どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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ベーシストは何故女装するのか

 突然だけど、ロスタイムメモリーってイントロが終わったら、足元のペダルを踏んでいきなりギターが超高火力でギュイーン! って入るからかっけぇよな。そこでまず鳥肌出てくるわ。

 大体ね? ド派手に登場ギターが参上俺こそ最強みたいな感じの曲に外れは無いんですよ。これもそうなんですけどね!

 

 

「ア゛ァ!↑ Bメロのカッティングたまんねぇ! 堪らねえぇぇえええ!!!!!」

 

 

 バックサウンドに身を任せ、千鳥足のまま流れに任せて力強くコートを弾き散らかす。

 Bメロに切り替わる瞬間を好機と軽く片足で地面を蹴り、片足をふらつかせて、まるで軽い面持ちでBメロでの怒涛のカッティング祭りを浴びせる。かーらーのー! サビ前のぷぁーんを決めポーズで決め込み(人類史上最高のギャグ)……。

 

 

「サビィ!!」

 

 

 スライドアレンジから、タイミングを合わせてステージにたたきつける様に体ごとギターを振り下げる。この瞬間とかの為だけにギターを弾いてるまである。あまりにも気持ちよすぎる。どんなもんだい!

 マジで何度やっても脳汁ドバドバ。最早意識しなくても体が勝手に動くまである。この音楽に体が支配されてる感覚……! これだからやめらんねー!

 

 

「Fooooooooo!!!!!↑ 最高だぜ相棒ォ! 今ならも〇う先生にもぷよぷよで勝てそうだぜええええええええええ!!!!!」

 

 

 まぁ、ぷよぷよなんかやった事ないから即死するんだろうけどね。でも今ならきっと勝てるさ。バフかかってるもん。

 も〇う先生ってプロになってるだけあってめちゃくちゃぷよぷよ上手いからな。普段リスナーから馬鹿にされてるけどあの人は凄いところはガチで凄いと思う。なお駄目なところはとことん駄目な模様。

 俺はテトリス派なんだけどね。ぷよぷよ全くわかんね。連鎖ってどう組むんや。絶対に組んでるだけで消えてくテトリスの方が簡単やろ。

 なんでテトリスの話してるんだ。ま、いっか! サビが終われば、そのままの勢いで流れる様に二番のAメロへ。脳汁が留まる暇すら無い。なんて贅沢だ。

 

 

「サビ終わりからすぐAメロに繋がるの勢いやべぇ! おかしい! 止まんねぇノンストップじゃああぁぁぁ!!!!!」

 

「凄い!キラキラだ!」

「彩さん、こういうことです」

「ふわぁ……初めて見た……かっこいい……」

「相変わらずね」

「彼すっごいわね!」

 

「」

 

 

 ドアの外

 人がいっぱい

 いるんです

 

 みつを

 

 

 首振って顔を上げる勢いでぐるんと一回転して、少しふらついたタイミングで、たまたまドアの方が視線に入ったの。んだらね? なんかドア際にめっちゃ人いた。

 どれくらいいっぱいかというとそれは沢山いた。まだ後ろの方にもいっぱい居そうだね~。パンッパンだもんね~。旬の時期のトラフグですらそんなにパンッパンになること無いよ。密度どうなってんだ。

 

 ……うわぁ、マジでいっぱいいるなぁ。

 蘭もいるし友希那さんもいるし猫耳の子もいる。あと1人の金髪ロングの目がキラッキラしてる子がいるけど、おそらくハロハピの子やな。参加しているメンバーの中で、唯一面識がゼロだったのが、ハロー、ハッピーワールドだったはずだから。見たこと無い=そこの子って訳。わぁ、賢い! でもこの状況になってる時点で賢くない!

 

 ……うっわぁ、彩もいるぅ……見られたァ(絶望)

 うわぁ……マジほんと……うわぁ。

 

 

「……」

「あっ……」

 

 

 多分、もう体自体がこの事象から目を逸らしたかったんだろうね。下に中華料理屋でたまに見るくるくる回るアレが付いてるのかって言うくらい、すんごい綺麗にくるくる回転してるもんね、体。僕の体って、そんなに滑らかに動けたんだねぇ。

 ほんでくるくる回って、回って、アンプが置いてあるほうにまで体が回って行ったらですね。でっけぇアンプの後ろからね、こっそり顔を出してた眼鏡かけてる系ふへへ系ドラマー系な大和麻弥さんがいた。顔と一緒に、こっそりとスマホを構えて。

 

 

