どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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何の変哲もないごく普通の日時編 その2
お盆過ぎの海はクラゲ祭りだからやめとけ


「夏だ! 海だー! いぇーい!」

「ひーちゃんテンション高いね〜」

「そんな楽しみだったのかよ」

 

 

 俺らの住んでる町からバスで一時間ほどかけてきた場所はここ! 海ィ! 砂浜ァ! ビーチィ!

 今は夏休みに入ったばかりの7月中旬。天気はうっとおしいほどの雲ひとつない快晴。言うならば、バリ快晴。クソあちぃ(本音)

 

 俺がバイトを始めてから2週間ぐらい経っただろうか。あれから生活はそこまで様変わりは無く。事務所の人も俺のスケジュールとかに気を使ってくれているおかげで、AfterglowとRoseliaのコーチ業にも、普段の学生生活にも何一つ影響はない。

 当たりの事務所だったのかもしれん。バイトを始めたおかげで収入も入るしね。どうしよう。収入が入ったら、新しいギターでも買っちゃおうかしら。

 

 

「愛斗くん。着替え終わったらパラソルとか張ってね」

「言われなくてもやりますぜお嬢」

「さっすがまーくん。出来る男は違いますなぁ~」

「ダルルォ!? なんでこれでモテないのか意味がわかんねぇわほんま」

「その性格でしょ」

 

 

 相変わらず辛辣だね。そんなところもちゅき。ちゅっちゅ。あ、ごめんて。本当にごめん。

 そんなわけで、各自脱衣所に移動して着替えていくわけで。

 男って楽でいいよね。生まれたままの姿から海パン履くだけでいいから、何の苦量もありゃしない。ポロリさえしなけりゃ問題ないからね。紐だけはちゃんとしめようね。着替えは10秒で終わる。

 嘘ですパチこきました。本当は1分ちょい掛かりました。半分は精神統一に使ってました。なんでそんなことしたかって? うるせぇ。男ならわかるだろ。気合い注入じゃボケ。

 

 いや、いいんだ。結局、どこのバンドに行っても詰みではあるんだ。Afterglowにはひまり。Roseliaには白金さん(あこが言ってた)。Pastel*Palettesは麻弥さん(日菜さんが言ってた)。詰みだ。良いことではあるんだけど。罪だ。

 こうなってるからどのバンドと海に行っても詰みである。何がとは言わねぇがな。俺はなんにも言ってねぇぞ! 男なら、精神統一気合い注入してでも守りきらねばならぬプライドがある。

 

 

 そんなわけで、自分の太ももに闘魂注入の張り手もしっかりして、ビーチパラソルとか色々持って砂浜に到着しました。つっても、パラソルとシートは砂浜に敷いて、ダイレクトにぶっ刺すだけだしな。すぐ終わった。瞬殺。

 あとは……ビーチボールと浮き輪を膨らませなけりゃな。手始めに、先ずはこの浮き輪を膨らませます。浮き輪を広げる! 空気穴を咥える! フーッ!(迫真) 以上!

 にしてもこの作業、思ったより重労働やね。普通に酸欠になりそう。俺って肺活量ある方じゃないし、これで鍛えるのもいいかもしれんな。全ては音楽のため。うわぁ、なんか音楽に人生売ってる感じでかっこいい。そんな人は絶対に海に遊びに来ないけど。

 

 うるせぇ! でも俺は海に遊びに行きてぇんだ! 可愛い水着のちゃんねーをこの目に収めたいんだ! フーッ! フーッ!

 

 

「……あんた何してんの」

「ゼェ……ゼェ……な、なにっで……はぁ……浮き輪作ってる……はひぃ……」

「キモイ」

 

 

 アホメッシュよ。そんな見下すようにキモいで済ませると思うなよ? こちとら一生懸命お前らのために浮き輪作っとる最中なんやぞ。この息の切れ具合を見ろよ。ガチです、ガチ。

 ……ん? アホメッシュ? って事は……

 

 

「愛斗くんお疲れー! 着替え終わったよー!」

「お疲れ。もっとかかると思ってたけど、早かったわね」

「10分くらいかかってたけどね……お喋りしてたし……」

 

 

