どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
割とすき(自画自賛)
「拙者親方と申すは、御立会の内に御存知の御方も御座りましょうが」
人間、誰しもが人に見られたくはないであろう秘密というものが存在する。
夜な夜な、マヨネーズを冷蔵庫から出して直で爆飲み。
夜な夜な、誰もいない学校でネクタイだけ巻いて真っ裸で爆走。
夜な夜な、裏垢でバ美肉して裏垢男子(笑)を吊り上げる。
「御江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町を御過ぎなされて」
あるいは、夜な夜な、真面目にボイトレや地味な往復練習。自分が地道に努力をしている姿を見られたくないという人間は、割といるものだ。
正直言って、天才天才って祭り上げられるのって凄く嬉しいもんね。
中には努力を否定されたって感じる人も少なくはないだろうけど、言葉を濁さずそのまま受け取る人だってたくさんいるからね。
「青物町を上りへ御出でなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門」
勿論、僕にだって誰にも見られたくないものがある。
ここに来てからもう一年は過ぎるが、日々可愛い女子共が突撃隣の晩御飯してくる修羅の国に生きながらも、俺はまだバレていないことがある。
そもそもの話、ノックもしないでノリノリでギターとかベース弾いたりドラム叩いたりしてる男の子がいる部屋に入ってくるのってかなりギルティだと思うの。
俺じゃなかったらその店ブラックリスト入れるもん。もうトラウマになるもん。
「只今では剃髪致して圓斎と名乗りまする。」
正直な話よ。めちゃくちゃ全力で歌ってたりするのと、めちゃくちゃ全力でギター弾いてるところを見られる。これに関してはもう慣れてきちゃったもんね。
慣れって怖いよね。この前なんか曲が気持ち良すぎたせいでさ、友希那さんたちがスタジオに入ってきててもお構いなしで最後までやりきってやったもんね。もはや、何か一つのトレーニングだよね。人前で歌うための練習なまである。
「元朝より大晦日まで御手に入れまする此の薬は、昔、珍の国の唐人外郎と云う人、我が朝へ来たり」
よし、噛まずに言えたね。偉い。
あっ、ちなみに今読んでるこれが僕が一番見られたくないやつです。ちなみに場所は例のスタジオです。今日もしっかりAfter growとの練習予定が入っております。
違う。待ってくれ、ドMとかわざとだとかそういうのじゃないんだよ。これにはちゃんとした理由があんねん。チマチョゴリよりも大きな理由があんねん。チマチョゴリじゃねぇ、肉チョモランマだった。あれ、肉っているっけ?
「帝へ参内の折から此の薬を深く込め置き、用うる時は一粒ずつ冠の隙間より取り出だす。」
そもそも、吾輩のいつものルーティンはもう決まっているのである。
一時間前にスタジオ入り→発声と活舌トレーニングを兼ねた外郎売→全力ではっちゃける→何事もなかったかのようにふるまい、メンバーと合流。
なんて完璧なスケジュールなんだろうか! 一時間前という普通ではありえない時間からスタジオ入りをし、誰にも見られたくないもんを集中してしっかりとやることが出来る!
いやぁ、バイク様様だよね。こいつのおかげで時間の余裕というものが生まれたもんね。
「依ってその名を帝より『透頂香』と賜る。」
……え? 最後の部分はいつも突撃されてるせいで完遂できてないだと?
馬鹿野郎! こんなもん想定済みだわ! こういうので一番言っちゃいけないやつだけど、完全に既定路線というかオヤクソクって奴だろうが!
多分、友希那さんとか蘭とか全員分かってて最近早く来てるまであるもんね。これに関しては、早く来るのをやめてくださいとこっちからは言えるはずもないっていうのが厳しいところである。
言ってしまえば、スタジオのど真ん中で一人ではしゃいでる奴の方が悪いに決まってんだからね。そんなことしなきゃいいもんね。
でも気持ちいいんだもん。仕方ないじゃない。開放感フルMAXだもん。
「即ち文字には頂き・透く・香と書いて透頂香と申す。」
とはいえ、さっきも話した通り、一人ではっちゃけている様子を見られる分にはどうだっていいんですよ。
一番見られたくないのはこれなんですわ。この活舌トレーニングと発声練習を兼ねた外郎売の朗読ね。
いやぁ、実際にこれが発声練習と活舌トレーニングに適したものなのかは全く知らないんだけどね? なんかそれっぽくない?
「只今では此の薬、殊の外、世上に広まり、方々に偽看板を出だし」
で、なんでこれをスタジオでわざわざやるの? っていう言い訳するね。うん、言い訳だから()
これの外郎売を初めて知ったきっかけって言うのが某たこ焼きチェーン店のネタを擦りに擦る東北系YouTuberさんなんだけどね。本家なのかは知らんその人は風呂場でやってたんですよ。
けど、風呂場で大声で謎の古事記染みた文章読むのって怖くね? なんか怖くなるよね。じゃあ、スタジオでやればいいじゃんって話じゃんね(?)
ハイ最適解。
「イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども」
こんなのをやってるのを見られた日にはマジで引きこもるよね。もう奥までしっかりと入ったサザエの如く引きこもる。
基礎中の基礎の反復練習なんて見られてもいいことなんてないんだもの。圧倒的に地味だし、なにしてんのって目で見られそうじゃない? そんなの……僕、耐えられない……ッ!!!