「……麻弥さん、いつからいたんすか」

「は、初めから……アンプの隙間に挟まってたら愛斗さんが入ってきたので、ついそのまま……」

「……そのスマホは?」

「最初からです」

 

 

 最初からですかそうですか。うむ。なるほどね。そういうことか。真実か。

 

 うっわぁ……(思考停止)

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「これで全員揃ったよね!」

「……ねぇ、そろそろ彩さんから離れなよ」

「……彩ぁ」

「あ、あはは……蘭ちゃん、もうちょっとこのままでいさせてあげてもいいかな?」

「……まぁ、あたしは別に」

 

 

 あれから少しの間だけ記憶を無理矢理かっ飛ばした俺は、気がつきゃ彩に抱きつかれて慰められてた。即行抱きつきかえした。もはやどっちが先に抱き着きに行ったかすら覚えていない。なんかもう、顔見たら泣きそうになってた。

 

 セクハラとか知るか。黒歴史でもなんでもねぇよ。今回に至っては、こんなんただの大ダメージだわ。

 角ドリルで体に風穴開けられた後に、絶対零度で凍らされた。そのうえハサミギロチンで真っ二つにされて、地割れで叩き落とされた気分です。最低さんフルコース。

 

 

「大丈夫だよ~。マーくんはかっこよかったよ~」

「そうよ! なんにも恥ずかしがることなんてないじゃない!」

「こころ……あの人に追い討ちかけてるから……」

「あ゛や゛ぁ゛」

「はーいはい。大丈夫だよ~」

「ま、愛斗……アタシが愛斗の家に行った時みたいになってる……あの時とはちょっと違うけど……」

 

 

 あの金髪美少女、他の子の会話でなんとなく分かったが、多分お名前をこころというらしい。的確に僕の心を貫いてくるから、きっと間違いない。

 あの子もやばいな。内角をストレートでえぐってくる。シュートみたいにえぐってくるんじゃなくて、右のインステップしてくるサイドスローみたいに、ホントに当たるんじゃねぇかって角度でえぐってくる。当たったら死ぬ。

 

 それにしても、本当に一番見られたくなかった彩に今現在進行形で慰められてるっていうのは、非常に皮肉なものである。だが、非常に安心するぞ。どれくらい安心するかというと、一生このままよしよししていて欲しいくらい。もうここから1歩も動きたくない。

 普段はアホピンクって馬鹿にしてる彩なのに、もう今は天使にしか見えない。背中を摩られ頭を撫られ……こんなに安心するとは。ここまでの力があるとか知らんかった。マジで安心する。やばい、ほんとに動きたくない。このまま生きる。

 

 今現在be動詞に動詞の原形にingの形で黒歴史をどんどん重ねてる気がするけど。知ったこっちゃないもんね。

 一撃必殺4枚重ねの傷を癒さにゃ死ぬ。精神的に。メンタルブレイクされてるの。もうちょい甘やかさせてくれ彩。

 

 

「いーなー、彩さん。愛斗くんに抱きついてもらってて」

「女の子の理想としてはちょっと違うんじゃないかな……」

「……あの人って、いつもあんな感じなんですか」

「あそこまでなってるのはー、モカちゃんも初めて見たね〜」

「まぁでも、だいたいいっつもあんな感じだよな」

「だいたいあんな感じなんだ……」

 

 

 ちょっと待って、黒髪ショートの子? 俺はいつもこんなんじゃないからね?

 今日はちょっとあれ……そう! 今日ちょっとあれだから! あれがあぁなってこうだから! だから可哀想な人を見る目でこっち見ないで!

 

 

「みーくん、何してるのー?」

「ううん。ちょっと情報収集をね」

「やはり美咲こそ、ハロー、ハッピーワールドの頭脳なんだね。あぁ、儚い……」

「あたし、そんな役割でしたっけ」

「ところで、ミッシェルはまだ来ないのかしら?」

「ミッシェルさんはまだ準備中ですよ~。練習が始まる頃に来るってさ」

「早くミッシェルにも今日のワクワクを味わって欲しいわ!」

「そうだね……すごい熱気だね……」

「美咲ちゃん……顔が……」

 

 

 なんだろう。なんかあっちから物凄く負のオーラと光のオーラを感じる。光の中で、明らかに今よどんでだ。こっからでも伝わるんだもん。凄いね。

 いろんな意味でやべーバンドがこの世にはまだいっぱいあるんだろうね。おそロシア。マレーシア。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「香澄、そこちょっと走ってる。てかお前、全体的に走ってんな……?」

「えへへ~、ギター弾いてるとつい楽しくなっちゃって……」

「香澄……お前……」

 

 

 そんなこんなで合同練習がスタートしました。無事に始まったからヨシ!