 蘭がいればAftergrowが揃っていると思え。いや、そんなことは無いけど。今日はみんなで来ているからね。

 少し遠くから大きく手を振っているつぐみちゃんに、座りながら大きく手を振り返す。可愛いね。本当に可愛い。幸せ。

 女の着替えは長いもんだと、ラノベの読みすぎでそう思ってたのに、自分の思っていたよりもみんな早くてびっくり。水着だからか。

 

 

「お、浮き輪作るの手伝うぜ! てか、愛斗さー。お前せっかく持ってきたんだから、ポンプ使えよなー」

「口でササッと膨らませるのが男のロマンじゃないか」

「実際にやらなきゃ意味ないよー」

「どっかの監督みたいなこと言わんでくれ。正論すぎて傷ついちゃう」

 

 

 筋トレしてもあんまり肺活量は変わらないってってのは知らなかったの。俺の妄想では、ここで簡単に浮き輪を作って、君たちに男らしい所を見せつけるつもりだったの。悲しいね。

 それでもちゃんとお腹は絞ってきたから! 水着一枚でも恥ずかしい体には仕上げてきたので! これでもう鶏肉生活ともおさらばだぜ……早く家系ラーメン食いたい。

 

 

「ねぇ、愛斗くん? 私たちの姿見てなんかないの!」

「超可愛い」

「ふぇっ!?」

「口説くな、キモイ」

 

 

 だってホントのことだもん、しょうがないじゃないかぁ。そもそもひまりが感想欲しいって言ったんだもの。ホントの事言って何が悪いんだよ!

 可愛いもんは可愛い。これ、常識です。思ったことを、嘘偽りなく言える人間になりましょう。小学校で習いました。

 

 

「も、もっと細かく言ってよ! 可愛いって言えばいいと思ってるでしょ」

「ピンクのビキニがひまりのイメージとぴったり似合ってる。細かいこだわりとかは言語化出来んけど、めちゃくちゃ可愛いのは確か。感謝」

「……きゅう」

「やったぜ」

「何してんだよお前ら」

 

 

 いつかのコラ画像みたいな三〇番長のガッツポーズを決める。以上、ひまりちゃんを照れさせてみようのコーナーでした! ぱちぱち~!

 いやー、いいね。たわわに実った果実を支えているピンクの可愛らしいフリフリが実に似合ってるよ。本当に。直視できないくらいにあまりにも暴力的なスタイルしてて、内をどう褒めようか滅茶苦茶言葉選んだよ。

 

 

「つぐも一生懸命水着選んでたんだよー? さー、こちらにも感想どうぞ~」

「ふえっ!? わ、私も?」

「スカートのヒラヒラがつぐにピッタリ。クッソ可愛い。てかお前らみんなスタイルいいなヤバいだろ。蘭も似合ってるぞ」

「本当? ありがと!」

「へ、変態! キモイ! 見るな! 通報するよ!」

「ナンパから守らなくていいの?」

「そんなのされない。ニヤニヤしないで」

 

 

 もー、素直じゃないなぁ~、赤メッシュちゃんは。本当に可愛いんだから自信持てばいいのに。

 顔真っ赤にしてて面白い。茹でダコかな? 声に出したら殺されるやつだな、これ。

 あとつぐみはマジで可愛い。大天使です。全世界が認めます。ナンパしたやつは速攻ぶっ飛ばす。任せろ。俺はこの時のために体を鍛えてきたと言っても過言。

 

 

「巴とモカもすげぇ似合ってるよ」

「褒めても何も出ねぇって」

「苦しゅうないぞー。モカちゃんに焼きそば買ってこーい」

「パシられるくらいなら一緒に行ってやるから来い」

 

 

 俺はパシられるなら道連れをモットーにしてるのだ。一人だと寂しいじゃない。連れションもこの原理だよな。この理由が道連れにする理由の9.7割に当たる。

 モカもアメリカンな癖のある水着をセレクトしているのに、持ち前の雰囲気とスタイルで何の問題も着こなしている。いや、おかしいだろ。巴も巴ですげぇよ。モデルかと思ったわ。人間ってそんなに足が長くなれるのか……

 

 

「んもー、いけず~。モカちゃんの水着姿を見ただけでも感謝して欲しいものだよー」

「ノーコメントで」

「これはまるひのおふれこではですぞー? ひーちゃんの水着を選んだのは……なんと、モカちゃんであーる」

「よくやった、本当によくやった。焼きそばを奢ってしんぜよう」

「ふっふっふ、苦しゅうないぞ~」

 

