どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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小綺麗にするだけでも人は変わるらしい

 

 今の俺はウキウキ小僧です。炎天下の下、クソ暑い太陽にヘルメットの中ごと蒸されてカチキレ不可避な状況、なお俺はウキウキです。

 なんでか聞いてくださいよ。話しますね(爆速準備)

 僕がバイクで疾走しながら背負っている、このYAMAHAのエレアコ君。メンテに出して帰ってきたんですよ! もうツルツルピカピカ。ボディからネックから全部綺麗にして貰ってねぇ、ほんまに。もうこいつが弾きたくて弾きたくて仕方が無いんです。

 

 

「なんかやってる!」

 

 

 弾きたくて仕方がないほど、音楽のモチベが爆上がりしているので、通りがかりの駅近広場で行われている路上ライブにも突撃しに行きます。なんか盛り上がっているのを信号で止まってる時に見てしまったのが、運の尽き。もうバイクを迂回させて、ちゃんと停めて見に行っちゃうよね。

 あまりにも暑すぎて、ヘルメットの中が茹で上がりそうなところだったし本当に助かる。もう夏場はフルフェイスやめようかな。死んじゃうよ。

 

 ウキウキでギターケースを担いで、群衆の集まる元に流されていく。

 中心には、持ち運べるほどの大きさのアンプに、直で繋がれたシールド。少し荒いセミアコのサウンドに合わせ、女性の透き通る声が心地よく乗っかる。

 本来、人が腰掛ける用であろう加工されてる石の上には、【You〇ube撮影中 飛び込み大歓迎!】の張り紙……ははーん。横の特等席でスタンド使って撮影してる兄ちゃんは、そういう事だな。

 

 いつもだったら、こういう所で自分から目立ちに行くのは、調子乗ってそうって思われそうなのでちょっと……ってなる俺だが、今日の俺は文字通り調子に乗っている。幸い、今歌っているお姉さんも、もうアウトロに差し掛かった頃合い。

 曲が終わりそうなタイミングを見計らって、背部から接近。今や! と言わんば有りに、ニコニコしながら撮影しているお兄さんに、ちょいと声をかけて見る。

 

 

「あの」

「あっ……なるほどー。お兄さんも歌われます? 今、撮影してるんですけど、大丈夫ですかね」

「あ、顔出しは全然大丈夫です」

 

 

 声をかけてみると、お兄さんは笑顔のまま振り返る。頭から足先まで一通り見られて、二秒ほどギターケースを見つめると、大体の事を察してくれた。理解が早いと助かるね。全然一般人の格好してたから、わからないと思ったよ。まぁ、髪型青メッシュでチャラめだから、そこで全部察せられた感は結構あるけど。

 

 

「ありがとうございました~。AIRAって名前でYou〇ubeとかやってるので、是非見てください~」

 

 

 丁度、さっきまで演奏していたお姉さんがギターを置いて、場所を退く所。

 このお姉さん、歌上手かったなー。少しだけレベルの落ちたmi〇aみたいな感じだった。やっぱり、これだけの実力があれば、何かしらの活動とかしているものなのね。じゃなけりゃ、わざわざこういうのにも参加しないだろうけど。

 女性ボーカルって勿論いろんなタイプがいるんだけど、やっぱりm〇waみたいなハイトーンクリーンボイスが武器の女性ボーカルは結構目立つよね。多いのか目立つのか、どっちが正しいのかはわかんないけど。

 

 

「お兄さん、ギターはどうされます? 貸し出しもあるんですけど」

「自分の使っても大丈夫ですか? 一応、エレアコなんで、アンプは使えるんですけど」

「えぇ、勿論!」

 

 

 うわぁお、判断が早い。自分から動画のネタになってくれる人材が紛れ込んで来たって言うのはあるんだろうけど、それにしても円滑に事が進み過ぎている。良い事なのか悪い事なのかわからん。今に限れば、良い事だね。

 じゃあお言葉に甘えて、出しちゃおっかなー! 僕の愛しのエレアコちゃん!

 YAMAHAのLシリーズ! LL26ちゃん! んもー、見た目が好き! 100点! 綺麗になっちゃって、もう素敵。

 

 メンテ開けと言う事もあり、外していたストラップをちゃちゃっと付け直す。いつもなら補強なり色々するところではあるんだけど、アコギでやる分には特段問題はないね。

 

 

「~♪ アァー……」

 

 

 移動しながら自分の声で軽くチューニングを合わせ、ピックで弦の感触を確かめてみる。張り替えたばかりなのもあって、多少は馴染みにくい。

 そもそも、アコギをあまり普段使いしないので、厚くて大きいボディがやや違和感。ま、違和感なんて言うのがプレイの邪魔になると言うほど、そんな甘ったれた鍛え方はしていない。自分のギターを使えないほど、腕は衰えていないわけですよ。

 

 ストラップに軽く噛ませるようにシールドを通して、in! ノイズとかも特にないし、音の鳴りとかも問題は無いね。

 さっき女の人が使ってたマイクだけど……手でノックしてもちゃんと反応はあるね。一人だし、事故りたくないもんで。ここら辺の音響チェックは抜かりなく。ヨシ!