 

 そもそもの話、この合同練習は6つのバンドが同じ場所で練習することによって。お互いの改善点を見出し、その場で矯正するという女子同士のとんでもコミュ力が無ければ成し遂げられない企画であるらしいんだよね。さっきつぐが教えてくれた。

 

 まぁでも実際の話はというと、俺が今教えている、Poppin'Partyのギターボーカル担当である戸山香澄が、『みんなで練習したら面白そうじゃない!? やりたい! やろうよ有咲!』って言いだしたのが発端らしい。

 そこからハロー、ハッピーワールドのボーカル担当の金髪ロングぴっかぴかガール弦巻こころがノリにノリこんで、そこからどんどん話が広がってこうなったと。その場のノリでここまで大きな行事になるとかやべぇなマジで。どうなってんだ行動力。

 

 あ、俺? 見ての通りです、無事復活しました。

 俺が離れる時にめっちゃ抱きついてきて離れようとしなかったけど、なんか氷川姉妹にひっぺ剥がされていた。ありがとう。めっちゃ息ピッタリだったな。

 ごめん彩。申し訳ないけど、幼稚園に行く時に先生に連れられてママー! って泣き叫ぶ子供と全く同じアングルだったよ。

 あと頼むからマーくんって叫びながら引き摺られないでくれ。360度から凄い目線を感じたから。さっきまでどっちが慰められてたのかわかんないから。今更問題ではあるんだけども。

 

 

「愛斗、でいいかな。話しても大丈夫かい?」

「おん?」

 

 

 呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンって訳でもないですが。声をかけてくれたのは、ハロー、ハッピーワールドのギター担当瀬田薫さん。

 死ぬほど顔が良い。宝塚の世界からそのまま飛び出た容姿は、イケメンと評するに相応しいんだろう。スラリとした美しく組まれた足に乗せられた、ボディがバカでかいホワイトファルコン。なんというか、主張と主張がぶつかり合っているというか。良くもまぁ、そんなに自分にピッタリなギターを良くも見つけてこれたというか。そもそも足組んでギター弾いてんの死ぬほど絵になるなぁというか。

 パッと見で相棒ってわかるの凄い良いよね。俺だってもっと顔が良くなりたかった。

 

 

「なんですの薫さん」

「少し教えて欲しい所があるんだ……Bメロのここのリフ……あぁ、儚い……」

「そこは確かに儚いっすね」

 

 

 そこは確かに儚いね。儚いって言うのがどういう意図で使われているのか、俺にはちょっとよくわからないけど、ともかく儚いね。多分、エモいと同じ感覚でしょ? 知らんけど。

 あれだってみんなその場のそれっぽいノリでエモいエモいって言ってるからね。みんな語彙力死んでっから。なんだよ、エモいって。言語化して自分の気持ちを届けて見せろよ。俺はエモいの一言で完結させておくから。

 

 

「Bメロのリフなら……────こんな感じですね。ここの運指がちょい厄介気味なんですけど……」

「愛斗じゃない! 何をしてるのかしら?」

「ギター以外していたら逆に怖いでしょう」

 

 

 後ろから爆音大音量で話しかけてくるやん。特別な訓練を受けていなかったら声を上げて驚くところだったぜ。危ない危ない。

 振り向かずともわかるぞ。悪意ゼロの純粋無垢のみで構成されたキンキラちゃんめ。名前はもう覚えているからな、弦巻こころ。いや、もうお嬢って呼んでる。

 周りにSPの人が付いているからお嬢。いや、同級生なのに弦巻さんって言うのもなんかアレだし、こころなんて呼ぶのもなんかキショイ。こころちゃんは却下。間を取ってお嬢なら丁度いいよね! それで。

 

 知り合って一時間もしていないのに、本当にすんばらしいコミュ力。距離の詰め方が半端じゃないね。瞬間移動かと思っちゃった。

 

 

「ちょうど良かったわ! 愛斗にやってもらいたいことがあったの!」

「えっ、やっても欲しいことって、いやいや、黒服さんなんで両腕掴んでそんな力強っ! いやっ、黒服さん離してええええええええ!!!」

 

 

 藪から棒に謎にやりたいことって何だいって聞く間もなく、まともや両脇をガッチリホールド。なんか最近よく体験するね、これ。僕、なんか悪いことしたのかな。

 でも、ここから連行されるって言うのは初めてかな。意外と人間って簡単に運ばれるものだねぇ。元気いっぱいに先導するお嬢の後ろを、えっほえっほと付いていく黒服さんに、担がれて運ばれていくだけの僕。これが現代の通販ね。馬鹿野郎。

