?」

「ピンク」

「ピンク!?」

 

 

 絶対にピンクはやだ。だっておバカに見られるじゃん。

 というのも俺が知ってるピンク頭がみんな馬鹿なだけなんだけどね。ひまりといい彩といい……うーんこの。林家夫妻じゃないんだから。

 待てよ? ほんとにピンク頭って癖のある人物しかいねぇんじゃねぇのか?

 

 

「そもそも男のピンク髪ってキツくないですか? 俺にはあの色を背負うには重すぎるんですけど」

「そうかな? 愛斗も可愛い顔してるからわりかし似合うと思うんだけど」

 

 

 可愛いって……男はね、かっこよく見られたいものなんですよリサ姉。そうじゃなきゃ今日だってわざわざ美容院には来てないんだから。気にしてなければいつも1000円カットで済ませてるんだから。

 

 

「赤とかはどうですか?」

「赤髪……赤髪かー……」

 

 

 赤髪なんて考えたことなかったな~。

 巴とかは地毛なんだろうけど、綺麗な深紅の赤髪とかあこがれるよな。あの髪色があってのあのドラムってのも正直あるよな。燃える闘魂的な。巴の場合はソイヤソイヤ言ってるだけだけど。

 

 

「メッシュとかは試してみたいですけどね~」

「メッシュか~。蘭とかがやってるような?」

「あー、アレもメッシュですね」

 

 

 蘭のやつは最近見てるとどっかの唐辛子を頭にひっさげた童貞を思い出してくるんだよな。性別が違えど歌が馬鹿上手いって点は似てるけど。それ以外はかなり真反対な気がするけど。

 

 あー、蘭も激辛ペヤング食べてからサンボマスター歌ったらエモくなるような検証してくんねーかな。

 でも蘭のリアクションは多分悶えて倒れるタイプだから配信映えしないよな。顔を真っ赤にして倒れる蘭は見てみたいけど。

 

 

「でもメッシュなら黒髪にしないと映えなくない?」

「黒髪かぁ……」

「お兄さんって地毛から茶色いんですか?」

「いや、普通に黒は黒なんですけどちょっと茶色っぽいんすよね」

 

 

 中学の時とかは大変だったからな。学校の意味の分からんマナーに厳しい教師が『お前染めてんだろ!』って詰めてくるけどこっちは染めてないっていうしかない地獄車になったからな。結局茶髪に染めて『これが染めた場合だわよく見ろクソハゲ!』って言ったら染めてくるな本末転倒だろって怒られたけど(アホ)

 お前が染めてないのに染めてくるっていうから染めてきたのにわかんない奴だったなぁ、ほんと(バカ)

 

 

「リサ姉は地毛から茶色いんですか?」

「アタシ? アタシは元からこの色だよ?」

「いやー、綺麗な髪色してますよね~」

「褒めないでよ! 照れるなぁー!」

 

 

 なんかちょっと珍しい反応。一人だからってのもあるかもしれないけど、何だか無邪気なリサ姉もとってもかわいいでごぜーますね。

 にしても生まれつきその綺麗な髪質と綺麗な顔てうらやましおすわぁ。完全美人。幼馴染とかだったら完全に惚れてたよね。まぁ彩もちっちゃいときは超かわいかったんだけど。

 

 

「じゃあ準備出来ちゃいましたし! お兄さんの髪型決めましょっか!」

「サッサと決めちゃいなよ~! どんなのにしたいのさ!」

「いや決めてないんですよねぇ……」

 

 

 やってみたい髪型、かぁ。ほんとに決めてないんだよなぁ。他人の髪型とか全く気にしたことなかったし。

 そもそも髪型ってそんなにたくさん種類ないよね。大体みんな分けてるくらいの印象しかないし。でもそういう量産型は嫌だなぁ……

 

 

「んー……とりあえず久しぶりに黒に戻してみっかなぁとは思ってますね」

「愛斗の黒髪か~! 普通に似合いそうじゃん!」

「ほんでそこに青のメッシュを」

「メッシュ入れるの!?」

 

 

 そりゃあびっくりするわな。けど入れるよ。メッシュ。それも赤じゃなくて蒼メッシュでね。キャラ被り良くない、絶対だから。

 それに青メッシュも縦じゃなく横にもそれも中の方に入れてみたいんだよね。ていうか画像見せた方が早いよね、こういうのって。

 