そんなことになるくらいなら東京ドームのライトスタンドで縦縞のユニフォームを着て六甲おろしを大熱唱してやる。
「平仮名を以って「ういろう」と記せしは親方圓斎ばk」
ガチャン
「……おぉー」
右手側から聞こえて来てしまった、本来は聞こえるはずのないモノの開閉音に体中の関節がビシッと固まる。
えっ、誰か絶対零度でも打ちましたか? 一撃必殺ですか? 空気がカチンコチンに凍ってますよね?
体感にして5分くらい。その場から全く動けなかった状況が、聞き覚えしかない間の抜けた声で好転する。
さっきのをスタートの合図と言わんばかりに、相手の懐に飛び込むべく回れ右をして全力ダッシュ。
視界に見覚えしかない白髪頭の影が見えたがそんなのはどうだっていい。とりあえずあっこの空いてる隙間に体をシュゥーッ!
「まーまー。お待ちなさいなお兄さん」
「うぉっ!?」
日本一早いと噂の周〇選手ばりの高速スライディングで超エキサイティングの体制に入ろうとしたところに、横からスッと腕が伸びてきてガッチリキャッチ。アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?
そのまんまDDラリアットが如くぐるぐると回転してそのまま停止。なるほど、前に俺が物理的にツッコんできた彩を止めたやつと同じ原理だな。
……って納得できるか! 力つよっ! こんな白くて細い腕のどこにそんな力があんねん!?
しかもよく俺の腕を寸分の狂いもなく掴めたよなこれ。いったい何を食ったらそうなるんだ? パンか。やまぶきベーカリーのパンには何かしらの特殊な成分でも入ってるのか???
「いやー、たまには隠れてコソ練しようとコッソリ企んでたのに、まさか先客がいるとはなー」
「殺してくれ」
「モカちゃんのコッソリドッキリ大作戦が水の泡。どう落とし前付けてくれるんだにーちゃんこるあ~」
「殺してくれ」
「え、何この構図……」
仁王立ちに腕組みという威圧感スターターセットな立ち姿から、相変わらずほんわかムードの青葉さん。
その体面に位置しながら、胡坐をかいて頭を抱え、絶賛この世の中に絶望中の浅尾くん。
そしてその二人を相撲の行司よろしくなベストな位置で意味も分からず立ち尽くしてる、二代目アホピンク並びに上原さん。
多分、赤の他人から見たらとっても面白く、かつアホみたいに映える構図になっているのだろう。ちなみに、ひまりはなんかさっき来てた。どうでもいいから誰か早く俺を殺してくれ。
「えっと……状況は全くわからないんだけど、まだ二人しか来てないんだね?」
「ひーちゃん。ちなちな、今日は3時集合だよー」
「えっ、嘘!?」
「ド天然ポンコツがよぉ……」
現在は午後の2時ちょい前。俺とモカはもちろんそれをわかっていながらこの時間に来たが、このピンク頭はそうではないらしい。
まぁ、今までにもひまりだけド天然で先に着いて俺が爆死するってパターンはちょくちょくあったんだよね。ここまで速く来るのは初めてだし、今日は極端に早かったのだろう。
でもひまりって早く来ることはあれど遅刻なんてパターンはそこそこ少ないんだよね。まぁゼロではないんですけど。
いやー、もうちょっとひまりが早く来ていれば俺が死ぬ理由が単純に倍に増えていたね。致命傷で済んだぜ。
「あーん! また早く来すぎちゃった~!」
「ひーちゃんもコソ練すればいいんだよ~。さー、れっつらコソ練~」
「あの、帰りたいんだが」
ちゃっかり俺もコソ練仲間にしないでくれ。いや、やっていたことはコソ練ではあるんですけど、マジで勘弁してください本当()
実際、コソ練とも言い難いレベルの基礎練だから、そこの枠にすら入れてほしくない。とっても恥ずかしい。
「ちなみに、まーくん。さっきまでやってた歌舞伎みたいn」
「モカちゃん! 今日食べたいものとかないカナ!? おじさんなんでも奢っちゃうゾ~???」
「いえーい! じゃあ夜ご飯は三郎行きたいなー」
「モカ……なにを見たの……」
こんの小悪魔……ほんまに天性なのか考えてものなのか……どちらにせよ恐ろしすぎるね!
とはいえ、俺も最近ガッツリ三郎を食べてなかったし、食いたいのも事実ではある。
可愛い女の子と二人きりでラーメンとかバンドマン全員のあこがれでもある。俺はなんて幸運なのだろうか。うん、そう思おう。そう思わないとやってらんねえ。
「誰にでもヒミツというものがあるのだよ。ひーちゃん」
「お前も大人になればわかるさ」
「愛斗くん、かっこつけてる側だけど秘密握られてる人だよね?」
「やめて。泣くから」
ともかく、俺が一生青葉モカという人間に勝てない理由が出来てしまった。
もはや黒歴史を握られたというよりも死の外科医に心臓握られたと同レベルな気がぷんぷんするんだけど、気が付いたら負けだよな! うん!(血涙)
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
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今のが好きなので書き直しておk
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昔のが好きなので書き直したらアカン