 

 LL26くんを取り出してから、約1分ほどの早業。うむ、我ながら手慣れたもんだね。路上ライブとかやったこと無いけどさ。

 

 

「お兄さん、やっぱ手慣れてますね~」

「全然。これ、何時でもいい感じですか」

「えぇ。お好きなタイミングで」

 

 

 そう言うが早いが、スマホの奥に立ち位置を戻す。はえ~。これがプロの動画撮影者ですか? まぁ、本物の映像色の人は何度も見てきたけど、それとはちょっと毛色が違う熟練具合がやっぱりあるもんだね。どこの業界でも、そういうのは同じってこった。

 ほな、特に言い残すこともないし。許可も得たし、ちゃっちゃとやって逃げましょう。

 

 

『東京都新宿区から来ました、浅尾愛斗です』

 

 

 上がる歓声には目もくれず、より集まる人にも目もくれず。もう弦しか見えん。

 3ノックも無しの一発芸。弦を一閃し、テンポを落としたブリッジミュート。

 

 

『開け放した窓に 廻る乱舞のDEEP SKY』

『AH 仰いで……』

 

 

 一気に右手のストロークを開放。テンションを上げて、手首でリズムを効かせて走る。

 

 

『「繰り返す日々に 何の意味があるの?」』

『AH 叫んで…… 飛び出すGO』

 

『履き潰した ROCKING SHOES』

『跳ね上げる PUDDLE』

 

 

 弾き語りにおいては、ギターと自分の歌声の一対一の勝負。

 自分の歌を邪魔しない、尚且つ、曲全体の空気を感じさせることのできるバッキングギターとしての役割しか求められない、なんていうのが大抵の通例。

 

 弾き語りのギターだからこそ、バンドのギターよりも真っすぐに届く。なら、そこで工夫を入れて、より曲を凝らせるって言うのがギタリストってものでしょう。

 

 

『フラッシュバック 君は CLEVER』

『AH, REMEMBER』

 

 

 シンプルなコードのバッキングの雰囲気を残したまま、途切れないように滑らかなアルペジオ。こういうひと手間が、後で効いてくるんですよ。

 どうやって? ほら、こういうサビで前でさ。一気にアクセルを踏むわけさ。カッティングとも違う、ミュートも抱き合わせた16分で切り刻んでかき鳴らすのよ。

 

 

『あの虹を渡って あの朝に帰りたい』

 

 

 ただ8分のリズムでコードを弾くだけじゃない。テンポを崩すことなく、16分を語尾に噛ませる。ちょっとした合間にも、ブリッジミュートを挟んでメリハリをつける。

 首から上はマイクに集中。ちらりと手元を確認して、あとは自由に任せるだけ。

 

 

『あの夢を並べて 二人歩いた GLAMOROUS DAYS』

 

 

 そうすれば、ゆったりとメリハリの少ない弾き語りでも、観客を引き寄せられる世界観を作れるって算段。

 テンポを早くしなくたって、別にかっこいいのは作れる。これもまた、ギタリストの年の功ってね。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 はい、珍しく彩やひまりや花音さんがバイトをしているハンバーガー屋さんに、ちょっと遅めの昼食を取りに来ました。気分的にね、今日はハンバーガーが食べたかったんだ。

 普段は知り合いが働いているという理由一点であまり利用しないけど、このハンバーガー屋はどうしてもたまに無償に食いたくなる。この魔力にはどうしても逆らえないんだ。

 

 

「いらっしゃいませ! ご注文はお決まりですか?」

「限定のアメリカンバーガーのセットと……」

「おすすめは私になります!」

「人の話を聞けよ店員」

 

 

 気になってた限定のセットとコーラを頼んで終わりです。

 ねー、普段多忙であんまりバイトを入れていないはずなのに、こういう時に限ってお前がいるんだもんね。これって運命? 違うわ、あほんだら。ちゃんと働きなさいよ、店員さんなんだから。バチボコに公私混同しとるやないか。

 

 そんなわけでいただきまーす……あら、美味しい。こいつは当たりやね。

 こういう限定もの。大体30点か60点か90点か100点だから、30点を引かなくてよかった。60点です。いつもの照り焼きでいいかなぁ、これなら。とはいえ美味しいので、私はハッピーです。うーん、この肉食ってる感じ。アメリカです。

 

 

