どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
日常生活を過ごしていくうえで沢山沢山溜まっていく人間の敵、ストレス。そいつが爆発しそうなとき、貴方は何をして発散してますか?
時間を忘れて自分の好きな趣味に没頭する。心ゆくまで睡眠を貪る。思いっきり体を動かしてはっちゃける。うんうん、それもまたアイカツだね。
あっ、僕ですか?
いやー、そんなそんな。わざわざ聞くことないじゃないですか。僕ってギタリストですよ? アマチュアだけど。
そうなれば、答えは自ずと一つに絞られていくわけで。
「絶好球!」
いち、にの、さんで左足を軽く上げて、軸足で支えタメを作る。擦るくらいに軽く浮かべた左足を地面に突き刺し、重心を下から前に駆けていく流れで、軸足と共に腰を回す。
バットが体に巻き付くように、それが最短距離。腕ではなく、腰の回転とヘッドを効かせて。インサイドアウトの精神、内から外へ。
バットは下からでも上からでもなく、横から真っ直ぐ。イメージはテニスのスイング。もちろん狙いは正面センター返し。
カキィン!
「うおらっしゃあ!」
身体の回転ごと強くバットを振り抜き、左手で最後までしっかりとフォロースルーを決め込む。スイングはフォロースルーまでしっかりと。遠足は帰りまで理論と全く同じです。
気持ちの良い金属バットの破裂音の通り、芯で捕らえた打球は、ピッチングマシンの真上に向かって少しスライスしながら飛んで行った。うーむ、狙い通りのナイバッチです。100点あげちゃう!
「ナイバッチ―!」
「ナイバッチー!」
「フフッ……儚い……」
「何がですか?」
綺麗な打球が飛んでいくたびに、背中から可愛らしい女の子たちの歓声が聞こえてくる。まぁ厳密にいうと背中ではないんですけどね。打席に立ってるから。
女の子の歓声っていうのはいいね。もうこれがあるだけで元気等倍ですよ。
100倍だとかいうつもりは毛頭ない。元気等倍マントマンですよ、ええ。マントはないんだけどね。超絶私服ですから。
ここまで見れば分かるだろう。僕の中のストレス解消法は、コレ! バッセンで剛速球(120㎞/h)をひたすら特打し続ける!
嘘です。普段はバッセンなんてたまにしか来ません。なんなら超絶久しぶりに来ました。もっと言うならばストレスなんて全然溜まってないんで、ただただ楽しいだけです。
「いやぁ、気持ちいいね! 久々のバッセンは! あっ、ミスった」
「はぐみも野球のボールを打つのは久しぶりかも! うりゃあ!」
今日は見てわかる通りバッティングセンターに来ているのだが、ただでさえたまにしか来ない場所に来ているのに、一緒にいるメンバーがこれまた珍しくハロハピ連中という。もはや珍しいに珍しいを重ねた色違い6Vみたいな状況になってる。
しかもこれ、完全にたまたまだからね。俺が誘ったとかじゃなくて、バッティングセンターに来たらハロハピがいたのよ。びっくりしすぎて栗になったわね。潜影蛇手。
っていうか話は戻すけど、はぐみ野球のボール久しぶりに打つとか言っておきながら打ち過ぎじゃね? 全然俺より打ってるんだけど。一応、ミジンコくらいに残っている男としての尊厳が丸つぶれなんですけど。
「えいやー!」
パキィン!
