どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
執筆どころかストックも皆無になっている気がしなくもないですが、きっと気のせいです。
「愛斗さん、前から思ってたんですけど、やっぱり歌上手くなってません?」
「麻弥さんが言うんだったらそうなのかも」
「動画、撮っとけばよかったですね……」
いやいや……普通に歌ってしまったけど、控えめに言ってこれ半分テロだよね。普通にお店の中でガチ歌唱ってマナー違反だもんね。
本当はちゃんと防音設備整ったところでやらなきゃダメなのに普通に垂れ流しだもんね。絶対にアカンやつだもんねこれ。なにをしでかしてるんだ俺。
っていうか店員さん? 動画なんか撮ってらどうするつもりだったのかな? 別にネットに上げてもいいけど変な編集はしちゃだめだよ? 出来るだけ悪意ある編集はしない方向で上げてね?
「あっ、これはお返ししますね」
「お買い上げにはならないんですか?」
「経済的な問題的に今は無理なもので」
正直、もう手に握っているのも怖い。どうしても300万の影がちらついて集中できなかった。
俺ってあれだな。滅茶苦茶高いギターとか買わないほうがいいのかもしれないな。やっぱり今のジャズマスターくらいが身の丈に合ってるわ。
「個人的にはもう満足なんで、私は上がりますね。他のお客様もいらっしゃるので」
「何しに来たんですか……」
「そりゃあもうサインを貰いに!」
この店員さんいいキャラしてるわ。
包み隠さずに正直に言っていくスタイルはとてもいいと思うぞ。ただし、こっちは普通に困惑するけどな。
「……愛斗さん。ほんとにあれ買わないんですか?」
「買えるわけないでしょ。1年働いた給料つぎ込んでも届かないですよ」
ちょっとしょぼんとしないでくださいよ。こっち見てきてもだめですからね。絶対に買いませんからね。ロマンはわかるけどあれを握るこっちの身にもなってください。というかお財布が爆発する。
300万のギターに手が届かないとは言っても、ギター自体は買えないこともない。何ならここ最近は楽器に散財してないので、お財布にも若干の余裕がある。ということは、ちょっと高いギターにも手が出せるということですわこれが!(出すとは言っていない)
基本的に俺は楽器とかにはお金どーん! って使ったりするけど、それ以外にはお金つぎ込んだりしないからね。
金銭感覚大事。貧乏性とかケチって言ったやつは表に出て来い。モヤシ炒めにするぞ。
「……欲しい」
腕組に仁王立ち。獲物を目の前ギタリストがここに誕生したぞ。シンプルオブベスト、といったような見た目をしているアコースティックギターが俺のことをギラギラとにらみつけてる。気がする。
少し白っぽい木目のボディに、濃いパワーストーンのような柄がぽっかり空いた穴の横にワンポイント。
わし、こういうシンプルなのすっごい好きなんだよね。尖ったものを買わないチキンってわけではないから。俺はシンプルなのが好きってだけだから。
ちょっと俺には尖ったギターのにある顔とスタイルではないしな……とか思ってねぇから! 思ってねぇからぁ!(半泣き)
ちなみに麻弥さんは周辺機材のコーナーで自分の世界に入ってしまったので置いてきちゃった。あんな幸せそうな顔をしている現場に俺は一緒にいることはできなかったよ……
「あっ、弾いてみます?」
「店員さんナイスタイミングですわ」
この店員さんは一体急に何処から出てきたんだっていうのはさておいて、これに関してはありがたく弾かせてもらおう。
お値段的にも10万円少し超えるくらいのもの。とりあえずアコースティックギターが一本欲しいって感じの状況の俺にとっては、質にもよるがそこそこいい案件である。
今使ってるアコギが実家に置いてあった奴だからな。そろそろ自分専用のアコギってものが僕も欲しい。
立てかけてある店員さんの手でギターを下ろしてもらい、実際に手に取ってそれを眺めてみる。
……あっ、このアコギ、ジャックついてんじゃん。ってことはこれ普通のアコギじゃなくてアレだな。
「これ、エレアコですか」
「はい! 最近のエレアコって生音もいいんですよ!」
ちなみにかるーく解説という感じで挟んでおこう! 結構、これ知らない人多いからね。俺もエレアコは持ってないから説明が間違ってたらごめんな。結構長くなるから興味ない人は飛ばしてくれていいぞ!