 そんな訳でてるてる坊主からスマホと腕をニョキっと出してとある人物の名前をググる。

 

 

「こんな感じに。できますか?」

「あー、なるほど。任せてくださいよ! これならできますよ! 髪の毛の長さもちょうどいいですし!」

「愛斗ってこういうのが好きなんだ」

「まぁね。最近Vにハマってるって前言ってたでしょ」

「あー! それか!」

 

 

 店員さんとリサ姉に見せたのは、黛灰というVTuberの横からの姿を描いたイラスト。

 

 何といってもその特徴は左サイドだけに入った青色のメッシュ。真ん中の一部分だけ青色のメッシュを入れている。

 メッシュを入れるんだったら蘭みたいに一部分ドーン! じゃなくて目立つけど目立ちにくい、だがやっぱり目立つっていうのにしてみたいんだよね。どーも。って感じで(小ネタ)

 後、単純にまゆゆがかっけぇからまゆゆみたいになっていたいんだよね(ファン)

 

 

「普通にお兄さんにも似合うと思うよ、これなら。リサはどう思うよ?」

「いやー、見てみないとわかんないかなー……? まさか愛斗がほんとにメッシュ入れるなんて言いだすとは思わなかったし……」

「人生は冒険ですぜ、リサ姉」

 

 

 一回こういうのにチャレンジしてみるのも悪くはないじゃないんかな? って思えるしね。

 

 さぁそんなわけで楽しみだなー! 青メッシュ! ちょっとピアスでも買っちゃおっかなー!(テンション爆上げ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーも。」

 

「「「「おぉー!!!」」」」

 

 

 リサ姉御用達の美容院とだけあってその腕は抜群だった。

 今の俺の髪型まさにお願いしていた通りに左サイドに一部分青メッシュあの見覚えのある髪型。コスプレ感あるけど超満足。パスパレの反応もいいし超満足。一本満足どころじゃないもはや(?)

 

 ていうか一回黒髪に戻してからブリーチして青にしたんだけど、ブリーチって滅茶苦茶痛いんだな。俺、泣くかと思ったよ。この年にして普通に泣くくらい痛かったのは久々だわ。

 

 正直この髪型は自分でやりたい! って言いだしただけあってとっても気に入っている。似合ってるかどうかは知らんけど、自分がまゆゆになれた気がして嬉しくなる。

 顔は似ても似つかないんだけどね。まゆゆイケメンだし。ダウナー系の男の子憧れる。中二病だし憧れる。

 

 

「どうよ、似合ってる?」

「浅尾さんって黒髪似合いますね! 前の茶髪も良かったですけど、今の髪型もかっこいいです!」

「黒髪もそうだけど……」

「やはり日本の男児は黒髪なんでしょうか? とってもお似合いです!」

「確かにニポンジンみんな黒髪多いけどね?」

「まーくんって地毛黒だったんだね~! 様になってる!」

「うんうん、元々黒髪だったんだけどね?」

 

 

 なんでみんなメッシュに触れてくれないの? なんで? 避けてる? ヤンキーだと思われてる? お兄さん怖くないぞよ?

 

 

「マーくんの黒髪久しぶりに見たなぁ。昔を思い出してドキドキしちゃうかも! まぁ今もしてるんだけどね!」

「あぁそう。でメッシュは? なんでメッシュに触れないの?」

「黒髪になったら地味になって特徴なくなるかと思ったけど、意外とちゃんとキャラが立ってるものね」

「千聖さん怖いよ? てかそこまで来たらメッシュに触れていいよね? なんならメッシュのおかげでキャラが立ってるって言ってもいいんだよ?」

 

 

 この後泣きそうになったら彩が褒めてくれた。ちなみにメッシュを入れた今の髪型は普通に似合ってたらしいんだけど、みんな初見困惑したらしい。

 悲しくないけど悲しい。そりゃそうだよね。最初はヤンキーになったかと思うよね。

 

 いや、わかるけどね? 僕も最初困惑したけど今ではこの髪型大好きだから。

 でもよくよく考えたら青メッシュをこの入れ方するってかなり攻めてることない? もしかして大冒険してる? ていうか、うちの高校って髪染めてもいいんだっけ? 茶色の時はなんも言われなかったけどメッシュってヤバいか?

 あれ? これやってね?

 

 ちなみになんか蘭からの反発が強くなった。何でや。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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