「おー、マジで完璧」
小柄な体から最短距離でバットを始動させ、基本に忠実にセンター返し。
女の子ということもあり小柄なのに、俺よりも早い130㎞/hのボールをいとも簡単に打ち返しよる。力負けとか言う概念はないの? 俺、普通に130㎞/h越してくる直球とか怖いんですけど。
いやはや、シンプルに巧打者北沢ですわ。流石に猛牛軍団のミラクル快進撃を締めてみせた男に苗字が似ているだけある。逆転満塁サヨナラ優勝決定ホームランとか打ちそうだよね。漫画の世界の話かよ。
……え? 名前が似ているのが何か関係しているのかって? あるわけねぇだろ。名前が似ているだけだぞ。
「はぐみ。近鉄バファローズってわかる?」
「ローズ! ノリさん! ISOBE!」
「よーし、偉いぞ」
現役バリバリJKから近鉄黄金期のクリンナップの名前が出てきてるこの絵面やべぇな。とても面白い(小並感)
「おいしょー!」
「負けてらんね……あふん!」
いやー、それにしても普段はソフトボールでやってるのに、よくもまぁ簡単に野球のボールを打てるもんだ。
なんで簡単に普段打ってるものよりも小さくなってるのをパカンパカン弾き返せるのか。圧倒的なセンスの差というものを今まさにたたきつけられているような気がするね。
たかがボールの違いなんて思われるかもしれないけど、ソフトボールと野球ボールって全然大きさ違うからね。どのくらい違うかというとマクド〇ルドのハンバーガーとバー〇ーキングのハンバーガーくらい違う。
分かりずらい? 俺もバーガーキ〇グは近所にないせいで食ったことないからわかんねぇ。一度は食ってみたいんだよな。
「今、俺の人生は終わりました」
「キミの人生はまだまだこれからさ」
「俺の人生ここまでだ」
「大げさだよ……ちゃんとかっこよかったよ」
「花音さん超優しい。先輩に欲しい」
「い、一応学年的には先輩なんだけどね?」
先ほどの空振りが俺の人生最後の打席だったらしい。打席から戻ってネットのかかった鉄製のドアを開けるまでの情けなさよ。
恥ずかしい、ダサすぎる。薫さんと花音さんに励まされてなかったら速攻で帰ってた。
バッセンのあのワンゲームがどこで終わるか素人には全くわからないって現象本当に何とかした方がいいと思うんだ。最後が空振りで終わってめちゃくちゃ恥ずかしいとかやりきれないとか本当によくあるから。ありすぎて逆にあるある探検隊がスルーするレベルだから。
「やるじゃないはぐみ! 私も……」
「ちょいちょいちょい! そっちはこころには危ないから!」
そんな超絶優しくて可愛い花音さんに癒されていると、なんだか左方から騒がしい声。珍しくもないね、うんうん。
目をやると、今にも飛び出しそうな勢いでウキウキオーラを全開にしてるこころと、そのこころの右腕をガッチリつかんで静止している保護者a.k.a.奥沢美咲さん。
本当に保護者してるよね。将来は絶対いいお母さんになりそう。口に出したらセクハラになるので言わないけど。
「あり、こころ。どこ行こうとしとん」
「愛斗! 貴方凄いわね! 野球もできるなんて!」
「せんきうべりべりまっちょ。人並だけどね。そいで?」
「こころがあっちに行きたがってて……」
こころんの笑顔は癒されるね。あことか香澄とか彩の笑顔に似たそれを感じる。
それはそれとして、美咲が指さす先には『160㎞/h(上級者向け!)』なんてご丁寧な表示がされている。はいはい、理解。
馬鹿野郎、あんなにド派手でダメって分かるような表示をしちゃアカンでしょ! こころちゃんはすーぐ目立つものに飛びついちゃうんだから! まぁ俺、こころのこと全然知らないんだけどね。とりま、もっと地味な表示にしておきなさい!
「美咲! 私はアレがやりたいわ! なんだか凄そうじゃない!」
「凄そうどころじゃないの! 160って……人間が出せる速さじゃないから! なんか言ってやって!」
「大〇、由〇、千〇、藤〇、国〇、平〇、コー〇ィエ!」
「出せる人を言えって言ったわけじゃないの! しかも最後の人って出てないでしょ」
「厳密にいうと日本では出してないけど、多分出るよ。期待値」
「一年で首になった助っ人になんの期待してんの」
さーて、みんなは誰が誰だかわかったかな? 最後以外は日本人縛りだよ? ちなみに当てても景品とかありません。ただのクイズじゃない、硬いこと言うなよ。
コー〇ィエは球速だけならガチのマジだから。球持ちがクッソ悪くて球速以上に遅く見えたり、そもそも絶望的にストライクが入らなかったり、メンタルがゴミカスなだけであって、球速はガチだから。
てか美咲って割と野球詳しいのかい。意外かも。
「凄いわ! そんなに早いボールを投げられる人が実際にいるのね! 私、見てみたい!」
「メジャーリーグ行けばわんさかはいないけど一定数居るよ」
「本当? 世界は広いのね」
「おうとも。世界は広いんだ」
「頼むからこころに変な事吹き込まないで」
大丈夫大丈夫。ただの事実だからね。
はい、そこの黒服さん達。今すぐアメリカに飛ぶ準備とか進めないの。
ちゃんと日程調節して投げれる人が先発の試合に行かないとダメだからね。あと行くんだったら俺も連れて行ってください。
というか、こころん160㎞/hが早いってちゃんとわかってたのね。
何で自分からそんなところに飛び込もうとするんだ。いや違う、分かっているからこそ飛び込むのか。俺の考えが甘かった。反省。
「でもあれじゃない? 実際に代わりに打席に入って、こころに160がどれだけのもんか見せたら引くんじゃない?」
「本気で言ってる?」
「…………やっぱやめておこう」
「それは名案ね! 私、見てみたいわ!」
「ほ────ら、もー!!!」
「シンプルにすまん」
こころの前での軽率な発言って命取りになるのね。知らなかったわけではなかったけど、いざ目の前にしてみると気が抜けてしまった。反省、反省。
いやぁ、完全に地雷踏んだねぇ! こっちの作戦が逆に使われて、こころが合法的に160㎞/hを打ちに行けるっていう建前が出来ちゃったねぇ!