 

 おい、お前が優勝だ。焼きそばでもかき氷でもなんでもおごってやる。今日はモカ神様だ。お前があの世の男子の9割を尊死させる、このピンクの化け物を作ったのか。いや、バケモノなのは、たわわでたわわなアレではあるけども。

 最高の盛り付けをしたのは君だ。ノーベル平和賞不可避。大有能にも程がある。

 

 

「……ねぇどこで突っ込めばいいの」

「蘭ちゃん……ペースに乗ったモカちゃん達は止められないんだよ」

 

 

 なんか呆れられてるがいいだろう。

 やっぱちょっと待って。つぐに見放されるのは悲しいわごめんなさい。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 突然だが、今の俺の状況を説明しようではないか。

 俺は昨日、ちょっとした夜更かしをしていたせいで、本日は大変眠かった。肝心の夜更かしの原因だが、とある曲のアレンジをしていた為である。

 まぁとある曲って言うのはいつか分かるだろう、俺が言うのを忘れなければ。滅茶苦茶匂わせているが、別に大した要件ではない。俺が勝手にもったいぶって楽しんでいるだけだ。

 

 

 つまりみたいなところ、何が言いたいのかというとだね。そう、俺は寝ていたのだ。タオルを目に当てて仰向けで寝ていたのだ。

 そして起きてみた。体が起きない。もう一回起こしてみる。体が起きない。眠い目を擦れやしない。

 頭だけは動いたので、腹筋パワーで頭を起こして詩文の体を覗き込んでみると、体が砂に埋まっていた。そう、体が砂に埋まっていた。大事なことなので2回言ったぞ。

 

 

「あっ、起きたー」

「おう、起きたぞ。で、何これ?」

「見てわかんねぇのかよ。体を埋めてる」

「いや何しとんねん」

 

 

 こちとら真夏の砂浜ビーチで人生初の金縛りかと肝を冷やしてたんだよ。寧ろ、体はアツアツだね!

 巴ちゃん。君はさも当たり前のように当たり前じゃないこと言うのやめりん。おかピーポー。こんなダイナミック物理的金縛りあってたまるか。

 

 

「体埋めてるって。何回も言ってるじゃん」

「おいアホメッシュ。俺はお前がそういうことするやつだとは思わなかったぞ」

「動いたらひまりが泣くから」

「自信作だからね! 愛斗くん、動いたらダメだよ!」

 

 

 アホメッシュがボケに走りやがった。違う。こいつ、ボケとかじゃなくて普通に楽しんでいやがるアホタレ。

 俺が知ってるアホメッシュはクールな癖にポンコツな可愛いやつだったはずだ。非行に走るようなことはしない。多分。でもこいつ、しょっちゅう俺に殴りかかってるようなそう言えば。やっぱこいつ、既に非行に走ってたわ。

 

 ひまり? あぁ、こいつは平常運転だろ。

 唯一の一番信頼のおけそうなつぐはというと、俺の頭の付近に座って苦笑いしてる。僕知ってる。これ詰みって言うんだよ!つぐがこうやって苦笑いして傍観してる時はもう諦めた時なんだよね! 助けてつぐ!(意味無きSOS)

 

 

「今のまーくん。何されても抵抗出来ないよねー」

「そうだな。モカ、そういう発言はフラグって言うんだぜ。お口チャックしろ」

「つぐー、膝枕してあげたら~?」

「ひっ、膝枕!?」

「よーしわかったモカ。何が目的だ、山吹ベーカリーのパンか。生憎、俺はまだ給料入ってねぇんだ来月まで待ってくれ、な? な?」

「えー、まーくんはつぐの膝枕味わいたくないのー?」

「味わいたいけどこの世にはコンプライアンス的なカタカナの難しいなんかがあるんだよおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 結局つぐが照れてやらなかったのでとても助かった。助かったけど男のロマンが離れて行って悲しかったのが本音です、はい。当たり前だろ。本音を言うなら、膝枕はして欲しいよ。人間だもの。

 ……彩ならやってくれそうだな。馬鹿だし。でもなぁ……あの純粋ピンクを騙すのは気が引けるし人として糞すぎる却下。あぁ、膝枕をしてくれる彼女が欲しい。

 