「お隣いーですか!」

「お前、仕事中やろ」

「えへへ……店長さんがね? お昼ご飯、友達と食べてきていいよって言ってくれたの~」

「花音さん、どうぞどうぞ。僕と一緒で良ければ」

「私と対応が違う」

「あたりめぇだろ」

 

 

 スタッフさんって、制服姿のままでこっちの客が使う方の所でご飯食べても良いんだね。緩い所で良かったね。俺的には、花音さんとご飯が食べれて嬉しい限りなんだけど。ニコニコの笑顔で、ハンバーガーを食べる一口が小さいのが何とも素敵。

 

 

「マーくん、今日はライブ?」

「んぐっ……違うよ。今日はこいつをメンテに出しただけ」

 

 

 少し冷めたポテトを入れ物から直接がさがさと口にほおり込んで、コーラで流し込む。

 丸山さんの視線の先には、先ほど超大役を果たしたギターケースくん。ケースくんは何をしたって訳でもないんだけども。

 

 

「それ……アコースティックギター? ベースにしては大きいよね……」

「ご名答! これ、エレアコなんですよ。ほいっ」

「わー! ぴっかぴか!」

 

 

 お手拭きで入念に拭いた手でケースを御開帳。そう、ボディから指板までもうぴっかぴかなんですよ! ニッコニコになっちゃった。

 このエレアコ君。YAMAHAのLシリーズって奴なんだけど、その中でも僕のエレアコはLLと呼ばれる、一番ボディがデカいアコギになっております。なんでも、YAMAHAの伝統的スタイルを継承したボディなんだとか。歴史とかに関しては全然詳しくないからわかんないんだけれども。

 

 

「メンテに出したばっかりのピカピカつやつやだからね」

「じゃあ、今日はメンテナンス帰りなんだね」

「そうです。メンテナンスして、駅前の路上ライブに乱入して、それで今ここです」

「今、何か挟まなかったかな……?」

 

 

 なんも挟んでないよ、変なものは。バンズの間に挟まってたのも肉だったし。

 

 

「あー……これだ。調べたら出てきたよっ」

「あっ、これ本当にあそこの駅前だね。暑くなかったの?」

「とんでもなく暑かったです」

 

 

 今、めちゃくちゃコーラが染みます。本当に暑かった。炎天下でギター弾きながら全力で歌ったら、人間って死ぬほど汗をかくんだね。知らなかったや。

 俺が目を瞑ってギター弾けるスキル忘れてたら、危うく事故るところだったよ。ガチで引きずるタイプの黒歴史を残すところだったね。浅尾愛斗は音楽方向だけはちゃんとしないといけないんだから。もう、そこの強みを無くしたらただの一般高校生ピーポーなんだから。

 

 

「マーくんがこういうのに参加するの、なんか珍しいね。それだけ嬉しかったんだ」

「誠に遺憾ですが、その通りです」

「あはは……遺憾なんだね……」

 

 

 先っちょから尻尾まで全部思考読まれてたら遺憾ではあるけど認めざるを得ないよね。えぇ、本当にその通りです。普段だったら自分からこういうのには参加しないんだけど、あまりにも嬉しくなってしまいました。

 だって暑かったし! こいつが弾かれたがってたんだもん。(?)

 

 ほら、と彩が見せてくれたスマホの画面には、ちゃんと盗撮されている俺の姿。意外と汗をかいてるのってわかりにくいんだな。

 ……なんか、無理やりメリハリ作ってるけど、基礎の部分が足りてない感が凄まじいな。鳴らし方が下手というか。

 これは……あれだな。ミュートが下手糞なのか。なんなら、普通のストロークも若干潰れて聞こえるもんな。もうちょっと6弦全部綺麗に鳴らしたいんだけど、そこらへんは完全にエレキとの感覚の違いだなぁ。弾きにくさは常にあったし。

 アコギはボディに厚みもある。わかっちゃいたけど、ちゃんと響くもんだな。色々と。

 

 

「……浅尾くん? どうかしたの?」

「いや、何でもないっす。ご馳走様でした! ほな、今日はこの辺で」

 

 

 これは、家に帰る前にCiRCLEに行かねば。うちの家だと、アコギの練習は出来ないからな。

 うーん、久々に味わったわ。この感覚。直せるもの、直すべきものがあるって言うのはすんばらしいね。それだけの上がり目がまだあるって事だもんね。

 

 よーし! お兄さん、夏休みの期間をフル活用して、この夏でアコギバカテクマスター目指しちゃうぞ~!




 浅尾愛斗
 爪のケアにちょっと力を入れようと思い始めたらしい。

 丸山彩
 愛斗から爪のケアについて教えて欲しいと連絡が来たので、謎に深読みして焦っている。

 松原花音
 流れ弾で彩から連絡が来て本当に困惑して次の日登校した。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン
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