「いやいやいやいや。でも逆に考えてみよう。こころが打席に立つことは回避できるかもしれん」
「いや、後で絶対に立つよ」
「うん、絶対に立つわ」
「どーすんのこれ! いくらこころと言えども体にボール当たったらただじゃ済まないでしょ!」
「こころなら避けれそうじゃね?」
「それはある」
何がどう転ぼうが、こころが打席に入った間近で160㎞/hの剛速球を見たがるっていう事実自体は変わらんだろうからなぁ。
逆に言えばこころが打席に入るのは仕方がないとするしかないのかも。いやいや、でも流石に160はなぁ……
こころん、マジで力学的とか運命的とか科学的とか、そういうものでは説明しきれないような身体能力と超幸運もちだから。ワンチャン避けそうではあるけど、そんなもしかしたらの話で女の子を危険な目には合わせられないからね。
「っていうか、誰が打席に入るの? 入らない?」
「急にこっちに切り返すで候。お主、童に死ねと申すか」
「言い出しっぺの法則だよ。責任取りな」
「やだよ! 140㎞/hですらビビるんだよ!」
ガチのマジで140㎞/hって早いから。テレビとかで『この投手140くらいしか出ないのかよ。そこそこ』なんて野球見てる人の大概は思うかもしれないけど、それ完全に感覚マヒしてるから! 完全感覚crasherだから!
実際に打席に立ってみると早すぎて腰抜かすんだよね。風切る音が聞こえるんだよ。ボールからヒュッ! って音が聞こえるってヤバない? ヤバいね(自己解決)
「お任せください愛斗様。野球経験者の方を連れてきました」
「なんでそんな準備出来るんですか黒服さん」
「こころ様のご友人にお怪我をさせるわけにはいかない故」
「いつもお世話になってます……」
ササッと耳打ちするように飛び出てきたのはカッチリスーツ姿にサングラスをかけた黒服さんA(仮名)
ほんとにこの人たちって色んな意味で便利というかチートですよねー!
俺のテレキャスにアームをタダでつけてくれたのはマジで感謝してます。ほんとに重宝してる。
「というか、そこら辺の人拾ってきたんですか? 野球経験者とはいえ160㎞/hはきついのでは……」
「お任せください。しっかりとした経験者の方を連れてきております。こちらに」
「しっかりとしたって言っても……社会人の人とか?」
まぁ、ここはバッティングセンターだし、休日ということもあって人もいるので経験者さんはいるんだろうけどね。
とはいえ、いくら大学や社会人実業団野球の経験者の方とはいえ、そもそも160㎞/hの球を間近にすることはないだろうし。大丈夫ではあるんだろうけど、そもそも違う意味でいきなり連れてきて大丈夫なのかという心配にもなるよね! まぁ今更だけど!
「こちらの方でございます」
「(よくわからないけど散歩してたらいきなり連れてこられて)辛いです……」
「新〇さんじゃねーか!!!」
「でっか……」
元社会人どころか、元プロ野球選手やんけ! しかも大レジェンド!
でけぇ! 流石に190㎝超えてるだけはある! 俺より圧倒的に身長がでかい! 巨人じゃん、巨人じゃないけど。あとでサイン貰おう。
「何しに来てるんですか新〇さん!」
「ちょっとパンクしそうだから薫さんと花音さん呼んでこよ……」
「(とりあえず160㎞/hを打てって連れてこられて)辛いです……」
「断ってくださいよ……」
「(正論が突き刺さって)辛いです……」
この人、本当にびっくりするぐらいに聖人なんだな。噂ではそうだと聞いてたけど、事実だとは思わなんだ。
ちなみに野球が分からない人にどのくらい凄いかを上手く伝えられるとするなら、アニメ界のボボボーボ・ボーボボ的存在です。
本人はいたって真面目なんだけどね。笑いの神様に愛されてるよね。
「新〇さんね! 私に160㎞/hの世界を見せてくれないかしら!」
「(若い女の子との接し方がわからなくて)辛いです……」
「(状況が把握できなくて)儚い……」
「ふぇぇ……何がどうなってるのぉ……」
「ねぇ、愛斗。これどうするの」
「あー、もうめちゃくちゃだよ」
結局、新〇さんは160㎞/h相手にチンチンにやられていた。
元プロのレジェンドとはいえ、引退してから時間たってるし仕方ないね。現役から期間も空いてるからね。もう、どうしようもないね。
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
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今のが好きなので書き直しておk
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昔のが好きなので書き直したらアカン