 結局、解放されたのは30分後。途中でなんやかんやいうのに飽きてしまった俺は、開放されるまで普通に寝てました。俺が馬鹿で助かった。その代わりガッツリ寝顔付きで写真は取られました。終わってます。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 それから何やかんやあって、俺はパラソルのところから、海でキャッキャウフフとビーチでバレーを楽しんでいるAfterglowの面々を見守ってる。

 あいつら、本当に絵になる五人組だな。全員揃って顔が良いのに、スタイルまで良いと来た。いやー、まいっちんぐ。

 女の子たちがキャッキャウフフしてるのを眺めれる券が、バンドのコーチしてるだけで得られるとか俺得すぎる。一番最初の黒歴史も、もしかしたら今のこの思い出を作る為の必要悪だったのかもしれない。いやでも一生弱み握られてるってやばいな。割に合わないのかやっぱ。

 

 

「私! 私っ! ……わぷっ!?」

「アハハッ! 豪快に後ろから行ったなー!」

 

 

 でもそれを犠牲にひまりや巴のビーチボール……ん゛ん゛っ゛!(迫真) 眼福眼福、本能にはやはり抗えないよね。吸い込まれるんだもんね。何がとは言わないけど揺れてんだよね。ひまりについてる男にとって巨悪な核爆弾が揺れてるのよ。万胸引力の法則はほんとだってはっきりわかんだね。

 

 いやはや、やはりモカやつぐも可愛らしいなぁ。愛でたくなるような、まるで妹にしたくなる可愛さ。それに比べて、蘭はひまりや巴に比べたらかなり慎ましやかな……

 

 

「ぐっほぉっ!」

 

 

 急に視界いっぱいがまっ黄色に染まったかと思ったら、息する間もなくバレーボールが顔にぶっ刺さった。

 藤〇もびっくりの剛速球バレーボールに思いっきり吹っ飛ばされた俺は、綺麗に仰向けに倒れる。あぁ、空が青いぜ。綺麗だね。Sky。

 

 誰が打ったかはわかる。てか俺じゃなくても分かるだろう。

 強烈なスパイクを放った張本人である赤メッシュが、大股でずんずんこちらに歩いてくる。

 蘭ちゃん、今の威力プロ並みの速度と精度なんだけど? もうこのまんまプロバレーボール選手になったら?

 

 

「アンタの考えてることなんか全部お見通し。変態」

「ねぇ蘭ちゃんいつの間にこっち来てた? あとメンタリストにでもなったら?」

「アンタの以外の心理は読めないから無理」

「やだ告白……? キュンってきちゃうげぇっ!」

「そこで寝てろ」

 

 

 腹にもう一発強烈なサーブをぶち込まれてトドメを刺されてGAME OVER。

 お父さん、お母さん。今日も蘭ちゃんは絶好調です。意識飛んだわ。おいおい。

 

 

「ら、蘭ちゃんのスパイク凄かったね……愛斗くんの顔に一直線だったよ……」

「蘭はまーくんが絡むと超人になりますからなぁ~」

「蘭もツンデレだよね~。愛斗くんのこと、好きって認めちゃえばいいのに」

「けどあれは好きっていうか……漫才っていう感じじゃないか……?」

「夫婦ってあんな感じなんだろうなぁ……いいなぁ蘭ちゃん」

 

 

 結論。海、超疲れた。

 あれから何故かこっちに戻ってきた蘭にシバかれたり、海でちゃっかり泳いで巴とだいたい50mクロール勝負で普通に負けて凹んだりして。最高に楽しんで、最高に疲れました。本当に青春してた。

 

 途中で寝てた俺はバス中でも未だにギリギリ意識を保っているが、俺以外全部みんな爆睡してる。隣にいるひまりが俺の左腕をめっちゃ抱き枕にしてて動けない。めっちゃやらかい。うん、やらかい。これも原因で寝れない。

 

 結局、気がついたら俺も寝てました。

 あと知らん間に俺の腕を抱きしめて寝てるひまりの頭に、俺が頭を乗っけて寝てる写真をモカに撮られて蘭にシバかれました。

 シバかれたけどラノベの主人公がやりそうなことを体験できて俺は幸せでした(遺言)

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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