エレアコエレアコってさっき言ってたのは、正式名称でエレクトリックアコースティックギターなどと呼ばれるものだ。
超ざっくり言ってしまえば、俺が普段から使ってるジャズマスターとかテレキャスターみたいなエレキギターと同じように、アンプに繋いで音を出すのが出来るようにもなったアコースティックギターだと思ってくれればいい。俺がこのギターをエレアコと判断できたのも、ギターにシールドを刺す部分があったからだね。
そしてこのエレアコと呼ばれるもの。元々は普通のアコギなだけあって、エレキとは違いちゃんと生音も出るので、普通のアコギとしてアンプに繋げずにそのまま使えるようにもなっている。便利! オトク!
ただし! アンプに繋げるようになるための弊害的なものもあり、色々と理由があって、わざと普通のアコギよりも音の響きが悪かったり、生の音色自体も本物のアコギに比べるとよくなかったりするという欠点もある。こればっかりはしょうがないんだけどね。
アコギってそもそもエレキみたいにアンプにつながなくても生音でいい音が出るってギターなのに、なんでわざわざアンプに繋げるようにしたの? 生音が悪くなるも何も、普通に生音をマイクで拾ってライブすればいいじゃん……って思うかもしれないけど、それはそれで問題があるからこういうギターが出てきたんだな。
ここら辺の話はアンプに繋げないアコギ特有の悩み的な奴があってのことだから、興味がある人は各々で調べてくれな。
以上! 説明終わり! 閉廷!
「……おぉ、確かに。全然普通のアコギと大差ないですね。さっきまで弾いてたのがアレなんで流石に色々とありますけど」
「色んな意味で先にあのギター弾いてもらったのは失敗したかもですね!」
そんなわけでだ。店員さんの話自体ははほーん、って冗談半分で聞いていたが、どうやらその言葉には嘘偽りはないようで。
正直本物のアコースティックギターの音に比べると多少響きが悪いと感じなくもないが、個人的には全く気にならない範疇だ。
というか、ついさっきまで弾いてたやつが300万の超絶高い奴だから、そう感じるのは当たり前なのかもしれない。
ていうか絶対それだわ。それがなかったら大差ないやんけ! 普通にいい音やんけ!ってなるもん。さっきのはアコギ本来の質の高さが跳ね上がってたからな。
技術の進歩ってすげぇや。ヴィンテージギターみたいに古いほど音が良いってのもあれば、エレアコみたいに技術の進歩によって音が良くなるってのもあるのが、なんかいいよね(語彙力不足)
「これ、めちゃくちゃいいっすね」
「買いますか!?」
「持ち合わせがないんでキープしといて貰えません?」
「かしこまりましたー!」
なんというか、勢いでキープしてしまった。本当はギターを店員さんに戻すつもりだけだったのに、気が付けば口から勝手に言葉が出てたからね。理性の範疇でないのならば仕方がない。超欲しかった(本音)
まぁあれだ。旅は道連れ、世は情け。違うわ。これも運命、天の巡り合わせって奴だよ。
エレアコならライブでもしっかり使えるし、今キープしてもらったやつは生音もいいから俺が欲しい条件もしっかり満たしてくれてるしな。
「あ、あのっ」
「はい? ……あれ?」
ついでに見るだけ他のギターも見てみようかな~、なんて呑気にふらつこうとすると、またまた誰かさんに声をかけられる。
今日は流石に声掛けられすぎじゃね? 普段使ってる楽器屋でもこんなに声かけられることなんて早々な……あれ? なんかこの女の子、どっかで見たような……
「えーっと……この前ライブでお話しさせてもらったんですけど! 覚えてますか……?」
「……あーっ! 一昨日のCiRCLEの時の!」
「覚えてるんですか!」
完全に記憶と目の前にいる女の子の影が重なった。
腰まで届かない位の金髪にオシャレで露出度の高い服。俺はこういう女性をどう評するのか知ってる。知り合いに髪色は違えど似たような感じの服を好んで着る人がいるし。要するにギャル。
こんくらい顔の整った子はそうお目にかかれない。そんなわけで覚えてました。俺って記憶力いいね。
「私たち、あのライブを見てバンドを組もうってなって! それで今日来たらたまたま浅尾さんが!」
「名前も知ってくれてるん」
「帰って調べましたから!」
ネットってホントに便利だよなぁ。調べれば何でもかんでも出てくるんだもの。
まぁ俺の黒歴史ってネットにたくさん転がってるから余計に調べやすいんだろうけどね。彼女たちがそこまで行きついていないと心の底からそう思いたい。本当に(切実)
とまぁ目の前で滅茶苦茶嬉しそうに話しかけてくれるギャルのことは覚えていたんだが、実はその後ろにも可愛いレディが合計でお三方ほどいるんだよね。
「すいません……プライベートなときに声かけちゃって……」
「いやいや、有名人とかじゃないし全然全然」
「あの……やっぱり普段からこういうところにいるんですか……?」
「たまたまよ。ちょっとした用がね」
なんかおどおどしながらめちゃくちゃこちらの様子をうかがってくるこちらの女の子。
ソーダのようなラムネのような色の髪色をしたショートカットが非常に綺麗。なんかとっても言葉にしがたい色をしてる。どっかの芸人兎アイドルの髪色って言えば通じるのがムカつくね。ぺーこぺこぺこ!