 

 

「あの、何ですかこの箱」

「浅尾様、中に入って頂けますか」

「え」

「ではどうぞ」

 

 

 ちょっと待ってと言われたって、そのままぶち込まれちゃうんだもん。外見真っ暗な箱の中。頭が困惑で?マークしかないまんまぶち込まれ、中に待機していた黒服さんにぐっちゃぐちゃにされていく。

 あ、あのすいません。何ですかこの状況。いっ、イヤー! あっ、そこダメです! ダメダメ! 僕のそれがポロンとしちゃう! ぼく、まだバージンなんです! だめー!!!

 

 

「こころ様、準備出来ました」

「さぁ愛斗! あなたの姿を見せて頂戴!」

「いやマジで言ってんの? 嫌だよ? 絶対に嫌だよもうここから1歩も動かないよ?」

 

 

 気が付いたら全部終わってました。全部だよ、全部。見ればわかるだろ。見えねぇや、ガハハ!

 

 

「何を恥ずかしがることがあるんだい。君の愛おしい姿を見せてくれよ」

「愛おしかったらいけねぇんだよ俺は性別男なんだよ薫さんと立場逆なんだよ普通」

「マーくんなら大丈夫だよ!」

「なんにも大丈夫じゃねぇんだはぐみ。すっげぇ元気付けられるけどなんも大丈夫じゃねぇんだなこれが」

「諦めなよ愛斗、こうなったらもうなるようにしかならないから」

「が、頑張ってね……」

「待って、美咲も花音さんも見捨てないで。まだ何かしら策はあるはずだから」

「愛斗」

「へいなんでしょう」

「諦めなって、こころが動いた時点で終わりだよ」

「ちくしょおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「はぐみ!せーので開けるわよ!」

「分かったよこころん!」

 

「「それー!」」

 

 

 はぐみとお嬢の息ピッタリの掛け声と同時にm試着室のシャーッ!の部分がシャーッ!と開かれる。目の前が明るくなったぁ!

 視界が開けると、そこには俺たちの騒ぎを聞きつけたのか……えーと、1、2、3……わー、全員いるわ終わったぁ。

 

 

「愛斗……何その格好……」

「嘘……」

「……これは驚いたわね」

「やっぱり! 思った通りだわ!」

「愛斗くん、すっごく可愛いよ!」

 

 

 本日の浅尾愛斗さんのファッションはこちら!

 鮮やかな茶髪ロングヘア―の髪型に合わせられたのは、水玉模様がうっすらとデザインされた涼し気なワンピース。すっげぇ下半身がスースーする。露出狂みたいで嫌すぎる。女の子って日々こんな気持ちなんだね。歩く時も緊張しちゃうわ。うふ♡

 

 なぁんで女装してるん? あれか? シンプル is HENTAIか? いい加減捕まるど。

 

 

「ほらね? 愛斗が女の子の格好すれば絶対似合うと思ったのよ!」

「それは分かったよ。なんで今着せたの???」

「だって、愛斗が女の子になればRoseliaやAfterglowにも入れるでしょう?」

「俺がRoseliaやAfterglowに入ってない理由は男だからじゃねぇんだYO!!!」

「あら、そうなの?」

 

 

 こころちゃんは優しい女の子だね。でもちょっと見当違いだったね。俺がボンキュッボンのどえれぇ美人でも、多分俺はRoseliaにもAftergrowにも入れないし入らないし、きっと締め出されちゃうよ。そんな未来が見えるもん。

 Aftergrowに関してはもう入る枠が空いてないからね。激オシャレタンバリンでも担当しようかな。

 

 

「でも可愛いから合同練習の間はそれ着ててよ! キラキラしてすっごく可愛いよ! 私が男の子だったらドキドキしちゃうかも!」

「今の俺からは負のオーラしか出てないと思うんだけどなー。おっかしいぞー? 早く脱ぎたいに100%をかけてるんだけどなぁ~?」

「でも可愛いよマーくん!」

「そうだよ愛斗くん! 似合ってる似合ってる!」

「大和撫子ですよ! ヤマトさん!」

「?????」

 

 

 最後の最後に練習が終わるまで、僕は一生カツラにワンピースだったし、死ぬほど写真撮られました。

 おい、これただの地獄かなんかだろ。いままで可愛い女の子に囲まれてきていい思いをしてきた跳ね返りか? 割と荷が重いぜ。泣きたい。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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