この子は香澄に声をかけてたのを見てた記憶があるから覚えてる。というか顔が良いから見てたわ。男だから仕方ないね。
そしてもう片方のこちらもなんか心配そうな顔をしながらわざわざ気を使ってくれた女の子。
両耳横で髪を束ねた黒髪ツインテが印象的だが、この髪型にしても痛く感じないのが素晴らしいね。なにがかは知らんけど。
この子もライブの時に一緒にいたのを覚えている。というか顔が良いから見てたわ。男だから仕方ないね。
「用っていうのは……ギターを買いに来たんですね!」
「あっ、うん」
「やっぱり! 」
思わずそっけない感じの返事をしてしまった。なんかそっちの方向に話が転がっていくとは思ってなかったから……
女の子の視線が俺の顔と手元に握っているエレアコで交互にぐるぐるしている。勘のいい奴め……なんて思ってたけど、そりゃあこの状況を見れば一目瞭然ではあるよな。
「実はあたし達も楽器買いに来たんですよ!」
「おー! 初めてのかい?」
「あたしはそうです! ななみもそうだっけ?」
「うん。今までは触ったこともなかったから」
ななみ、と呼ばれたのは4人目のピンク頭の女の子。
ぱっと見はショートカットに見えるけど、よく見てみるとなんか複雑になってる。女の子の髪型ってよくわからん。よく毎日セットしてこれるよな。1時間くらいかかるんじゃね?(偏見)
「いいねー、初めての楽器。ワクワクするよな~」
「はいっ! どれもかっこよくて何を選べばいいのか……」
あー、なるほど。そういうことね。
俺はちゃーんと空気が読めるいい子なので、この子が言わんとすることをなんとなーく予測できた。要するに初めての楽器を見繕ってほしいのだな? 違ったら家に帰ってむせび泣くが。
まぁ実を言うとだ。初めての楽器選びにはこれだけは意識した方がいい! っていうポイントがあるんだ。今まではそれを伝授することもなかったが、まさかここに来てその機会が来るとは思わなんだ。
「見た目でいいんだよ。見た目で」
「凄い適当ですね……」
「いやほんとほんと。結局自分が良い! って思えるヤツが一番に決まってるんだから」
適当ではあるが実はこれが適当ではないんだな。ツインテちゃん。
実際音なんて気にするようになるのは、ある程度楽器についての知識が深まってきてからの話になるんだからな。
モチベ維持とかのためにもギターやらベースやらドラムやらは自分の好きな見た目の奴にするべきよ。音が好きになった楽器なんて音が分かるようになってから買えばいいんだからな!
「そんなわけでとりあえず楽器見に行ってみよ? きっと自分にビビッとくる奴があると思うからさ!」
「バンドマンってみんなこんな感じなのかな?」
「わかんないけど、わざわざ付き合ってくれるなんていい人だね……」
そんな会話がなんか遠くから聞こえてくるけど、これはアレだから。初心者を見つけた時に滅茶苦茶介護して沼に落としたくなるあの感情そのものだから。
あんまりかかわりすぎないようにしつつも、対象が沼から抜け出さない程度にはレールを敷いてあげたくなる奴だから。そう考えると善意0%だからね。
とは言いつつも、相手は女の子だからね。出来ることなら麻弥さんに一緒にいてほしいんだけどさ。
「ふへへ……この角ばり方……ガッチリしたフォルム……」
あんなに幸せそうにしているのを見ると邪魔は出来ないからね。
機材を眺めているだけであんだけ骨抜きになれるってどんだけ好きなんだよ。正直あぁいう風になれるほど好きなものがあるって超羨ましいわ。
「それじゃ、早速見に行ってみよー!」
「「「おー!」」」
「お、おー?」
この後、この子達が何一つ迷わずめちゃくちゃ高いギターやらベースやらをポンポン買っていくのを見てドン引きした。
めちゃくちゃ金持ちやんけ……怖い……俺の使ってるギターなんかよりも全然高いが……
久々に短編を書きました。今回は彩ちゃんとある男の子の短編でございます。
深くは言わないけど、黒歴史が好きな方なら多分喜んでくれるような話な気がします。そっちの方も読んで良ければ感想も書いてね!(宣伝)
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
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今のが好きなので書き直しておk
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昔のが好きなので書き直したらアカン